摂取カロリーを減らす方法|脂質・糖質・アルコールの賢い調整術
ダイエットの第一歩は、摂取カロリーを自分に合った水準まで整えることです。とはいえ、やみくもに量を減らすと栄養が偏ったり、継続できなかったりしがち。鍵になるのは「何を、どの程度、どう置き換えるか」という設計です。この記事では、摂取カロリーを抑えるための具体的な手順(適正カロリーの決め方、脂質・糖質・アルコールのコントロール)を整理します。これにより実践に直結する判断基準をコンパクトに学べます。
摂取カロリーを消費カロリーより少なくする方法
「摂取カロリーを消費カロリーより少なくするにはどうしたら良いんだろう?」 と気になっている方も多いことでしょう。 摂取カロリーを消費カロリーより少なくするには、食事制限と運動を行う必要があります。
では具体的にどのようなことをしたら良いのか、六つの方法についてご説明します。
方法1 摂取カロリーを適切に抑える
ダイエットにおいては、摂取カロリーの制限が非常に重要です。 しかし、むやみに摂取カロリーを減らし過ぎても健康を損ねてしまいます。 まずは、適切な目標設定をして摂取カロリーをどのくらいに抑えれば良いのかを計算してみましょう。 目標体重はBMIを参照し無理のない範囲で設定しましょう。
BMIが低体重に当たる方は健康を損ねるリスクがあるためこれ以上の減量は勧められません。 一方BMIが25以上の方は、まずは標準体重を目標に減量すると良いでしょう。
推定必要カロリーは運動量によっても異なるため、まず以下の表でご自身の身体活動レベルを確認しましょう。 身体活動レベルは日常的にどれくらい体を動かしているかによって3段階に分けられます。
| 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
|---|---|
| 低い(Ⅰ) | 生活の大部分を座って過ごす場合 |
| 普通(Ⅱ) | 座って過ごすことが多いが、仕事などで立ったり歩いたりする場合、通勤や買い物などで歩く場合、家事や軽いスポーツを行う場合 |
| 高い(Ⅲ) | 立ったり歩いたりすることが多い仕事に就いている場合、余暇に活発に運動する習慣がある場合 |
身体活動レベルが分かったら、目標体重と以下の表の体重1kg当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を掛け合わせましょう。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
| 18〜29歳 | ||||||
| 30〜49歳 | ||||||
| 50〜64歳 | ||||||
| 65〜74歳 | ||||||
| 75歳以上 | ||||||
ここでは身長160cmの20代女性の場合で計算してみましょう。 この女性の標準体重は1.6×1.6×22で56.32kgです。 デスクワークで座って過ごす時間が長いものの、通勤では毎日歩くとすると、身体活動レベルは普通(Ⅱ)に当たります。 目標体重を標準体重の56.32kgとすると、1日の適切な摂取カロリーは56.32×38.7=2180kcal(小数第1位で四捨五入)となります。
このようにご自身に合った摂取カロリーを設定し、これを目安として食事の内容を工夫してみましょう。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」 [2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 [3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
方法2 脂質を控える
摂取カロリーを減らすためには、脂質を控えましょう。 脂質は1g当たり9kcalと高カロリー物質であるため、肥満の原因になりやすいのです[4]。 厚生労働省は、脂質から摂るカロリーを総摂取カロリーの20〜30%に抑えるという目標量を定めています[4]。
また、脂質の構成要素である脂肪酸は構造によって分類され、種類によって異なるはたらきがあります。 肉の脂身や乳脂肪、ココナッツミルクなどに多く含まれる飽和脂肪酸は体内で合成できるため食事からの摂取は必須ではありません。 摂り過ぎると肥満や生活習慣病の要因にもなります。 このため厚生労働省は成人に対し、飽和脂肪酸から摂取するカロリーを総摂取カロリーの7%以下にするという目標量を設定しています[4]。
一方でn-6系脂肪酸およびn-3系脂肪酸は体内で合成できず、不足すると皮膚炎などを引き起こすため必須脂肪酸と呼ばれています。 必須脂肪酸は食事からの摂取が欠かせません。 n-6系脂肪酸およびn-3系脂肪酸は植物や魚の油に多く含まれています。 脂質の摂取量を抑え、その種類も意識して食べ物を選ぶことが重要なのですね。
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
方法3 糖質を控える
摂取カロリーを減らすなら、糖質から摂るカロリーを制限しましょう。 糖質の摂り過ぎは肥満の原因となります。
糖質が体内で分解されると、そのうちのブドウ糖は血液中に取り込まれ、血糖値(血中ブドウ糖濃度)の上昇を招きます。 血糖値が上昇するとそれに反応して膵臓(すいぞう)から「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンは血糖を細胞にエネルギー源として使わせることで血糖値を下げるはたらきをするホルモンです。 しかしこのときエネルギーとして使い切れなかったブドウ糖は、インスリンのはたらきにより脂肪などに変えられ、体に蓄えられてしまいます。 このため糖質を摂り過ぎると体重の増加につながってしまうのです。
厚生労働省は炭水化物(糖質)から摂取するカロリーを総摂取カロリーの50〜60%に抑えるという目標量を設定しています[5]。 また血糖値の急上昇によるインスリンの大量分泌を防ぐため、GIの比較的低い食品を選ぶこともおすすめです。
主食のなかでも白米や小麦粉を使った食品はGIが高く、血糖値を上昇させやすいのに対し、そばやライ麦パン、玄米といった食品は比較的GIが低い傾向にあります。 ついご飯や麺類を食べ過ぎてしまうという方もいらっしゃるかもしれませんが、控えたり、主食を置き換えたりしてみると良いでしょう。
[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
方法4 アルコールを控える
摂取カロリーを減らすためには、アルコールも控えましょう。 アルコールは1gで7kcalの高カロリー物質です[6]。 加えてアルコールを消費している間は、他のエネルギー産生栄養素は使われないまま蓄積されてしまうため肥満の原因となります。 さらに、アルコールには食欲を増進させる作用があるため、つい食べ過ぎてしまう恐れもあります。 摂取カロリーを減らすためにも、アルコールは控えるようにしてくださいね。
[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
まとめ
いかがでしたでしょうか。摂取カロリーを抑えるときは、単に量を減らすのではなく「数値に基づく設計」と「質のコントロール」が鍵です。要点は次の通りです。
目標体重×年齢・活動量別係数で1日の適切カロリーを算出
脂質は総カロリーの20–30%、飽和脂肪酸は7%以下を目安に
糖質は総カロリーの50–60%、可能なら低GIを選択
アルコールは高カロリー&食欲増進要因。頻度・量を見直す
この土台が整うと、次は「消費カロリーを増やす」段階がぐっとスムーズになります。