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有酸素運動の理想時間とペース|初心者でも続けやすい実践ガイド

「有酸素運動はどのくらいの時間や強度で行えば効果が出るの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。短時間でも続けることに意味はあるのか、あるいは一定以上の時間が必要なのか——。このテーマは、健康維持やダイエットを目的に運動を始める人にとって非常に重要です。

この記事では、厚生労働省や国立健康・栄養研究所の基準に基づく「時間・強度の目安」を紹介しながら、週あたりの理想的な運動量をわかりやすく解説します。この記事を読むことで、「どのくらいの頻度・強度で運動すれば脂肪燃焼や生活習慣病の予防につながるのか」を具体的に理解できます。

有酸素運動を行う時間や強度の目安

「どのくらい有酸素運動をやったら脂肪が燃焼できるのかな?」

ある程度の時間やらなければ効果は出ないと予想はできますが、具体的にはどのくらい行えば良いのか知りたいところですよね。体脂肪、特に内臓脂肪を減少させるための有酸素運動の目安は「週に10エクササイズ」以上が推奨されています[1]。

エクササイズとは
安静時を1としたときに、何倍のエネルギーを消費するかで身体活動の強さを表した単位「メッツ(METs)」に運動時間(時)をかけたもので、身体活動の量を表す単位のことです。

主な有酸素運動のメッツは以下のとおりです。

【主な有酸素運動のメッツ】

有酸素運動 メッツ
水中歩行(ゆっくり) 2.5
散歩・犬の散歩 3.0
歩行(通勤・通学) 4.0
水中歩行(ほどほどの速さ) 4.5
エアロビクスダンス(弱い強度) 5.0
ジョギングと歩行の組み合わせ(ジョギングは10分未満) 6.0
自転車でゆっくり走る(時速16.1~19.2km ) 6.8
ジョギング 7.0
エアロビクスダンス(一般~強い強度) 7.3

独立行政法人 国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表」をもとに執筆者作成

例えば、通勤・通学での歩行(4.0メッツ)を片道15分(往復30分:0.5時間)、週5日行う場合の身体活動量(エクササイズ)は以下のような計算式で求められます。

4.0(メッツ)×0.5(時間)×5(日)=10エクササイズ

通勤・通学を利用して15分ほど定期的に歩くことでも、内臓脂肪減少につながるのですね。

元気よく歩く男性サラリーマン

また、糖尿病や高血圧、脂質異常症の改善のためにも有酸素運動が推奨されています。

糖尿病の場合、少なくとも週3~5回、「ややきつい」と感じる中等度の強さの運動を各20~60分、計150分以上行うことが病状の改善に有効です[2]。高血圧や脂質異常症では、中等度の強さの有酸素運動を概ね1日当たり30分以上行うことが勧められています[3][4]。

しかし、いきなり「ややきつい」と感じる運動を行うのは体への負担が大きいばかりか、中断してしまう可能性もあるでしょう。そのため、日常生活の中で少しずつ体を動かす機会を増やしていくなど、無理のない運動から始めるようにしてみてくださいね。

メモ
より効果的に糖尿病を改善させるには、有酸素運動と同時に週に2~3回、筋トレのようなレジスタンス運動を行うことが勧められています[2]。有酸素運動とレジスタンス運動の併用は、それぞれを単独で行うよりも、効果が高いといわれています。
メモ
連続して30分以上行わなくても、10分以上の運動であれば合計して30分以上としても良いとされています[3][4]。
注意事項
糖尿病や高血圧、脂質異常症などで通院中の方は、主治医に相談の上で運動を開始しましょう。心臓病などの合併症があったり血糖値が高過ぎたりするときには運動が勧められない場合もあります。

[1] 厚生労働省e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動

[2] 厚生労働省e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動

[3] 厚生労働省e-ヘルスネット「高血圧を改善するための運動

[4] 厚生労働省e-ヘルスネット「脂質異常症を改善するための運動

まとめ

いかがでしたでしょうか。有酸素運動の効果を最大限に得るには、「適切な時間と強度」を意識することが大切です。

主なポイントは以下の通りです。

週10エクササイズ(METs×時間)を目標にする。 1回20〜60分の中等度運動を週3〜5回行うと理想的。 10分以上の積み重ねでもOK。継続が最も重要。 生活習慣病改善には中等度強度(ややきつい程度)が効果的。

体への負担を抑えながら徐々に強度を上げていくことで、脂肪燃焼や心肺機能向上、血圧や血糖値の改善につながります。