貧血予防におすすめの食べ物は?鉄を効率的に摂取するポイントも解説
「貧血を予防するにはどんなものを食べたら良いのかな……」
「貧血には鉄を摂ることが重要というけど効率的な摂り方ってあるの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
貧血の予防のためには、鉄をはじめたんぱく質やビタミンB12、葉酸などの栄養素を含む食べ物を摂ることがおすすめです。
さらに鉄の吸収を良くする栄養素を摂取したり、吸収を阻害する成分を避けたりすることも重要です。
この記事では貧血予防に効果的な栄養素やそれを含む食べ物、鉄を効率良く摂取するポイントなどについて解説しますので参考にしてくださいね。
1.貧血とは
一般に貧血とは赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低下している状態です。
ヘモグロビンは鉄を含む「ヘム」という色素とたんぱく質からできており、全身へ酸素を運ぶはたらきをしています。
そのため体内で鉄不足が起こると、ヘモグロビンも減り酸素運搬能力が低下し貧血を招きます。
このように鉄の不足が原因となる貧血が鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血では、疲れやすくなったり集中力が続かなくなったりする他、頭痛、食欲不振、筋力低下などの症状が現れることがあります。
特に女性は月経の出血に伴う鉄の損失、妊娠・授乳に伴う鉄の需要増加などが原因で、鉄欠乏性貧血を発症しやすいとされているため注意が必要です。
他にも、巨赤芽球性貧血と呼ばれる貧血があります。
巨赤芽球性貧血は、赤血球をつくるビタミンB12や葉酸の不足によって起こります。
主な症状は、動悸(どうき)や息切れ、疲労感、手足のしびれ、思考力の低下などです。
2.貧血のときに摂るべき栄養素
「貧血といわれたけど、どんな栄養素を摂ったら良いのかな……」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
貧血のときには鉄をはじめ、ビタミンB12や葉酸を摂るのがおすすめです。
ここではそれぞれのはたらきについて解説します。
2-1.鉄
鉄は「必須ミネラル」の一種です。
鉄はヘモグロビンの一部として酸素の運搬を行う他にも、細胞や免疫機能の維持など重要なはたらきに関わっています。
鉄は貧血の予防や改善はもちろん、体にとって欠かせない栄養素なのですね。
では、鉄はどのくらい必要なのでしょうか。
鉄の摂取基準は性別や年齢別に決められています。
月経がある女性は血液と共に損失する鉄を補う必要があるため、摂取すべき量が多くなります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、鉄の摂取推奨量は次のように定められています。
| 年齢 | 男性 | 女性(月経なし) | 女性(月経あり) |
|---|---|---|---|
| 18~29歳 | |||
| 30~49歳 | |||
| 50~64歳 | |||
| 65~74歳 | |||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊娠中・授乳中の女性の場合、推奨量の付加量が設定されています。
| 付加量 | |
|---|---|
| 妊婦 初期 | +2.5mg |
| 妊婦 中期・後期 | +9.5mg |
| 授乳婦 | +2.5mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
鉄は不足する以外に、サプリメントなどによる過剰摂取でも体に悪影響を及ぼす可能性があります。
ただし通常の食事では鉄を摂り過ぎることはほとんどないので安心してくださいね。
[1] 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
2-2.ビタミンB12
ビタミンB12は赤血球がつくられる際に必要で、赤血球の細胞骨格を保つはたらきをしています。
そのため、ビタミンB12が欠乏すると血液をつくり続けることができなくなり貧血を起こします。
ビタミンB12の不足により発症する貧血は巨赤芽球性貧血と呼ばれ、代表的なのが悪性貧血です。
悪性貧血は、自己免疫機能のはたらきによるビタミンB12の吸収不全の他、胃の全摘出、小腸疾患、摂食障害や菜食主義などが原因で起こります。
ただし、ビタミンB12は体内での貯蔵が可能であるため、このような要因が生じてから数年たたないと貧血は発症しません。
厚生労働省が定めるビタミンB12の推奨量は次のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18~29歳 | ||
| 30~49歳 | ||
| 50~64歳 | ||
| 65~74歳 | ||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊娠中・授乳中の女性の場合、推奨量の付加量が設定されています。
| 付加量 | |
|---|---|
| 妊婦 | +0.4μg |
| 授乳婦 | +0.8μg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
2-3.葉酸
葉酸は赤血球の細胞骨格を維持するはたらきをするビタミンです。
そのため、葉酸が不足すると巨赤芽球性貧血を起こすことがあります。
葉酸の不足の原因として、アルコールの摂り過ぎなどが挙げられます。
アルコールは葉酸の吸収と代謝に影響を及ぼします。
他にも、葉酸が欠乏する原因には偏食による摂取不足、消化器疾患による吸収不良、薬剤の影響などがあります。
厚生労働省が定める葉酸の推奨量は次のとおりです。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18~29歳 | ||
| 30~49歳 | ||
| 50~64歳 | ||
| 65~74歳 | ||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊娠中・授乳中の女性の場合、推奨量の付加量が設定されています。
| 付加量 | |
|---|---|
| 妊婦 | +240μg |
| 授乳婦 | +100μg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
妊娠中は葉酸の摂取が不十分となる傾向にあるため、サプリメントを活用することもおすすめです。
3.貧血予防におすすめの食べ物
「貧血を予防するためにはどんなものを食べたら良いのかな?」
貧血予防のために具体的に何を摂ったら良いのか、気になる方もいらっしゃいますよね。
ここでは、鉄やビタミンB12、葉酸がどのような食品に含まれるのかご紹介します。
3-1.鉄を多く含む食べ物
貧血を予防するためには、食べ物から十分に鉄を摂ることが重要です。
鉄が豊富に含まれる食品には次のようなものがあります。
| 食品名 | 加工状態など | 含有量 |
|---|---|---|
| 豚レバー | ||
| 鶏レバー | ||
| 鶏ハツ | ||
| 赤貝 | ||
| 牛レバー | ||
| 牛ヒレ肉 | ||
| まいわし | ||
| かき |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
| 食品名 | 加工状態など | 含有量 |
|---|---|---|
| ごま | ||
| チアシード | ||
| パセリ | ||
| 小松菜 | ||
| 干しぶどう | ||
| 水菜 | ||
| ほうれん草 | ||
| サニーレタス | ||
| 春菊 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
動物性食品に多く含まれる鉄は、特に吸収の良いヘム鉄です。
効率良く鉄を摂取するためには、動物性食品を積極的に摂ることをおすすめします。
一方、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄はあまり吸収されません。
しかし非ヘム鉄は動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まります。
日本人は植物性食品から鉄を摂取することが多いといわれるため、吸収を促す工夫も重要ですね。
3-2.ビタミンB12を多く含む食べ物
貧血を予防するためには、ビタミンB12をしっかり摂りましょう。
ビタミンB12を多く含む食品には次のようなものがあります。
| 食品名 | 加工状態など | 含有量 |
|---|---|---|
| しじみ | ||
| 焼きのり | ||
| 牛レバー | ||
| いくら | ||
| 鶏レバー | ||
| 豚レバー | ||
| かつお節 | ||
| たらこ | ||
| さんま(皮付き) | ||
| まいわし |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB12は、植物性食品にはほとんど含まれていません。
レバーやいわしなどには鉄も多く含まれるので、貧血の予防のために積極的に摂りたいものですね。
3-3.葉酸を多く含む食べ物
貧血の予防のためには、葉酸の摂取も重要です。
葉酸を多く含む食品には次のようなものがあります。
| 食品名 | 加工状態など | 含有量 |
|---|---|---|
| 焼きのり | ||
| 鶏レバー | ||
| 抹茶 | ||
| 牛レバー | ||
| 豚レバー | ||
| えだまめ | ||
| ブロッコリー | ||
| いちご | ||
| マンゴー | ||
| アボカド |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
葉酸は動物性食品、植物性食品のいずれにも含まれるため、日常的に摂取しやすいのがうれしいことですね。
4.鉄を効率良く摂取するポイント
「効率良く鉄を摂る方法ってあるのかな……」
せっかく鉄を摂るなら、無駄なく摂りたいと思いますよね。
この章では、鉄を効率良く摂るために気を付けたいポイントを解説します。
ポイント1 たんぱく質を十分に摂取する
動物性たんぱく質には非ヘム鉄の吸収を高めるはたらきがあるため、毎日摂取することをおすすめします。
特に、必須アミノ酸をバランス良く摂ることができる「良質なたんぱく質」を意識的に摂取しましょう。
良質なたんぱく質が含まれる肉類や卵などをしっかり摂ることが大切ですね。
たんぱく質は体にためておくことができないので、毎回の食事で補うようにしましょう。
ポイント2 ビタミンCを十分に摂取する
ビタミンCは非ヘム鉄を吸収しやすい形に変換し、消化管での鉄の吸収を促進します。
ビタミンCは次のような食品に多く含まれます。
| 食品名 | 加工状態など | 含有量 |
|---|---|---|
| 青汁(ケール) | ||
| 赤ピーマン | ||
| 黄ピーマン | ||
| ブロッコリー | ||
| パセリ | ||
| レモン | ||
| 青ピーマン | ||
| キウイフルーツ(緑) | ||
| 甘がき | ||
| いちご | ||
| オレンジ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
なじみのある野菜や果物など、毎日の食事に取り入れやすい食品が多いのはうれしいことですね。
ポイント3 繊維質の食べ物を避ける
不溶性食物繊維には鉄を体外へ排出しやすくする作用があります。
特に非ヘム鉄は不溶性食物繊維と一緒に摂ることで吸収率が悪くなります。
食物繊維は、体にとって重要かつ不足しがちであるため積極的に摂取したい栄養素ですが、貧血の予防・改善のためには、不溶性食物繊維を食べ過ぎないように注意しましょう。
ポイント4 タンニンが豊富な食べ物を避ける
ポリフェノールの一種であるタンニンには鉄の吸収を悪くする作用があります。
タンニンはコーヒーや紅茶、ウーロン茶などに含まれる成分です。
食事中や食事の前後にコーヒーや紅茶、濃いお茶を飲むことは避けましょう。
タンニンは他にも、カカオやワイン、干しがきなどに含まれています。
食事の際は食べ合わせに注意して、鉄の吸収が妨げられないように注意しましょう。
5.貧血予防におすすめの食べ物についてのまとめ
貧血は一般的に赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低下している状態です。
ヘモグロビンの材料である鉄は全身へ酸素を運ぶはたらきをするため、鉄が足りないと酸素不足を招き貧血を起こします。
貧血のなかでも多い鉄欠乏性貧血では、疲労感や頭痛、息切れ、運動機能の低下などの症状が見られることがあります。
特に女性は月経などが原因で、鉄欠乏性貧血を発症しやすいため注意が必要です。
また、巨赤芽球性貧血はビタミンB12や葉酸の不足によって起こります。
貧血のときには鉄やビタミンB12、葉酸などの栄養素を積極的に摂りましょう。
鉄は酸素の運搬の他にも細胞呼吸や免疫機能の維持など、ヒトの体にとって重要なはたらきをする栄養素です。
鉄は動物性食品ではレバーやかきなど、植物性食品では小松菜やほうれん草などに豊富に含まれます。
動物性食品に多く含まれるヘム鉄は植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄に比べて吸収されやすいという特徴があります。
ビタミンB12や葉酸は赤血球がつくられる際に必要で、赤血球の細胞骨格を保つはたらきをしています。
ビタミンB12はレバーやいわしなど、葉酸はレバー、ブロッコリー、いちごなどに豊富に含まれます。
鉄を効率良く摂取するためには、たんぱく質のなかでも非ヘム鉄の吸収を高める動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ることがおすすめです。
一方、玄米や豆類、おからなどに含まれる不溶性食物繊維は、鉄の吸収を妨げます。
また、コーヒーや紅茶などに含まれるタンニンには鉄の吸収を悪くする作用があります。
貧血の予防や改善のためには、鉄の吸収が阻害されないように食べ合わせに注意することもポイントです。
日々の食生活を見直して、貧血を軽減していきましょうね。