炭水化物とは?体内でのはたらきや種類、適切な摂取量について解説
「炭水化物ってなんだろう?」
炭水化物という言葉はよく耳にしますが、どういうものなのかよく知らないという方もいらっしゃるかもしれません。
炭水化物は、体のエネルギー源として重要な栄養素です。
炭水化物は大きく2種類に分けられ、それぞれ異なる役割を持っています。
この記事では、炭水化物の定義やそのはたらきについて解説します。
また、炭水化物の適切な摂取量や炭水化物を含む食品についてもご紹介します。
ぜひ、最後までお読みくださいね。
1. 炭水化物とは
「炭水化物ってどんなものか、実はよく知らない……」
と思ってこの記事を読んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
炭水化物は、たんぱく質や脂質と共にエネルギー産生栄養素と呼ばれ、体のエネルギー源として欠かせない栄養素です。
この章では、炭水化物の定義やそのはたらきについて詳しく解説します。
1-1.炭水化物の定義
炭水化物は科学的には炭素(C)と水素(H)の化合物で、「糖」によって構成される物質です。
栄養学的にはエネルギー源としてのはたらきが最も重視されます。
しかし、実は炭水化物に分類されるもの全てがエネルギー源としてのはたらきを持つというわけではありません。
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」に分けられます。
糖質は炭水化物のうち、ヒトの体内で消化・吸収されてエネルギー源となるものです。
一方、食物繊維は多くの糖が結合しているためヒトの消化酵素では消化することができず、エネルギー源としてのはたらきは期待できません。
一口に炭水化物といっても、実ははたらきの異なる物質が含まれているのですね。
1-2.炭水化物の体内でのはたらき
炭水化物の主な役割は体にエネルギーを供給することです。
炭水化物にはエネルギー源にならない食物繊維も含まれていますが、炭水化物がエネルギー源といわれるのはその大部分が糖質で構成されているためです。
炭水化物のカロリーは1g当たり4kcalとされており[1]、このエネルギーのほとんどは糖質から得られます。
糖質も1g当たり約4kcalで、炭水化物全体のカロリーとほとんど同じです[2]。
糖質が不足するとエネルギー不足のため、集中力の減退や疲労感などの症状が現れます。
その半面、体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって増減するため、糖質を摂り過ぎると肥満やそれに関連した生活習慣病を招いてしまいます。
一方で、食物繊維はほとんどエネルギーにはなりません。
食物繊維は腸内細菌による発酵分解で1g当たり0~2kcalのエネルギーを生み出しますが、その量は少なく、一定ではありません[2]。
食物繊維は消化されずに大腸まで届き、便の材料となったり、腸内の善玉菌の餌となったりすることで、便通を良くします。
さらに、脂肪や糖、ナトリウムを吸着して体外に排出するため、これらの摂り過ぎにより起こる肥満や生活習慣病の予防・改善に役立つとされています。
炭水化物と一口にいっても、糖質と食物繊維でははたらきが大きく異なるのですね。
それぞれの役割を理解して、バランス良く摂取するようにしましょう。
糖質、食物繊維については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
糖質とは?はたらきや過不足の悪影響、摂取の目標量と摂取源を紹介
食物繊維とは?はたらきや摂取目標量、摂取源となる食べ物を解説
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
2.炭水化物の種類
炭水化物は大きく糖質と食物繊維の二つに分けられます。
また、糖質と食物繊維はそれぞれさらに細かく分類することができます。
この章では炭水化物を構成する糖質と食物繊維の種類について詳しく解説します。
2-1.糖質
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、炭水化物から食物繊維を除いたものを糖質と定義しています。
糖質はさらに、糖の数によって「単糖類」「少糖類」「多糖類」に分けられます。
単糖類はそれ以上分解されない糖で、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースなどが該当します。
ブドウ糖は特別な場合を除き、脳がエネルギー源として利用できる唯一の物質であるため、糖質のなかでも特に重要なエネルギー源として知られています。
少糖類は単糖が二つ以上結び付いたもので、多糖類ほどは結合した糖の数が多くないもののことです[3]。
少糖類は、単糖が二つ結び付いた二糖類を含む場合と、三つ以上の糖が結合したものを指す場合があり、その定義はやや曖昧です[3]。
二糖類は二つの単糖が結び付いてできた糖です。
例えば、ブドウ糖と果糖が結び付いたショ糖、ブドウ糖が二つ結び付いた麦芽糖、ブドウ糖とガラクトースが結び付いた乳糖などがあります。
なお、単糖類と二糖類を合わせて「糖類」と呼びます。
多糖類は消化性多糖類と難消化性多糖類に分けられ、消化性多糖類にはでんぷんやグリコーゲンが含まれます。
難消化性多糖類はその名のとおり消化が難しく、食物繊維の仲間に分類されます。
また、糖質には単糖類や二糖類などを還元した「糖アルコール」と呼ばれる群も含まれます。
糖アルコールは糖質でありながら体内で消化・吸収されにくい特徴があり、さらに熱や酸、アルカリに強く、微生物の栄養源になりにくいといった性質を有しています。
低カロリー素材として利用される他、食品の日持ちを良くしたり、着色しにくい食品の品質を保ったりするために食品に添加されます。
代表的なものにキシリトール、ソルビトール、マルチトールなどがあり、化粧品に使用される場合もあります。
また糖アルコールは自然界にも存在し、海藻類やプルーンなどの果実類に含まれています。
糖質には多様な種類があり、それぞれが食品や生活のなかでさまざまな役割を果たしているのですね。
[3] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「炭水化物 / 糖質」
2-2.食物繊維
食物繊維は、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に分類されます。
どちらの食物繊維にもそれぞれ異なる特徴やはたらきがあります。
不溶性食物繊維は、その名のとおり水に溶けにくい食物繊維で、便通を促進し、便のかさを増やす効果があります。
これにより、腸内環境の改善や便秘の予防に役立ちます。
不溶性食物繊維にはセルロースやヘミセルロース、キチン、キトサンなどがあります。
不溶性食物繊維を摂りたい場合、食事にたけのこや根菜類、きのこ類、豆類を多く取り入れるのがおすすめです。
水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、ゲル状になる性質を持っています。
ゲル状になった水溶性食物繊維は胃腸内をゆっくり移動して、糖質や脂質を吸収します。
これにより血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。
水溶性食物繊維にはペクチン、グルコマンナン、アルギン酸などがあります。
水溶性食物繊維は果物に加えて、にんじんやキャベツといったやわらかい繊維質の野菜や、昆布やわかめなどの海藻にも含まれています。
このように食物繊維には不溶性と水溶性のものがあり、体内でさまざまなはたらきをしているのですね。
3.炭水化物の適切な摂取量(食事摂取基準)
「炭水化物ってどのくらい摂れば良いんだろう?」
と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
厚生労働省は炭水化物全体と食物繊維に対し目標量を定めています。
この章では厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に基づき、炭水化物と食物繊維の適切な摂取量をご紹介します。
3-1.炭水化物の適切な摂取量
厚生労働省は、炭水化物の目標量を1日の摂取カロリーに対し炭水化物からの摂取カロリーが占めるべき割合として定めています(単位:%エネルギー)。
1歳以上の全年代において、炭水化物の目標量は50〜65%エネルギーです[4]。
実際何グラム程度の炭水化物を摂取すれば良いのかというのが気になるところですよね。
1日当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)から、目標量に相当する炭水化物の重量を計算してみましょう。
推定必要カロリーは性別や年代の他、どれだけ体を動かしているかによって異なります。
まずはご自身の日常生活を振り返り、身体活動レベルがどれに当たるか確認しましょう。
| 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
|---|---|
| 低い | 生活の大部分を座って過ごし、あまり体を動かす機会がない |
| 普通 | 座って過ごすことが多いが、歩いたり立ったりする作業や接客などを行う機会、通勤や買い物などで歩く機会、家事や軽いスポーツなどを行う機会がある場合 |
| 高い | 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、または余暇に活発に運動する習慣がある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
男女別、年代別の推定必要カロリーは以下のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 18〜29歳 | 2,250 | 2,600 | 3,000 | 1,700 | 1,950 | 2,250 |
| 30〜49歳 | 2,350 | 2,750 | 3,150 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
| 50〜64歳 | 2,250 | 2,650 | 3,000 | 1,700 | 1,950 | 2,250 |
| 65〜74歳 | 2,100 | 2,350 | 2,650 | 1,650 | 1,850 | 2,050 |
| 75歳以上 | 1,850 | 2,250 | 1,450 | 1,750 | ||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
18歳未満の方、妊婦・授乳婦の方は以下の記事をご確認ください。
カロリーとは?体重との関係や摂取カロリーの目安、栄養について解説
例えば、身体活動レベルが普通の20代女性の場合、1日の推定必要カロリーは1,950kcalです。
このうち50〜65%エネルギーは975〜1,268kcalに当たりますね(小数第1位で四捨五入)。
これをグラムに換算すると、炭水化物は1g当たり4kcalなので[4]、244〜317gに当たります(小数第1位で四捨五入)。
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
3-2.食物繊維の適切な摂取量
厚生労働省は3歳以上に対し以下のとおり、食物繊維の目標量を設定しています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 3〜5歳 | ||
| 6〜7歳 | ||
| 8〜9歳 | ||
| 10〜11歳 | ||
| 12〜14歳 | ||
| 15〜17歳 | ||
| 18〜29歳 | ||
| 30〜49歳 | ||
| 50〜64歳 | ||
| 65〜74歳 | ||
| 75歳以上 | ||
| 妊婦 | ||
| 授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ただし、健康への利益を考えた場合、成人の理想的な食物繊維摂取量は1日当たり25g以上だと考えられています[5]。
前掲の目標量は日本人の食物繊維摂取量が少ないことから、実現可能性を考慮して設定されたものです。
食物繊維は積極的に摂取すべき栄養素の一つだといえるでしょう。
[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
4.炭水化物を含む主な食べ物
「炭水化物を含む食べ物にはどんなものがあるのかな?」
炭水化物と聞くと多くの方が主食となる穀類を思い浮かべるかもしれませんが、実は野菜などにも炭水化物が含まれています。
この章では、炭水化物を含む食べ物について、糖質と食物繊維に分けてご紹介します。
4-1.糖質を含む主な食べ物
炭水化物(糖質)は、主にご飯やパン、麺類などの主食やいも類に多く含まれています。
また、砂糖や甘味料、またこれらを多く使用した製品や果物にも豊富に含まれています。
以下は、糖質を含む主な食べ物を種類別にまとめたものです。
| 食品名 | 加工状態など | 糖質含有量 | エネルギー量 |
|---|---|---|---|
| 精白米(うるち米) | |||
| 干しそば | |||
| 玄米 | |||
| 干しうどん | |||
| 発芽玄米 | |||
| フランスパン | |||
| オートミール | |||
| そば | |||
| うどん | |||
| ロールパン | |||
| 食パン | |||
| 白ご飯(うるち米) | |||
| 玄米ご飯 | |||
| 発芽玄米ご飯 | |||
| マカロニ・スパゲッティ | |||
| そば | |||
| そうめん | |||
| うどん |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
| 食品名 | 加工状態など | 糖質含有量 | エネルギー量 |
|---|---|---|---|
| さつまいも | |||
| じゃがいも | |||
| さといも |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
| 食品名 | 加工状態など | 糖質含有量 | エネルギー量 |
|---|---|---|---|
| グラニュー糖 | |||
| 角砂糖 | |||
| 和三盆糖 | |||
| 三温糖 | |||
| 黒砂糖 | |||
| はちみつ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
| 食品名 | 加工状態など | 糖質含有量 | エネルギー量 |
|---|---|---|---|
| バナナ | |||
| ぶどう | |||
| マンゴー | |||
| 甘がき | |||
| パイナップル | |||
| りんご | |||
| キウイフルーツ | |||
| メロン | |||
| うんしゅうみかん | |||
| なし |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
このように、主食やいも類、果物や甘味類には糖質が多く含まれているのですね。
4-2.食物繊維を含む主な食べ物
食物繊維は動物性食品にはほとんど含まれないため、野菜類、きのこ類、豆類などの植物性食品から摂取する必要があります。
食物繊維を多く含む野菜類には以下のようなものがあります。
| 食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
|---|---|---|---|---|
| モロヘイヤ | ||||
| ごぼう | ||||
| 芽キャベツ | ||||
| ブロッコリー | ||||
| オクラ | ||||
| 西洋かぼちゃ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
食物繊維を多く含むきのこ類は以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
|---|---|---|---|---|
| しいたけ(菌床栽培) | ||||
| えのきたけ | ||||
| まいたけ | ||||
| なめこ | ||||
| ぶなしめじ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また以下のような豆類には食物繊維が多く含まれます。
| 食品名 | 加工状態など | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 食物繊維総量 |
|---|---|---|---|---|
| 納豆 | ||||
| ひきわり納豆 | ||||
| えだまめ | ||||
| グリンピース |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
食物繊維を含む食べ物については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
食物繊維を含む食べ物は?摂取目標量と摂取量を増やすコツも解説
健康のために、野菜類、きのこ類、豆類を積極的に取り入れて、毎日の食事でしっかりと食物繊維を摂取しましょう。
5.炭水化物についてのまとめ
炭水化物は、私たちの体にとって重要なエネルギー源であり、主に糖質と食物繊維に分けられます。
それぞれが異なる役割を持っており、健康維持に欠かせません。
炭水化物が産生するエネルギーのほとんどは糖質によるものです。
糖質は糖の数によって単糖類、少糖類、多糖類に分けられます。
なかでも単糖類のブドウ糖は、特別な場合を除いて脳にエネルギーを供給できる唯一の物質です。
一方、食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。
食物繊維はほとんどエネルギー源にはならない一方で、腸内環境を整え便通を良くする効果や、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して体外に排出する効果を有しています。
炭水化物全体の目標量は1日の摂取カロリーに対し、炭水化物から摂取すべきカロリーが占める割合で設定されています(単位:%エネルギー)。
炭水化物の目標量は1歳以上の全年代で50〜65%エネルギーです[6]。
これは糖質から摂取すべきカロリーの目安と捉えても問題ありません。
また食物繊維は各年代に対し目標量が設定されています。
例えば20代の目標量は男性で20g以上、女性で18g以上です[6]。
ただし成人の理想的な食物繊維摂取量は、厚生労働省の設定する目標量よりも多い、1日当たり25g以上です[6]。
日本人の摂取量が理想に遠く及ばないため、目標量は実現可能性を考慮して設定されているのです。
糖質を含む食品にはご飯、パン、麺類、いも類、果物、甘味料などがあります。
食物繊維を含む食品には野菜、きのこ類、豆類などがあります。
これらの炭水化物を含む食品をバランス良く摂取し、健康的な食生活を心掛けましょう。
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」