高血圧の方が食べてはいけない果物! おすすめ食材も

2023年09月28日

2024年10月30日

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「高血圧の人が食べてはいけない果物ってあるのかな?」
「血圧を下げるのに良い食べ物には何があるのだろう……」

高血圧は脳卒中や心筋梗塞などを発症するリスクがあるため、日頃から血圧をコントロールすることが欠かせません。そのためにも普段の食生活を見直してみましょう。とくに高血圧の方は果物に気を遣わなければいけません。

この記事では、高血圧の方が食べてはいけない果物や、積極的に食べたい食べ物についてご紹介します。

1.高血圧の方で果物の摂取が制限されるケース

果物を食べる女性

基本的に高血圧の方は、カリウムを多く含む野菜や果物の摂取が推奨されています。


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血圧を上げる要因に塩分が挙げられますが、ナトリウムの血圧上昇作用に対してカリウムは拮抗的に作用するためです。

ただし、カリウムを多く含む野菜や果物であっても、以下に挙げる方は摂取が制限されます。

【関連情報】 「高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説」についての記事はこちら

1-1.カリウム制限が必要な腎障害患者

慢性腎臓病(CKD)患者については、ステージG3以降で高カリウム血症の合併頻度やリスクが高まるとされています。カリウムの摂取量の制限が必要となるのは、慢性腎臓病患者のなかでもステージG3b以降の方です。ステージG3bの方であればカリウムの摂取量の目標量は2,000mg/日以下、ステージG4~G5では1,500mg/日以下とされています[1]。

ただし、カリウムそのものが腎臓に悪影響を与えるわけではありません。カリウムの摂取量が少なくても健康に良くないことが分かっており、軽度の慢性腎臓病患者についてはカリウムの摂取量は制限する必要はないと考えられています。

健康な成人であればカリウムの摂取量の目標量は男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上とされているので、慢性腎臓病でもステージG3aまでなら特に摂取量を気にする必要はありません[2]。

[1] 一般社団法人 日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版」
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

1-2.肥満・糖尿病患者

肥満や糖尿病患者については、エネルギー摂取量を適正な範囲内にとどめる必要があります。特に果物は糖質が高いものが多く、食べ過ぎはエネルギー摂取量過多につながります。

肥満や糖尿病患者の果物の摂取については、80kcal/日程度に抑えるように勧められています。目安としては、バナナなら中1本、リンゴであれば中1/2個程度です。

2.高血圧の方が食べてはいけない果物は?

ピンクグレープフルーツ

高血圧の方が控えるべき果物もあります。どんな果物に気を付けるべきなのかご紹介します。

2-1.降圧薬の効果を増強する果物

高血圧症と診断され、降圧薬を服用している場合、服用前にグレープフルーツやグレープフルーツジュースを摂取しないように注意が必要です。

グレープフルーツやグレープフルーツジュースには、フラノクマリン誘導体というCa拮抗薬の分解代謝阻害物質が含まれています。そのため、体内で降圧薬の作用が増強され、血圧が下がり過ぎる副作用が出る恐れがあるのです。

ただし、グレープフルーツで作用が増強されるのはCa拮抗薬(多くはジヒドロピリジン系)のみで、ほかの降圧薬については特に問題はありません。

降圧薬を服用している方は、どのタイプの降圧薬なのか、グレープフルーツを摂取しても問題ないのか医師や薬剤師に確認しておきましょう。

2-2.果物ジュース

高血圧は糖尿病と合併しやすいといわれています。その理由は、どちらも危険因子が加齢、喫煙、運動不足、肥満、インスリン抵抗性、酸化ストレスと共通しているからです。

現時点では高血圧以外の健康問題は抱えていなくても、生活習慣に気を付けなければ糖尿病を発症するリスクがあります。そのため、糖分の取り過ぎに注意しなければなりません。

特に果物ジュースには糖質が多く含まれており、飲み過ぎると相当なエネルギー過多になります。実際、ショ糖などで甘味をつけた果物ジュースは糖尿病発症のリスクを高めるという報告もあります。

ただし、果物から換算された果糖摂取量と糖尿病状態との関係を検証した報告では、1日100g以内の果糖摂取であればプラスの作用がみられました。具体的には、血糖と中性脂肪のレベルの改善がみられ、体重の増加にはつながらなかったとされています。

つまり、糖尿病患者について適切な量の果物であれば摂取は勧めても良いといえるでしょう。とはいえ、あくまでも適正量を守ることが大切で、病態によっては個別で適正量を設定することが必要です。

果物に含まれる果糖の摂取量と血圧には正の関連がみられたとの報告もあります[3]。そのため、果糖の多い果物の食べ過ぎは控えるとともに、果糖の多い甘味飲料の摂取も適量を守りましょう。

それでは、果糖の多い果物にはどんなものがあるのでしょうか?果糖の多い果物と100g当たりの果糖含有量を表にしたので、摂取する際の目安にしてみてください。

【果糖の多い果物と可食部100g当たりの含有量】

果糖の多い果物名 果糖(g/100g)
ぶどう(皮つき) 8.7g
ライチ 7.0g
りんご(皮つき) 6.3g
西洋なし 6.0g
さくらんぼ 5.7g
キウイフルーツ 5.5g
マルメロ 5.5g

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-3.高血圧の方が控えるべき食べ物

日々の食事で食べるもののなかには、血圧の上昇を促すものもあります。高血圧の方は、血圧を上昇させないように、果物以外の食べ物にも気を付けることが大切です。

高血圧の方が控えたい食材をご紹介します。

2-4.塩分を多く含む食べ物

食塩の過剰摂取は血圧の上昇につながることから、日本高血圧学会では高血圧の方の1日における塩分摂取量の目標値は6g未満とされています[4]。

日本人の食事は塩分が多くなりやすい特徴があります。

例えば、塩分量が多い漬け物は少量にとどめる、みそ汁はお代わりをしないといったことを心掛けることが大切です。また、塩分が多く含まれているラーメンやうどんなどの麺類の汁は残す方法もあります。


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しょうゆやソースなどの調味料をたっぷりかける習慣があるなら、少量にすることで塩分の摂取量を減らすことができます。

[4] 特定非営利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

2-5.脂質を多く含む食べ物

脂質を摂り過ぎると、血液中の悪玉コレステロールと中性脂肪を増加させ、善玉コレステロールを減らすことから、肥満や脂質異常症を引き起こしやすいといわれています。


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悪玉コレステロールが増えると動脈硬化が進行し、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクが高まります。また、中性脂肪が内臓脂肪となって蓄積されると、高血圧の原因となるとされているため注意が必要です。

脂質を構成する脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。不飽和脂肪酸は青魚などに多く含まれるもので、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させるなど有益な働きがあるとされている脂肪酸です。

それに対して肉などに多く含まれている飽和脂肪酸には、血液中のコレステロールや中性脂肪を増やす作用があるとされており、高血圧の方には良くありません。実際、肉を控えることで血圧が下がることが報告されています。

高血圧の方、また血圧が高めの方は、コレステロールが多く含まれる以下のような食品にも注意しましょう。

  • バター
  • 魚卵
  • レバー
  • マヨネーズ など

こうした乳製品や動物性食品にはコレステロールが多いため、摂り過ぎないことが大切です。

3.高血圧の方が食べるべき食べ物

食事

高血圧の方は、控えたい食べ物を避けるとともに血圧を下げるのに役立つ食べ物を積極的に摂取するのがおすすめです。

高血圧の方におすすめしたい食材をご紹介します。

3-1.カリウムを多く含む食べ物

先ほどご紹介したとおり、カリウムを多く含む食べ物には降圧効果が期待できます。カリウム制限が必要な慢性腎臓病などでない場合は、カリウムを多く含む食べ物を意識して食べるのがおすすめです。

カリウムは野菜やいも、海藻、果物などに豊富に含まれています。これらの食材をバランス良く日々の食事に取り入れて、カリウムが不足しないようにしましょう。


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カリウムを多く含む食材はこちらから確認できます。

「カリウムを豊富に含む食べ物は?効果と摂取基準も解説」

3-2.食物繊維を多く含む食べ物

体内には吸収されないものの、健康に良い働きをすることから第六の栄養素とも呼ばれている食物繊維が含まれている食べ物も、積極的に摂取したい食材です。

食物繊維にはナトリウムを吸着して体外に排出する働きがあることが分かっており、高血圧予防の効果が期待できます。

また、食物繊維の多くは体内で消化されず、エネルギー源となりません。低カロリーかつ脂質や糖、コレステロールなどを吸着する性質があり、肥満の予防につながります。

つまり、食物繊維は高血圧を含むあらゆる生活習慣病の予防になるので、積極的に摂取したい栄養素といえるでしょう。

食物繊維には、水に溶ける性質をもつ水溶性食物繊維と、水に溶けない性質をもつ不溶性食物繊維がありますが、両方をバランス良く摂取するのがおすすめです。

水溶性食物繊維には、海藻に含まれるぬるぬるの成分アルギン酸や、野菜・果物に含まれるペクチンなどがあります。不溶性食物繊維の代表的なものは、カニやエビなどの殻に含まれるキチン、野菜などに含まれるセルロース、リグニン、ヘミセルロースなどです。

食物繊維を多く含む食べ物について、こちらの記事で詳しく紹介しています。

「食物繊維は整腸作用の他にも効果アリ?含有量の多いおすすめ食品11選」

3-3.不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)を多く含む食べ物

不飽和脂肪酸には、血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる作用があるので積極的に摂取しましょう。

不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の二つに分けられますが、体内で合成できない、または十分に合成できない多価不飽和脂肪酸を必須脂肪酸と呼びます。

多価不飽和脂肪酸にはn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸があり、なかでも特にn-3系脂肪酸の摂取量が多い方は血圧が低いことがあらゆる研究で示されています。

n-3系脂肪酸とは、魚油由来の脂質であるEPA・DHA・DPA、そして、植物油由来のα-リノレン酸などのことです。サンマ、イワシなどの青魚や、えごま油、亜麻仁油などにも多く含まれます。

4.高血圧の方が食べてはいけない果物についてのまとめ

高血圧で降圧薬を服用している方は、薬の種類によってはグレープフルーツやグレープフルーツジュースの摂取を控える必要があります。また、高血圧は糖尿病と合併しやすいことから糖質の多い果物の過剰摂取や果物ジュースの摂取は適切な量を守りましょう。

食べ物全般については、塩分や脂質を多く含む食べ物は控えるのが望ましいといえます。代わりにカリウムや食物繊維を豊富に含む食べ物を意識して摂取しましょう。

とはいえ、慢性腎臓病などでカリウムの摂取量が制限されている方もいるので、高血圧以外の病気を患っている方は医師に相談しながら食事内容を決めるようおすすめします。

この記事の監修者

井上 志穂
井上 志穂
内科認定医・がん治療認定医

【経歴】
国立大学医学部医学科卒業後、公立病院にて初期研修の2年を終了後、3年目からはがん治療を専門としながら幅広く内科疾患の診療に従事。治療が必要となる前の生活習慣の改善、また病気についての正しい知識が大事であることを実感し、病気についての執筆活動にもあたっている。

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