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コーヒーと血圧の関係性は?適度な摂取量や摂取時の注意点とは

2023年10月19日

ボディコンディション

「コーヒーを飲むと血圧が上がるって聞いたことがあるけど、本当?」
「毎日コーヒーを飲んでいるけど、血圧に影響がないか心配」

コーヒーは、日常生活で口にすることも多い飲み物です。毎日コーヒーを飲む習慣がある方も多いのではないでしょうか。しかし、「コーヒーを飲むと血圧が上がる」と言われることもあり、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、コーヒーと血圧の関係について解説します。高血圧を予防する方法について、ぜひ参考にしてみてください。

1.コーヒーを飲むと高血圧になるって本当?

コーヒーをのむ女性

コーヒーと血圧の関係については、「飲むと血圧が上がる」「コーヒーは血圧を下げる効果がある」など、一見対立した意見がみられます。実はこの二つの意見は、どちらも間違っていません。

ただし、血圧が上がるメカニズムを知れば、コーヒーが体に与える影響を理解することができます。

コーヒーを摂取したときの血圧の変化を学んで、上手にコーヒーと付き合っていきましょう。

1-1.一時的な軽度の血圧上昇は認められる

コーヒーを飲むと、軽度の血圧上昇が認められます。これはコーヒーに含まれる「カフェイン」の影響によるものです。

カフェインは、交感神経を活発にするはたらきを持っています。交感神経が刺激されると、血管の収縮や心拍数の上昇などが起こります。このため、コーヒーを飲むと血管が狭まり、心臓から拍出される血液量が増えるため血圧が上がると考えられています。

ただし、コーヒーを飲んだ後の血圧上昇は一時的なものです。コーヒーを1杯飲んだとき、最高血圧はおよそ10mmHg上昇します[1]。

通常、この状態が続くのは1時間ほどです。何度も摂取していれば、カフェインへの耐性ができるため、血圧の変化は小さくなっていきます。

また、飲んだ直後だけでなく、コーヒーを飲む生活を続けた場合にも若干の血圧上昇が認められています。いくつかのコーヒーと血圧に関する研究結果をまとめたところ、1日平均5杯飲む生活を8週間続けた場合は、最高血圧が2.4mmHg、最低血圧が1.2mmHg上昇したという結果が得られたと報告されています[2]。24時間血圧を調べても、同様に血圧上昇が認められました。

[1][2] 財団法人 循環器病研究振興財団「知っておきたい 循環器病あれこれ」

1-2.血圧を下げる効果も報告されている

一方、コーヒーを継続的に摂取することにより血圧を下げる効果もあると報告されています。その理由は、コーヒーに含まれるポリフェノールの一つである「クロロゲン酸」のはたらきによるものです。クロロゲン酸は、抗酸化作用によって体内の酸化を防ぎ、血圧上昇を抑えるはたらきを持つ可能性が示唆されています。

また、クロロゲン酸には抗酸化作用のほかに、血糖値を下げる効果血圧を調整する機能、抗炎症作用などの効果があると指摘されています。コーヒーを飲むことで、高血圧の予防以外にも、健康には好影響を与えると考えられるでしょう。

2.コーヒーの過剰摂取には注意が必要

コーヒー

コーヒーの健康効果については、各関係機関で研究が進んでいます。コーヒーを飲むことで、心疾患や脳血管疾患による死亡リスクを低下させられるという研究結果もあります[3]。

しかし、コーヒーの飲み過ぎには注意が必要です。コーヒーに含まれるカフェインは、過剰に摂取するとさまざまな健康被害を引き起こす原因となるからです。

コーヒーを飲み過ぎるとどのような症状が出るのか、どのくらいの量を摂取すれば問題ないのかを把握して、飲み過ぎないよう注意しましょう。

[3] 国立研究開発法人 国立がん研究センター「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」

2-1.健康被害を引き起こす場合がある

コーヒーを飲み過ぎると、健康被害を引き起こす場合があります。それはカフェインの過剰摂取によるものです。

カフェインを摂り過ぎると、以下のように中枢神経系や消化器系に悪影響を及ぼします。

中枢神経系心拍数の増加、めまい、不安、震え、興奮、不眠
消化器系吐き気、嘔吐、下痢

また、人によってはカフェインの摂取によって高血圧となるリスクが高くなる可能性があります。さらに妊婦がカフェインを過剰に摂取すると胎児に悪い影響を与える可能性も報告されています。

2-2.1日当たりの摂取量の目安

カフェインは、適量を摂取することが大切です。しかし、カフェインの摂取が過剰になる基準は、人によって異なります。日本国内だけでなく、国際的にもカフェインの許容摂取量は設定されていません。

いくつかの公衆衛生機関では、特に胎児への影響を考慮し、妊婦に対してカフェインの摂取量の目安を設定しています。以下に健康機関ごとの基準を紹介します。

一日当たりのカフェインの目安摂取量
世界保健機関(WHO)妊婦は1日3杯〜4杯
英国食品基準庁妊婦はマグカップ2杯程度
カナダ保健省・健康な成人はマグカップ3杯まで
・妊婦や授乳中、妊活中の女性はマグカップ2杯まで

厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」をもとに執筆者作成

3.コーヒー以外に血圧を下げる効果を期待できる飲み物

飲み物を飲む女性

コーヒー以外にも血圧を下げる効果を期待できる飲み物があります。

血圧を下げる効果があるといわれている飲み物は以下のとおりです。

  • 緑茶
  • 食酢飲料
  • ココア

3-1.緑茶

緑茶は、血圧を下げる効果があるといわれています。日本人になじみの深い飲み物であり、家で飲んでいる方も多いのではないでしょうか。

緑茶には、カテキンやタンニンなどのポリフェノールとカフェインが含まれています。これらのポリフェノールによる抗酸化作用や、カフェインの利尿作用があるため、血圧を下げる効果もあると考えられています。

ラットにカテキンを飲ませた実験では、血圧の上昇を抑制する傾向がみられました。ヒトの臨床試験においても、肥満を伴った高血圧患者に緑茶エキスを3カ月摂取させたところ、最高・最低血圧がともに低下したとの結果も得られています[4]。

[4] 稗田蛍火舞,砂川 陽一,刀坂 泰史,長谷川浩二,森本 達也「降圧効果を持つ機能性食品の薬理作用~血圧コントロールが期待される食品~」(日薬理誌,146,33~39,2015)

3-2.食酢飲料

食酢飲料も血圧を下げる効果があるとされています。食酢の降圧作用については昔からいわれてきていましたが、科学的には証明されているものではありませんでした。しかし近年、食酢の血圧低下についての研究も進んできています。

血圧が高めの方を対象とした研究で、玄米酢を含む飲料を摂取するグループ34名、りんご酢を含むグループ34名、食酢を含まない飲料を摂取するグループに分け、1日100mlを10日間摂取させたところ、以下のような結果となりました。

玄米酢を摂取したグループは最高血圧が約6.5%減、最低血圧で約8.0%減少したとの結果が得られました。また、りんご酢を摂取したグループも最高血圧、最低血圧ともに約8.0%減少しました[5]。

食酢は食塩の代わりに料理の味付けに使用されることもあります。料理で使用する場合は、食材との相性も考えて食酢を使用するか検討しましょう。

なお、食酢を飲用する場合は、以下のような飲み方は避けましょう。

  • 空腹時の飲用
  • 原液をそのまま飲用
  • 一度に大量の飲用

食酢は刺激が強いので、空腹時に飲むことは避けましょう。また、原液をそのまま飲むと胃や喉を痛める原因となります。なお、大量に摂取しても効果が促進されるわけではないので、継続的に少しずつ摂取することが大切です。

[5] 赤野裕文「食酢の減塩効果と血圧への作用について」(日本調理科学会誌,Vol 52,123~125,2019)

3-3.ココア

ココアも血圧を下げる効果があるといわれています。

ココアが血圧を下げるといわれているのは、ポリフェノール、特にフラバノールを多く含む性質からです。フラバノールは、血管を広げるのに好ましい作用を及ぼすと考えられています。また、脂質酸化やインスリン抵抗性を低下させることから、血圧の低下に深く関係していると推測されています。

実際に、とある研究でココアを摂取するグループとココアを摂取しないグループに分けて血圧の変化を観察したところ、ココアを摂取したグループの方が、血圧が低下したとの実験結果も報告されています[6]。

ココアが血圧に与える影響はまだ実験例が少なく、一部の研究で効果が認められた段階に過ぎませんが、ココアが血圧を下げる可能性は少なからずあるといえるでしょう。

[6] Grassi et al. 「Cocoa consumption dose-dependently improves flow-mediated dilation and arterial stiffness decreasing blood pressure in healthy individuals.」( J Hypertens. 2015 ; 33(2) : 294-303.)

4.血圧が気になったときはアルコール飲料を控えよう

お酒を飲む習慣がある方の場合、アルコールを控えることで血圧の上昇を抑えられます。無理に禁酒までする必要はありません。適量の飲酒であれば、むしろ血圧には良い影響を与えるといわれているからです。少量のアルコールは血圧を下げるはたらきがあることがわかっています。

厚生労働省によると、1日約20gがアルコールの適量とされています。お酒ごとの目安のアルコール摂取量は以下のとおりです。

  • ビール:中瓶1本(500ml)
  • 清酒:1合(180ml)
  • 焼酎(35度):1合(180ml)

なお、長期間の飲酒は血圧を上昇させる原因になる可能性があります。習慣的にお酒を飲む方は適量の飲酒量を心掛け、休肝日を設けたりするなどして、血圧を上げないようにコントロールしていきましょう。

5.高血圧が気になったら生活習慣を改善しよう

高血圧が気になる方は、生活習慣を見直して、改善していくことが大切です。具体的には、以下のような方法があります。

・食生活の見直しを行う
・習慣的な運動を取り入れる

5-1.食生活の見直しを行う

高血圧で悩んでいる方は、まず食生活を見直してみましょう。高血圧の対策に重要なのは、摂取する食塩の量を減らすことです。

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食塩摂取の目標量は、15歳以上において男性で7.5g未満、女性で6.5g未満となっています[7]。

また、「21世紀における第三次国民健康づくり(健康日本 21(第三次))」では、1日当たりの食塩相当量の摂取目標を7.0gと設定しています。[8]

さらに、高血圧や慢性腎臓病の重症化を予防するための目標量は、男女とも1日当たり6.0g未満とされています。[9]

とはいえ、濃い味付けが好きな方にとっては、上記の基準を守ると物足りなく感じるかもしれません。そのようなときは、減塩のコツを意識してみましょう。

  1. 漬け物は浅漬けにする、もしくは少量を心掛ける
  2. ラーメンやうどんの汁は飲み切らない
  3. 新鮮な食材で素材の味を活かす
  4. みそ汁の具を多めに入れる
  5. 調味料は控えめにする
  6. 低ナトリウムの調味料(ケチャップ、マヨネーズ、酢などや減塩調味料)を使用する
  7. 香辛料や香味野菜、酸味のある果物で味付けをする
  8. 外食・加工食品は控える

ポイントは、塩分を多く含む食品は摂取量を減らすこと、味付けは辛味や酸味、うま味を活用することです。これらを意識して、塩分摂取量を減らす食生活を取り入れてみましょう。

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[8] 厚生労働省「健康日本 21(第三次)推進のための説明資料」
[9] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」

5-2.習慣的な運動を取り入れる

運動を習慣化することも、高血圧の予防につながります。食事を見直すだけでなく、日常生活のなかに運動習慣を取り入れて、健康的な体を維持することが大切です。

運動療法は、血管内皮機能を改善する効果があります。降圧効果が得られるため、高血圧の治療にも有効とされています。

一般的には、30分以上でややきつく感じる程度の有酸素運動を定期的に、できれば毎日行うことが勧められています[10]。

有酸素運動には、以下のものがあります。

  • ウォーキング(速歩)
  • ステップ運動
  • スロージョギング
  • ランニング

上記のような運動は、いきなり行うと体への負担が大きくなり、生活に支障が出る可能性もあります。そのため普段から運動する習慣がない場合は、掃除・洗濯を行う、徒歩や自転車で買い物に行く、子どもと遊ぶなどで日常のなかに運動を取り入れられることから始めるのをおすすめします。

運動量の目安は、1週間当たりの運動時間、または全体的なエネルギーの消費量で決めると良いでしょう。1回当たりの運動時間を短くして運動強度を低くする場合は1週間の運動回数を増やすこと、または1回の運動を長くして1週間に運動する回数を減らすなど、自分にとってやりやすいやり方で取り入れましょう[11]。

運動を行う前には、準備運動を十分に行うことも大切です。また、高血圧症の方の場合は事前にメディカルチェックを受け、心疾患がないか、運動しても問題ないかを確認しておきましょう。

[10][11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動」

6.コーヒーと血圧の関係についてのまとめ

今回は、コーヒーが血圧に与える影響について解説しました。一時的に血圧を上げる作用があるものの、長期的には高血圧を予防することにつながる可能性も示唆されています。とはいえ、コーヒーの飲み過ぎには注意しましょう。コーヒー以外にも緑茶や食酢、ココアなどは血圧を下げるといわれているので、これらの摂取習慣を取り入れてみるのもおすすめです。

高血圧が気になる方は食生活を見直したり、定期的な運動をしたりして、健康的な生活を維持するように工夫しましょう。

この記事の監修者

井上 志穂
井上 志穂
内科認定医・がん治療認定医

【経歴】
国立大学医学部医学科卒業後、公立病院にて初期研修の2年を終了後、3年目からはがん治療を専門としながら幅広く内科疾患の診療に従事。治療が必要となる前の生活習慣の改善、また病気についての正しい知識が大事であることを実感し、病気についての執筆活動にもあたっている。

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