飽和脂肪酸を多く含む食品とは?健康への影響や摂取目標量を紹介

飽和脂肪酸を多く含む食品とは?健康への影響や摂取目標量を紹介

2023年07月03日

2024年04月18日

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「飽和脂肪酸を摂り過ぎると健康にどんな影響があるのかな?」

「飽和脂肪酸はどんな食品に含まれているんだろう?」

飽和脂肪酸は脂質を構成する脂肪酸の一種です。

主に動物性の脂肪に含まれており、ヒトの体内でも合成が可能です。

摂り過ぎると肥満や脂質異常症など、健康への悪影響を生じます

この記事では、飽和脂肪酸とはどのようなものなのか、どんな食品に多く含まれるのか、過剰摂取すると健康にどのような影響が生じるのかといった点について解説します。

1.飽和脂肪酸とは

バター

「飽和脂肪酸ってどのようなものなんだろう?」

飽和脂肪酸とは脂質の構成要素である「脂肪酸」の一種です。

脂質とは
炭水化物(糖質)やたんぱく質と並ぶエネルギー源の一つです。細胞膜やホルモンなどの「生理活性物質」の材料としてもはたらきます。

脂肪酸は構造的な違いから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。

脂肪酸とは

飽和脂肪酸は乳製品や肉などの動物性脂肪や、パーム油などの食物油脂に多く含まれている傾向にあります。

飽和脂肪酸は体内で合成することができるため食事からの摂取は必須ではありません。

また過剰な摂取は肥満や生活習慣病の要因となることでも知られています

メモ
不飽和脂肪酸は植物や魚の脂肪に多く含まれ、常温では多くの場合液体で存在します。不飽和脂肪酸のうち「多価不飽和脂肪酸」に分類される「n-3系脂肪酸」と「n-6系脂肪酸」は食事からの摂取が必要な「必須脂肪酸」に当たります。

2.飽和脂肪酸を多く含む食品

「飽和脂肪酸はどんな食品に多く含まれているんだろう?」 

生活習慣病と深い関係がある飽和脂肪酸は、過剰摂取を防ぐためにもどんな食品に多く含まれているのか把握しておきたいですよね。

ここでは、飽和脂肪酸を含む食品の代表例をご紹介します。

飽和脂肪酸を多く含む食品

2-1.肉類

いろいろな種類の肉

飽和脂肪酸は肉類に含まれています

【牛肉100g当たりの脂肪酸総量と飽和脂肪酸の含有量】

食品名 脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
もも(脂身) 56.08g 25.71g
かた(脂身) 53.95g 27.32g
ばら(脂身付き) 29.63g 13.05g
サーロイン(脂身付き) 20.52g 10.85g
かたロース(脂身付き) 15.11g 7.54g
ランプ(脂身付き) 14.05g 6.47g
リブロース(脂身付き) 13.54g 7.15g
ヒレ(赤身) 3.99g 1.99g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【豚肉100g当たりの脂肪酸総量と飽和脂肪酸の含有量】

食品名 脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
かた(脂身) 68.13g 27.09g
ばら(脂身付き) 33.36g 14.60g
ロース(脂身付き) 17.73g 7.84g
かたロース(脂身付き) 17.54g 7.26g
もも(脂身付き) 9.07g 3.59g
ヒレ(赤身) 3.13g 1.29g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【鶏肉100g当たりの脂肪酸総量と飽和脂肪酸の含有量】

食品名 脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
皮(もも) 48.07g 16.30g
皮(むね) 44.66g 14.85g
手羽先(皮付き) 15.05g 4.40g
もも(皮付き) 12.93g 4.37g
むね(皮付き) 5.23g 1.53g
もも(皮なし) 4.14g 1.38g
むね(皮なし) 1.55g 0.45g
ささみ 0.52g 0.17g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

2-2.乳製品

クリームをホイップしているところ

飽和脂肪酸は乳製品にも含まれています

【乳製品100g当たりの脂肪酸総量と飽和脂肪酸の含有量】

食品名 脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
無発酵バター(食塩不使用) 73.00g 52.43g
発酵バター(有塩) 70.71g 50.56g
無発酵バター(有塩) 70.56g 50.45g
ホイップクリーム(乳脂肪) 35.57g 24.98g
ホイップクリーム(乳脂肪・植物性脂肪) 34.89g 16.63g
ホイップクリーム(植物性脂肪) 34.20g 8.30g
チェダーチーズ 30.42g 20.52g
クリームチーズ 28.55g 20.26g
カマンベールチーズ 21.28g 14.87g
普通牛乳 3.32g 2.33g
ヨーグルト(全脂無糖) 2.64g 1.83g
ヨーグルト(脱脂加糖) 0.19g 0.13g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

2-3.油脂類

木のスプーンですくった油脂

飽和脂肪酸は油脂類にも含まれています

【油脂類100g当たりの脂肪酸総量と飽和脂肪酸の含有量】

食品名 脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
オリーブ油 94.58g 13.29g
ごま油 93.83g 15.04g
なたね油 93.26g 7.06g
パーム油 92.94g 47.08g
大豆油 92.76g 14.87g
ラード 92.66g 39.29g
ココナッツオイル(やし油) 92.08g 83.96g
家庭用マーガリン(有塩) 75.33g 23.04g
ファットスプレッド 61.14g 20.40g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

メモ
マーガリン類には、マーガリンとファットスプレッドが含まれています。油脂含有量が多いものをマーガリン、油脂含有量がマーガリンに比べて少なく、カロリーが低いものをファットスプレッドといいます。ファットスプレッドは水分が多く柔らかいためパンに塗りやすいという特徴があります。
メモ
ラードとは基本的には豚の背油のことです。精製したラードには種類があり、全て豚脂で作られているものが「純製ラード」、豚脂が主体で牛脂、パーム油などをブレンドしたものを「調製ラード」といいます。

2-4.菓子類

ブルーベリーソースのレアチーズケーキ

飽和脂肪酸は菓子類にも含まれています

【菓子類100g当たりの脂肪酸総量と飽和脂肪酸の含有量】

食品名 脂肪酸総量 飽和脂肪酸量
ホワイトチョコレート 36.11g 22.87g
ミルクチョコレート 31.34g 19.88g
レアチーズケーキ 23.84g 16.59g
ソフトビスケット 22.79g 12.42g
バターケーキ 22.03g 14.73g
ベイクドチーズケーキ 18.36g 12.11g
ポテトチップス 32.74g 3.86g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

3.飽和脂肪酸の過剰摂取による健康への影響

体重計にのろうとしているひと

「飽和脂肪酸は摂り過ぎると体にどんな影響があるんだろう?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

飽和脂肪酸の摂り過ぎの影響として、まず挙げられるのは肥満です。

脂質は重要なエネルギー源ですが、他のエネルギー産生栄養素よりもカロリーが高いため、体内に蓄えられやすいと考えられます。

メモ
日本においては、肥満は「BMI」が25以上の場合と定義されています[1]。BMIは肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]という式で求められます[1]。

肥満は脂質異常症や高血圧、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを高め、さらに動脈硬化を進めます。

動脈硬化とは
心臓から全身の器官へ送られる血液が通る血管「動脈」の壁が本来のしなやかさを失い、厚く硬くなった状態のことです。動脈硬化は狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった循環器疾患の発症のリスクを高めます。

また、飽和脂肪酸を摂り過ぎると、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患(心臓や血管の病気)の発症リスクが高まるといわれています。

メモ
心筋梗塞は心臓に血液を送る血管「冠動脈」がふさがり、血液による酸素供給が絶たれることで心筋が壊死(えし)してしまう病気です。脳梗塞では同様に脳の血管がふさがり、脳の細胞に壊死が起こります。

飽和脂肪酸の過剰摂取は、動脈硬化の原因となる脂質異常症の一種「高LDLコレステロール血症」の発症の要因となります。

脂質異常症とは血液中の脂質の値が基準から外れた状態のことをいい、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値が高い高LDLコレステロール血症、HLDコレステロール(善玉コレステロール)の値が低い「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪(トリグリセリド)の値が高い「高トリグリセリド血症」などがあります。

脂質異常症はいずれも動脈硬化を進行させ、心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクを高めてしまうため、予防・改善が重視されています。

動脈硬化による重大な病気を招いてしまわないためにも、飽和脂肪酸の摂り過ぎを避けることが重要なのですね。

脂質異常症について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

脂質異常症とは?発症の原因や健康への影響、改善のポイントも解説!

[1] 厚生労働省e-ヘルスネット「BMI」

4.脂質および飽和脂肪酸の摂取目標量

「飽和脂肪酸の摂り過ぎによる影響は分かったけど、どれくらいの量に抑えれば良いんだろう?」

現在の食生活で飽和脂肪酸を摂り過ぎていないかどうか気になりますよね。

ここでは、脂質および飽和脂肪酸の1日の摂取目標量をご紹介します。

厚生労働省は18歳以上の成人に対して、脂質から摂るカロリーを1日の総摂取カロリーの20〜30%に抑えるという目標量を設定しています[2]。

また、飽和脂肪酸から摂取するカロリーは総摂取カロリーの7%以下にすることが推奨されています[2]。

1日の推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)は、年齢や性別、どれだけ体を動かすかによって異なります。

まずは以下の表で、ご自身の身体活動レベルを確認しましょう。

【身体活動レベル】

身体活動レベル 日常生活の内容
低い(Ⅰ) 生活の大部分を座って過ごし、体を動かす機会があまりない場合
普通(Ⅱ) 座って過ごすことが多いが、歩いたり立って作業・接客したりすることがある仕事に就いている場合、または通勤や買い物で歩いたり、家事をしたり、軽いスポーツを行ったりする習慣がある場合
高い(Ⅲ) 移動したり立って作業したりすることの多い仕事に就いている場合、または余暇にスポーツをするなどの活発な運動習慣を持っている場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

身体活動レベルが分かったら、下の表でご自分に合った推定必要カロリーを確認します。

【1日当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】

男性 女性
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18〜29歳 2300 2650 3050 1700 2000 2300
30〜49歳 2300 2700 3050 1750 2050 2350
50〜64歳 2200 2600 2950 1650 1950 2250
65〜74歳 2050 2400 2750 1550 1850 2100
75歳以上 1800 2100 - 1400 1650 -

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

メモ
前掲の推定必要カロリーは標準的な体格の方を対象に算出されたものです。また妊娠中や授乳中の方は年代別の推定必要カロリーに状況に応じた付加量を加える必要があります。

ご自身の体格や状況に合った1日当たりの推定必要カロリーが知りたいという方は以下の記事をご確認ください。

1日に必要なカロリーって?計算方法と健康を保つポイントを解説!

例えば30代で身体活動レベルが普通の女性の場合、1日当たりの推定必要カロリーは2,050kcalです。

脂質から摂るべきカロリーはこの20〜30%に当たるので、410〜615kcalとなります。

脂質は1g当たり約9kcalであるため、9で割ると1日に摂取する脂質は約46〜68gに抑えるべきであることが分かりますね[2]。

また飽和脂肪酸から摂取するカロリーは143kcal以下、重さでは約16g以下に抑えるべきということになります。

「実際の摂取量はどれくらいなんだろう?」

と気になった方もいらっしゃるかもしれません。

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」の結果では、20歳以上の日本人の総摂取カロリーに対する脂質から摂取するカロリーの割合(脂肪エネルギー比率)は男性で27.4%、女性で29.2%となっています[3]。

また飽和脂肪酸の1日当たりの摂取量と、総エネルギー摂取量における飽和脂肪酸の占める割合は、以下の表のとおりとなっています。

【成人における飽和脂肪酸の摂取量】

性別 男性 女性
年齢 1日当たりの摂取量(g) エネルギー(%) 1日当たりの摂取量(g) エネルギー(%)
18~29歳 17.4 7.6 14.1 8.2
30~49歳 15.7 7.1 14.4 7.9
50~64歳 15.4 6.5 14.1 7.5
65~74歳 14.5 6.4 13.3 6.9
75歳以上 13.1 6.2 11.4 6.5

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

年代によっては飽和脂肪酸から摂取するカロリーが摂取カロリーの7%を超えてしまっているので、お肉や脂っこいものがお好きな方や、脂質の多いお菓子を習慣的に食べる方などは、飽和脂肪酸の摂り過ぎに気を付けておきたいですね。

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[3] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」

5.飽和脂肪酸を含む食品についてのまとめ

飽和脂肪酸は主に肉の脂身や鶏皮、乳製品などの動物性食品やパーム油に含まれています。

脂質はエネルギー源および細胞膜の構成要素としての重要役割があります。

しかし飽和脂肪酸を過剰に摂取すると肥満や高LDLコレステロール血症を招き、心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクを高めてしまいます。

そのため、飽和脂肪酸の摂り過ぎには気を付ける必要があります

厚生労働省は脂質から摂取するカロリーを1日に摂取するカロリーの20〜30%に抑えるという目標量を設定しています[4]。

また、飽和脂肪酸から摂取するカロリーは1日のカロリーの7%以下にすることが推奨されています[4]。

食事のメニューを考えたり選んだりするときは、飽和脂肪酸を多く含んだ偏った食事内容になっていないか注意しましょう

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版) 」

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