「タンニンってどんな物質なの?」
「タンニンにはどんな効果があるんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
タンニンはポリフェノールの一種で、食品では赤ワインや渋柿、茶葉などに含まれています。
この記事ではタンニンとはどのような物質なのか、どのような作用を持つのかについて解説します。
1.タンニンとはポリフェノールの一種?
「タンニンって、たまに聞くけどどんな物質なんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃることでしょう。
タンニンはさまざまな植物に含まれる「ポリフェノール」の一種です。
特徴としては、口に入れると強い渋みを感じることが挙げられるでしょう。
食べ物では赤ワインや茶葉、渋柿などに多く含まれている傾向にあります。
栗の皮や、古くから種子が鎮痛剤として用いられてきたブラジル原産の植物「ガラナ」にも含まれています。
赤ワインでは色素の安定にも関わっている成分です。
またお茶に含まれるタンニンは85%以上がカテキンの仲間に分類されます[2]。
タンニンは動物の皮をなめす際に使われており、その成分を指して付けられた名前です。
一方、カテキンは時代が下り、化学的に特定の構造を持つ物質に対して付けられた名称で、いくつかの種類に分けられます。
そのためお茶に含まれる成分を指してタンニンという場合はほぼカテキンと同義であるといえるでしょう。
ポリフェノールについて詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ポリフェノールとは?体への効果と摂取できる食品・飲み物を解説!
2.タンニンのさまざまな作用
「タンニンには体に良い効果があるのかな?」
「動物の皮をなめすときにも使われるんだよね?」
タンニンはヒトの体に有用な成分ですが、さまざまに利用されています。
ここでは、タンニンの作用をお伝えしましょう。
2-1.活性酸素に関わる「抗酸化作用」
ポリフェノールには「抗酸化作用」があり、これはポリフェノールの仲間であるタンニンも同様です。
抗酸化作用とは活性酸素の発生やはたらきを抑制したり、活性酸素を取り除いたりする作用のことです[3]。
活性酸素は細胞伝達物質や免疫機能として作用しますが、増え過ぎると細胞を傷つけ、老化や免疫機能の低下、がん、動脈硬化などの要因となります[4]。
また皮膚ではシミやシワ、くすみ、たるみなどを引き起こします。
タンニンのような抗酸化作用を持つ物質はこうした活性酸素による悪影響を防ぐために有用だと考えられるでしょう。
体内でも抗酸化作用を持つ物質はつくられますが、食事からもしっかり摂取するよう心掛けておきたいものですね。
2-2.渋みに関わる「収れん作用」
タンニンには「収れん作用」というはたらきがあります。
これはたんぱく質を変性させ、組織や血管を縮めるはたらきのことです。
タンニンを口に入れると強い渋みを感じるのはこの収れん作用によるものだといわれています。
舌や口の粘膜を構成するたんぱく質がタンニンによって変性し、収れんすることで渋みを生み出しているのです。
タンニンはこの収れん作用により、肌に塗ると毛穴や汗を分泌する「皮脂腺」を引き締める効果があるとされています。
このため、化粧品のなかには毛穴を目立ちにくくさせたり、制汗の役割を果たす目的でタンニンが配合されているものがあります。
2-3.その他にもある身近な作用
ヒトに有用な効果を持つタンニンですが、一方で食事からの摂取にはデメリットもあります。
タンニンは歯の着色汚れ「ステイン」の原因になってしまうことがあるのです。
タンニンを継続して摂取していると、歯の表面の「ペリクル」というたんぱく質でできた薄い膜と結び付き、歯が汚れてしまいます。
タンニンを含む食品を摂った後はすぐに水で口をすすぎ、ホワイトニング効果のある歯磨き粉でしっかりと歯を磨きましょう。
またタンニンにはたんぱく質と結合する性質があり、古くから皮をなめす工程で使われてきました。
「なめし」とは、動物の皮が腐ったり変質したりしないように加工する作業のことです。
生き物の皮は傷んでしまうため、当然ながらそのままではかばんや靴の材料などとして使うことはできません。
それを長く使えるように加工する技術がなめしなのですね。
タンニンは動物の皮の内側に含まれるたんぱく質や脂肪、不純物といったものを取り除き、皮を柔らかくする効果を持ち、タンニンでなめされた革は丈夫で通気性や吸湿性が高いといわれています。
タンニンは古くから人間にとって身近な物質だったのですね。
3.タンニン以外の代表的なポリフェノール
「ポリフェノールはたくさんあるみたいだけど、どんなものがあるんだろう?」
「タンニン以外に有名なポリフェノールはあるの?」
このように気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
ポリフェノールは非常に数が多く、ヒトの体にもたらす効果もさまざまです。
ここでは、代表的なポリフェノールを3種類ご紹介しましょう。
3-1.紫色の色素「アントシアニン」
アントシアニンとは、ポリフェノールの一種で、ブルーベリーやなす、紫芋などに含まれる紫色の色素です。
植物が紫外線などのダメージから自らを守るためにつくっているといわれています。
ヒトの体は紫外線を受けると日焼けして肌を黒くすることで細胞を守ろうとしますが、植物はアントシアニンによって自らを守っているのですね。
「ブルーベリーは目に良い」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これはアントシアニンのはたらきによるものです。
特にブルーベリーの一種である「ビルベリー」はアントシアニンの含有量が多く、サプリメントの原料としてよく使用されています。
3-2.大豆などに含まれる「イソフラボン」
大豆に含まれる成分として知られるイソフラボンもポリフェノールの仲間です。
大豆の風味に混じったえぐみのもととなる物質の一つと考えられています。
大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンの「エストロゲン」に似たはたらきをすることで知られています。
また骨粗しょう症や乳がん、前立腺がんなどの予防効果が期待されています。
ただし、一方では乳がんの発症や再発のリスクを高める恐れがあるとも考えられています。
イソフラボンに関する研究はいまだ途上のものが多く、はっきりと効果が証明されているわけではないのですね。
食事からの摂取で健康に悪影響を生じた例は確認されていませんが、サプリメントなどからの過剰摂取には注意が必要です。
3-3.そばなどに含まれる「ルチン」
ルチンはそばやいちじくに含まれているポリフェノールの一種です。
特にそばの実の外殻に近い部分に多く、韃靼(だったん)そばの実には通常のそばよりも豊富に含まれているといわれています。
ルチンは強力な抗酸化作用を持ち、ビタミンCの研究中に発見されたため「ビタミンP」とも呼ばれています。
ビタミンCの吸収を促進するはたらきがあるといわれているので、ビタミンCを含む食品と同時に摂取することがおすすめです。
4.タンニンについてのまとめ
タンニンはポリフェノールの一種で、赤ワインや茶葉、渋柿などに含まれる渋み成分です。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、タンニンも同様に抗酸化作用を有しています。
そのため活性酸素によって引き起こされる老化や免疫機能の低下、がん、動脈硬化などの予防の助けになってくれると考えられるでしょう。
皮膚のシミやシワ、たるみ、くすみを防いでくれる可能性もあります。
この他にタンニンには肌に塗ることで毛穴や皮脂腺を引き締める収れん効果があります。
一方で歯の着色汚れの原因にもなるので、タンニンを含む食品を摂取した場合にはしっかり歯磨きをしておきましょう。
またタンニンは皮をなめすために使われており、人間にとって古くからなじみのある物質だったといえます。
タンニンの他にポリフェノールにはアントシアニンやイソフラボン、ルチンなどがあります。
ビタミンA、C、Eといったビタミンも抗酸化作用を持つので、活性酸素のはたらきを防ぎたいと考えている方はこれらの物質を積極的に摂取すると良いでしょう。