塩分の適切な摂取量とは?塩分過多が体に及ぼす影響と減塩方法を解説

塩分の適切な摂取量とは?塩分過多が体に及ぼす影響と減塩方法を解説

2022年07月14日

2024年03月07日

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「塩分の摂り過ぎは体に良くないって聞いたけど、どれくらいが適量なんだろう?」

「塩分を摂り過ぎると体にどんな影響があるの?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

塩分は人体には欠かせない栄養素ですが、摂り過ぎは高血圧などのさまざまな悪影響を体に及ぼします

日本人は塩分を摂り過ぎている傾向にあり、塩分過多には十分に注意する必要があるといえます。

そうはいっても、日々の食事でなるべく我慢はしたくないですよね。

この記事では塩分の適切な摂取量と摂り過ぎによって生じる影響、塩分の摂取量を控える方法について詳しく解説します。

1.塩分を摂り過ぎるととどうなるの?

塩分といえば「摂り過ぎると健康に良くない」というイメージがありますよね。

「減塩」や「塩分控えめ」などとうたう商品をスーパーなどで目にする機会もあるでしょう。

しかし、塩分を摂り過ぎることが良くないと知ってはいても、体にどのような影響があるか具体的には知らないという方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、塩分を摂り過ぎると体にどのような影響があるのかについて詳しく説明していきましょう。

メモ
実は「塩」や「食塩」、「塩分」という語に厳密な定義はありません。ではこれらはなにが違うのでしょうか。通常、「塩」や「食塩」は塩化ナトリウムを主体とした調味料のことを指します。一方、「塩分」は食品に含まれる塩や食塩を塩化ナトリウムに換算した量を指す言葉として使われることが一般的です。

1-1.一時的な塩分過多による影響

一時的な塩分過多による影響

一時的な塩分過多による影響として、まずは喉が渇くことが挙げられます

塩分の主成分である「ナトリウム」の血中濃度が高くなると、身体がナトリウム濃度を適正に戻すため多くの水分を欲するようになるのです。

また上記の作用で喉が渇いて水分を摂り過ぎるとむくみの原因にもなってしまいます。

ヒトの体の約60%は水分で構成されており、むくみは水分の分布のバランスが崩れることによって引き起こされます

体内の水分は約3分の2が細胞内、約3分の1が細胞外に存在しており、細胞外の水分は血管の外の細胞同士の間を満たす「細胞間質液」と血液に分けられます。

細胞間質液は毛細血管の壁に空いたごく小さな穴からしみ出した酸素や栄養素を細胞に届け、細胞の代謝によってできる二酸化炭素や老廃物などを毛細血管に戻すはたらきをしています。

何らかの理由で毛細血管からしみ出す水分の量が増えたり、反対に細胞間質液から血管に戻す水分の量が減ったりすると、細胞間質液が多くなりむくんだ状態になってしまうのです。

水分の摂り過ぎは、血管からしみ出す水分量を増やすためむくみの原因の一つになります

ただし、一時的な塩分の摂り過ぎによるむくみは塩分を控えて塩分の排出作用がある「カリウム」を多く摂るようにすることで元に戻ると考えられるので、過剰に心配する必要はありません。

注意事項
腎機能が低下している方はカリウムの排出が難しくなるため、カリウムを摂り過ぎると高カリウム血症になり不整脈などが現れる危険があります。腎臓病などの診断を受けた方は医師の指示に従い、必要に応じてカリウム制限を行ってください。

1-2.長期的な塩分過多による影響

長期的な塩分過多による影響

一時的な塩分の摂り過ぎによる身体への影響は元に戻りますが、塩分過多の状態が長期間続くと体調に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるため注意が必要です。

塩分の摂り過ぎが高血圧を招くと聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

塩分の摂り過ぎで血液中の水分量が増えると、血管壁にかかる圧力が強くなって血圧が上がると考えられています。

高血圧は日本人の約4,000万人が該当する病気で、生活習慣病による死亡に大きく影響する要因です[1]。

日本人の高血圧の最大の原因は塩分の摂り過ぎといわれています。

また、食塩の摂り過ぎががん、特に胃がんのリスクを高めるという報告 も多数なされています[2]。

健康を維持するためには、やはり塩分の摂り過ぎを避けることが重要なのですね。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2.日本人は塩分を摂り過ぎている?

「塩分過多が身体に悪影響だってことは分かったけど、どれくらい減らしたら良いんだろう……?」

普段の塩分摂取量がどのくらいなのか、減らした方が良いとしたらどのくらいの量を減らすべきなのか気になりますよね。

実は日本人は塩分を摂り過ぎているといわれているのをご存じでしょうか。

ここでは、厚生労働省が各栄養素をどれくらい摂るべきなのか目安として出している「食事摂取基準」と塩分の平均摂取量について説明します。

2-1.塩分の食事摂取基準

厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日当たりに摂取する「食塩相当量」を男性は7.5g未満、女性は6.5g未満(18歳以上の場合)とする目標量が設定されています。

食塩相当量とは
食品に含まれるナトリウムを塩化ナトリウムに換算した値のことです。

さらに高血圧の予防や治療のためには、1日当たり6g未満にすることが望ましいとされています。

またWHOのガイドラインでは1日当たりの塩分摂取を食塩相当量で5g未満に抑えることが強く推奨されています。

しかし日本人の実際の摂取量から考えるとWHOの設定する目標量はあまりに実現可能性が低いと判断されています。

そこで、食事摂取基準は平成28年の「国民健康・栄養調査」における摂取量の中央値と、WHOの設定する目標量の中間値から設定されています。

残念ながら、食事摂取基準をクリアしていても健康にとって理想的な状態とはいえないのですね。

まずは食事摂取基準の目標量をクリアすることを目標に減塩を心掛けましょう

2-2.日本人の塩分の平均摂取量

それでは、実際に日本人は1日にどのくらいの塩分を摂取しているのでしょうか。

厚生労働省が行った「平成30年国民健康・栄養調査」によると、1日当たりの食塩相当量の平均摂取量は以下のとおりです。

【食塩相当量の1日当たりの平均摂取量】

年齢 男性 女性
20歳~29歳 10.6g 8.3g
30歳~39歳 10.4g 8.5g
40歳~49歳 10.6g 8.9g
50歳~59歳 10.6g 9.2g
60歳~69歳 11.5g 10.0g
70歳~79歳 11.5g 9.8g
80歳以上 10.3g 9.0g

厚生労働省「平成30年国民健康・栄養調査」をもとに作成

男女ともに全年代で目標量を大きく上回っていることが分かります。

近年、食塩の平均摂取量は減りつつありますが、WHOの定めた理想的な摂取量と比較すると遠くおよびません。

食塩の摂取量を減らすと血圧が下がることは多くの研究で明らかになっており、高血圧でない人も予防のために1日6g程度に抑えることが推奨されています。

塩分過多の状態にならないよう、普段から意識したいですね。

3.塩分過多にならないための3つのポイント

健康のために塩分の摂り過ぎを避けたいけれど、具体的にどうしたら良いのか分からないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、塩分過多にならないために普段から気をつけたい三つのポイントをご紹介します。

3-1.食事に使う塩分を減らす

食事に使う塩分を減らす

日本食は健康に良いといわれていますが、みそやしょうゆなどの調味料、漬物、佃煮など食塩を多く含む食品を使っていることから塩分過多になりがちというデメリットがあります。

塩分の摂り過ぎを避けるためには、まずは食事に使われている塩分を減らすことが大切です。

塩やしょうゆ、みそなどを調理に使うときは、目分量ではなく軽量スプーンで測りながら使うと良いでしょう。

使っている量を正確に把握することができ、どのくらい塩分を摂っているかを把握しやすくなります。

また食べるときに醤油やソースを使うときは、かけるのではなくつけるようにすると使う量が減って塩分の摂取量を抑えられます

また加工食品や外食のメニューにも塩分が多く含まれている場合があります

塩分が多い食品は避けるようにしたり、食べ過ぎから塩分の摂取量が増えないように食事量を見直したりすることも大事なポイントです。

「減塩」や「塩分控えめ」などの記載がある食品 も多く販売されているため、適宜活用するのもおすすめですよ。

3-2.出汁や香辛料などを活用する

出汁や香辛料などを活用する

「塩分を減らすと味付けが物足りなくなるんじゃないの……?」

「塩分を減らすと食事が物足りなくなるのでは……」と心配している方も多くいらっしゃるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、出汁や香辛料、柑橘(かんきつ)類の果汁、ねぎやしそなどの香味野菜などを使うことです。

これらを活用すれば、塩分は控えめでも風味豊かな食事に仕上げることができますよ。

みそ汁などの汁物は具だくさんにすると、素材の味が活きて薄味でもおいしく食べられるのでおすすめです。

3-3.カリウムの多い食品を摂る

カリウムの多い食品を摂る

ミネラルの1種であるカリウムは、塩分(ナトリウム)を排出するはたらきを持っている栄養素 です。

WHOのガイドラインでは、血圧を下げ、脳卒中や心血管疾患のリスクを回避するため、16歳以上の大人はカリウムを1日に最低でも3,500mg摂取することが推奨されています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」でも、18歳以上の男性に対して3,000mg、女性に対して2,600mgが目標量と定められています。

しかし、20歳以上の日本人における1日当たりのカリウムの平均摂取量は男性2,454mg、女性2,282mgと目標量には達していません。

塩分の摂取量を減らすと同時に、カリウムの摂取量を増やすことも意識的に行うのが良いでしょう。

カリウムは野菜類や果物類、海藻類などに特に多く含まれています

カリウムが多く含まれている食べ物についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事 でご紹介しているので参考にしてくださいね。

注意事項
腎機能が低下している方は尿中に排泄されるカリウムの量が減り、血液中のカリウム濃度が高くなります。あまりにカリウムの血中濃度が高くなると、不整脈を起こし命の危険に関わることもあります。主治医の指示に従って、病状に合わせて摂取量を調節するようにしてください。

【関連情報】 「カリウム」についてもっと知りたい方はこちら

4.塩分過多が体に及ぼす影響と減塩方法 まとめ

塩分は多くの食品に含まれていますが、摂り過ぎると身体のむくみや高血圧などの悪影響が生じる可能性があります。

一時的な塩分の摂り過ぎであれば健康に大きな影響はありません。

ただし、塩分過多の状態が長期にわたると高血圧から生活習慣病につながったり、胃がんのリスクを高めたりする可能性があります。

WHOのガイドラインでは食塩相当量の摂取量を1日当たり5g未満に抑えることが推奨されていますが、日本人の平均摂取量はそれを大きく上回っています。

調味料の種類や使い方を見直したり塩分を多く含む食材を控えたりして、塩分の摂取量を減らすことが重要です。

また、塩分の排出を促すためにカリウムを多く含む食材を取り入れるのも有効だと考えられます。

塩分の摂り過ぎが気になっている方は、食生活に簡単に取り入れられる方法で減塩を目指してみてくださいね。

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