エコノミークラス症候群を予防するには?要因や予防のポイントを解説

2024年09月08日

2024年11月11日

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「エコノミークラス症候群を予防するにはどうしたら良いんだろう?」

長時間座ったままだとエコノミークラス症候群にかかる危険があることは知っていても、その原因や症状、予防方法までは知らない方も多いかもしれませんね。

エコノミークラス症候群とは、脚の深部にある静脈にできた血の塊(血栓)が肺の血管に詰まる病気です。

発症すると脚全体やふくらはぎが腫れ、痛みを感じます。

場合によっては呼吸困難、胸の痛みなどの症状が現れ、死に至るケースもあります

この記事ではエコノミークラス症候群の症状と原因とともに、予防のポイントを解説します。

1.エコノミークラス症候群とは

エコノミークラス症候群は血の塊(血栓)が血管に詰まる「血栓症」の一種です。

メモ
エコノミークラス症候群の他に、心筋梗塞や脳梗塞などが血栓症に分類されます。心筋梗塞も脳梗塞も発症すると命に関わる危険な病気です。

航空機のエコノミークラスの狭い座席で、長時間座ったままだと起こることがあるため「エコノミークラス症候群」と呼ばれます

正式な病名である「急性肺血栓塞栓症(きゅうせいはいけっせんそくせんしょう)」よりも、こちらの呼び方で知っている方の方が多いでしょう。

【関連情報】 「血行を促進させる方法とは?生活習慣で気を付けたいポイントを解説」についての記事はこちら

1-1.エコノミークラス症候群の症状

エコノミークラス症候群になると突然呼吸が苦しくなる、胸が痛むなどの症状が現れます

重症の場合は意識を失い、死に至ることもあります。

ただし数日かけてゆっくり症状が現れることもあるため、注意が必要です。

エコノミークラス症候群の初期症状としてはふくらはぎや太ももの腫れ、痛み、赤みなどが挙げられます

ときにはふくらはぎが張った感じがしたり、脚にだるさを覚えたりする場合もあります。

多くの場合は片脚(左脚に多いとされています)に症状が現れますが、両脚に症状が現れることもあります。

エコノミークラス症候群の疑いがある場合はすぐに呼吸器科、内科、循環器科を受診しましょう

1-2.エコノミークラス症候群の原因

エコノミークラス症候群の主な原因として血流が悪い、血液が固まりやすい、血管が傷ついているという三つが挙げられます

血流の悪化は肥満や妊娠、心疾患、加齢などが原因で起こります。

また上記に該当しない方でも長時間同じ姿勢でいると血流が悪化することがあるため注意が必要です。

血液が固まりやすくなる要因としては脱水やがん、経口避妊薬やホルモン剤の服用、「抗リン脂質抗体症候群」などがあります。

抗リン脂質抗体症候群とは
抗リン脂質抗体という抗体が原因で血栓ができやすくなる病気です。抗体は本来、ウイルスなどから体を守るためにはたらきますが、何らかの異常が起こると自分の細胞を攻撃することがあります。抗リン脂質抗体症候群は血栓症の他、流産や早産の原因になります。

また健康な方でも水分補給を怠ると血液が固まりやすくなるので注意してください

血管が傷つく要因としては手術時の血管損傷、静脈炎、「カテーテル検査」、糖尿病や喫煙などがあります。

カテーテル検査とは
血管に細い管(カテーテル)を入れて行う検査です。病状を把握し、正確な診断を下すために実施されます。現在では検査に伴う危険は著しく低下しています。

エコノミークラス症候群は健康な方であっても、水分補給の足りない状態で長時間同じ姿勢でいると十分発症する危険があるといえるでしょう。

飛行機や自動車の座席に座りっぱなしでいる場合や、休憩をとらずに長時間デスクワークを行っている場合などは十分注意が必要なのですね。

2.エコノミークラス症候群を予防するためのポイント

「エコノミークラス症候群を予防するにはどうすれば良いのかな?」

エコノミークラス症候群は予防することができる病気です。

この章ではエコノミークラス症候群を予防するためのポイントを六つご紹介します。

ポイント1 2〜3時間に1回脚を動かす

ヒールを脱いでかかとをおさえる女性

エコノミークラス症候群を予防するには脚の血流を悪化させないことが重要です。

長時間同じ姿勢をとり続け、脚を動かさないでいると血流が悪化し、血栓ができやすくなります。

そのため2〜3時間に1回は足首の曲げ伸ばしなどを行って脚を動かすようにしましょう[1]。

飛行機や列車では座りっぱなしにならないように意識的に座席を離れ、少しでも歩くようにしましょう

また自動車で移動の際はこまめに休憩をとって体を動かすと良いでしょう。

体を動かすことが難しい場合は、以下のように座ったままできるエコノミークラス症候群対策があります。

エコノミークラス症候群を予防する脚の動き

爪先を上げたまま、足の指を開いたり閉じたりします。

またふくらはぎを意識しながら爪先とかかとを交互に上げる動きも効果的です。

長時間同じ姿勢をとり続けざるを得ない場合は、定期的に脚を動かすことを意識してみてください

[1] 一般社団法人 日本血栓止血学会「血栓症ガイドブック

ポイント2 ふくらはぎをマッサージする

自分のふくらはぎをマッサージする女性

ふくらはぎのマッサージはエコノミー症候群の予防につながります

ふくらはぎは心臓から遠い位置にあります。

そのため全身に血を巡らせるには、このふくらはぎから心臓へ、つまり体の下から上に向けて血液を送り出す必要があるのです。

通常、ふくらはぎの筋肉は血を送り込むポンプとしてはたらきますが、座りっぱなしで血流が悪くなるとこの機能が弱まってしまいます

しかし、悪化した血流はふくらはぎをマッサージすることで改善できます

具体的には以下のようなマッサージ方法があります。

ふくらはぎのマッサージ

片方の足の甲で反対のふくらはぎをたたきます。

下から上に向けて下腿(かたい)部の骨をなぞるようにさすったり、ふくらはぎをもんだりしても良いでしょう。

また普段からふくらはぎの筋肉をしっかり使っておくと血栓ができにくくなるため、散歩や体操などの習慣をつけることが推奨されます。

ポイント3 水分をこまめに補給する

ペットボトルの水をグラスに注いでいるところ

エコノミークラス症候群を予防するにはこまめな水分補給が重要です。

「脱水」状態になると血液がドロドロになります。

脱水とは
体から排出される水分量が摂取する水分量を上回り、不足している状態のことです。

脱水状態で長時間座っていると血流が悪化して血栓ができやすくなるため、水分補給を欠かさないようにしましょう。

水分は喉が渇いたときに一気に飲むのではなく、こまめに飲むのがポイントです。

アルコールやお茶などには利尿作用があり、かえって脱水が進むので気を付けてください。

ポイント4 ゆったりした衣服を着る

ゆったりしたカーディガンを着ている女性

ゆったりした衣服を着ることもエコノミークラス症候群の予防になります

体を締め付けるような衣服を着用すると血流が悪くなります。

そのため衣服は脚の動きを妨げないようなものを選び、ベルトもきつく締め過ぎないようにしてください

ポイント5 アルコールやたばこを控える

アルコールとたばこ

アルコールの摂取や喫煙はエコノミークラス症候群の発症リスクを高めます。

適切な水分補給は血流の悪化防止につながりますが、アルコールには利尿作用があるため、かえって脱水が進んでしまいます

エコノミークラス症候群を発症しそうな状況下ではアルコールの摂取を控えてください。

またたばこの煙に含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があります。

血流が悪くなり、血栓もできやすくなるため、たばこは控えましょう

3.エコノミークラス症候群を予防するポイントのまとめ

エコノミークラス症候群は脚の血管にできた血の塊(血栓)が肺の血管に詰まることで起こる病気です。

正式名称は「急性肺血栓塞栓症(きゅうせいはいけっせんそくせんしょう)」ですが、航空機のエコノミークラスで起こることがあるため「エコノミークラス症候群」と呼ばれます。

エコノミークラス症候群になると呼吸が苦しくなる、胸が痛むなどの症状が現れ、最悪の場合は死に至ります

初期症状としてふくらはぎや太ももの腫れ、痛み、赤みなどが現れるので、疑わしい場合はすぐに呼吸器科、内科、循環器科を受診しましょう

エコノミークラス症候群は血流が悪い、血液が固まりやすい、血管が傷ついているなどといった状況では発症しやすいといわれています。

具体的には長時間同じ姿勢をとり続けること、経口避妊薬やホルモン剤の服用、喫煙などが発症の原因になります。

エコノミークラス症候群を予防するには血流を悪化させないことが重要です。

そのため同じ姿勢をとり続けず定期的に脚を動かす、ふくらはぎをマッサージする、ゆったりとした衣服を着るなどの工夫が必要です。

こまめな水分補給も大切ですが、アルコールを摂取するとかえって血管が詰まりやすくなるので注意してください。

またたばこの煙には血管を収縮させる作用があるため発症リスクを高めます。

ぜひ、この記事をエコノミークラス症候群予防のために役立ててください。

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