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トマトに含まれる栄養素とそのはたらきは?選び方のポイントも紹介

「トマトには、どんな栄養素が含まれているのかな?」

「トマトの栄養を効果的に摂るにはどうしたら良いんだろう……」

トマトは身近な野菜の一つですが、トマトに含まれている栄養素や食べ方のポイントについてはあまりご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

トマトには食物繊維をはじめ、ビタミン類などの栄養素が豊富に含まれています。

また、体にとって有益なはたらきをするリコピンという成分が多く含まれることも特徴の一つです。

この記事ではトマトに含まれる栄養素やそのはたらきについて解説します。

また、栄養素を効率良く摂るためのポイントやおいしいトマトの選び方、保存方法についても紹介しますので参考にしてくださいね。

1.トマトとは

ミニトマト

トマトはじゃがいもやピーマンの仲間で、ナス科に属する野菜です。

一般的には丸くて赤いイメージのトマトですが、世界中には細長いものや赤色系以外の色のものなど1万以上の種類があるといわれています[1]。

日本では300種類以上の品種が登録されていて、大きさ(重さ)と色でそれぞれ三つのタイプに分類されます[1]。

大きさに厳密な規格はありませんが、目安として約100g以上のものは大玉トマト、約30~60gのものは中玉トマト(ミディトマト)、10~30g程度のものはミニトマトとされています[1]。

色では、皮が薄めで透明な桃色系、皮が厚めで鮮やかな赤が特徴の赤色系、黄色やオレンジ、緑色のその他に分けられます。

その他、トマトの分類には用途や栽培法によるものもあります。

加工用トマトはジュースやケチャップ、缶詰などに使われるトマトです。

酸味があり生食には不向きですが、加熱により味が引き立つことや貯蔵がしやすいことから加工用として使用されます。

また、フルーツトマトは栽培方法の工夫により一般のトマトより糖度が高くなったトマトです。

なかには、果物並みに甘いものもあります。

用途や好みによって選択肢が多いのも、トマトを食べる楽しみの一つですね。

[1] 農林水産省「トマトまるごとまるわかり!」

2.トマトのカロリー

トマト

「トマトのカロリーってどのくらいなんだろう?」

ダイエット中の方や健康への意識が高い方は、トマトのカロリーを気にされるかもしれませんね。

トマトのカロリーは以下のとおりです。

【トマト可食部100g当たりのカロリー】

食品名 加工状態など 含有量
赤色トマト 生 20kcal
赤色ミニトマト 生 30kcal
黄色トマト 生 18kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

他の身近な野菜と比べてみましょう。

【トマト以外の野菜可食部100g当たりのカロリー】

食品名 加工状態など 含有量
かぼちゃ 生 78kcal
にんじん 生 35kcal
たまねぎ 生 34kcal
キャベツ 生 23kcal
ピーマン 生 20kcal
なす 生 18kcal
きゅうり 生 13kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

他の野菜と比べてもトマトのカロリーは低めなので、ダイエット中でも安心して食べることができますね。

3.トマトに豊富に含まれる栄養素

枝付きのミニトマト

「トマトにはどんな栄養素が豊富に含まれているのかな?」

トマトは定番野菜の一つですが、どんな栄養素が含まれているのか知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか?

トマトには食物繊維やさまざまなビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

メモ
この章で取り上げる栄養素は、リコピンを除き「食品表示基準」の100kcal当たりの基準にのっとって「豊富」に含まれているといえるものを選定しています[2]。

それではトマトに含まれる豊富な栄養素とそのはたらきを見ていきましょう。

また成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)もご紹介しているので参考にしてくださいね。

[2] 東京都福祉保健局「栄養成分表示ハンドブック」

3-1.食物繊維

食物繊維はトマトに豊富に含まれる栄養素の一つで、トマト100g当たりの含有量は1.0gです[3]。

食物繊維は炭水化物のうち、ヒトの消化酵素では消化できないものを指します。

メモ
炭水化物はたんぱく質や脂質と並び、ヒトの体のエネルギー源となる「エネルギー産生栄養素」の一種です。エネルギー源となる糖質と、消化・吸収されないためほとんどエネルギーにならない食物繊維に分けられます。

食物繊維は小腸で消化・吸収されることなく大腸まで達するため、おなかの調子を整え便秘を予防するのに役立ちます。

また脂質や糖、ナトリウムを吸着し体外へ排出するはたらきがあり、これらの摂り過ぎが原因で起こる肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善にも効果が期待されています。

食習慣の変化により現代の日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあり、平均摂取量が男女ともに摂取目標量を下回っているため、積極的に摂ることが勧められています。

メモ
目標量は、生活習慣病の予防のために日本人が当面目標とすべき摂取量として設定されたものです。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[4]。

女性の場合18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上とされています[4]。

食物繊維を積極的に摂取するよう心掛けましょう。

「食物繊維のとりすぎは体に悪い?過剰摂取の影響と適切な摂取量を解説」についてもっと知りたい方はこちら

[3] 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-2.ビタミンA

ビタミンAもトマトに多く含まれている栄養素です。

トマト100g当たりのビタミンA含有量は、レチノール活性当量で45μgです[5]。

レチノール活性当量とは
食品のレチノール(ビタミンA)含有量と、体内でビタミンAに変換される「プロビタミンA」からのビタミンA合成量を合わせた推定量のことです。

ビタミンAには目の機能を正常に保ったり、皮膚や粘膜の健康を維持したりするはたらきがあります。

そのため不足すると夜盲症、皮膚や粘膜の乾燥などを引き起こす場合があります。

夜盲症とは
夜や暗い場所で目が見えにくくなる病気のことです。通常、明るい場所から暗い場所へ入ると徐々に見えるようになりますが、夜盲症を発症すると網膜細胞の異常により見えにくくなります。

ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[6]。

女性の場合18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[6]。

メモ
推奨量は摂取不足の予防を目的として設定されたもので、対象年齢のほとんどの人が充足している量を意味しています。

[5] [文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-3.ビタミンE

トマトにはビタミンEも豊富に含まれています。

トマト100g当たりのビタミンE含有量は、0.9mgです[7]。

ビタミンEは脂溶性のビタミンで、体にさまざまな悪影響を及ぼす活性酸素のはたらきを抑える「抗酸化作用」を持つことで知られています。

ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[8]。

女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[8]。

メモ
日本人の食事摂取基準では、根拠がないために推定平均必要量と推奨量の設定ができない場合に「目安量」が設定されています。目安量以上を摂取することで栄養素の不足はほぼ心配なく、一定の栄養状態を維持できるとされています。

[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-4.ビタミンK

ビタミンKもトマトに多く含まれる栄養素です。

トマト100g当たりのビタミンK含有量は、4μgです[9]。

ビタミンKは血液凝固を円滑に行う他、骨の形成を助け骨粗しょう症を予防するはたらきを持ちます。

骨粗しょう症とは
骨の強度が低下することで骨折しやすくなった状態のことです。骨は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の繰り返しにより作り替えられますが、カルシウムなどの栄養不足や運動不足などが要因となり骨形成が追い付かなくなると骨粗しょう症を発症します。

ビタミンKが不足すると鼻血や月経過多、血液凝固の遅延などを引き起こすことがあります。

慢性的に不足すると骨粗しょう症や骨折の原因となることもあるので注意したいですね。

「ビタミンK不足を防ぐには1日どのくらいの量のビタミンKを摂取すれば良いのかな?」

このように気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[10]。

[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-5.ビタミンB1

トマトにはビタミンB1も豊富に含まれています。

トマト100g当たりのビタミンB1含有量は0.05mgです[11]。

ビタミンB1は糖質の代謝に関わり、炭水化物からのエネルギーの産生を助けます。

また、健康な皮膚や粘膜を維持する役割も担っています。

ビタミンB1は糖質の代謝の際に必要であるため、糖質やアルコールをたくさん摂ると不足することがあります。

不足すると特に糖質を主にエネルギー源としている脳や神経のはたらきに影響が出ることがあるため注意が必要です。

ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳は1.3mg、75歳以上は1.2mgです[12]。

女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[12]。

[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-6.ナイアシン

ナイアシンもトマトに豊富に含まれる栄養素です。

トマト100g当たりのナイアシン含有量は、ナイアシン当量で0.8mgです[13]。

メモ
ナイアシンは食事から摂取する以外に、体内でトリプトファン(必須アミノ酸の一種)からも一部合成されます。そのため食事摂取基準においては、ナイアシンにトリプトファンから合成される分のナイアシンを合わせたナイアシン当量(mgNE)が用いられています。

ナイアシンは水溶性のビタミンで、皮膚や粘膜を健康に保つはたらきがあります。

その他にもエネルギーや脂肪の構成要素である「脂肪酸」、ステロイドホルモンの産生などを助けます。

ステロイドホルモンとは
体内に存在する数多くのホルモンの一つで、女性ホルモン、男性ホルモンなどの性ホルモンや、副腎皮質でつくられる糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドがあります。体の機能を維持するために重要なはたらきを担っています。

ナイアシンが欠乏すると、ペラグラという重篤な疾患により皮膚炎・下痢・精神神経障害などの症状を引き起こすことがありますが、日本人の発症は稀(まれ)といわれています。

ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳は14mgNE、75歳以上は13mgNEです[14]。

女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[14]。

[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-7.ビタミンB6

ビタミンB6もトマトに多く含まれる栄養素です。

トマト100g当たりのビタミンB6含有量は0.08mgです[15]。

ビタミンB6 は酵素のはたらきを助ける補酵素となる他、脂質やたんぱく質を構成するアミノ酸の代謝、神経伝達物質の生成などに関わっています。

補酵素とは
体のなかでさまざまな化学反応を起こす「酵素」がはたらく際の助けとなる物質です。多くの補酵素はビタミンを材料として体内で作られます。

ビタミンB6が欠乏すると、皮膚炎や食欲不振、動脈硬化の原因となることがあります。

動脈硬化とは
本来、弾力があるしなやかな動脈が厚くなったり硬くなったりすることです。老化の他、喫煙、高血圧、肥満、運動不足などの危険な要因が重なることによって発症しやすくなるといわれます。

ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[16]。

[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[16] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-8.葉酸

トマトには葉酸も多く含まれています。

トマト100g当たりの葉酸含有量は22μgです[17]。

葉酸は細胞が増殖する際に必要なDNAの合成に深く関わる栄養素です。

不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こし、動悸(どうき)や息切れ、疲労感などの症状が現れる場合があります。

また、胎児の細胞増殖が盛んな妊娠初期に葉酸が欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症率が高くなります。

神経管閉鎖障害とは
胎児の成長過程で形成される神経管が正常に発達できず、脳や脊髄、髄膜などに影響を受ける先天性の異常のことです。神経損傷や学習障害、麻痺などを引き起こす他、死亡する場合もあります。

そのため厚生労働省からは、妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までは1日400μgの葉酸を栄養補助食品から摂ることが、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性があると報告されています[18]。

葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[19]。

[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[18] 厚生労働省e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」

[19] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-9.パントテン酸

パントテン酸もトマトに多く含まれます。

トマト100g当たりのパントテン酸含有量は0.17mgです[20]。

パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、脂肪酸や糖の代謝に関っています。

さまざまな食品に含まれているため、日常の生活においてパントテン酸が不足する心配はほぼありません。

パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上は6mgです[21]。

女性は18歳以上で5mgです[21]。

[20] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[21] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-10.ビオチン

ビオチンもトマトに豊富に含まれる栄養素の一つです。

トマト100g当たりのビオチン含有量は2.3μgです[22]。

ビオチンはヒトの体内では作ることができないため、食品から摂取する必要があります。

体内で糖質の代謝、アミノ酸、脂肪酸の合成、エネルギーの代謝などが行われる際に補酵素としてはたらきます。

さまざまな食品に含まれているため、通常は不足することはないとされています。

ビオチンの1日当たりの摂取目安量は、男女共に18歳以上で50μgです[23]。

[22] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[23] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-11.ビタミンC

トマトにはビタミンCも多く含まれています。

トマト100g当たりのビタミンC含有量は15mgです[24]。

ビタミンCはヒトの体の中で作ることができないため、食事から摂取しなくてはなりません。

ビタミンCの主なはたらきは、皮膚や腱(けん)、軟骨などの構成成分であるコラーゲンを合成することです。

また抗酸化物質として重要な役割を持つ他、消化管で鉄の吸収を促す役割も担っています。

ビタミンCの不足は倦怠(けんたい)感、疲労感、気力低下などの症状の原因となることがあります

重度の欠乏症では「壊血病」を招き、歯ぐき(歯茎)や歯のトラブル、貧血、あざ、毛髪や皮膚の乾燥などの症状を引き起こすことがありますが、先進国での発症は稀です。

ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[25]。

[24] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[25] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-12.カリウム

カリウムもトマトには豊富に含まれています。

トマト100g当たりのカリウム含有量は210mgです[26]。

カリウムはミネラルの一種で、ヒトの体内ではほとんどが細胞内に存在し細胞内液の浸透圧を一定に保つはたらきをしています。

浸透圧とは
濃度の異なる溶液が、半透膜(水など小さな分子のみを通す膜)を間にして存在する場合に生じる圧力のことです。水は濃度の低い溶液から高い方の溶液に移動し浸透圧を生じます。

またナトリウムを排出するはたらきがあり、摂り過ぎた塩分を調節する重要な役割を果たしています。

ナトリウムとは
ヒトの体に必要なミネラルの一つで、食事からは主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。 摂り過ぎるとむくみや口の乾きの原因となる他、高血圧や胃がん、食道がんを引き起こす可能性が高くなるといわれています。

カリウムが不足するとナトリウムの排出を滞らせる他、脱力感・食欲不振・筋無力症・精神障害・不整脈などの症状が現れることがあります。

カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[27]。

[26] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[27] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-13.マグネシウム

マグネシウムもトマトに豊富に含まれている栄養素の一つです。

トマト100g当たりのマグネシウム含有量は9mgです[28]。

マグネシウムはミネラルの一つで、体内では6割は骨や歯に含まれ、残りは筋肉や脳、神経に存在しています[29]。

300種類以上の酵素のはたらきを助ける他、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温や血圧の調整などに関わっています[29]。

マグネシウムが不足すると、骨粗しょう症、神経疾患、精神疾患、不整脈、心疾患、筋肉収縮異常などを引き起こすことがありますが、通常の食事をしている場合、不足の心配はほぼないといわれています。

マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[30]。

女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[30]。

[28] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[29] 厚生労働省e-ヘルスネット「マグネシウム」

[30] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-14.鉄

鉄もトマトに多く含まれる栄養素です。

トマト100g当たりの鉄含有量は0.2mgです[31]。

鉄はミネラルの一種で、70%が赤血球の「ヘモグロビン」や筋肉の「ミオグロビン」に、残りは肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられています[32]。

メモ
ヘモグロビンは赤血球に含まれる鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結びついた赤色素を持つたんぱく質のことです。ミオグロビンも同じくヘムとグロビンから構成され、主に心筋や骨格筋に含まれています。

鉄は酸素の運搬や酵素の構成要素としても重要です。

不足すると貧血を招き、運動や免疫機能が低下する場合があります。

特に月経のある女性や妊産婦、乳児の場合は不足しないように十分な摂取が必要です。

鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[33]。

女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[33]。

[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[32] 厚生労働省e-ヘルスネット「鉄」

[33] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-15.銅

トマトには銅も豊富に含まれています。

トマト100g当たりの銅含有量は0.04mgです[34]。

銅はヒトの体の中では主に筋肉や骨、肝臓に存在するミネラルで、エネルギーを生成する他、鉄の代謝や神経伝達物質の産生、活性酸素の除去などに関わります。

通常の食生活で銅が欠乏することはほとんどありません。

しかし不足した場合には鉄を投与しても改善しない貧血や成長障害、白血球の減少、骨異常、免疫機能の低下、コレステロールや糖の代謝異常などが見られることがあります。

銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[35]。

女性は18歳以上で0.7mgです[35]。

[34] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[35] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-16.リコピン

トマトはリコピンを含む代表的な食品です。

リコピンとは野菜や果物に含まれる「カロテノイド」の一種です。

カロテノイドは多くの動植物に含まれる黄色や赤色の成分で、「カロテン類」と「キサントフィル類」に分けられ、リコピンはカロテン類に属しています。

リコピンには強い抗酸化作用があり活性酸素のはたらきを抑えるため、活性酸素によって作られる過酸化脂質が原因となる動脈硬化を予防する効果があるといわれます。

さらに老化やがんの発生を抑える作用も期待されています。

リコピンの食事摂取基準は定められていませんが、さまざまな機能を持つ有効成分です。

身近で入手しやすいトマトで日常的にリコピンが摂れるのはうれしいですね。

4.トマトに含まれる栄養素

熟したトマト

トマトにはビタミンB2やカルシウム、亜鉛などの栄養素も含まれています。

ここではそれぞれの栄養素の役割や食事摂取基準について解説していきますね。

メモ
この章で取り上げる栄養素は、「食品表示基準」の100kcal当たりの基準にのっとって「含有」しているといえるものを選定しています[36]。

[36] 東京都福祉保健局「栄養成分表示ハンドブック」

4-1.ビタミンB2

トマトにはビタミンB2も含まれています。

トマト100g当たりのビタミンB2含有量は0.02mgです[37]。

ビタミンB2は水溶性のビタミンで、体内では補酵素としてエネルギー代謝に関わります。

成長促進や皮膚や粘膜の保護にも関与する栄養素で、不足した場合は成長障害や皮膚炎、口内炎などの症状が見られる場合があります。

ビタミンB2の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[38]。

女性は18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[38]。

[37] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[38] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

4-2.カルシウム

カルシウムもトマトに含まれる栄養素の一つです。

トマト100g当たりのカルシウム含有量は7mgです[39]。

カルシウムといえば骨や歯の材料として知られていますが、他にも血液凝固、筋肉の収縮、酵素反応、ホルモンや神経伝達物質の放出反応など、生命活動において重要な役割を担っています。

これらのはたらきが正しく行われるように、ビタミンD、副甲状腺ホルモン、男性ホルモンなどにより、血液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。

カルシウム摂取が不足した場合には血中のカルシウム濃度が低下し、骨からカルシウムが溶け出してしまいます。

カルシウムの不足により、骨量の減少や骨粗しょう症を招く他、高血圧、動脈硬化、糖尿病、肥満、変形性関節症などの原因となることがあります。

変形性関節症とは
関節表面を覆う関節軟骨が刺激などにより変形・摩耗し、さらに関節周りの滑膜に炎症が起こることで生じる病気です。関節の周りが痛くなったり腫れたりする他、引っかかる感じや違和感などが主な症状です。

カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で800mg、30~74歳で750mg、75歳以上で700mgです[40]。

女性は18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[40]。

[39] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[40] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

4-3.亜鉛

トマトには亜鉛も含まれています。

トマト100g当たりの亜鉛含有量は0.1mgです[41]。

亜鉛は体内では骨や歯、筋肉,肝臓、腎臓に多く含まれ、200種以上の酵素を構成する他、酵素反応の活性化、ホルモンやたんぱく質の合成、免疫反応の調節などに関わっています[42]。

亜鉛が欠乏すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などの症状が現れるといわれます。

また、免疫機能低下、慢性下痢、貧血、精神障害などの原因となる可能性があります。

亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです[43]。

女性は18歳以上で8mgです[43]。

日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。

実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[44]。

亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。

[41] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[42] 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「亜鉛」

[43] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[44] 神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))

5.トマトの選び方と保存方法

洗ったミニトマト

「おいしいトマトの見分け方ってあるのかな?」

「トマトはどうやって保存したら良いんだろう……」

せっかくならおいしくトマトを食べたいですよね。

トマトを買う際には、ヘタが新鮮で皮に張りがあり、実が割れていないものを選びましょう。

また、持ってみてずっしりと重量感があること、お尻に星のような筋があることも良いトマトの特徴です。

保存の際は、すでに熟しているものはビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。

まだ緑の部分が残っているものは常温での保存がおすすめです。

ただし冷やし過ぎると風味が悪くなるため注意してくださいね。

すぐに食べない場合は、ヘタをくり抜いて冷凍することも可能です。

6.トマトの栄養についてのまとめ

トマトはナス科に属する野菜で、日本では300種類以上の品種が登録されています[45]。

気になるカロリーは一般的な赤色トマト100g当たり20kcalで、身近な他の野菜と比べても高くありません[46]。

トマトには、食物繊維、ビタミンA、ビタミンEなどのビタミン類、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類が豊富に含まれています。

さらにカロテノイドの一つであるリコピンを多く含むことも特徴的です。

その他、ビタミンB2やカルシウム、亜鉛も含まれています。

トマトを購入する際には、ヘタや皮の状態が良く実が割れていないものを選びましょう。

すでに熟したものは野菜室で、緑の部分が残っているものは常温で保存するのがおすすめです。

スペインで約7000人を対象とした調査によると、トマトを「3日で約1個」食べた人たちに比べ、「毎日1個以上」食べた人たちでは上の血圧が2.4mmHg、下の血圧も2.0mmHg低くなっていました[47]。

さらに、観察を始めた時点は高血圧でなかった約1000人で解析すると、トマトを「3日で約1個」食べた人たちに比べ、「毎日1個以上」食べた人たちは3年間で高血圧になるリスクが相対的に44%も減っていました[47]。

生活の中でトマトを上手に利用したいですね。

[45] 農林水産省「トマトまるごとまるわかり!」

[46] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[47]David Murcia-Lesmes et al.「Association between tomato consumption and blood pressure in an older population at high cardiovascular risk: observational analysis of PREDIMED trial」European Journal of Preventive Cardiology, Volume 31, Issue 8, June 2024,