CORE PALETTE
リンとは?はたらきや過不足による影響、食事摂取基準などを紹介のサムネイル

リンとは?はたらきや過不足による影響、食事摂取基準などを紹介

「リンってどんなミネラルなんだろう?」

「どんな食べ物に含まれているのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

リンは全ての生物に必須とされているミネラルの一種です。

ヒトの体内ではエネルギーを生み出すはたらきに関わったり、カルシウムと共に骨や歯の材料となったりしています。

食品に自然に含まれている他、加工食品に添加物として加えられていることもあります。

この記事では、リンのはたらきや過不足による影響、摂取すべき量などをご紹介します。

1.リンとは

リンは必須ミネラルの一種で、全ての生物に必須であることが分かっています。

ミネラルとは
ヒトの体を構成する元素のうち、酸素、炭素、水素、窒素以外のものの総称です。このうち栄養素として必要なことが分かっている16種類を必須ミネラルといいます[1]。必須ミネラルの代表例としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛などが挙げられます。

ヒトの体内のリンは多くがカルシウムと共に骨や歯を構成しています

またリンはエネルギーを生み出すはたらきや脂質の代謝にも関わっています

代謝とは
栄養素を体に必要な物質やエネルギーに変えるはたらきのことです。

ヒトの体のエネルギー源となる栄養素には炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の3種類がありますが、リンはこれらの代謝において重要なはたらきを果たしています。

この他に、リンはDNAやRNAといった体の構造の設計や遺伝に関わる物質の構成要素としてもはたらいています。

リンは体内で非常に重要なはたらきをする栄養素なのですね。

なお、リンは天然では「リン酸塩」と呼ばれる形で存在します。

またリン酸塩は食べ物に天然に含まれる他に、ハムやソーセージ、練り物、インスタント麺、プロセスチーズなどの加工食品に添加物として加えられている場合があります

食品添加物としてのリン酸塩は、食品の油と水を混ぜ合わせる「乳化」や、原料同士を結び付ける「結着」、pH調節による品質の保持などを目的として用いられます。

また食肉製品の発色を保ったり、パサつきを減らしたり、ハム同士をはがれやすくしたりといった効果もあるといわれています。

このため私たちは加工食品を通じ、多くのリンを摂取していると考えられています。

[1] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識

2.リンの過不足による影響

「リンが不足するとどんな悪影響があるんだろう?」

「リンを摂り過ぎても体に良くないのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

リンは日常的に摂取する食品に多く含まれているため、通常の食生活でリンが不足し、不調を来す心配はないといわれています。

一方でリンを長期にわたって過剰摂取するとさまざまな症状が現れることが知られています。

ここでは、リンの過不足によって起こる体の不調をご紹介しましょう。

2-1.リンを過剰摂取した場合の影響

長期間にわたるリンの過剰摂取は、体の機能にさまざまな悪影響を及ぼすことが分かっています。

リンの過剰摂取は腎臓の機能を低下させたり、副甲状腺の機能を必要以上に活発にさせたりします

腎臓は血液の老廃物をろ過し、尿として体外に排出するはたらきをする臓器で、この機能が低下すると体を構成する成分のバランスが崩れるためにさまざまな症状を引き起こします。

また副甲状腺は首に位置する米粒くらいの小さな臓器で、主に血中のカルシウム濃度を調節する作用を持つ「副甲状腺ホルモン」を分泌しています。

副甲状腺が過剰にはたらくと、副甲状腺ホルモンの分泌量が増え、骨からカルシウムが溶け出して血中カルシウムが高くなってしまいます。

これにより骨がもろくなったり、高カルシウム血症によって頭痛や疲れやすさ、筋力低下といった症状が現れたりします

またリンの過剰摂取は、カルシウムの吸収抑制の原因にもなるといわれています。

メモ
カルシウムは人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を構成する材料となります。カルシウムが不足すると骨がもろくなる「骨粗しょう症」の原因にもなるため、十分な摂取と吸収が必要です。

リンはカルシウムと共に骨を構成していることから、リンの摂取量がカルシウムの代謝に大きな影響を与えてしまうのです。

2-2.リンが不足した場合の影響

リンは日常的に摂取するさまざまな食品に多く含まれているため、通常の食生活で不足による体の不調が現れることはまれです。

ただし、長期間にわたって胃薬の一種である「水酸化アルミニウム」を服用していると、リンの吸収が妨げられ、不調が引き起こされます。

リンの吸収が妨げられ体内のリンが不足すると、食欲が低下し、倦怠(けんたい)感が現れたり、体が衰弱したりすることが分かっています。

該当の薬を服用している方は要注意ですね。

3.リンの食事摂取基準と平均摂取量

「リンはどれくらい摂取すれば良いんだろう?」

「リンの平均摂取量はどれくらいなのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、リンの食事摂取基準と平均摂取量をご紹介しましょう。

食事摂取基準とは
厚生労働省が健康な人を対象として、国民の健康の保持や増進、生活習慣病の予防のために設定しているエネルギーおよび栄養素の摂取量の基準です。

3-1.リンの食事摂取基準

厚生労働省は全年代に対してリンの目安量を、また成人に対して耐容上限量を設定しています。

【リンの食事摂取基準(mg/日)】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
年齢 目安量 耐容上限量 目安量 耐容上限量
0〜5カ月
120
-
120
-
6〜11カ月
260
-
260
-
1〜2歳
600
-
500
-
3〜5歳
700
-
700
-
6〜7歳
900
-
800
-
8〜9歳
1,000
-
900
-
10〜11歳
1,100
-
1,000
-
12〜14歳
1,200
-
1,100
-
15〜17歳
1,200
-
1,000
-
18〜29歳
1,000
3,000
800
3,000
30〜49歳
1,000
3,000
800
3,000
50〜64歳
1,000
3,000
800
3,000
65〜74歳
1,000
3,000
800
3,000
75歳以上
1,000
3,000
800
3,000

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

メモ
目安量は一定の栄養状態を維持するのに十分な量で、この量以上を摂取していれば不足の心配はほとんどありません。耐容上限量は過剰摂取による健康障害の回避を目的に設定された量です。

なお、未成年の耐容上限量については根拠が不足しているとして設定されていません。

3-2.リンの平均摂取量

厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告」によると、日本人のリンの平均摂取量は以下のとおりです。

【リンの平均摂取量(mg/日)】
年齢 男性 女性
1~6歳
700
649
7~14歳
1,078
1,015
15~19歳
1,226
890
20~29歳
1,014
856
30~39歳
1,049
851
40~49歳
1,014
878
50~59歳
1,039
913
60~69歳
1,110
976
70~79歳
1,109
996
80歳以上
1,034
937

厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告」をもとに執筆者作成

年代によっては、平均摂取量が目安量を下回っているように思われます。

ただし、リンは食品添加物としても用いられているため、実際はこの調査結果より多くのリンを摂取していると考えられています

意識的にリンの摂取量を増やす必要はないでしょう。

4.リンを含む食品

「リンはどんな食品に含まれているんだろう?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

リンは肉や魚といった動物性食品にも、穀物や豆類といった植物性食品にも含まれています。

また食品添加物として使用されている場合もあります。

この章では、動物性食品と植物性食品に分けてリンを含む代表的な食品をご紹介しましょう

4-1.動物性食品

干しエビ

リンを含む動物性食品には主に以下のようなものがあります。

【リンを含む動物性食品と可食部100g当たりのリン含有量】
食品名 加工状態など リン含有量
かたくちいわし
煮干し
1,500mg
さくらえび
煮干し
1,200mg
プロセスチーズ
-
730mg
卵黄(鶏卵)
540mg
イクラ(しろさけ)
-
530mg
きんめだい
490mg
しらこ(まだら)
430mg
たらこ(すけとうだら)
390mg
豚レバー
340mg
ほっけ
開き干し、生
330mg
カマンベールチーズ
-
330mg
牛レバー
330mg
鶏レバー
300mg
ロースハム
-
280mg
ロースベーコン
-
270mg
鶏ささみ
240mg
豚ヒレ肉(赤肉)
230mg
鶏むね肉
皮なし、生
220mg
全卵(鶏卵)
170mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

小魚や魚卵、肉類などに多く含まれています。

4-2.植物性食品

アーモンド

リンを含む植物性食品には主に以下のようなものがあります。

【リンを含む植物性食品と可食部100g当たりのリン含有量】
食品名 加工状態など リン含有量
きな粉(黄大豆、全粒大豆)
-
660mg
米国産大豆(黄大豆、全粒)
乾燥
480mg
アーモンド
いり、無塩
480mg
らっかせい(大粒種)
いり
390mg
オートミール
-
370mg
油揚げ
350mg
強力粉(全粒粉)
-
310mg
玄米
炊飯前
290mg
ポップコーン
-
290mg
そば(乾麺)
乾燥
230mg
納豆
-
220mg
そらまめ(未熟豆)
220mg
えだまめ
170mg
ライ麦パン
乾燥
130mg
マカロニ、スパゲッティ(乾麺)
乾燥
130mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

豆類や穀物、ナッツなどに多く含まれていることが分かりますね。

5.リンについてのまとめ

リンは全ての生物に必須のミネラルです。

ヒトの体内においてはカルシウムと共に骨や歯をつくる他、エネルギー代謝や脂質の代謝において重要なはたらきをしています

リンは食品に天然に含まれるものの他に、添加物として加工食品に加えられているものがあり、調査で把握されているよりも多く摂取されていると考えられています。

リンの長期にわたる過剰摂取は腎臓の機能を低下させ、副甲状腺のはたらきを必要以上に活発にするため要注意です。

またカルシウムの吸収を抑制してしまう恐れもあります。

一方でリンはさまざまな食品に含まれるため、不足による不調が起こる心配は少ないとされています。

リンは肉や魚、豆類、穀物、ナッツなどに含まれています

重要なミネラルなので過不足なく摂取するよう心掛けましょう。