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青汁にはどんな効果がある?含まれる栄養素とそのはたらきを解説

「青汁って体に良さそうだけど本当かな……」

「青汁にはどんな栄養素が含まれているんだろう?」

このように、青汁の栄養素や効果が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

青汁は緑葉野菜を搾った汁のことです。

一般的には、乾燥して粉末になったものが販売されています。

青汁には、腸内環境を良好に保つ食物繊維や各種ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています

この記事では青汁に豊富に含まれる栄養素とその効果についてご紹介します。

青汁について知り、日々の健康に役立ててくださいね。

1.青汁とは

ケール

青汁は主にケールや大麦若葉などの緑葉野菜を搾った汁です。

市販品の多くは加工処理がされており、乾燥して粉末になったものが出回っています。

他にもアシタバやモロヘイヤを原材料としたもの、複数の素材が混合されたものなどさまざまな商品があります。

ただし、この記事では文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に収載されているケールを原料とした青汁について解説します。

ケールはキャベツやブロッコリーの仲間で、独特の苦みを持つ緑黄色野菜です。

栄養価の高さから野菜の王様と呼ばれることもあり、世界的にスーパーフードとして注目されています

青汁やスムージーの材料として知られる他、サラダや炒め物などとしても食べられます。

ケールは温暖な気候での栽培に適しており、一年中栽培や収穫が可能です。

地中海沿岸が原産地で、国内でも茨城県や島根県、愛媛県、福岡県、鹿児島県などで栽培されています。

2.青汁に豊富な栄養素とその効果(はたらき)

グラスにはいった青汁

青汁には食物繊維をはじめ、ビタミンAやビタミンE、葉酸など多くのビタミン、カルシウム、鉄などのさまざまなミネラルが豊富に含まれています

ミネラルとは
ヒトの体を構成する元素のうち、主要なものである酸素・炭素・水素・窒素の四つを除いたものの総称です。このうちヒトにとって不可欠な16種類を「必須ミネラル」と呼びます[1]。代表的な必須ミネラルにはカルシウム、カリウム、マグネシウム、リンなどがあります。

この章では、青汁に豊富に含まれる栄養素とそのはたらきをご紹介します。

メモ
この章でご紹介する栄養素は食品表示基準にのっとり100g当たりの含有量が「豊富である」と表現できるものです[2]。ただしこれは粉末100g当たりの数値と食品表示基準を照らし合わせたものであるため、1杯分から十分な量が摂取できることを示すものではありません[3]。

ここでは成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)をご紹介しています。

17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください[4]。

【青汁に豊富に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 含有量
食物繊維
28.0g
ビタミンA
860μg
ビタミンE
9.4mg
ビタミンK
1,500μg
ビタミンB2
0.80mg
ナイアシン当量
10.0mg
ビタミンB6
0.75mg
葉酸
820mg
ビオチン
20.0μg
ビタミンC
1,100mg
カリウム
2,300mg
カルシウム
1,200mg
マグネシウム
210mg
2.9mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

[1] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識

[2] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック

[3] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-1.食物繊維

青汁には食物繊維が豊富に含まれています。

青汁100g当たりの食物繊維含有量は28.0gです[5]。

食物繊維は食べ物に含まれる成分のうち、ヒトの消化酵素で分解できない物質の総称です。

酵素とは
消化や吸収といった、生命を維持するために必要な化学反応に欠かせないたんぱく質のことです。

食物繊維は消化されないため、大腸まで到達します。

大腸へ達した食物繊維は便の体積を増やす他、ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌といわれる腸内細菌の餌となって腸内環境を改善してくれます

腸内環境とは
腸内細菌を含む腸内全体のことです。

さらに、食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、血中のコレステロール値を下げたりする作用が認められています。

食生活の変化で穀類やいも類、豆類の摂取が減少したため、現代の日本人の食物繊維の摂取量は不足傾向にあります。

健康のために重要な栄養素であるため、積極的な摂取を心掛けたいですね。

食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[6]。

女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[6]。

メモ
目標量は生活習慣病の発症予防のため、日本人が当面の目標とすべき摂取量として設定された量です。

[5] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-2.ビタミンA

青汁にはビタミンAが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビタミンA含有量はレチノール活性当量で860μgです[7]。

メモ
食事摂取基準においては、動物性食品に含まれるビタミンAであるレチノールと、植物性食品に含まれ体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAを合わせた推定量であるレチノール活性当量(RAE)という単位が用いられています。

ビタミンAは油に溶けやすく水に溶けにくい性質を持つ脂溶性ビタミンです。

目の健康や皮膚・粘膜を正常に保つ他、成長を促進させるはたらきもあります。

そのためビタミンAが不足すると、暗い場所で目が見えにくくなる夜盲症や皮膚や粘膜の乾燥を引き起こすことがあります

さらに成長障害や胎児の奇形を招く恐れもあります。

ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量はレチノール活性当量で、男性の場合18~29歳で850μgRAE、30~64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[8]。

女性の場合18~29歳で650μgRAE、30~74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEです[8]。

メモ
推奨量は摂取不足の予防を目的として設定されたもので、ほとんどの人の必要を満たす量です。

[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-3.ビタミンE

青汁にはビタミンEが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビタミンE含有量は9.4mgです[9]。

ビタミンEは脂溶性のビタミンで、体内では細胞膜や脂質に多く含まれています。

活性酸素のはたらきを抑える「抗酸化ビタミン」の一種です。

メモ
活性酸素とは、呼吸で取り込まれた酸素が体内で活性化されたものです。体内の免疫機能や感染防御など重要なはたらきを担う一方、過剰になると老化や免疫機能の低下、がんなどの要因となります。

ビタミンEは脂質の酸化を防ぎ、体に悪影響を及ぼす過酸化脂質の生成を抑制します。

メモ
過酸化脂質は、細胞を覆う不飽和脂肪酸の膜が活性酸素と結び付き酸化されたもので病気の原因となります。

ヒトにおいてビタミンEが不足することはほとんどありません。

ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[10]。

女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[10]。

メモ
目安量は一定の栄養状態を維持するのに十分とされる量で、これ以上の量を摂取していれば不足の心配はほとんどないとされます。

[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-4.ビタミンK

青汁にはビタミンKが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビタミンK含有量は1,500μgです[11]。

ビタミンKは脂溶性のビタミンで、肝臓で血液凝固因子を活性化して血液凝固を正常に進めます

また骨のたんぱく質を活性化し骨の形成に関わったり、動脈の石灰化を抑制したりといった重要なはたらきも担っています。

動脈の石灰化とは
動脈が石のように硬くなった状態のことです。心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化の状態の一つです。

一般的な食生活において、ビタミンKが不足することはほとんどないといわれています。

ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[12]。

[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-5.ビタミンB2

青汁にはビタミンB2が豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビタミンB2含有量は0.80mgです[13]。

ビタミンB2は水溶性のビタミンの一種で 、ビタミンB群に属します。

水溶性ビタミンとは
血液などの体液中に存在する、水に溶けやすく油に溶けにくいビタミンの総称です。ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCが該当します。

ビタミンB2は体内でエネルギー代謝が行われる際に、補酵素としてはたらきます

補酵素とは
酵素のはたらきを活性化する有機化合物のことです。ほとんどの酵素は単独ではたらくことができず、正常に作用するには補酵素を必要とします。多くの補酵素がビタミンを材料としてつくられています。

また、成長促進や皮膚・粘膜の保護などのはたらきがあり、不足すると成長障害が起こったり皮膚炎や口内炎が見られたりする場合があります。

ビタミンB2の1日の摂取推奨量は男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上は1.3mgです[14]。

女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上は1.0mgです[14]。

[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-6.ナイアシン

青汁にはナイアシンが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのナイアシン含有量はナイアシン当量で10.0mgEです[15]。

メモ
ナイアシンは食事から摂取する以外に、体内でトリプトファン(必須アミノ酸の一種)から合成することも可能です。そのため食事摂取基準では、トリプトファンから合成される分のナイアシンを合わせたナイアシン当量(NE)が用いられています。

ナイアシンは、生命活動の主要なエネルギー源となるATPの産生に関わるビタミンです。

またステロイドホルモン、脂肪の一種である脂肪酸やDNAの生合成、細胞の分化などにも関わっています。

ステロイドホルモンとは
女性ホルモンや男性ホルモンなどの性ホルモンや、副腎の外側部分の副腎皮質で産生される糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドなどの総称です。健康維持のために重要なはたらきをしています。

ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳は14mgNE、75歳以上は13mgNEです[16]。

女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[16]。

[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[16] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-7.ビタミンB6

青汁にはビタミンB6が豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビタミンB6含有量は0.75mgです[17]。

ビタミンB6は、補酵素としてたんぱく質や脂質、炭水化物の代謝、また神経伝達物質の代謝に関わります

その他、ホルモンの調節や免疫機能の維持などの重要なはたらきもあります。

ビタミンB6が不足すると、湿疹、口角炎、皮膚炎や貧血、脳波の異常、免疫機能の低下などの症状が現れることがあります。

ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[18]。

[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[18] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-8.葉酸

青汁には葉酸が豊富に含まれています。

青汁100g当たりの葉酸含有量は820μgです[19]。

葉酸は細胞の増殖に必要なDNAの合成に関わるビタミンです。

そのため、葉酸が不足すると細胞分裂が抑制され造血機能に異常を来す他、貧血や神経・腸機能の障害などを引き起こすことがあります。

また、妊娠初期の胎児の細胞増殖が活発な時期に葉酸が不足すると、胎児の神経管の成長が正常に行われず、「神経管閉鎖障害」と呼ばれる先天異常の発症率が高まることが明らかになっています

メモ
神経管閉鎖障害の予防には妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月まで葉酸を十分摂取する必要があります[20]。そのため厚生労働省はこの時期に通常の食事からの240μgに加え、栄養補助食品から1日当たり400μgの葉酸を付加することを推奨しています[20]。

葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[20]。

[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[20] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-9.ビオチン

青汁にはビオチンが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビオチン含有量は20.0μgです[21]。

ビオチンは、糖新生やアミノ酸・脂肪酸の合成、エネルギー代謝などが行われる際の補酵素としてはたらきます。

メモ
糖新生は乳酸やアミノ酸などの物質からブドウ糖をつくり出す代謝の一種です。

また、ビオチンには抗炎症物質を産生しアレルギー症状を和らげる効果があるともいわれています

ビオチンはさまざまな食品に含まれており、通常の食生活で不足することはほとんどありません。

ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に50μgです[22]。

[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[22] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-10.ビタミンC

青汁にはビタミンCが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのビタミンC含有量は1,100mgです[23]。

ビタミンCは水溶性ビタミンで、ヒトの体でつくることができないため食物から摂る必要があります。

ビタミンCは、皮膚や軟骨、腱(けん)などの材料であるコラーゲンをつくるために不可欠です。

優れた抗酸化作用を持つ他、消化管での鉄の吸収を高めるなど、重要なはたらきを担う栄養素です。

ビタミンCの不足は、主にアルコールや薬物依存者、野菜・果物の摂取が少ない方に起こります。

ビタミンCが不足すると、倦怠(けんたい)感や疲労感、気力低下などの症状が見られることがあります。

欠乏に至るとコラーゲンの合成が滞り、血管がもろくなるため出血しやすくなります。

その結果、壊血病となり歯肉や皮下からの出血や貧血をはじめ、呼吸困難、筋肉の減少、心臓障害などの症状が現れる場合があります。

1日当たりのビタミンC摂取推奨量は18歳以上の男女共に100mgです[24]。

[23] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[24] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-11.カリウム

青汁にはカリウムが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのカリウム含有量は2,300mgです[25]。

カリウムは必須ミネラルの一種です。

メモ
ミネラルは地球上に存在する元素のうち、生物の体の主要な構成成分である酸素、炭素、水素、窒素以外の総称です。必須ミネラルはこのうちヒトの体に欠かせない16種類を指します[26]。

体内では多くが細胞内に存在し、血液やリンパなどの細胞外液や骨にも少量が含まれています。

カリウムはナトリウム(塩分)を体外に排出する作用を持ちます

ナトリウムとは
ミネラルの一つで、食事からは主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。摂り過ぎるとむくみや口の乾きの原因となる他、高血圧や胃がん、食道がんを引き起こす可能性が高くなるといわれています。

日本人はナトリウムを過剰摂取しがちなため、積極的に摂取すべき栄養素だといえるでしょう。

またカリウムには細胞内液の浸透圧を一定に保ったり、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスを調整したりするはたらきがあります。

浸透圧とは
濃度の異なる溶液が、半透膜(水など小さな分子のみを通す膜)を間にして存在する場合に生じる圧力のことです。水は濃度の低い溶液から高い溶液に移動し浸透圧を生じます。

カリウムの不足による主な症状は、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などです。

カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[26]。

[25] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[26] 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「ミネラルについて

2-12.カルシウム

青汁にはカルシウムが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのカルシウム含有量は1,200mgです[27]。

カルシウムは骨や歯の主要な材料で、体内のカルシウムのほとんどは骨と歯に存在しています。

残りは血液や細胞外液に含まれ血液凝固や筋収縮などの重要な役割を担っています。

食事からの摂取が不十分な場合や、カルシウムの吸収を促すビタミンDが不足すると、カルシウム不足が起こる場合があります。

カルシウムが不足すると、骨からのカルシウムの溶出が進み、骨量減少症や骨粗しょう症を引き起こす場合があります

その他、カルシウム不足は高血圧、動脈硬化、免疫異常、糖尿病、軟骨の変性などの原因になります。

日本人のカルシウム摂取量は不足しがちといわれているため、積極的な摂取を心掛けたいですね。

カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で800mg、30~74歳は750mg、75歳以上は700mgです[28]。

女性は18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[28]。

[27] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[28] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-13.マグネシウム

青汁にはマグネシウムが豊富に含まれています。

青汁100g当たりのマグネシウム含有量は210mgです[29]。

マグネシウムは骨やすべての細胞に存在するミネラルで、体内で起こるほとんどの代謝や生合成に関わります。

また、骨の健康維持や神経伝達、ホルモンの分泌、筋収縮など、多くの重要な役割を果たしています

マグネシウムは精製や加工がされていない食品の多くに含まれているため、健康な方が通常の食事をしている場合、不足することはほとんどありません。

マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[30]。

女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[30]。

[29] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[30] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-14.鉄

青汁には鉄が豊富に含まれています。

青汁100g当たりの鉄含有量は2.9mgです[31]。

体内の鉄の多くは赤血球中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれ、酸素の運搬などを行います。

残りは貯蔵鉄として、肝臓や筋肉、骨髄などに貯えられています。

鉄が不足するとヘモグロビンの減少に伴い赤血球が減り、酸素の供給が滞ります。

その結果「鉄欠乏性貧血」を起こすことがあります。

鉄欠乏性貧血は集中力の低下や頭痛、食欲不振などの症状を招きます

特に月経のある女性や授乳婦の場合は鉄の需要が高まるため、不足しないよう注意が必要です。

鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[32]。

女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[32]。

[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[32] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3.青汁を飲む上での注意点

緑の粉末をヨーグルトにかけているところ

青汁は健康に役立つ栄養素を多く含みますが、飲み方や量など気を付けたい点があります

この章では青汁を飲む上での注意点を解説します。

注意点1 食物繊維の摂り過ぎに注意する

青汁に豊富に含まれる食物繊維は、摂り過ぎることで体に悪影響を及ぼす場合があります

食物繊維は優れた整腸作用を持ちますが、摂り過ぎると小腸での栄養の吸収が妨げられることがあります。

これにより、食物繊維の持つ血糖値や中性脂肪の上昇を緩やかにするという作用も抑えられてしまいます

また便通が乱れて下痢や便秘を起こしたり、おなかが張ったりすることがあります。

食物繊維の豊富な青汁を便秘解消やダイエットのために摂ろうと考えている方は、逆効果にならないよう注意してくださいね。

注意点2 腎臓に持病がある場合は主治医に相談する

腎臓になんらかの持病のある方は、青汁を摂る前に主治医の許可を得てください

腎機能が低下すると、尿として排出されるカリウムの量が減って血液中のカリウム値が高くなります。

カリウム値が高くなり過ぎると不整脈が起こりやすく、重篤になると心臓が停止する危険もあります

カリウム値を下げるには、飲食物からのカリウム摂取量を抑えることが有効です。

そのため腎臓に持病のある方は、青汁を摂取しても良いか主治医に相談しましょう。

注意点3 薬効に影響する場合がある

ワルファリンという薬を服用中の方がビタミンKの豊富な青汁を摂取すると、薬効を弱めてしまう恐れがあります

ワルファリンとは
ビタミンKの血液凝固作用を阻害し血液が固まるのを抑える薬です。心臓や脳、肺などの血管に血の塊が詰まる「血栓塞栓症」の予防や治療のために処方されます。

ワルファリンを服用中の方は青汁を摂らないようにしましょう。

注意点4 熱湯や冷水で割らない

青汁を熱湯で割ると、熱に弱い栄養素が壊れてしまう場合があります。

また冷たい水は溶けにくかったりおなかを冷やしたりすることがあるため、ぬるま湯や常温の水で割るのがおすすめです。

その他、牛乳や豆乳、りんごジュースやオレンジジュース、甘酒、ヨーグルトなどとも相性が良く、 一緒に摂るとおいしくなり栄養価も高まります

さまざまな食材と組み合わせることで、飽きずに続けられそうですね。

4.青汁の効果についてのまとめ

青汁とは緑葉野菜を搾った汁のことです。

青汁の原料としては、野菜の王様と呼ばれるケールをはじめ、大麦若葉などが用いられます。

青汁に豊富に含まれる栄養素には、整腸作用のある食物繊維や抗酸化作用を持つビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどがあります

また骨の健康に関わるビタミンKやカルシウム、エネルギー代謝で重要な役割を果たすビタミンB群、塩分を排出してくれるカリウムなど、多くのビタミンやミネラルを豊富に含みます

ただし青汁に豊富に含まれる食物繊維は、摂り過ぎることで小腸での栄養の吸収を妨げ、血糖値や中性脂肪値の上昇を緩やかにする作用も抑えられてしまいます。

また腎機能が低下している方やワルファリンという薬剤を服用中の方は青汁の摂取が健康被害を招く恐れがあるため注意が必要です。

青汁はお湯や冷水ではなく、ぬるま湯や常温の水で割るようにしましょう。

また牛乳や豆乳、ジュース、甘酒、ヨーグルトなどと一緒に摂るとおいしいだけでなく栄養価も高まるためおすすめです。

健康的な毎日ために、ぜひ青汁を取り入れてみてくださいね。