「プロテインの飲むタイミングはいつが良いんだろう?」
「筋トレの効果が一番上がるプロテインの飲むタイミングが知りたいな」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
プロテインは飲むタイミングによって体への影響が変わるものと考えられています。
またいくつか種類があり、目的に応じて選ぶことが重要となります。
この記事ではプロテインを飲むタイミングやどの種類を選んだら良いのかについて、目的別にご紹介します。
1.プロテインの基礎知識
「筋トレをするならプロテインを飲んだ方が良いんだよね?」
「ダイエットにもプロテインが効くのかな?」
プロテインについて、このような漠然としたイメージを抱いている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
プロテインは正しい使い方をすれば筋トレやダイエットの心強い味方になってくれると考えられます。
しかし、なかにはプロテインがどのようなものかについては詳しく知らないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
効果的に活用するためには、プロテインの性質についてよく知っておくことが重要です。
まずはプロテインに関する基礎知識をご紹介しましょう。
1-1.プロテインとは
そもそもプロテインは英語で「protein」と書き、たんぱく質のことを指します。
日本語でプロテインというときには多くの場合たんぱく質を効率的に摂取できるサプリメントを指します。
なかでも甘みがあり、粉末タイプで水や牛乳などに溶かして飲むものなどがよく知られていますよね。
たんぱく質は炭水化物・脂質と並んで体のエネルギーになる栄養素の一つです。
筋肉や臓器、肌や髪など体の組織を構成したり、ホルモンなど体の機能を調整する物質の材料となったりする役割も果たしています。
なぜ筋トレの際はプロテインが良いといわれているのか疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
筋トレなどの激しい運動をすると筋肉は傷つけられ、たんぱく質を利用して回復することでより大きく強くなっていきます。
そのため運動量が多くなればその分、必要なたんぱく質の量は増加します。
プロテインで効率良くたんぱく質を摂取すれば、筋肉が回復し筋肉が増える過程をサポートできると考えられるのですね。
また筋肉量が増えるとそれに伴って基礎代謝が増加し消費カロリーが増えるため、プロテインを摂って筋肉を育てることはダイエットにも有効だと考えられます。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
1-2.プロテインの種類
一口にプロテインといってもいくつかの種類があることをご存じでしょうか。
実は種類によって性質やはたらきも異なるため、目的に応じて選んだ方が良いと考えられているのです。
ここでは、プロテインの種類について簡単にご説明しましょう。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」
1-2-1.ホエイプロテイン
ホエイプロテインは牛乳由来のたんぱく質の一種で、牛乳に含まれるたんぱく質の20%を占めています[3]。
ヨーグルトの上澄みの透明な液体「乳清(ホエイ)」に溶けているたんぱく質です。
もともと液体に溶けている成分であるため水に溶けやすいという特徴があり、約2時間で体内に吸収*3されます。
迅速に吸収されるホエイプロテインは筋トレ後のたんぱく質補給に向いているといわれています。
[3] 一般社団法人 日本プロテイン協会「誰でもわかるプロテインの基礎知識」
1-2-2.カゼインプロテイン
ホエイプロテインと同様、カゼインプロテインも牛乳由来のたんぱく質の一種で、牛乳に含まれるたんぱく質の約80%を占めています[4]。
カゼインプロテインは水に溶けにくく、体内での吸収も遅いという特徴があります。
吸収にかかる時間は約7〜8時間*4です。
腹持ちが良いため、空腹感を我慢するのがつらいというダイエット中の方におすすめのプロテインです。
[4] 一般社団法人 日本プロテイン協会「誰でもわかるプロテインの基礎知識」
1-2-3.ソイプロテイン
ソイプロテインは大豆に含まれるたんぱく質の一種です。
比較的吸収が遅く、約5〜6時間かけて体内で吸収されます[5]。
カゼインプロテインと同様、空腹感を避けたい方におすすめのプロテインです。
またソイプロテインには、女性ホルモンの「エストロゲン」に構造が似ており同じようなはたらきをすることで知られている「大豆イソフラボン」が含まれています。
ソイプロテインは女性らしい美しさや若々しさを保ちたいという方向きの製品だといえるでしょう。
[5] 一般社団法人 日本プロテイン協会「誰でもわかるプロテインの基礎知識」
1-3.プロテインの摂取量の目安
「プロテインはどれくらい飲めば良いの?」
と気になっている方もいらっしゃるでしょう。
たんぱく質はカロリー源となる栄養素の一つであるため、過剰摂取は肥満の原因になりかねません。
基本的にはパッケージに書かれているとおり摂取していれば良いものと考えられますが、
「今日は食事でたくさんたんぱく質を摂ったからプロテインは減らしたほうが良いのかな?」
などと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
参考に、厚生労働省の定めるたんぱく質の食事摂取基準をご紹介しましょう。
18歳以上の男女のたんぱく質の食事摂取基準の一覧は以下のとおりです。
【たんぱく質の1日当たりの食事摂取基準(g)】
男性 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
---|---|---|
18〜29歳 | 50 | 65 |
30〜49歳 | 50 | 65 |
50〜64歳 | 50 | 65 |
65〜74歳 | 50 | 60 |
75歳以上 | 50 | 60 |
女性 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
---|---|---|
18〜29歳 | 40 | 50 |
30〜49歳 | 40 | 50 |
50〜64歳 | 40 | 50 |
65〜74歳 | 40 | 50 |
75歳以上 | 40 | 50 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
妊婦・授乳婦に対しては、以下の量を加えて摂取するように定められています。
【妊婦・授乳婦の付加量(g)】
状況 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
---|---|---|
妊婦 妊娠初期 | +0 | +0 |
妊婦 妊娠中期 | +5 | +5 |
妊婦 妊娠後期 | +20 | +25 |
授乳婦 | +15 | +20 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ただし筋肉をつけたい方や激しい運動を行う習慣のある方などはその分たんぱく質の摂取量を増やした方が良いと考えられています。
一般的には、筋肉をつけたい方や運動をしている方は体重1kg当たり2gのたんぱく質が必要であるといわれています[7]。
自分に必要なたんぱく質の量を意識しつつプロテインの摂取量を調節すると良いかもしれませんね。
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[7] 一般社団法人 日本プロテイン協会「誰でもわかるプロテインの基礎知識」
[8] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2.プロテインを飲むタイミング
「プロテインを飲むタイミングはいつが良いんだろう?」
と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
市販のプロテインのなかにはパッケージにおすすめのタイミングが記されている場合もありますが、プロテインをいつ飲むかは目的に応じて決めた方が良いと考えられるでしょう。
2-1.筋トレ前〜筋トレ直後
筋肉量を増やしたいという方には、筋トレ直後のプロテイン摂取がおすすめです。
筋繊維の細胞の数は生まれたときから決まっており、「筋肉がつく」というのは一本一本の筋繊維が太くなることを指します。
筋繊維はもともと非常に細く、傷ついたり切れたりしやすい性質を持っており、軽い運動でもすぐに傷ついてしまいます。
運動によって傷つけられた筋肉はたんぱく質などによってすぐに補修され、このはたらきを繰り返すことでだんだんと強く切れにくい、太い筋繊維が育っていくのです。
このとき体内でたんぱく質が不足していると、せっかくトレーニングを行っても筋肉がうまく修復されず、筋肉量アップにつながらなくなってしまいます。
筋トレ後、体内でたんぱく質が必要とされているときにプロテインを摂取すれば体内で効率良く利用されると考えられるでしょう。
運動後45分間は、傷つけられた筋肉の修復が盛んに行われます*9。
運動直後の栄養素補給についてはさまざまな実験が行われていますが、運動から2時間後に質の高いホエイプロテインを摂取した場合より、運動後45分以内にとうもろこしのような体内での利用率が低いたんぱく質を摂取した場合の方が、体内でのたんぱく質の合成量が大きくなったという一つの実験結果があります*9。
質よりも飲むタイミングが重要だと考えられるのですね。
また筋肉の成長のためには、たんぱく質と同時に炭水化物を摂取することが不可欠であるといわれています。
糖質高配合のプロテインサプリメントは一般的なプロテインドリンクよりもたんぱく質合成を促進する効果が高いことが実験の結果から分かっています[9]。
糖質・プロテインサプリメントの摂取タイミングに関してもさまざまな研究が行われています。
糖質とプロテインのサプリメントは、運動後だけでなく、運動前から摂取することでさらに多くのメリットが得られると考えられます。
運動の10分前に糖質とたんぱく質が入ったドリンクを摂取すると、運動開始時に筋肉が取り込む糖の量が増加しエネルギー源として使用されるため持久力が高まるという研究結果があるのです*9。
また運動中も15〜20分ごとに栄養を補給することで、運動効果を高めたり、回復を早めるための基礎を築いたりできるといわれています[9]。
トレーニングのお供には、特に迅速に吸収されるホエイプロテインがおすすめですよ。
[9] John Ivy, Robert Portman『Nutrient Timing: The Future of Sports Nutrition』
2-2.食事時
食事から摂るたんぱく質が不足している場合には、食事と一緒にプロテインを飲むのも一つの手です。
ただしプロテインだけを食事の代わりに摂ることはおすすめできません。
特に筋肉をつけたい場合は適度な量の糖質を一緒に摂取するようにしてください。
体内に糖質が不足していると不足した分のエネルギーを補うためにたんぱく質が消費されてしまいます。
せっかくプロテインを摂取しても筋肉の材料にならないと考えられるのです。
ダイエット中で糖質を抜きたいと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、糖質の不足は集中力の低下や疲労感にもつながります。
適度な糖質に加えてたんぱく質の摂取量を増やすことがポイントです。
2-3.おやつ時
「ダイエット中なのにおなかが空いてついついおやつを食べちゃう……」
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
おやつ代わりにプロテインを飲むのもおすすめですよ。
特にカゼインプロテインやソイプロテインは吸収が遅くその分腹持ちが良いと考えられるのでおやつにぴったりです。
また運動前に間食としてプロテインを飲んでおくことで、筋肉がエネルギーとして使われて分解されてしまうのを防ぐ効果も期待できます。
2-4.就寝前
寝る前にプロテインを飲むのもおすすめです。
国際スポーツ栄養学会は睡眠前に30〜40gのカゼインたんぱく質を摂取すると就寝中の筋肉のたんぱく質合成と代謝率の向上が見られることを認めています[10]。
就寝中は筋肉を育てるはたらきをする成長ホルモンが多く分泌されます。
眠りに就く前にたんぱく質を補給しておくことで、より筋肉を大きく育てられる可能性があるといえるでしょう。
ただし就寝直前の飲食は胃腸に負担をかけてしまうので布団に入る直前は避け、就寝の数時間前に飲むのがおすすめです。
体を動かしたりトレーニングをしたりした日の夜に飲むだけでも効果が期待できますよ。
[10]「 International society of sports nutrition position stand: nutrient timing」(『Journal of International Society of Sports Nutrition』, 2017 Aug 29)
3.プロテインを飲むタイミングについて まとめ
プロテインは食品由来のたんぱく質を効率良く摂取できるサプリメントです。
筋肉はたんぱく質を材料として運動によって成長するため、トレーニングを行いプロテインでたんぱく質を摂取することで筋肉量アップの効果が期待できます。
また筋肉量の増加は消費カロリーの増加につながるため、たんぱく質をしっかり摂って筋肉をつけることはダイエットにも有効です。
ただし単にプロテインを飲めば良いというものではありません。
一口にプロテインといっても種類があるので、目的に応じて選ぶのがおすすめです。
筋肉をつけたいという方は吸収の早いホエイプロテイン、空腹感を解消したいという方は吸収の遅いカゼインプロテインやソイプロテインを選ぶと良いでしょう。
ソイプロテインは女性らしい美しさや若々しさを保ちたい方にもおすすめです。
またプロテインは飲むタイミングによっても効果が異なると考えられます。
筋肉をつけたい場合は運動の直後に飲むことで、筋肉の成長をサポートする効果が期待できます。
食事からのたんぱく質摂取が不十分である場合には食事と一緒にプロテインを摂取するのも良いでしょう。
またおやつ代わりにプロテインを飲んだり、寝ている間の筋肉の成長をサポートするために就寝の数時間前に飲んだりするのもおすすめです。
目的に応じてプロテインの種類や飲むタイミングを決めるようにしてくださいね。