「ハムストリングってどんな筋肉なんだろう?」
「ハムストリングを鍛えたらどんなメリットがあるのかな……」
筋トレに興味がある方は、このような疑問を抱いたことがあるかもしれません。
ハムストリングは太ももの裏側にある体のなかでも大きな筋肉です。
ハムストリングを鍛えるとヒップアップや下半身を安定させる効果が期待できる上、基礎代謝も向上させられます。
ハムストリングはレッグ・カールやスクワット、レッグ・ランジやヒップ・リフトなどの筋トレによって自宅でも気軽に鍛えられます。
この記事ではハムストリングを鍛えるメリットやトレーニング方法、鍛える際のポイントを解説します。
記事の内容を参考にトレーニングを行ってみてくださいね。
1.ハムストリングを構成する筋肉
「ハムストリングってどんな筋肉なんだろう?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
ハムストリングは、太ももの裏側に位置する「大腿(だいたい)二頭筋」「半腱(けん)様筋」「半膜様筋」という三つの筋肉の総称です。
ハムストリングは股関節や膝関節を曲げたり伸ばしたりするときにはたらきます。
走る際に重要な役割を果たす筋肉であることから「ランニング筋」「ランナー筋」などとも呼ばれ、短距離走者では特に発達しています。
この章では、ハムストリングを構成するそれぞれの筋肉の特徴やはたらきについて解説します。
1-1.大腿二頭筋
大腿二頭筋は、太ももの裏側にある筋肉です。
「長頭」と「短頭」という二つの部位から構成され、その両端は座骨結節(骨盤の下側)と腓骨(ひこつ)(膝から足首までを構成する外側の骨)に付いています。
大腿二頭筋は、主に膝関節を曲げたり伸ばしたりするはたらきを担い、股関節の動きにも関与しています。
大腿二頭筋に柔軟性がなくなると、膝に負担がかかってけがをしやすくなります。
1-2.半腱様筋
半腱様筋は太ももの裏側に位置し、股関節と膝関節をつないでいる筋肉です。
主に膝関節を曲げたり伸ばしたりする動きに関与しています。
また脚を閉じる動きや、ふくらはぎを内側にねじる動きにも関わっています。
1-3.半膜様筋
半膜様筋は半腱様筋と同様に、股関節と膝関節に付いている筋肉です。
半膜様筋は股関節や膝関節の動きに関与しており、特に膝関節の動きに大きく関わっています。
半膜様筋は膝を曲げる際、「内側半月板」や「後方関節包」が挟み込まれるのを防ぐことで、膝関節の動きをスムーズにしています。
2.ハムストリングを鍛えるメリット
「ハムストリングを鍛えると、どのようなメリットがあるんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ハムストリングは体のなかでも大きな筋肉であるため、鍛えることでさまざまなメリットが得られます。
ここではハムストリングを鍛えるメリットを四つご紹介します。
2-1.ヒップアップ
ハムストリングの一部はお尻の筋肉と位置やはたらきが似ているため、鍛えることでヒップアップ効果が期待できます。
ヒップアップの効果が出ると下半身を美しく見せることができます。
めりはりのある下半身をつくりたい方やお尻周りのたるみが気になる方は、ハムストリングを鍛えるのがおすすめですよ。
2-2.基礎代謝を上げられる
ハムストリングを鍛えることで基礎代謝の向上が期待できます。
基礎代謝量は筋肉量の影響を受けるため、筋肉量の増加に伴って向上します。
基礎代謝が上がると何もしていない状態でのエネルギー消費量が増えるため、痩せやすい体になります。
ハムストリングは大きな筋肉であるため、鍛えることで基礎代謝量を効率良く向上させることができます。
効率良く痩せたい方は、大きな筋肉であるハムストリングを鍛えてみましょう。
2-3.下半身が安定する
ハムストリングを鍛えると足腰が強くなるため、下半身が安定します。
脚が弱いと体をしっかり支えられず、バランスが取りにくくなります。
その結果、けがをするリスクが高くなってしまいます。
けがを予防して健やかな毎日を送るためにも、ハムストリングをしっかり鍛える必要があるのですね。
3.ハムストリングを鍛える自重トレーニング
「ハムストリングを鍛えるトレーニングには、どのようなものがあるのかな?」
ハムストリングを鍛えたくても、実際にどのようなトレーニングをすれば良いか分からない方もいらっしゃるでしょう。
この章では、ハムストリングを鍛える自重トレーニングメニューを七つご紹介します。
3-1.レッグ・カール
レッグ・カールはハムストリングを重点的に鍛えられるトレーニングです。
ハムストリングを集中してしっかり鍛えたい方におすすめです。
まず両脚を伸ばしてうつぶせになります。
両手は顔の前に置いてください。
次に膝を曲げて両脚がお尻につくくらいまで上げていきます。
元の位置に戻し、この動作を繰り返し行います。
脚を上げるときはお尻につかないように、脚を下げるときは地面につかないようにすることがポイントです。
また太ももの裏側に負荷がかかっていることを意識しながら行いましょう。
3-2.スクワット
スクワットではハムストリングがある太ももを鍛えられます。
太もも全体を満遍なく強化できるだけでなく、お尻から腹筋、背筋などにも効果があるメニューのため、積極的に日々のトレーニングに取り入れてみましょう。
まず両脚を肩幅程度に開き、爪先を少し外側に向けて立ちます。
次にお尻を引いて、息を吸いながら膝が90度になるくらいまで背中を丸めないよう曲げていきます。
このとき、上半身が前傾し過ぎたり膝が前に出過ぎたりしないようにするのがポイントです。
膝が前に出過ぎた状態で行うと、膝関節に強い負荷がかかって膝を傷めるリスクがあります。
膝を曲げた後は息を吐きながら元の姿勢に戻しましょう。
この動作を繰り返し行います。
3-3.ワイド・スクワット
ワイド・スクワットも、ハムストリングに負荷をかけられるトレーニングです。
両脚を通常のスクワットよりも大きく開いて立つことで、ハムストリングに加え太ももの内側も鍛えることができます。
まず両脚を肩幅よりも大きく開き、胸を張り背筋を伸ばします。
このとき、爪先は膝と同じ方向を向けて立ちましょう。
次に、息を吐きながら太ももが床と平行になるまでお尻を突き出すようにゆっくり下げます。
スクワットと同様に、膝が爪先よりも前に出ないようにするのがポイントです。
息を吸いながら元の姿勢に戻ります。
この動作を繰り返し行いましょう。
3-4.レッグ・ランジ
レッグ・ランジは、ハムストリングがある太もも全体を鍛えられるトレーニングです。
スクワットよりもお尻の筋肉を使うため、ハムストリングに加えてお尻を鍛えたい方におすすめです。
まず手を胸の前で組み、脚は拳一つ分開いて立ちます。
次に片脚を前に大きく踏み出し、ゆっくりと膝を曲げてお尻を下げます。
このとき爪先と両膝を左右とも正面に向け、膝が直角になるよう曲げるのがポイントです。
少しずつ膝を伸ばしながらゆっくりと元の姿勢に戻し、もう片方の脚も同じように行います。
これを繰り返し行いましょう。
3-5.ジャンピング・ランジ
レッグ・ランジにジャンプの動作が加わったジャンピング・ランジは、ハムストリングを鍛えるのに役立つトレーニングです。
体幹や股関節周りを鍛えることも可能で、屋内でできるトレーニングのなかでも筋力を上げる効果が高いといわれています。
まず両脚を前後に開き、膝を曲げ、腰を落とした状態で構えます。
腕を振り上げながらジャンプして空中で後ろの脚を前に、前の脚を後ろに動かし、両脚の位置を入れ替えて着地します。
この動作を繰り返します。
常に体幹に力を入れ、着地の際に腰をしっかり落としましょう。
また両脚の爪先を真っすぐ前に向けることも重要です。
3-6.ヒップ・リフト
ヒップ・リフトでは、ハムストリングだけでなくお尻の筋肉や背中の筋肉も鍛えることができます。
そのためヒップアップや姿勢を整える効果が期待できます。
まず床にあおむけに寝て両脚を肩幅程度に開いて足裏を床につけます。
この際、膝は直角になるように曲げましょう。
次に太ももとお尻が一直線になるまでお尻を持ち上げて、その状態で一時停止します。
ゆっくりと元の姿勢に戻していきます。
この動作を繰り返し行います。
ポイントは反動をつけずにゆっくりと行うことです。
反動をつけると筋肉に負荷がかかりにくくなる上、けがの原因にもなるため注意しましょう。
3-7.ワンレッグ・ヒップ・リフト
ワンレッグ・ヒップ・リフトは、ヒップ・リフトよりも難易度が高いトレーニングです。
片脚を伸ばす動作が加えられているため、ハムストリングやお尻の筋肉などに強い負荷をかけることができます。
まずあおむけに寝転び、足裏を床につけて脚は直角に曲げます。
続いて片脚を伸ばし、お尻を上げておなかから足先までが一直線になるようにします。
そのままの姿勢で一時静止し、ゆっくりと元の姿勢に戻します。
このとき、お尻は床につくギリギリのところで止めましょう。
もう片方の脚も同様に行い、この動作を繰り返します。
伸ばした方の脚を曲げないようにし、頭から足先まで一直線にすることがポイントです。
また爪先を正面に向けるとともに、骨盤が左右にずれないように行いましょう。
4.ハムストリングを鍛える際のポイント
「ハムストリングを効果的に鍛えるポイントってあるのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
せっかくトレーニングを行うなら、効果的にハムストリングを鍛えたいですよね。
この章では、ハムストリングを鍛えるためのポイントを四つご紹介します。
ポイント1 正しいフォームで筋トレを行う
トレーニングを行う際には正しいフォームを意識することが重要です。
正しいフォームでトレーニングを行うと効果が表れやすく、関節などに負担をかけないためけがも防げます。
誤ったフォームではトレーニングを続けても効果を十分に得られず、けがをするリスクも高くなってしまいます。
加えて鍛えたい部位以外の筋肉が疲れたり張ったりする恐れもあるため注意が必要です。
自宅でトレーニングを行うとどうしても自己流になりやすく、フォームが崩れてしまうこともあります。
自分のフォームが正しいかは全身を大きな鏡で映したり、スマートフォンで動画を撮影したりして確認したりしてみましょう。
ポイント2 トレーニングの前後にストレッチをする
トレーニングの前後にストレッチを行うことが重要です。
ストレッチは筋肉や関節の柔軟性を高める柔軟運動のことで、けがの予防や疲労回復などの効果が期待できます。
ストレッチには大きく分けて「動的ストレッチング」と「静的ストレッチング」の2種類があります。
動的ストレッチングは一定の方向に関節を動かすことで筋肉を繰り返し伸び縮みさせる柔軟運動です。
一方、静的ストレッチングは一定の方向に筋肉を伸ばしたまま静止する柔軟運動です。
主に前者はトレーニング前に筋肉をほぐして体を温めるために行い、後者はトレーニング後に疲労回復を目的に行われます。
ただし間違った方法でストレッチを行うと、かえって筋を傷めたり十分な効果が期待できなかったりするため注意が必要です。
ストレッチは以下の五つのポイントを意識して行いましょう。
【ストレッチを行う際に注意すること】
- 20秒以上時間をかけて行う[2]
- 伸ばす筋肉を意識する
- 気持ち良いと感じる程度に伸ばす
- 呼吸を止めない
- 目的に応じて部位を選択する
ポイント3 たんぱく質を十分に摂取する
トレーニングの効果を高めるためには、たんぱく質を十分に摂取することも重要です。
トレーニングを行うと、筋肉を構成する「筋線維」が傷つきます。
傷ついた筋線維が修復される際に「超回復」という現象が起こって筋肉が元の状態よりも太くなります。
繰り返し超回復が起こることで筋肉はより太くなり、筋力が上がります。
そしてこの超回復に重要なのが、たんぱく質の補給なのです。
トレーニングの効果を高めるには、たんぱく質を豊富に含む肉や卵、豆などの食品を意識的に日々の食事に取り入れましょう。
ただし一度に大量のたんぱく質を摂取しても吸収できる量には限界があるため、こまめに摂取することが重要です。
ポイント4 トレーニングは毎日行わず数日空ける
筋線維の修復には、たんぱく質の十分な摂取に加えて休養も重要です。
トレーニングで傷ついた筋肉をしっかり休養させて栄養を与えることで、修復される際に筋肉を大きくすることができます。
筋肉の修復には2~3日かかるため、トレーニングは毎日ではなく1週間に2~3回のペースで行うのがおすすめです[4]。
また疲労が十分に回復しない状態で筋トレを繰り返すとオーバートレーニング症候群に陥ってしまう可能性があります。
トレーニングに慣れてくるとつい毎日鍛えたくなりますが、効率良く筋肉を鍛えるためにはしっかり休養をとるようにしましょう。
5.ハムストリングを鍛える際のポイントのまとめ
ハムストリングは太ももの裏側にある筋肉、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の総称です。
ハムストリングを鍛えるとヒップアップが目指せて下半身が安定する他、基礎代謝も向上します。
ハムストリングを自宅で気軽に鍛えられる筋トレにはレッグ・カールやスクワット、レッグ・ランジ、ヒップ・リフトなどの自重トレーニングがあります。
筋トレは正しいフォームで行うことやたんぱく質を十分に摂取すること、適切な休養期間をとることなどにより効果を高めることができます。
またトレーニングの前後にストレッチを行うとけがの予防にもなり、疲労も回復しやすくなります。
ハムストリングを鍛えたい方は、この記事を参考にトレーニングに取り組んでみてくださいね。