「口内炎ができる原因って何だろう」
「口内炎を早く治すためにはどうしたら良いのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
口内炎は口内の粘膜で起こる炎症のことをいいます。
痛みによってしゃべりづらさや、食べにくさなどを感じたことがある方も多いでしょう。
口内炎ができたら、できるだけ早く治したいものですよね。
この記事では口内炎の原因や分類別の特徴、早く治すためのポイントを詳しく解説します。
ぜひ参考にしてくださいね。
1.口内炎の原因
口内炎は口内の粘膜に起こる炎症のことで、頬や唇の裏側、喉や舌などに現れます。
痛みや不快感を伴うため、食事や会話といった日常生活に支障を来すことがあります。
口内炎の原因はさまざまです。
この章では主な原因について詳しく解説するので参考にしてくださいね。
【関連情報】 「口内炎とは?原因や種類、予防や早期改善のためのポイントを解説」についての記事はこちら
1-1.栄養不足
栄養不足は口内炎の原因となります。
特にビタミン類が不足していると口内炎ができやすいといわれています。
なかでも不足すると口内炎の原因になるといわれているのはビタミンB2やビタミンB6です。
体に必要な栄養素をバランス良く摂取するには、ごはんなどの主食、肉や魚を使った料理である主菜、野菜などを使った副菜が組み合わされた食事が理想的だといわれています。
副菜は主食や主菜から十分に摂れないビタミン類や食物繊維などを摂る上で重要です。
忙しく、主食中心の食事で済ませてしまっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
栄養不足は口内炎の他にもさまざまな不調を引き起こすのでバランスの取れた食生活を心掛けましょう。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
1-2.疲れやストレス
口内炎は疲れやストレスが原因で起こることがあります。
私たちの体のさまざまな機能は「自律神経」などによって調整されており、疲れやストレスなどでこの機能に問題が起こると口内炎ができやすくなります。
「交感神経」は主に活発に活動するときや緊張したり興奮したりしているときに優位になり、「副交感神経」は睡眠中や食事中などリラックスしているときに優位になります。
通常はこれらの神経が切り替わりながら体の機能を調節しています。
しかしストレスがあると、交感神経が優位になって副交感神経のはたらきが低下するといったバランスの乱れが生じ「免疫機能」が低下します。
さらに交感神経が刺激されることで、殺菌作用や抗菌作用を持つ唾液の分泌量も減少します。
免疫機能の低下や唾液の分泌量の減少によって、口内で細菌が繁殖しやすくなり口内炎ができるのです。
また、免疫機能の低下は睡眠不足によっても引き起こされます。
ストレスで十分眠れていない状態では、免疫機能が維持できず口内炎が起こりやすくなります。
1-3.口内のけが
口内が傷つくことも口内炎の原因の一つです。
誤って口の中を噛んでしまい、口内炎ができてしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。
口内のけがは、誤って口の中を噛んでしまうことや入れ歯や矯正器具などが強く当たることなどで起こります。
その他に、熱い食べ物によるやけどなどで粘膜が傷つくこともあります。
このように、口内が傷つくとそこから細菌が侵入し口内炎が生じます。
1-4.薬の副作用
内服している薬によって口内炎が起こることがあります。
ヒトの皮膚や口腔、鼻腔、胃、腸、膀胱(ぼうこう)などには、「常在菌」と呼ばれる微生物が多く存在しています。
通常、常在菌は他の菌と共にバランスを保ちながら共存しており、健康に悪い影響を与えることはありません。
しかし「抗菌薬」や「抗生物質」を使用することで、常在菌のバランスが崩れると口内炎を引き起こすことがあります。
抗菌薬などを使用すると「病原菌」だけでなく、その他の細菌も攻撃されます。
この結果として常在菌の「カンジダ菌」が異常に増殖し、口内炎が生じやすくなります。
そのため、抗菌薬などを長期的に内服する場合には特に注意が必要です。
1-5.ウイルスや菌
ウイルスや細菌が原因で口内炎が起こることがあります。
代表的なものには、ヘルペス性口内炎があります。
ヘルペス性口内炎は「単純ヘルペスウイルス」に感染することで起こり、乳幼児に多く見られるといわれています。
一度感染するとウイルスが体内に残り続けるため、大人になって体調を崩した際に繰り返し再発する場合があります。
1-6.アレルギー
口内炎は「アレルギー反応」によって生じることがあります。
銀歯や義歯に使用されている金属、果物や野菜といった食品が原因で口内炎が生じることがあるといわれています。
また原因ははっきりしていませんが、薬によるアレルギー反応によって口内炎が生じることもあると考えられています。
薬を服用し始めてから口内や唇が荒れるなどの症状が続いたり、急激に悪化したりする場合は直ちに病院を受診するようにしましょう。
1-7.たばこ
口内炎はたばこが原因で起こることがあります。
たばこには有害物質である「ニコチン」などが含まれています。
ニコチンは交感神経を刺激する作用を有するため、喫煙により唾液の分泌量の減少や、血管の収縮などが起こります。
これにより口内が乾燥し細菌が繁殖しやすい環境がつくられてしまいます。
またニコチンは口内の粘膜を直接刺激し、傷つけたり血流を悪化させたりするともいわれています。
さらにたばこの煙が持つ熱によっても、口内の乾燥が促進されます。
2.分類別の口内炎の特徴
「違う原因でも口内炎の症状は同じなのかな?」
口内炎は分類によって粘膜に見られる炎症の形状などが異なり、なかには発熱などを伴うものもあります。
この章では口内炎の分類や特徴を詳しく解説します。
2-1.アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は一般的に最も多く見られる口内炎です。
原因ははっきりと分かっていませんが、ストレスや疲れなどによる免疫機能の低下、睡眠不足、栄養不足などで引き起こされると考えられています。
頬や唇の内側、舌、歯茎などに、直径3~5ミリのアフタと呼ばれる白っぽい潰瘍が見られ「潰瘍性口内炎」とも呼ばれます[2]。
白っぽい潰瘍と周囲の粘膜との境目がはっきりしている特徴があり、悪化すると出血を伴うことがあります。
また単体で出現するだけでなく、小さなものが同じ箇所に複数発生することもあります。
アフタ性口内炎は刺激痛を伴いますが、通常1~2週間程度で自然に消失するといわれています[2]。
[2] 日本医師会 健康の森「主な口内炎の特徴」
2-2.カタル性口内炎
カタル性口内炎は口内の粘膜が傷つき、そこから細菌が入り込むことによって起こる口内炎です。
頬の内側を誤って噛む、入れ歯・矯正器具などが強く当たる、熱い食べ物でやけどするといったことなどが原因で傷が生じます。
カタル性口内炎には口の中の粘膜が赤くなったり、ザラザラになったりする特徴があります。
炎症部分が白くなることもありますが、アフタ性口内炎に比べると粘膜との境目ははっきりしません。
カタル性口内炎の症状には、口の中に焼けるような灼熱感が生じる、口臭が強くなる、酸味や辛味がある食べ物によって痛みを感じるといったものがあります。
2-3.ウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎は、ウイルスや細菌の感染によって起こる口内炎のことです。
代表的なものにヘルペス性口内炎があります。
ヘルペス性口内炎の症状は、口内の粘膜の水疱(すいほう)や歯茎の炎症などで、発熱を伴うこともあります。
水疱が破れると潰瘍になり、激しい痛みが生じます。
乳幼児の感染が多く、症状が治まってもウイルスが残り続けることが特徴です。
しかし大人になって再発しても比較的軽いといわれています。
この他に、エンテロウイルスが原因で口内炎ができることがあります。
咳やくしゃみなどでエンテロウイルスに感染すると、手足口病を発症することがあります。
手足口病では手や足に水疱のある発疹ができ、口内の粘膜に軽い発疹や痛みの強い潰瘍のような口内炎ができます。
口内炎が悪化すると食事をとることが難しくなりますが、1週間程度で治るとされています[3]。
[3] 日本医師会 白クマ先生の子ども診療所「夏かぜ(手足口病等)」
2-4.カンジダ性口内炎
カンジダ性口内炎は、口腔内でカンジダという常在菌(真菌)の一種が増殖して起こるものです。
カンジダ性口内炎では、最初に口の中が部分的にしみる症状が現れます。
次第に、頬の内側や唇の裏側などに白い薄皮が生じます。
白い薄皮が剥がれると赤みを帯びて腫れますが、痛みは比較的軽いのが特徴です。
高齢者に多く見られますが、風邪などで免疫機能が低下した場合や、抗菌薬の服用で常在菌のバランスが崩れた場合にも起こることがあるといわれています。
2-5.その他の口内炎
義歯の金属や食物によるアレルギー反応で生じる口内炎をアレルギー性口内炎といいます。
頬の内側、唇、舌などに白色の潰瘍ができるなど、アフタ性口内炎のような症状が現れるのが特徴です。
加えて白い潰瘍の周囲が赤く腫れ、痛みを伴います。
また、喫煙習慣によって生じる口内炎はニコチン性口内炎です。
舌に白い斑点が生じる、上顎に白っぽいシワができて厚くなり赤い斑点ができるといった症状が見られます。
痛みが軽く自覚症状に乏しいことがありますが、食べ物でしみる、ピリピリとした刺激を感じるといった症状が現れることがあります。
3.口内炎を早く治すためのポイント
「口内炎を早く治すためにはどうしたら良いんだろう?」
このように気になっている方も多いでしょう。
この章では、痛みや不快感を伴う口内炎をできるだけ早く治すためのポイントを詳しく解説します。
日常生活で取り組みやすいポイントなので、ぜひ参考にしてくださいね。
ポイント1 口内環境を整える
口内炎を早く治すためには、口内環境を整えることが重要です。
歯磨きやうがいなどで口内を清潔に保つようにしましょう。
口の中の細菌が繁殖した不衛生な状態では、口内炎が発生しやすくなります。
食後には歯磨きなどによって口内をきれいにするようにしてくださいね。
ただし歯磨きをする際に力を込め過ぎると口内を傷つけて口内炎の原因になるため、優しく磨くようにしましょう。
また口の中が乾くと口内の菌が繁殖しやすくなります。
日頃からこまめに水分を摂るようにしてくださいね。
喫煙による刺激や乾燥などが原因で起こるニコチン性口内炎は、禁煙によって改善が見込めるといわれています。
その他にも、入れ歯や矯正器具などで口内が傷ついて口内炎が生じている場合は、歯科で不具合を改善しましょう。
ポイント2 バランスの良い食事を摂る
口内炎を早く治すためには、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食生活が基本です。
その上で、皮膚や粘膜の健康をサポートするはたらきがあるビタミンB2やビタミンB6を積極的に摂取しましょう。
ビタミンB2は牛や豚のレバーなどから、ビタミンB6はにんにく、まぐろ、かつおなどから摂ることができます。
口内炎が生じた際には、このような食材を選ぶことで効率良くビタミン類を補うことができそうですね。
ポイント3 十分な睡眠をとる
口内炎をできるだけ早く治すためには十分な睡眠をとるようにしましょう。
睡眠不足になると免疫機能が低下し、菌が繁殖して口内炎を引き起こすことがあります。
睡眠は心身の疲労を回復し、健康的な毎日を送るために重要です。
必要な睡眠時間には個人差がありますが、成人においては6〜9時間程度とされています[4]。
良い睡眠は、睡眠の量や質が保たれていること、睡眠によって休養が取れていると感じられることなどが目安となります。
良質な睡眠をとるためには、生活習慣や睡眠環境を整えることが重要です。
夜更かしや休日の寝坊、昼寝のし過ぎなどを避け、朝はできるだけ太陽の光を浴びるようにしましょう。
そうすることで「体内時計」が整い、寝つきが良くなるといわれています。
その他、ほど良い肉体的疲労があると深い眠りを得ることができます。
午後に軽く汗ばむ程度の「有酸素運動」を行うことがおすすめです。
また、寝室は眠りやすい環境に整えるようにしましょう。
ベッドや布団、枕などは自分に合ったものを選び、照明は自分が不安にならない程度の暗さに調整してくださいね。
口内炎を改善するには、生活習慣を整えることなどによって十分な睡眠を確保する必要があるのですね。
[4] 厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計」
ポイント4 ストレスをため込まない
口内炎を治すためにはストレスをため込まないことが重要です。
ストレスがあると交感神経が優位になり、免疫機能の低下や唾液の分泌量の減少を招き、口内に雑菌が繁殖しやすくなります。
そのため、日頃からストレス解消を心掛けましょう。
ストレス解消の方法には、好きな音楽を聞く、映画を見るといったものがあります。
自分に合った方法でストレスを解消するようにしてくださいね。
ストレスの解消法については以下の記事で詳しく解説しています。
ストレスとは?つらくなる仕組みと気持ちが楽になる日々の習慣を紹介
4.症状がひどい場合は受診しよう
口内炎の症状が強く生活に支障を来す場合や、再発を繰り返している場合には病院を受診するようにしましょう。
口内炎の診療は耳鼻咽喉科の他、口腔外科や歯科、内科、皮膚科などで行われます。
受診前に口内炎を診ているか確認しておくと良いでしょう。
口内炎の治療では主に軟こうの処方やレーザー照射が行われます。
レーザー治療ではつらい痛みが改善されるという利点があります。
また、口内炎だと思っていても別の病気を発症していることがあります。
口内炎と間違えやすい病気には「舌がん」「白板症」「紅板症」などがあり、これらは口腔外科での治療が必要です。
舌がんは赤と白が交ざったような見た目で、アフタ性口内炎の色みに似ているといわれています。
初期は痛みがなく、自然に治らないという点で口内炎と見分けることができます。
白板症は口腔がんに発展する恐れがある病気です。
舌や頰の粘膜、歯肉の一部が白くなり、食事の際にしみる、歯ブラシが当たると痛いといった症状が現れます。
症状の範囲が徐々に大きくなり、白い部分が厚く盛り上がって潰瘍やしこりが現れるといわれています。
紅板症はがんになっている可能性が高い病気です。
舌や歯茎などの一部が鮮紅色になり、食べ物や歯ブラシなどが当たると刺激が生じます。
このように口の病気には、口内炎と間違えやすいものもあるため、これらの症状が見られた場合には病院を受診するようにしましょう。
5.口内炎の原因についてのまとめ
口内炎は頬の内側や唇の裏側、喉や舌など口内の粘膜に起こる炎症のことです。
痛みや不快感を伴うため、食事や会話といった日常生活に支障を来すことがあります。
口内炎の原因にはさまざまなものがあります。
栄養不足や疲れ、ストレス、口内のけがなどが原因でできた口内炎には心当たりがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
また薬の副作用、ウイルスや菌の感染、アレルギー、たばこも口内炎の原因になり得ます。
口内炎にはアフタ性口内炎、カタル性口内炎、ウイルス性口内炎、アレルギー性口内炎、ニコチン性口内炎などがあり、それぞれ症状や原因が異なります。
口内炎を早く治すためには口内環境を整える、バランスの良い食事を摂る、十分な睡眠をとる、ストレスをため込まないことなどが重要です。
また口内炎による症状が強く、生活に支障が生じる場合や長引く場合などには、病院を受診するようにしましょう。
口内炎と間違いやすい病気に舌がんや白板症、紅板症などがあります。
ご自身の口内炎の原因を知り、対策を取るための参考にしてくださいね。