口内炎とは?原因や種類、予防や早期改善のためのポイントを解説

2024年04月15日

2024年08月21日

「どうして口内炎ができるんだろう?」

「口内炎を早く治すにはどうしたら良いのかな?」

口内炎が起こると食事などで痛みが生じ日常生活に支障を来すため、このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。

口内炎にはさまざまな種類があり、現れる症状や原因が異なります。

口内炎の予防や改善のためにはバランスの良い食事を心掛けたり、ストレス解消をしたりすることが重要です。

この記事では口内炎の原因や種類、予防・改善するためのポイントなどを詳しく解説します。

できるだけ早く治したい方は、ぜひ参考にしてくださいね。

1.口内炎とは

鏡で舌の裏側をチェックする男性

口内炎とは、口の中の粘膜に起こる炎症のことです。

頰の内側や唇の裏側、喉、舌など口内のあらゆる粘膜で起こり、痛みや不快感を伴います

口内炎が生じたことによって、食事や歯磨きの際に口の中が痛んだ経験をしたことがある方もいらっしゃるでしょう。

口内炎が起こると、日常生活で食事や会話がしづらいといった支障を来します。

口内炎の種類によっては再発を繰り返すことがあるため、口内炎の種類を理解し適切に対処していく必要があります。

それでは早速、口内炎の種類をみていきましょう。

2.口内炎の種類と原因

鏡で顔をチェックする女性

「口内炎にはいくつかの種類があるの?」

このように驚いた方もいらっしゃるかもしれませんね。

口内炎は比較的身近な症状ですが、その種類について知らないという方も多いでしょう。

この章では、口内炎の種類や原因などの特徴をご紹介します。

【口内炎の種類や原因、特徴】

  1. アフタ性口内炎……一般的に最も多く見られ、はっきりした原因は分かっていない。頰の内側や唇の裏側などに見られ、白っぽい潰瘍と周囲の粘膜との境目がはっきりしているのが特徴である。
  2. カタル性口内炎……頰の内側を誤って噛んだ傷や入れ歯・矯正器具などの刺激によって起こる。口の中の粘膜が赤く炎症を起こしたり、ザラザラになったりするのが特徴である。
  3. ウイルス性口内炎……ウイルスや細菌の感染によって起こる口内炎で、発熱を伴うものもある。
  4. アレルギー性口内炎……銀歯などに使用される金属や食べ物などでアレルギー反応が起こることが原因である。アフタ性口内炎のように白色の潰瘍ができるなどの特徴がある。
  5. ニコチン性口内炎……喫煙習慣が原因で起こる。舌に白い斑点がある、上顎に白っぽいシワができて厚くなり赤い斑点ができるという症状が見られる。

2-1.アフタ性口内炎

アフタ性口内炎は、口の粘膜に直径3~5mmのアフタと呼ばれる白っぽい潰瘍ができるもので、潰瘍性口内炎ともいわれます[1]。

一般的に最も多く見られるのがこのタイプの口内炎です。

頰の内側や唇の裏側、舌、歯茎などに見られ、白っぽい潰瘍と周囲の粘膜との境目がはっきりしているのが特徴です。

刺激痛を伴い悪化すると出血することがありますが、一般的に1~2週間程度で自然に消失します[1]。

また単体で出現するだけでなく、小さなものが同じ箇所に複数発生することもあります。

アフタ性口内炎はストレスや疲れなどによる「免疫機能」の低下、睡眠不足、ビタミン不足などで引き起こされると考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません

免疫機能とは
体内に侵入したウイルスや菌などを攻撃して排除するために体に備わっている仕組みのことです。

その他に、誤って口の中を噛んで粘膜が傷つくことでできることもあります。

[1] 日本医師会 健康の森「主な口内炎の特徴

2-2.カタル性口内炎

カタル性口内炎は、口の中の粘膜が赤く炎症を起こしたり、ザラザラになったりする特徴が有ります

カタルとは一般に粘膜で起こる滲出(しんしゅつ)性の炎症のことで、滲出とは炎症によって分泌物が出ることを指します。

白くなることもありますが、アフタ性口内炎に比べると粘膜との境目ははっきりしません。

口の中に焼けるような灼熱(しゃくねつ)感が生じたり、口臭が強くなったりする他、酸味や辛みがある食べ物によって痛みを感じることがあります。

カタル性口内炎は、頰の内側を誤って噛んだ傷や入れ歯・矯正器具などの刺激によって菌が繁殖することが原因だといわれています。

また熱い食べ物によるやけどが原因で生じることもあります。

2-3.ウイルス性口内炎

ウイルス性口内炎とはウイルスや細菌に感染することで起こる口内炎のことです。

代表的なものには、ヘルペス性口内炎やカンジダ性口内炎などがあります

ヘルペス性口内炎は「単純ヘルペスウイルス」への感染によって起こり、乳幼児に多く見られるといわれています。

一度感染するとウイルスが体内に残り続けるため、大人になって体調を崩した際に繰り返し再発する場合があります。

ヘルペス性口内炎で現れる症状は、口の粘膜の水疱(すいほう)や歯茎の炎症、発熱などです。

水疱が破れると潰瘍になり、激しい痛みが生じます。

これらの症状は乳幼児期に感染すると強く現れますが、大人になって再発した場合には比較的軽いといわれています。

カンジダ性口内炎は、口腔(こうくう)内でカンジダというカビ(真菌)が増殖して起こります

カンジダは皮膚や口腔内の「常在菌」の一つです。

常在菌とは
ヒトの皮膚や口腔、鼻腔、胃、腸、膀胱(ぼうこう)などさまざまな場所に生息している微生物(細菌)のことです。

通常であれば健康に悪い影響を与えることはありませんが、免疫機能が低下することなどで他の常在菌より優位になるとカンジダ性口内炎を引き起こします

カンジダ性口内炎では頰の内側や唇の裏側などに白い薄皮ができ、それが剥がれると赤みを帯びて腫れることがあります。

2-4.アレルギー性口内炎

アレルギー性口内炎は「アレルギー反応」が起こることで、口の中の粘膜に炎症が生じるものです。

アレルギー反応とは
ダニやスギ花粉、食物などのある特定の異物に対して免疫機能が過剰に反応し、さまざまな症状が引き起こされる状態をいいます。例えばダニやほこりなどが原因で起こるアレルギー性鼻炎では、くしゃみや透明な水溶性の鼻水、鼻づまりなどの症状が現れます。

頰の内側、唇、舌などに白色の潰瘍ができて周囲が赤く腫れ、痛みが生じるなど、アフタ性口内炎と同様の症状が現れます。

主に銀歯や義歯に使用されている金属、果物や野菜(トマト、キウイ、マンゴー、グレープフルーツなど)、薬などに対してアレルギー反応が起こることが原因と考えられています。

2-5.ニコチン性口内炎

ニコチン性口内炎は喫煙習慣によって起こります

たばこには「ニコチン」などの有害物質が多く含まれています。

ニコチンとは
タバコの葉に含まれ、毒物として指定されている化学物質です。喫煙によって煙から体内に取り込まれ、強い依存性があります。

ニコチンには「交感神経」を刺激する作用があり、それによって血管の収縮、血流の悪化を招きます。

交感神経とは
体温や血圧など体の機能を調整する「自律神経」の一つです。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は活動するときにはたらき、心拍数や血圧を上げます。一方副交感神経は体を休めるときに優位になり、心拍数や血圧を下げます。

そのため喫煙が繰り返されると口の粘膜への血流が滞り、十分な栄養が行き渡らず口内炎ができやすくなります

また交感神経が刺激されることによって、唾液の分泌量も低下します

唾液には殺菌作用や抗菌作用があるため、口内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなり、口内炎を引き起こす原因となります。

さらに、喫煙によって煙が持つ熱が口内に入ることでも乾燥が促進されます。

ニコチン性口内炎では、舌に白い斑点がある、上顎に白っぽいシワができて厚くなり赤い斑点ができるという症状が見られます

痛みを生じることはあまりないといわれていますが、食べ物を食べた際に染みるといった症状を感じることがあります。

3.口内炎を予防・改善するためのポイント

「口内炎ができやすいけど、予防する方法ってあるのかな?」

「口内炎ができたときに早く治すためのポイントを知りたい」

口内炎が起こると、食べたり話したりすることでも痛みが強くなるため、このように気になる方もいらっしゃいますよね。

口内炎の予防や改善のためには、口内環境を整えたりバランスの良い食事を心掛けたりすることが重要です。

口内炎を予防・改善するためのポイント

ポイント1 口内環境を整える

歯磨きをする女性

口内炎の予防や治療のためには口内環境を整えることがポイントです。

食後の歯磨きやうがいなどで口内を清潔に保ちましょう。

歯磨きをする際に強く磨き過ぎると口内を傷つけ、口内炎の原因になるため優しく磨くよう心掛けてくださいね。

また口の中が乾くと菌が繁殖しやすくなるので、こまめに水分を摂るようにしましょう。

喫煙で乾燥することなどが原因で起こるニコチン性口内炎は、禁煙によって改善が見込めるといわれています。

もし入れ歯や矯正器具などが原因で口内が傷ついている場合は、歯科で不具合を改善する必要があります。

このようにそれぞれの原因に合った対処法によって、予防・改善に努めてくださいね。

ポイント2 タオルや食器を清潔に保つ

畳んだタオル

ウイルスが原因でできる口内炎を予防するには、普段使っているタオルや食器などを常に清潔にすることが重要です。

ウイルス性口内炎は唾液から人に感染する恐れがあるため、症状がある場合は食器やタオルなどの共有を避けてください。

またウイルス性口内炎は市販の塗り薬などを使うことによって症状が悪化することがあります

ウイルス性口内炎が疑われる場合には病院を受診し、適切に治療を受けるようにしましょう。

ポイント3 バランスの良い食事を摂る

バランスの良い食事

口内炎の予防・治療のためには、バランスの良い食事を摂りましょう

なかでも積極的に摂取したいのは、ビタミン類です。

ご飯などの主食、魚や肉を使った主菜だけの食生活では、ビタミン類が不足しがちです。

主食や主菜に加え、野菜やきのこなどの副菜を取り入れることでバランス良く栄養を摂ることができます。

またビタミン類のなかでも、ビタミンB2やビタミンB6には皮膚や粘膜の健康をサポートするはたらきがあるため、十分に摂取すると良いでしょう。

ビタミンB2を多く含む食品には、牛や豚のレバー、干しのり、乾燥したまいたけやしいたけなどがあります。

またビタミンB6はにんにく、まぐろ、かつおなどから摂ることができます。

その他にも口内炎ができているときに辛いものや熱過ぎるものを食べると、症状が悪化する恐れがあるため注意が必要です。

口内炎を改善するためには、刺激の強い食べ物は極力控えるようにしてくださいね。

ポイント4 十分な睡眠をとる

ベッドルーム

口内炎を予防・改善するためには睡眠不足にならないよう生活習慣を整えることが重要です。

睡眠はヒトの心と体を休ませる重要な役割があり、それに加えて免疫機能を高めるのにも関与していると考えられています。

そのため睡眠不足があると免疫機能が低下し、菌が繁殖することで口内炎を引き起こすことがあります

十分な睡眠をとるためには、朝早く起きて太陽の光を浴びることが効果的です。

日中に太陽の光を浴びると、就寝のタイミングに合わせて睡眠を促すホルモンが分泌されスムーズな入眠が期待できるといわれています。

朝目覚めたら部屋に太陽の光を取り入れ、日中にできるだけ日光を浴びるようにしましょう。

口内炎を予防・改善のためには、めりはりのある生活を送り十分な睡眠を確保することが重要なのですね。

ポイント5 ストレスをため込まない

イヤホン

口内炎を予防・改善するためにはストレスをため込まないことが重要です。

ストレスがあると交感神経が優位になり、免疫機能の低下や唾液の分泌量の減少を招き、口内に雑菌が繁殖しやすくなります。

また免疫機能が低下することで、口内の小さな傷に雑菌が感染しやすくなります。

好きな音楽を聞く、映画を見るといった自分に合った方法でストレスを解消するようにしてくださいね。

4.口内炎の症状がひどい場合は受診しよう

口内炎の症状が強く生活に支障を来す場合や、再発を繰り返す場合には病院を受診するようにしましょう

口内炎と間違えやすい病気には「舌がん」や「白板症」、「紅板症」などがあり、これらは口腔外科での治療が必要です。

舌がんは赤と白が混ざったような見た目で、色調はアフタ性口内炎に似ているといわれています。

初期は痛みがなく、自然に治らないという点で口内炎と見分けることができます。

また白板症は口腔がんになる恐れがある病気です。

舌や頰の粘膜、歯肉の一部が白くなるもので、食事の際に染みたり、歯ブラシが強く当たって痛みが生じたりする症状が現れます。

患部の範囲は徐々に大きくなり、白い部分が厚く盛り上がって潰瘍やしこりが現れるようになるといわれています。

紅板症はがんになっている可能性が高い病気です。

舌や歯茎などの一部が鮮紅色になり、周囲の粘膜との色の違いがはっきりしています。

食べ物や歯ブラシなどが当たると刺激が生じます。

このように口内炎だと思っていても別の病気を発症していることがあるため、これらの症状が見られた場合には病院を受診するようにしましょう。

その他にも生活に支障がある場合や再発を繰り返す場合、同時に多数できている場合などには病院を受診することが重要です。

5.口内炎についてのまとめ

口内炎は、口の中の粘膜に起こる炎症のことです。

頰の内側や唇の裏側、喉や舌などの口内のあらゆる場所に生じ、痛みや不快感を伴います

口内炎は種類によって原因や症状がさまざまです。

多く見られるものはアフタ性口内炎で、その他にもカタル性口内炎、ウイルス性口内炎、アレルギー性口内炎、ニコチン性口内炎などがあります

口内炎ができる原因にはビタミン不足、ストレスなどによる免疫機能の低下、外的な刺激による粘膜の損傷、ウイルスへの感染などがあります。

口内炎を予防・改善するためには口内環境を整える、バランスの良い食事を摂る、十分な睡眠をとる、ストレスをため込まないことなどが重要です。

またウイルス性口内炎は唾液などから感染が広がる恐れがあるため、タオルや食器を共有せず清潔に保ちましょう。

口内炎による症状が強く、生活に支障が生じる場合や長引く場合などには、白板症や紅板症などを発症している恐れがあるため医療機関を受診してくださいね。

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