「機能性表示食品ってなんだろう?」
「機能性表示食品には本当に効果があるのかな?」
機能性表示食品という言葉を見聞きしたことがあっても、どのような食品なのか、本当に効果があるのかよく分からないという方もいらっしゃるでしょう。
機能性表示食品とは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。
機能性表示食品は、国の定めるルールに基づいて健康の維持および増進に役立つ機能を表示することができます。
この記事では機能性表示食品がどういうものなのか、また、使用する際のポイントや自分に合った選び方を詳しく解説します。
機能性表示食品と間違われやすい栄養機能食品や特定保健用食品についても解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.機能性表示食品とは
「機能性表示食品ってなんだろう?」
と気になっている方もいらっしゃいますよね。
機能性表示食品とは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。
具体的には「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康の維持および増進に役立つ機能性を表示することができる食品です。
機能性表示食品は、国の定めるルールに基づいて機能性が表示されます。
それでは、機能性表示食品の制度から解説します。
1-1.機能性表示食品の制度
機能性表示食品の制度は、消費者が誤認せず自主的かつ合理的に商品を選択できるよう作られたもので、2015年4月に新しく始まったものです。
機能性表示食品は、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことで、販売前に消費者庁へ必要書類を届け出る必要があります。
食品の安全性および機能性の科学的根拠などの必要事項を、販売の60日前までに消費者庁長官に届け出ることで機能性を表示することができます[1]。
このような機能性の表示は、事業者が国の定めたルールにのっとって食品の安全性や機能性を評価し、事業者自らの責任において適正に行われます。
ただしあくまで事業者の責任において表示するもので、食品ごとに消費者庁長官が審査や許可を行ったものではないため注意が必要です。
「機能性表示食品は本当に安全なの?」
「機能性表示食品には本当に効果があるの?」
と疑問を抱いている方もいらっしゃるでしょう。
機能性表示食品の安全性は、今まで広く食べられていたかという食経験、安全性に関する既存情報の調査、動物やヒトを用いた安全性試験のいずれかによって評価されます。
この他、医薬品との相互作用などについても評価されます。
また、機能性表示食品の機能性は、最終製品を用いた臨床実験、もしくは最終製品または機能性関与成分に関する文献調査(研究レビュー)によって評価されます。
これによりどのような科学的根拠に基づき、どのような人がどのように摂取するとどのような機能性が発揮されるのかが体系的に評価されるのです。
研究レビューでは、機能性について肯定的な論文だけを意図的に抽出することはできず、事前に決められた手順により論文を選別し、機能性の科学的根拠を総合的に評価します。
事業者はこの評価のプロセスと結果を公開しなければなりません。
なお最終製品を用いた臨床試験によって科学的根拠が示されている場合、パッケージには「○○の機能があります」といった表示がされます。
一方、研究レビューによって科学的根拠が示されている場合、基本的に「○○の機能があると報告されています」といった表示が行われます。
また販売後の食品は消費者庁が中心となって監視されます。
[1] 消費者庁「「機能性表示食品」って何?」
1-2.機能性表示食品の対象となる製品と消費者
機能性表示食品は一部の食品を除き、生鮮食品を含めた全ての食品が対象です。
また機能性表示食品の対象となる消費者は健康な成人で、妊娠を計画している人、妊産婦、授乳婦を除きます。
機能性表示食品は誰でも利用して良いというわけではないため、利用の可否をご自身で確認することが重要です。
1-3.機能性表示食品に表示される情報
機能性表示食品のパッケージを詳しく見たことがないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
機能性表示食品のパッケージは、国の定めるルールに基づき表示が行われます。
表面には「機能性表示食品」の表示の他、事業者が消費者庁に届け出た有効成分および機能性、機能性表示食品の届出番号が表記されます。
またパッケージの裏面には、1日の摂取量の目安や摂取方法、注意事項が記されます。
この他、機能性表示食品は医薬品ではない旨や機能性表示食品の対象者、食生活に関する注意事項、1日当たりの摂取目安量に含まれる機能性関与成分の量、問い合わせ用の電話番号などが記載されます。
2.機能性表示食品を使用する際のポイント
機能性表示食品を使用する際には、いくつかの注意点があります。
この章では、ポイントを三つに分けてご紹介するのでぜひ参考にしてくださいね。
ポイント1 バランスの取れた食生活を送る
機能性表示食品を利用する前に、まずは自身の食生活を省みることが勧められます。
主食、主菜、副菜を組み合わせてバランスの取れた食生活を送ることが重要です。
主食は米、パン、麺類などの穀類を主材料とする料理で、主に炭水化物の供給源になります。
主菜は魚や肉、卵、大豆製品などを使った料理で、主にたんぱく質の供給源になります。
副菜は野菜などを使った料理で、主食と主菜に不足するビタミンやミネラル、食物繊維などを補います。
忙しい日には、1食をおにぎりとカップラーメンだけで済ませるという方もいらっしゃるかもしれませんね。
このような主食のみの食事では栄養素が偏るため、ラーメンをサラダと焼き鳥に置き換えるなどの工夫により、バランスを調整することができます。
日頃から栄養素のバランスを意識して、メニューを組み合わせてみてくださいね。
バランスの取れた食生活については以下を参照ください。
健康的な食事とは?栄養バランスの取れた食事のためのポイントを解説
ポイント2 パッケージをきちんと読む
機能性表示食品を利用する際はパッケージをよく読むことが重要です。
製品によって1日当たりの摂取目安量や適切な摂取方法、注意事項などは異なります。
機能性表示食品は多く摂取すればより強い効果が得られるというようなものではありません。
さらに過剰摂取により健康を害する恐れもあるため、パッケージに記載された内容をしっかりと読み適切に利用してください。
ポイント3 体調に異変を感じたらすぐ摂取をやめる
機能性表示食品を使用していて、体調に異変を感じた際には速やかに摂取を中止し、医師に相談することが重要です。
また健康被害が発生した場合、事業者の連絡先に問い合わせてください。
事業者の連絡先はパッケージの裏側に必ず記載があるため、ご参照くださいね。
3.自分に合った機能性表示食品の選び方
機能性表示食品に関する情報は消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」というWebサイトで公開されています。
機能性表示食品の機能性や機能性関与成分のキーワードを入力したり、食品区分などを選択したりすることによって、自分に合うものを検索できるようになっています。
この際には「販売中の食品のみ表示する」にチェックを入れて検索すると良いでしょう。
この章では自分に合った機能性表示食品を選ぶ方法を、「機能性」「機能性関与成分」「食品」に分けて解説します。
3-1.機能性から選ぶ
特定の機能性を持つ製品を探したい場合は、「表示しようとする機能性」の欄にキーワードを入れてみましょう。
例えば「体脂肪」と入れると、体脂肪が気になる方向けの製品や、「BMI」の改善に役立つ製品が表示されます。
自分の気になる機能に関するキーワードを入力して、希望に沿った機能性表示食品を探してみてくださいね。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
3-2.機能性関与成分から選ぶ
すでに摂りたい成分が決まっている場合は、「機能性関与成分名」の欄にキーワードを入れて検索してみましょう。
例えば「乳酸菌」と入れると、乳酸菌が機能性関与成分として含まれるさまざまな食品が表示されます。
製品によって「体脂肪が気になる方向け」や「便通が気になる方向け」など、表示されている機能性が異なります。
自分が期待する機能性が表示されたものを選んでくださいね。
3-3.食品から選ぶ
食品の種類から機能性表示食品を探すことも可能です。
まず「食品の区分」を「加工食品(サプリメント形状)」「加工食品(その他)」「生鮮食品」のいずれかに絞ることができます。
加えて「商品名」に「茶」「ヨーグルト」などと入れることで、機能性のある食品を探すことができます。
例えば食品区分で加工食品(その他)を選択し、商品名にヨーグルトと入力して検索した場合、「肥満気味の方の内臓脂肪を減らす」「腸内環境を改善し、おなかの調子を良好に保つ」といった機能が確認されている食品成分を含むヨーグルトが表示されるのです。
自分が取り入れやすい種類の食品から機能性表示食品を選べるのはうれしいことですね。
4.機能性表示食品によく似た概念
機能性表示食品は「保健機能食品」の一種です。
保健機能食品は国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従い、その機能が表示された食品のことをいいます。
保健機能食品には機能性表示食品の他に「栄養機能食品」、「特定保健用食品」があり、これ以外の食品は機能を表示することができません。
この章では、保健機能食品のそれぞれの特徴やルールについて解説します。
保健機能食品については以下の記事で解説しています。
4-1.栄養機能食品
栄養機能食品は、ヒトの生命や健康を維持するのに必要な栄養素の補給のために利用されることを目的とした食品です。
製品に含まれる栄養素の量が国の定めた基準を満たしていれば、事業者は許可や届け出なしで栄養素の機能を表示できます。
対象となる栄養素には、13種類のビタミンと6種類のミネラル、n-3系脂肪酸があります[3]。
それぞれの製品の1日当たりの摂取目安量に対し、含まれる栄養素の量が定められた範囲内にある場合に栄養機能食品として販売できます。
ビタミンAを含むドリンクを例にみてみましょう。
このドリンクの1日当たりの摂取目安量が1本の場合、1本のなかにビタミンAが231μg以上600μg以下含まれていれば、栄養機能を表示できます[3]。
具体的には「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です」もしくは「ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」と表示できます。
ビタミン、ミネラルに関してはそれぞれ以下で詳しく解説しています。
ビタミンとは?13種類のビタミンのはたらきと食事摂取基準を紹介
ミネラルとは?体に必要な理由と豊富に含まれる食べ物を種類別に紹介
[3] 消費者庁「食品表示基準における栄養機能食品とは」
4-2.特定保健用食品(トクホ)
特定保健用食品(トクホ)は生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含み、科学的根拠に基づいた機能を表示した食品です。
機能性表示食品との違いは、表示される効果や安全性について消費者庁が個別に審査し、消費者庁長官が認可している点です。
トクホのパッケージには必ず特定の保健機能とトクホのマークが表示されます。
トクホの保健機能の表示には「おなかの調子を整える」、「血糖・血圧・血中コレステロールなどを正常に保つことを助ける」、「骨の健康に役立つ」といったものがあります。
保健機能が同じでも関与成分や作用のメカニズムが異なる場合があるので、利用する際にはパッケージやホームページで確認しましょう。
トクホについて詳しく知りたい方は以下の記事を参照ください。
トクホ(特定保健用食品)とは?期待できる効果や安全に活用する方法
5.機能性表示食品についてのまとめ
機能性表示食品とは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品のことです。
具体的には「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康の維持および増進に役立つ機能性が表示されています。
機能性表示食品の安全性は、これまで広く食べられていたかという食経験や既存情報などに基づき評価が行われます。
また機能性については、最終製品を用いた臨床実験もしくは最終製品か機能性関与成分に関する研究レビューによって評価されます。
これにより、どのような科学的根拠に基づき、どのような人がどのように摂取するとどのような機能性が発揮されるのかが体系的に評価されます。
機能性表示食品の対象は妊娠を計画している人、妊産婦、授乳婦を除いた健康な成人です。
また一部を除き、生鮮食品を含めた全ての食品に機能性を表示できます。
機能性表示食品を利用する前に、まずはバランスの取れた食生活を送ることが重要です。
利用の際はパッケージをよく読み、体調に異変を感じたら速やかに摂取を中止して医師に相談しましょう。
機能性表示食品の情報は消費者庁のWebサイトで公開されており、機能性や成分、食品の種類などからご自身の求めるものを調べることができます。
期待する機能性や機能性関与成分のキーワードを入力したり、食品区分などを選択したりすることによって、自分に合うものを探してみてくださいね。
機能性表示食品によく似た概念には、特定の栄養素を一定の基準量含む栄養機能食品があります。
またトクホとして知られる特定保健用食品は、健康に対する効果と安全性の科学的根拠を消費者庁が審査し、消費者庁長官が認可した食品です。
この記事を特定保健用食品について理解し、健康的な生活を送る参考にしてくださいね。