トクホ(特定保健用食品)とは?期待できる効果や安全に活用する方法

2022年03月10日

2024年11月11日

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「トクホって本当に効果があるのかな?」

「トクホにはどんなものがあるんだろう?」

テレビCMやスーパー、コンビニなど多くの場で見かける「トクホ」に対して、このように気になっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

健康づくりのためにすでに摂取しているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、トクホの効果はどのような基準で認められているのか、効果や安全性はどのように証明されているのか、詳しく知る機会はなかなかありませんよね。

そこでこの記事では、トクホの概要や期待できる効果、安全な活用方法などについて詳しく解説していきます。

1.トクホ(特定保健用食品)とは

「そもそもトクホってなんだろう……」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

コンビニやスーパーでもトクホのマークが付いた商品を見かけますが、トクホがどのようなものかについてはあまり触れる機会がありませんよね。

まずはトクホとはどのようなものなのかご説明しましょう。

トクホは正式には「特定保健用食品」といいます。

サプリメントや健康食品、栄養補助食品といったものは法律で定義されているわけではなく、効果を明示することはできませんが、トクホは法令で定義付けられた一般の食品と医薬品の間に位置する食品群「保健機能食品」の一つです。

メモ
保健機能食品には特定保健用食品の他に「機能性表示食品」「栄養機能食品」があります。これらの定義や違いについては[こちら](#410)でご説明します。

トクホは通常、商品ごとにその有効性および安全性を消費者庁が個別に審査しています。

トクホに含まれている保健機能を有する(体の機能に影響を与える)成分のことを「関与成分」といいますが、所定の試験機関によって関与成分の含有量を分析するテストも行われています。

メモ
申請された食品は消費者庁と消費者委員会、食品安全委員会、厚生労働省それぞれの間で審議されます。同時に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所などでサンプルの分析が行われ、その結果も踏まえて総合的に判断し、トクホとして認可されます。

複数の公的機関の厳しい審査を経て認可された食品だけが、特定保健用食品としてマークと特定の保健機能について表示することができるのです。

トクホ(特定保健用食品)とは

公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 より引用

つまり、トクホには特定の効果が期待できることを表示しても良いということになります。

なお、トクホは食品であるため、医薬品と誤認されないように「治る」など治療や治癒に関した表示は認められていません

【関連情報】 「機能性表示食品とトクホの違い」についてもっと知りたい方はこちら

2.トクホの5つの種類

トクホに種類があることはあまり知られていないかもしれませんね。

トクホには、用途に応じて5つの種類があります。

ここでは、それぞれの特徴について解説していましょう。

種類1 特定保健用食品

一般的なトクホは、単に「特定保健用食品」と呼ばれています。

有効性や安全性について国の審査を経て許可された食品で、摂取により特定の健康効果が期待できる旨の表示ができるものです。

つまり、健康の維持・増進に役立つ、もしくは適しているという表示ができるということになります。

種類2 特定保健用食品(規格基準型)

通常、トクホは商品ごとにその有効性および安全性についての審査が行われています。

しかしトクホとしての許可件数が多く科学的根拠も蓄積されている関与成分を含むものは個別審査を省略し、規格基準に適合するかどうかの審査のみを行います。

このような流れで許可を得たトクホが「規格基準型」です。

例としては、おなかの調子を整える「オリゴ糖」や、糖の吸収を穏やかにするなどの表示が許可されている「難消化性デキストリン」などがあります

種類3 特定保健用食品(疾病リスク低減表示)

トクホに含まれる成分が、病気のリスクを減らすことができると医学的に確認されている場合は、「疾病リスク低減表示」が可能になります。

トクホは医薬品ではなく食品であるため、病気の治療や治癒、病名に関する表示はできません。

しかし、疾病リスク低減表示が許可されたトクホに限っては病気の名称を表示することが認められています

現在は、カルシウムが「骨粗しょう症」、葉酸が「胎児の二分脊椎などの神経管閉鎖障害」のリスクを低減させる可能性がある旨を表示することができます

種類4 特定保健用食品(再許可等)

すでに許可を受けているトクホの商品名や風味のみを変更した場合は、「特定保健用食品(再許可等)」として改めて許可を受ける必要があります。

原則として消費者委員会と食品安全委員会の審査は省略されます。

種類5 条件付き特定保健用食品

トクホの審査で求められる有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が認められる食品については条件付きで許可される場合があります。

このようなトクホが「条件付き特定保健用食品」です。

これは「科学的根拠が限定的であるということを表示する」という条件のもと、表示が認められたトクホです。

メモ
条件付き特定保健用食品には「(対象成分××)を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、○○な方に適している可能性がある食品です。」といった表示がなされます。

現在許可されている条件付き特定保健用食品には、おなかの調子や便通を整える効果が期待できる「大麦若葉由来食物繊維」を使用した食品があります。

条件付き特定保健用食品の許可マークは、通常のものとは違い「条件付き」という文字が大きく入れられています。

3.トクホに期待できる効果の例

「トクホにはどんな効能のものがあるんだろう?」

トクホにはさまざまな機能を持つものが存在します。

自分に合った食品があるのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。

商品によってうたわれている効果はさまざまですが、代表的な例が以下のようなものになります。

【トクホの許可表示例】

  • コレステロールが高めの方に適する
  • 食後の血糖値の上昇を穏やかにする
  • 血圧が高めの方に適する
  • 歯の健康維持に役立つ
  • 血中中性脂肪が気になる方に適する
  • 体脂肪が気になる方に適する
  • カルシウム等の吸収を高める
  • 鉄を補給する
  • 肌の水分を逃しにくい

トクホを選ぶためのポイントは、商品のキャッチコピーだけでなく表示をきちんと確認することです。

パッケージに記載されている許可表示(期待できる効果)をしっかりと確認して、気になる健康問題にぴったりのトクホを選べると良いですね。

メモ
トクホには、バランスの取れた食生活の普及啓発を図る文言として「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の一文が表示されています。食生活の改善を前提とした上で、トクホを健康維持・増進に役立てましょう。

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4.トクホと機能性表示食品・栄養機能食品との違い

トクホと同じように保健効果を商品に表示できるものとして「機能性表示食品」「栄養機能食品」があります。

特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品を総称して「保健機能食品」と呼んでいます

名称も似ていてややこしい印象の保健機能食品ですが、それぞれ特徴があります。

その一例としてトクホには許可マークがついていますが、機能性表示食品と栄養機能食品にはマークがありません

ここでは、許可マークだけではない保健機能食品の違いについて説明します。

違い1 国による審査の有無

国による厳しい審査により、商品の有効性や安全性が認可されてはじめて特定の効果が期待できる旨の表示が可能になるのがトクホです

一方、機能性表示食品や栄養機能食品は国による審査がありません

栄養機能食品は、ビタミン、ミネラルなど指定の栄養成分の含有量が国に定められた基準の範囲内であれば、許可申請や審査などは不要です。

機能性表示食品は、販売する企業が科学的根拠などの必要事項を届け出ることで特定の効果が期待できることを表示できるようになります。

機能性表示食品では、科学的根拠の確立や表示、情報提供に至るまで企業の責任で行います。

違い2 対象成分、目的の違い

トクホおよび機能性表示食品は、健康の維持・増進に役立ち特定の効果が期待できる、科学的根拠が認められた関与成分であれば表示が可能です。

一方、栄養機能食品はヒトの生命や健康の維持に必要な特定の栄養素の補給を目的としており、表示できる栄養成分が定められています

【栄養機能食品として表示可能な栄養成分】

  • 脂肪酸:n-3系脂肪酸
  • ミネラル類:亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム
  • ビタミン類:ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸

保健機能食品は医薬品ではなく食品であるため、基本的に疾病名の表示をしたり、病態の改善に関する表示をしたりすることはできません。

ただしトクホにおいては関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合に限り、疾病名の表示が認められています

メモ
2022年1月現在、疾病リスク低減表示が許されているトクホの関与成分は「カルシウム」と「葉酸」に限られています。カルシウムは骨粗しょう症のリスク、葉酸は女性に対し「神経管閉鎖障害」を持つ子どもが生まれるリスクを低減できる可能性について表示することが可能です。

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5.トクホを安全に活用するためのポイント

国から認められた有効性・安全性の高い商品であることや、魅力的な商品のキャッチコピーなどから、

「すぐに効果が表れるもしれない……」

と、トクホに迅速な効果を期待している方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、過剰な期待を持って間違った使い方をしてしまうと、期待される効果が得られない可能性もあるのです。

ここでは、トクホを安全に利用するためのポイントについて解説します。

トクホを安全に活用するためのポイント

ポイント1 医薬品との違いを認識する

「特定保健用食品」という正式名称からも分かるようにトクホはあくまで「食品」です。

健康の維持・増進の手助けとなるものであり医薬品ではないため、表示にも病気が「治る」などの表現がトクホには認められていません。

トクホに医薬品的な効果を期待してしまうと、病状の悪化を招いたり受診の機会を逃してしまったりする可能性も考えられます

「トクホは食品である」ことを理解した上で利用するようにしましょう。

ポイント2 食生活の見直しを前提に使用する

トクホをはじめとする、保健機能食品には「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の一文が表示されています。

健康の維持・増進にはバランスの良い食生活をはじめとした生活習慣の見直しが大切です。

そのため、このような文言の表示が義務付けられています。

トクホがきっかけとなって食生活が改善されれば、より一層健康への効果が期待できるようになるかもしれませんね。

【関連情報】 「栄養バランスの取れた食事」についてもっと知りたい方はこちら

ポイント3 過剰摂取に注意する

トクホは、科学的根拠のある関与成分を含み健康への効果が期待できるものではありますが、摂れば摂るほど効果が大きくなるというものではありません

なかには、一度にたくさん摂ると体調に影響を与える可能性のある成分もあるため、過剰摂取しないよう注意が必要です。

トクホのパッケージには一日当たりの摂取目安量や、摂取する上での注意事項の表示が義務付けられています。

記載された表示をしっかりと確認して、正しく摂取しましょう。

6.トクホに期待できる効果や安全に活用する方法 まとめ

国による厳密な審査が行われた上で、健康維持・増進に特定の効果が期待できる旨の表示が許可された食品が「トクホ(特定保健用食品)」です。

トクホと同じように表示が許可されたものに「機能性表示食品」と「栄養機能食品」がありますが、この2つには国による審査がありません。

トクホには「おなかの調子を整える」「血圧が高めの方に適する」など、健康のために期待できる効果をアピールしたさまざまな商品があります。

唯一国から許可を受けたトクホには大きな期待を持ってしまいがちですが、効果的に摂取するためには食事や運動などの生活習慣の改善が第一です。

この記事を参考に、トクホの特徴をよく理解し、正しく活用して健康に役立ててみてくださいね。

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