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塩分の適切な摂取量とは?塩分過多が体に及ぼす影響と減塩方法を解説

「塩分の摂り過ぎは体に良くないって聞いたけど、どれくらいが適量なんだろう?」

「塩分を摂り過ぎると体にどんな影響があるの?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

塩分は人体には欠かせない栄養素ですが、摂り過ぎは高血圧などのさまざまな悪影響を体に及ぼします

日本人は塩分を摂り過ぎている傾向にあり、塩分過多には十分に注意する必要があるといえます。

そうはいっても、日々の食事でなるべく我慢はしたくないですよね。

塩分摂取のアンケート

アンケートでは半数以上の方が塩分を摂り過ぎていると感じているようです。

この記事では塩分の適切な摂取量と摂り過ぎによって生じる影響、塩分の摂取量を控える方法について詳しく解説します。

塩分摂取について考えるきっかけとしてくださいね。

1.塩分を摂り過ぎるととどうなるの?

塩分といえば「摂り過ぎると健康に良くない」というイメージがありますよね。

「減塩」や「塩分控えめ」などとうたう商品をスーパーなどで目にする機会もあるでしょう。

しかし、塩分を摂り過ぎることが良くないと知ってはいても、体にどのような影響があるか具体的には知らないという方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、塩分を摂り過ぎると体にどのような影響があるのかについて詳しく説明していきましょう。

メモ
「塩」「食塩」「塩分」に明確な定義の違いはありませんが、使い方には差があります。「塩」「食塩」は調味料としての塩化ナトリウムを指し、「塩分」は食品に含まれる塩の量を塩化ナトリウムに換算して表したものです。

【関連情報】 「塩分の摂り過ぎには要注意!適切な摂取量と手軽にできる減塩のコツ」についての記事はこちら

1-1.一時的な塩分過多による影響

一時的な塩分過多による影響

一時的な塩分過多による影響として、まずは喉が渇くことが挙げられます

塩分の主成分である「ナトリウム」の血中濃度が高くなると、体がナトリウム濃度を適正に戻すため多くの水分を欲するようになるのです。

また上記の作用で喉が渇いて水分を摂り過ぎるとむくみの原因にもなってしまいます。

むくみは医学的には「浮腫(ふしゅ)」といい、皮下組織(皮膚の下部)に水分がたまった状態です。

水分はヒトの体重の約60%を占めており[1]、細胞の中に含まれる水分「細胞内液」と、細胞の外にある水分「細胞外液」に大別されます。

細胞外液には血液と、血管外の細胞間の隙間を満たす「細胞間質液」があります。

メモ
血管には小さな穴が開いており、そこを通じて染み出した水分が細胞間質液となり、血液が運ぶ酸素や栄養素を細胞に届けます。また、細胞間質液は細胞から老廃物を回収し、血管に戻すはたらきもしています。

何らかの原因により血管外に染み出す水分量が増え、細胞間質液が増えるとむくみが生じます。

塩分を摂りすぎると体が水分をため込むことで血管中の水分が増えるため、細胞間質液が増えてむくんでしまうのです。

一時的な塩分の摂り過ぎによるむくみは余分な水分が排出されれば元に戻ると考えられるので、過剰に心配する必要はありません。

塩分を控え、むくみの原因となるナトリウムを排出する「カリウム」を摂取することを心掛けると良いでしょう。

カリウムを豊富に含む食べ物については以下の記事を参考にしてください。 「カリウムを豊富に含む食べ物は?効果と摂取基準も解説」

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

1-2.長期的な塩分過多による影響

長期的な塩分過多による影響

塩分過多の状態が長期間続くと、健康に害が及ぶ恐れがあります。

塩分の摂り過ぎは高血圧を招くと聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

高血圧とは
血圧が慢性的に高い状態のことです。動脈(心臓から送り出された血液が通る血管)の内壁にかかる圧力を血圧といい、通常は上腕動脈にかかる圧力のことを指します。

塩分を摂り過ぎると血液中の水分が増えるため、血管の壁にかかる圧力が大きくなり、高血圧を招くと考えられています。

高血圧は自覚症状はほとんどありませんが、血管を傷め、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞、大動脈瘤などの重篤な病気を引き起こします。

このため、高血圧は日本人の生活習慣病による死亡に喫煙と並んで最も大きく影響する要因になっています。

高血圧が完全に予防できた場合、年間10万人以上のひとが死亡せずに済むという推計もあるほどです[2]。

日本人の高血圧の最大の原因は塩分の摂り過ぎだといわれているので特に注意が必要です。

また食塩は胃がんの発症や慢性腎臓病の発症・重症化のリスクを増大させることも分かっています[3]。

塩分過多は健康維持のためにも避けるべきなのですね。

[2] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「高血圧

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

2.日本人は塩分を摂り過ぎている?

「塩分過多が体に悪影響だってことは分かったけど、どれくらい減らしたら良いんだろう……?」

普段の塩分摂取量がどのくらいなのか、減らした方が良いとしたらどのくらいの量を減らすべきなのか気になりますよね。

実は日本人は塩分を摂り過ぎているといわれているのをご存じでしょうか。

ここでは、厚生労働省が各栄養素をどれくらい摂るべきなのか目安として出している「食事摂取基準」と塩分の平均摂取量について説明します。

2-1.塩分の食事摂取基準

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」において、1日当たりに摂取する「食塩相当量」を成人男性では7.5g未満、成人女性では6.5g未満とする目標量を設定しています[4]。

食塩相当量とは
食品に含まれるナトリウムを塩化ナトリウムに換算した値のことです。

さらに高血圧の予防や治療のためには、1日当たり6g未満にすることが望ましいとしています[4]。

また世界保健機関(WHO)のガイドラインでは1日当たりの塩分摂取を食塩相当量で5g未満に抑えることが強く推奨されています[4]。

しかし日本人の実際の摂取量から考えるとWHOの設定する目標量はあまりに実現可能性が低いと判断されています。

そこで、食事摂取基準は平成30年と令和元年の「国民健康・栄養調査」における摂取量の中央値と、WHOの設定する目標量の中間値から設定されています。

残念ながら、食事摂取基準をクリアしていても健康にとって理想的な状態とはいえないのですね。

まずは食事摂取基準の目標量をクリアすることを目標に減塩を心掛けましょう

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

【関連情報】 「1日の塩分摂取量の目安は?日本人の平均摂取量や減塩のコツもご紹介」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

「ナトリウムを多く含む食品は?健康への影響や減塩のポイントを解説」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

2-2.日本人の塩分の平均摂取量

厚生労働省が行った「令和5年国民健康・栄養調査」によると、日本人の1日当たりのナトリウム平均摂取量(食塩相当量)は以下のとおりです。

【1日当たりのナトリウムの平均摂取量(食塩相当量)】
年齢 男性 女性
20〜29歳
10.4g
8.3g
30〜39歳
10.6g
8.1g
40〜49歳
10.6g
8.9g
50〜59歳
10.3g
8.9g
60〜69歳
11.1g
9.5g
70〜79歳
10.9g
9.8g
80歳以上
10.3g
8.9g

厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告 」をもとに執筆者作成

男女共に全年代で目標量を大きく超過していることが分かります。

塩分を摂り過ぎないよう、普段から意識したいものですね。

3.塩分過多にならないための3つのポイント

健康のために塩分の摂り過ぎを避けたいけれど、具体的にどうしたら良いのか分からないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、塩分過多にならないために普段から気を付けたい三つのポイントをご紹介します。

3-1.食事に使う塩分を減らす

食事に使う塩分を減らす

日本食は健康に良いといわれていますが、みそやしょうゆなどの調味料、漬物、つくだ煮など食塩を多く含む食品を使っていることから塩分過多になりがちというデメリットがあります。

塩分の摂り過ぎを避けるためには、まずは食事に使われている塩分を減らすことが大切です。

塩やしょうゆ、みそなどを調理に使うときは、目分量ではなく計量スプーンで測りながら使うと良いでしょう。

使っている量を正確に把握することができ、どのくらい塩分を摂っているかを把握しやすくなります。

また食べるときにしょうゆやソースを使うときは、かけるのではなくつけるようにすると使う量が減って塩分の摂取量を抑えられます

また加工食品や外食のメニューにも塩分が多く含まれている場合があります

食品に含まれる塩分量

厚生労働省「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」をもとに執筆者作成

塩分が多い食品は避けるようにしたり、食べ過ぎから塩分の摂取量が増えないように食事量を見直したりすることも大事なポイントです。

「減塩」や「塩分控えめ」などの記載がある食品も多く販売されているため、適宜活用するのもおすすめですよ。

【関連情報】 「おすすめの減塩調味料を紹介!上手に活用するポイントやレシピも」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

「減塩のコツ4選!調理方法や塩分の少ない食材も紹介」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

「減塩食を続けるポイントとは?健康への効果や食塩の摂取目標量も紹介」について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください

3-2.だしや香辛料などを活用する

だしや香辛料などを活用する

「塩分を減らすと味付けが物足りなくなるんじゃないの……?」

「塩分を減らすと食事が物足りなくなるのでは……」

と心配している方も多くいらっしゃるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、だしや香辛料、柑橘(かんきつ)類の果汁、ねぎやしそなどの香味野菜などを使うことです。

これらを活用すれば、塩分は控えめでも風味豊かな食事に仕上げることができますよ。

ここではレモンの酸味を生かして、塩分を控えめにできるレシピを紹介します。

「さけのレモンバターホイル焼き」

■材料(二人分)

  • 生さけ……2切れ
  • しめじ…… 20グラム
  • えのきたけ…… 20グラム
  • ピーマン…… 1個
  • 長ねぎ…… 10cm程度
  • レモン汁…… 小さじ2
  • 減塩しょうゆ…… 大さじ2分の1
  • 酒…… 小さじ2
  • バター…… 10グラム

■作り方

  1. しめじは石づきを取って、小房に分ける。えのきだけは、石づきを取って、長さを半分に切りほぐす。ピーマン、長ねぎは5センチ長さの細切りにする。
  2. アルミホイルの中央に生さけをおいて、しめじ、えのきたけ、ピーマン、長ねぎを上にのせ、混ぜ合わせたレモン汁、しょうゆ、酒をかけ、最後にバターをのせて、1人分ずつ包む。
  3. オーブントースターで15分ほど鮭に火が通るまで加熱する。

もう一つ、香辛料を使った減塩レシピを紹介します。

「きのこのにんにく炒め」

■材料(二人分)

  • しいたけ…… 中サイズ6枚
  • ぶなしめじ……1/2パック
  • にんにく……1片
  • パセリ(みじん切り)……大さじ1(お好みでセロリの葉でも良い)
  • 減塩しょうゆ……小さじ1/2
  • バター……5 g
  • 黒こしょう……少々
  • サラダ油……大さじ1

■作り方

  1. しいたけは5mmの薄切り、ぶなしめじは小房に分け、にんにくは5mm角に切る。
  2. フライパンにサラダ油、(1)のにんにく、きのこを順に重ねて広げ、中火にかける。
  3. 全体に焼き色がつくまで、6~7分かけてそのまま焼く。
  4. パセリをちらし、上下を返して減塩しょうゆ、バター、黒こしょうを加えてからめる。

また、みそ汁などの汁物は具だくさんにすると、素材の味が活きて薄味でもおいしく食べられるのでおすすめです。

3-3.カリウムの多い食品を摂る

カリウムの多い食品を摂る

ミネラルの1種であるカリウムには、塩分(ナトリウム)を排出する作用があります

WHOのガイドラインではカリウム摂取量を増やすことが強く推奨されており、1日当たり3,510mgのカリウムを摂ることが勧められています[5]。

しかし日本人のカリウム摂取量はこれよりもかなり少なく、20歳以上のカリウムの平均摂取量は男性で2,370mg、女性で2,190mgです[6]。

厚生労働省が平成30年および令和元年の国民健康・栄養調査の結果と、前述のWHOのガイドラインから実現可能性を考慮して設定した成人のカリウム目標量は男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[5]。

まずはこの量を目標に、カリウムの摂取量を増やすことを心掛けましょう。

カリウムは野菜類や果物類、海藻類などに特に多く含まれています

カリウムが多く含まれている食べ物についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事 でご紹介しているので参考にしてくださいね。

注意事項
腎機能が低下している方は尿中に排せつされるカリウムの量が減り、血液中のカリウム濃度が高くなります。あまりにカリウムの血中濃度が高くなると、不整脈を起こし命の危険に関わることもあります。主治医の指示に従って、病状に合わせて摂取量を調節するようにしてください。

【関連情報】 「カリウム」についてもっと知りたい方はこちら

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

[6] 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告

4.塩分過多が体に及ぼす影響と減塩方法についてのまとめ

塩分過多、つまりナトリウムを過剰に摂取した状態は体にさまざまな悪影響を及ぼします。

一時的な場合には喉の渇きやむくみといった軽微な症状で済みますが、長期にわたって塩分を摂り過ぎていた場合、高血圧を引き起こします

高血圧は血管を傷め、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞、大動脈瘤などの重篤な病気を引き起こすため注意が必要です。

また塩分の摂り過ぎは胃がんや慢性腎臓病のリスクを高めることも分かっています[3]。

WHOは成人に対し、ナトリウムの摂取量を食塩相当量で1日当たり5g未満に抑えることを推奨しています[7]。

また高血圧の予防や改善にはナトリウムの摂取量を食塩相当量で1日当たり6mg未満に抑えることが望ましいとされています[7]。

しかし日本人の塩分摂取量はこれらの目標よりもかなり多いので、日頃から減塩に努めることが勧められます

塩分過多による悪影響を避けるには、調味料の使い方に留意して調理に使う塩分を減らすこと、食材の風味を活かすこと、カリウムを積極的に摂取することがポイントです。

この記事を参考に、塩分過多にならないよう意識してくださいね。

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)