難消化デキストリンとは?体内でのはたらきや原料、製造方法を解説
「難消化性デキストリンって何だろう?」
特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品に難消化性デキストリンが使われていることを知ってはいても、どのような成分なのか疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。
難消化性デキストリンは、食物繊維の不足を補うためにとうもろこしのでんぷんから作られた食物繊維の一種です。
食物繊維にはおなかの調子を整える作用があるということをご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
その他にも、食物繊維には体にとって有益なさまざまなはたらきがあります。
この記事では難消化性デキストリンの成分やはたらき、原料、製造方法などをご紹介します。
難消化性デキストリンの主成分でもある食物繊維についても詳しく解説します。
ぜひ日々の健康維持に役立ててくださいね。
1.難消化性デキストリンとは
「難消化性デキストリンはどんな成分からできているんだろう?」
難消化性デキストリンとは、食物繊維の摂取不足を補うためにとうもろこしのでんぷんから工業的に生成された水溶性食物繊維です。
食物繊維は炭水化物の一種で、ヒトの消化酵素では消化することができない成分です。
炭水化物の消化のしやすさは糖がいくつ結合されているかによって異なり、糖が10以上結合した「多糖類」は食物繊維に当たります[1]。
また食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維に分けられます。
難消化性デキストリンは水に溶けやすく、その水溶液は透明でさらさらしています。
またその水溶液はわずかに甘みを感じるものの、ほとんど味がしません。
また冷蔵や冷凍にも耐えることができ、水溶性のまま長時間保存しても濁りや沈殿が生じないという特徴もあります。
さらに熱や酸にも強いということが分かっています。
このため難消化性デキストリンは、さまざまな食品に幅広く利用されています。
ただ難消化性デキストリンは人工的に作られた水溶性食物繊維なので、安全面が気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
難消化性デキストリンは米食品医薬品局(FDA)によって安全性が認められています。
また他の難消化性糖質に比べて下痢になるリスクが低いといわれています。
難消化性デキストリンは、特定保健用食品の関与成分としても認められています。
令和6年6月17日時点で特定保健用食品として承認されている1,038品目のうち361品目に使われています[2]。
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[2] 消費者庁「特定保健用食品について」
2.難消化性デキストリンの体内でのはたらき
「難消化性デキストリンにはどんなはたらきがあるのかな?」
難消化性デキストリンは食物繊維の一種であり、健康にさまざまな効果をもたらします。
この章では気になる難消化性デキストリンのはたらきをご説明しましょう。
難消化性デキストリンのはたらきを理解するために、ここでは食物繊維についてご説明しましょう。
2-1.おなかの調子を整える
難消化性デキストリンには、おなかの調子を整える作用があります。
食物繊維には便秘を改善するはたらきがあることをご存じの方も多くいらっしゃるかもしれませんね。
難消化性デキストリンは消化されずに大腸に達し、便の材料となります。
また大腸にすむ善玉菌の餌となり、増殖を助けるはたらきをします。
難消化性デキストリンは食物繊維の一種であるため、一般的な食物繊維と同様、こうしたはたらきを通じて腸内環境を整える作用があることが分かっています。
ヒトの腸内には非常に多くの細菌が生息しており、この細菌の集まりのことを腸内細菌叢(そう)といいます。
この腸内細菌叢を良好に保つことは、全身の健康の維持に重要だといわれています。
食物繊維をしっかり摂取し、おなかの調子を整えておきましょう。
2-2.食後の血糖値の上昇を緩やかにする
難消化性デキストリンには、食後の血糖値の上昇を緩やかにするはたらきがあります。
難消化性デキストリンを炭水化物の多い食事と共に摂取すると、食後の血糖値の上昇が抑えられることが明らかになっています。
インスリンの上昇が緩やかになると、それに伴ってインスリンの分泌も穏やかになります。
血糖値が急上昇すると、インスリンが大量に分泌されます。
インスリンは血糖を脂肪に変えて蓄えるはたらきを促進するため、血糖値の急上昇は体脂肪の蓄積を招いてしまうといえます。
また、インスリンの大量分泌は血糖値の急降下を引き起こします。
このような血糖値の急激な上昇や低下は血管にダメージを与え、動脈硬化を進めてしまいます。
血糖値の上昇を緩やかにすることは、健康のために重要といえますね。
2-3.食後の中性脂肪値の上昇を緩やかにする
難消化性デキストリンには、食後の中性脂肪の上昇を緩やかにするはたらきがあります。
中性脂肪とは体脂肪の大部分を占めている物質で、トリグリセリドとも呼ばれます。
中性脂肪は重要なエネルギー源となりますが、過剰に摂取すると体脂肪として蓄積され肥満を招き、生活習慣病の発症のリスクを高めます。
また、血中に含まれる中性脂肪が増え過ぎると、「脂質異常症」となります。
高トリグリセリド血症を含む脂質異常症はいずれも動脈硬化の要因であり、予防や改善が重要です。
難消化性デキストリンを食事と共に摂取すると、食事に含まれる脂肪の吸収が遅くなります。
このため、食後血中中性脂肪値の上昇が緩やかになるのです。
2-4.中性脂肪値を低下させる
難消化性デキストリンには、中性脂肪値を低下させる作用があることが分かっています。
難消化性デキストリンを数カ月間継続して摂取した結果、高かった中性脂肪の値が低下したことが報告されています[4]。
難消化性デキストリンは食後の中性脂肪値の上昇を緩やかにするだけでなく、継続的に摂取することで中性脂肪値自体の改善に役立ってくれるのですね。
[4] 独立行政法人 農畜産業振興機構「難消化性デキストリンの特性と用途」
2-5.コレステロール値を低下させる
難消化性デキストリンには、コレステロール値を低下させるはたらきがあります。
難消化性デキストリンを数カ月間継続して摂取した結果、コレステロール値が低下したという報告があります[5]。
コレステロールとはヒトの体に存在する脂質の一つです。
細胞膜や各種ホルモンなどの材料となる他、必要に応じて分解され、エネルギーとして利用されます。
コレステロールは体にとって重要なはたらきをしていますが、血液中におけるバランスが崩れると脂質異常症や動脈硬化を招く原因となります。
動脈硬化を予防するためにも、コレステロール値を適切に保つことが重要ですね。
[5] 独立行政法人 農畜産業振興機構「難消化性デキストリンの特性と用途」
2-6.内臓脂肪の蓄積を低減する
難消化性デキストリンには内臓脂肪の蓄積を低減するはたらきがあります。
難消化性デキストリンを数カ月間継続して摂取した結果、内臓脂肪の面積の減少が確認されたという報告があります[6]。
ヒトの体には内臓の周りにつく内臓脂肪と、皮膚の下につく皮下脂肪があります。
内臓脂肪は皮下脂肪に比べて生活習慣病を引き起こすリスクが高く、注意が必要といわれています。
内臓脂肪は脂質異常症や糖尿病、高血圧などを引き起こし、動脈硬化を進行させてしまうのです。
このため動脈硬化による病気を予防する観点から生じた概念がメタボリックシンドロームです。
メタボリックシンドローム、内臓脂肪についてはそれぞれ以下の記事でご説明しています。
メタボリックシンドロームとは?診断基準や健康への悪影響を解説
内臓脂肪とは?皮下脂肪との違いや健康への影響、メタボとの関係
中性脂肪とコレステロールの値を低下させ、内臓脂肪を減らす難消化性デキストリンはメタボリックシンドロームの予防に有効な成分だといえますね。
[6] 独立行政法人 農畜産業振興機構「難消化性デキストリンの特性と用途」
3.難消化性デキストリンの原料と製造方法
「難消化性デキストリンってどうやって作られるんだろう?」
このように疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
難消化性デキストリンの原料となるのはとうもろこしです。
まずとうもろこしに含まれるでんぷんを焼いた後、でんぷんを消化する酵素で分解します。
そこで分解されなかった成分を取り出して精製することで、難消化性デキストリンが作られます。
このように難消化性デキストリンは製造過程で分解されずに残った成分がもとになっているため、小腸で消化されずに大腸まで届きます。
そこで食物繊維としてのはたらきができるのです。
4.食物繊維の目標量と平均摂取量
「食物繊維はどれくらい摂ったら良いのかな?」
「普段の食事で食物繊維は足りているのかな?」
1日にどれくらいの食物繊維を摂取するべきなのか知りたい方もいるのではないでしょうか。
食物繊維は体に良いさまざまはたらきがあるため、積極的に摂りたい成分だといえるでしょう。
しかし現代の日本人の食物繊維の摂取量は不足しているのが現状です。
ここでは食物繊維を摂取するべき量と、実際に摂取している平均量をご紹介します。
4-1.食物繊維の目標量
成人の1日当たりの理想的な食物繊維の摂取量は24g以上です[5]。
しかし日本人の平均摂取量はこの数値に及ばないのが現状です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では実現可能な値を考慮して以下のとおり目標量を設定しています。
| 性別 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 年齢 | 目標量 | 目標量 |
| 18~29歳 | ||
| 30~49歳 | ||
| 50~64歳 | ||
| 65~74歳 | ||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
4-2.食物繊維の平均摂取量
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、1日当たりの20歳以上の男性の食物繊維の平均摂取量は19.9g、同じく女性は18.0gです[7]。
女性は摂取目標量に達していますが、男性は達していないのが分かりますね。
また、男女ともに1日当たりの理想的な食物繊維の摂取量には到底及びません。
理想的な食物繊維の量を摂取するには今まで以上に積極的な摂取が勧められます。
例えば一日のうちの一食を玄米や麦ごはん、全粒粉パンなどに置き換えると効率良く食物繊維を摂取することができますよ。
また食物繊維は野菜類や豆類、きのこ類、海藻類、果物類などの食品からも摂取することができます。
食物繊維を豊富に含む食品については以下の記事で詳しく解説しています。
食物繊維を含む食べ物は?摂取目標量と摂取量を増やすコツも解説
[7] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
5.難消化性デキストリンについてのまとめ
難消化性デキストリンとは、食物繊維の摂取不足を補うために作られた人工的な水溶性食物繊維です。
難消化性デキストリンはFDAによって安全性が認められており、特定保健用食品などにも使用されています。
難消化性デキストリンはとうもろこしに含まれるでんぷんを焼き、でんぷんを消化する酵素で分解し、分解されなかった成分を精製してつくられます。
小腸で消化されずに大腸まで到達し、食物繊維として作用します。
主なはたらきとして、おなかの調子を整える、食後の血糖値や中性脂肪値の上昇を緩やかにする、中性脂肪値やコレステロール値を低下させる、内臓脂肪の蓄積を低減するといったものが挙げられます。
難消化性デキストリンは体にとって有用なはたらきをするといえますね。
現代の日本人の食物繊維の摂取量は、理想とする摂取量に比べて不足していています。
消化性デキストリンを上手に食生活に取り入れて摂取不足を解消する助けとしてくださいね。