高血圧の症状はある?放置した場合のリスクと予防・改善のポイント

2022年12月26日

2024年10月30日

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「高血圧ってどんな症状があるのかな?」

「高血圧を改善するにはどうしたら良いんだろう?」

このように高血圧について気になっている方もいらっしゃるでしょう。

高血圧は血圧が慢性的に高くなった状態のことであり、自覚症状がほとんどないといわれています。

そのため気付かないまま放置されやすく、症状が進行すると動脈硬化となりさまざまな病気につながるリスクが高まります

高血圧になる原因として、食習慣や運動不足などといった生活習慣の他、遺伝的な体質があると考えられています。

まずは生活習慣の改善に取り組み、高血圧の予防・改善をすることが重要です。

この記事では、高血圧の症状、高血圧を放置することによるリスク、高血圧の予防・改善のポイントを解説していきます。

これからお伝えするポイントを参考にして生活習慣を改善していきましょう。

1.高血圧とは

血圧測定診断結果

高血圧とは、慢性的に血圧が高い状態のことです。

血圧とは
血液が動脈という血管を流れる際に血管の内側を押す力(圧力)のことをいいます。血圧は心臓から送られる血液の量と血管の太さ、血管壁の弾力性などによって変動しています。

たまたま測った血圧が高い場合は高血圧とはいえず、繰り返し測っても血圧が正常より高い場合のことを指します。

血圧には二つの数値があり、「上の血圧」「下の血圧」などと呼ばれ、上の血圧は「収縮期血圧(最高血圧)」、下の血圧は「拡張期血圧(最低血圧)」のことを指します。

収縮期血圧は心臓が収縮して血液を送り出したとき、最も血圧が高くなるときの値で、拡張期血圧は反対に心臓が拡張したとき、最も血圧が低くなるときの値です。

診察室での繰り返しの血圧測定で、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上であると高血圧と診断されます[1]。

ただし診察室で測定すると一時的に血圧が上昇する場合もあるため、家庭での測定も重要と考えられています。

メモ
家庭での測定では血圧が正常であるのに、診察室の測定では白衣を着た医師の前で血圧が高くなることを「白衣高血圧」といいます。

家庭で測定する場合は、収縮期血圧が135mmHg以上または拡張期血圧が85mmHg以上で高血圧と診断されます[1]。

また、高血圧は原因によって「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分けられます。

本態性高血圧ははっきりと原因がなく高血圧を発症するものをいい、高血圧全体の9割がこれに該当するといわれています[2]。

一般に「高血圧」という場合は本態性高血圧のことです。

一方で、二次性高血圧は別の病気が原因で高血圧を引き起こすものをいいます。

メモ
二次性高血圧を引き起こす病気として、クッシング症候群や原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。二次性高血圧の改善には、原因となる病気への適切な治療が必要です。

本態性高血圧の原因として考えられるのは、食事や運動不足などといった生活習慣や遺伝的体質です。

高血圧を引き起こす原因

特に日本人の高血圧の最大の原因といわれているのが食塩の摂り過ぎです。

「なぜ食塩を摂り過ぎると血圧が高くなるの?」

このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

食塩の摂り過ぎで血圧が上昇するメカニズムはまだ完全に解明されたわけではありませんが、食塩に含まれるナトリウムのせいだと考えられています。

ナトリウムとは
人体に必要なミネラルの一種で、主に食塩の形で体内に取り入れられます。体内では多くが細胞外液(細胞の外の体液)に含まれており、浸透圧を調節するはたらきを担っています。

体内でナトリウムが増えると、血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分量が増加します。

そのため血管の壁にかかる力が強くなり、血圧が上昇してしまうのです。

メモ
食塩の主成分はナトリウムと塩素が結合した塩化ナトリウムと呼ばれる物質です。

日本人のうち約4,000万人が高血圧に該当するともいわれており*1、本態性高血圧は非常に身近な病気だといえるでしょう。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

[2] 一般社団法人 日本内分泌学会「二次性高血圧症(腎血管性高血圧を含む)」

【関連情報】 「高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説」についての記事はこちら

2.高血圧に症状はある?

「高血圧に症状はあるのかな?」

このように気になった方もいらっしゃるでしょう。

結論からお伝えすると、高血圧には自覚症状がほとんどありません

血圧がかなり高い場合は、頭痛や目まい、肩こりなどが起こりやすくなることもあります。

しかしこれらの症状は血圧と関係なく発生することもあるため、高血圧と自覚することが難しいとされています。

メモ
症状がないまま進行してしまうことから、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。

「症状がないなら、放っておいても問題ないのでは?」

と思ってしまいますよね。

高血圧を放置しておくと、症状がないまま進行し心臓や血管に大きな負担がかかり命に関わるリスクがあります

そのため、定期的に検査をして早期発見することが重要なのです。

3.高血圧を放置することによるリスク

「高血圧を放置するとどうなるんだろう?」

高血圧にはどんなリスクがあるのか具体的に知っておきたいものですよね。

ここからは高血圧を放置することによるリスクを詳しく解説します。

高血圧を放置していると、心臓から送り出す血液を全身に運ぶ「動脈」の壁が本来の弾力やしなやかさを失い、分厚く硬くなってしまいます。

このような状態を動脈硬化といい、全身の太い血管にも細い血管にも起こります。

動脈硬化が進行すると血管が狭まったり詰まったりしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる重篤な病気を引き起こす場合もあります。

高血圧はさまざまな臓器に影響し、なかでも影響を及ぼしやすいのが脳や心臓、腎臓であるといわれています。

高血圧の影響を受けやすい臓器と合併症

高血圧は放置すると命のリスクが高まる場合があるため、予防や改善に取り組むことが重要ですね。

4.高血圧を予防・改善するための食事のポイント

高血圧を予防・改善するためには食習慣を改善することが必要となります。

「食事では食塩を減らせば良いの?」

このように高血圧の予防・改善として減塩することをイメージされる方が多いかもしれませんね。

食事では塩分の摂取量を減らすだけではなく、野菜や魚の摂取量を増やしたりコレステロールやアルコールを控えたりすることでより血圧を下げる効果が期待できます

そこで、この章では高血圧を予防・改善するための食事のポイントをご紹介します。

ポイント1 減塩する

お皿に盛られた塩

高血圧を予防・改善する上で、減塩することは欠かせません

複数の研究から食塩の摂取量が多い方は少ない方よりも高血圧になりやすいことが明らかになっています[3]。

特に日本人の食生活では塩分の摂り過ぎになりやすいといわれています。

以下に減塩の方法をご紹介するので、できるところから食生活を改善してくださいね。

簡単にできる減塩の方法

厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」をもとに執筆者作成

減塩すると食事の味付けが物足りなくなるのではないかと不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかしいくつかの工夫をすることでおいしい減塩食を作ることができます。

塩やしょうゆ、みそなど塩分の多い調味料を減らす代わりに、酢やケチャップ、マヨネーズなどナトリウム含有量の少ない調味料を活用しましょう。

柑橘(かんきつ)類の果汁で酸味を足すのも一つの手です。

またこしょうや七味などの香辛料やしょうがやにんにく、ねぎ、しそなどの香味野菜を取り入れることで料理の風味を豊かにできるでしょう。

メモ
厚生労働省は1日の食塩摂取量を成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満にすることを推奨しています[3]。また、高血圧の予防・治療のためには1日当たりの食塩摂取量を6g未満に抑えることが望ましいとされています[3]。

[3] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準2020年版」

ポイント2 摂取カロリーを適切に制限する

高血圧を予防・改善するためには、摂取カロリーを見直し体重をコントロールすることもポイントです。

メモ
カロリーは生命を維持したり体を動かしたりするのに使われるエネルギーの量を表す単位です。1cal(カロリー)は非常に小さいため通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられます。食事などから摂取するカロリーが消費カロリーを上回っていると肥満につながります。

肥満は高血圧の発症と進行に関連しており、肥満の方は肥満でない方よりも高血圧になるリスクが高いことが分かっています[4]。

そのため、肥満の場合は摂取カロリーを制限し減量することが重要なのです。

ただしカロリーは不足すると集中力が低下するなど健康に悪影響を及ぼすこともあるため、自分に必要な摂取カロリーを把握した上で調節するようにしましょう

厚生労働省では1日に必要なカロリー(推定エネルギー必要量)を性別、年齢、身体活動レベルに分けて以下のように定めています。

身体活動レベルとは
1日にどのくらい活動しているかを表す指標となるものです。活動量によって3段階に分けられます。「Ⅰ(低い)」は1日のほとんどを座って過ごす状態、「Ⅱ(普通)」は座って過ごすことが中心だが、軽い運動や散歩などをしている状態、「Ⅲ(高い)」は立ち仕事や移動が多い仕事、あるいは活発に運動している状態です。

【1日当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】

性別 男性 女性
身体活動レベル Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い) Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い)
18〜29歳 2,300 2,650 3,050 1,700 2,000 2,300
30〜49歳 2,300 2,700 3,050 1,750 2,050 2,350
50〜64歳 2,200 2,600 2,950 1,650 1,950 2,250
65〜74歳 2,050 2,400 2,750 1,550 1,850 2,100
75歳以上 1,800 2,100 - 1,400 1,650 -

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

自分の年齢と活動量に合ったカロリーを目安にして、できるだけその目安を超えないように食事量を調節しましょう。

また間食でのカロリーも考慮しないと摂り過ぎる場合があるため、食事以外の飲食物の摂取にも注意してくださいね。

厚生労働省の推定エネルギー必要量は標準体型の方に対して定められているため、自分の体格に合った1日の必要カロリーについて詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。

1日に必要なカロリーって?計算方法と健康を保つポイントを解説!

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ポイント3 カリウムを摂取する

緑黄色野菜の画像

カリウムには血圧を下げる作用があるため、カリウムを含む食品を積極的に摂取するようにしましょう。

カリウムは人の体に必要なミネラルの一種で、ナトリウムを体外に排出するはたらきがあります。

カリウムの摂取は血圧を下げる効果があることが分かっており[5]、高血圧の改善にはカリウムを摂ることが重要なのです。

特に野菜や果物などに多く含まれ、そのなかでも特に豊富に含む食品は以下のとおりです。

【カリウムを多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
ほうれんそう 690mg
アボカド 590mg
えだまめ 590mg
モロヘイヤ 530mg
にら 510mg
小松菜 500mg
リーフレタス 490mg
水菜 480mg
ブロッコリー 460mg
バナナ 360mg
メロン(緑肉種、露地栽培) 350mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

まずは野菜料理を毎食1皿以上、積極的に取り入れるように心掛けましょう。

注意!
腎臓に障害のある方はカリウム制限が必要となる場合もあるため、医師に相談してください。

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ポイント4 食物繊維を摂取する

食物繊維も血圧を下げる作用があるといわれているため、積極的に摂取すると良いでしょう。

食物繊維はヒトの消化酵素では消化できない食品成分のことで、腸内環境を整え便通を良くする効果があることで知られています。

食物繊維には整腸作用の他に脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出するはたらきがあります。

そのため、ナトリウム(食塩)を摂り過ぎることで引き起こされる高血圧を予防・改善する効果が期待できるのです。

食物繊維は野菜類や果物類、豆類、きのこ類などといった植物性食品に多く含まれています。

効率良く食物繊維を摂るためには、主食となるご飯やパンを玄米や全粒粉のパンなど食物繊維の多い食品に換えることもおすすめですよ。

食物繊維について詳しく知りたいという方は、以下の記事で説明していますのでご覧ください。

食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介

ポイント5 飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を減らす

高血圧を予防・改善するためには、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取を控えましょう

飽和脂肪酸は脂肪を構成している脂肪酸の一種であり、主に動物の脂肪に含まれています。

メモ
脂肪酸は構造の違いから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれています。

コレステロールは体に存在する脂質の一種で、主に卵や魚卵などに含まれています。

飽和脂肪酸とコレステロールは摂り過ぎると動脈硬化を進行させる場合があるため、これらを控えることが重要です。

肉やバターなどの動物性食品や卵類の食品の摂取には気を付けておきたいですね。

メモ
飽和脂肪酸とコレステロールの摂取を少なくするだけではなく、野菜・果物・低脂肪乳製品の摂取を多くすることで血圧低下の効果が期待できるとされています。このように野菜・果物・低脂肪乳製品が多く、飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事をDASH食といいます。

ポイント6 多価不飽和脂肪酸を摂取する

魚の刺身

血圧を下げるためには、多価不飽和脂肪酸を摂取することもポイントです。

多価不飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種で、n-3系とn-6系の2種類があり、特にn-3系脂肪酸の摂取量が多い方は血圧が低い傾向にあることが分かっています[6]。

n-3系脂肪酸はさんまやいわしなど青魚に多く含まれています。

魚を摂る習慣がない方は、できるだけ毎日の食事に取り入れることを心掛けると良いでしょう。

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ポイント7 アルコールを控える

瓶ビールをグラスに注いでいるところ

お酒の飲み過ぎは高血圧の原因となるため、アルコールは控えるようにしましょう。

少量のアルコールは血圧を一時的に下げますが、多くの研究から長期間の飲酒は血圧を上昇させ高血圧を招くことが分かっています[7] 。

さらに飲酒量が増加すると脳卒中のリスクが高まることも分かっています。

実際に減酒により血圧が低下したという研究報告もあり[7]、高血圧を改善するためには飲酒量を減らすことは効果的だといえるでしょう。

厚生労働省では適度な飲酒量として1日平均純アルコール20g程度と定めています[8]。

純アルコール20gに相当するお酒の量は以下のとおりです。

純アルコール20gに相当するお酒の種類と量

公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識」をもとに執筆者作成

また、週2日程度の休肝日を設けることもポイントです。

飲酒量と飲酒の頻度に注意していきましょう。

注意!
女性や高齢者はアルコール分解速度が遅いため、飲酒量は目安となる量よりも減らすことが望ましいとされています。また、依存症などにより禁酒の指示がある場合は禁酒するようにしてください。

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量の単位」

5.高血圧を予防・改善するための運動のポイント

高血圧を予防・改善するためには、食事だけではなく運動も重要です。

運動は、血圧低下の作用があり高血圧を改善する効果が期待できるといわれています。

そのため、食事の改善と運動を併せて取り組んでいきたいですね。

「どんな運動をどのくらい行えば良いんだろう?」

このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。

そこで、この章では高血圧の予防・改善に効果的な運動のポイントをご紹介します。

ポイント1 運動できる状態かどうかを確認する

血圧が異常に高い場合や合併症がある場合は、運動することで事故を引き起こし命に関わるリスクがあります

まずは医療機関を受診し自分が運動できる状態かを確認した上で、自分に合った運動の種類や時間を設定しましょう。

メモ
診察時血圧において収縮期血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が110mmHg以上である場合は、まず血圧を下げてから運動を行うことが望ましいとされています[9]。

専門家に相談して安全に行ってくださいね。

[9] 特定非営利活動法人 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」

ポイント2 有酸素運動を中心に行う

ジョギングする人

運動は有酸素運動を中心に行うことがおすすめです。

有酸素運動とは酸素を使い糖質や脂質をエネルギー源とする運動のことをいいます。

筋肉への負担が比較的軽い運動であり、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどが該当します。

有酸素運動には血圧が低下する作用があることが分かっており、高血圧の方に対しても降圧効果があるといわれています[10] 。

また、ラットとヒトにおいて「適度な運動」が高血圧を改善するメカニズムが報告されました[11]。

軽いジョギング程度の運動中、足の着地時に頭部(脳)に伝わる適度な物理的衝撃により、血圧を上げるタンパク質(アンジオテンシン受容体)の発現量が低下して血圧低下が生じることが、高血圧ラットを用いた実験で報告されました。

さらに、この頭部への物理的衝撃を高血圧の方に適用すると、ヒトでも高血圧が改善することが世界で初めて報告されました[11]。

「普段運動してないから、急に運動するのは不安だな……」

このように不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

いきなり運動することに抵抗感がある場合は、掃除をしたり自転車で買い物に行ったりなど日常生活のなかで活動量を増やすことから取り組むと良いでしょう。

まずは今よりも活動量を増やすことを意識してくださいね。

[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動」

[11]Shuhei Murase et al.「Interstitial-fluid shear stresses induced by vertically oscillating head motion lower blood pressure in hypertensive rats and humans」(Nature Biomedical Engineering volume 7, pages1350–1373 (2023))

ポイント3 できるだけ毎日継続して行う

高血圧を予防・改善するためには、できるだけ毎日運動に取り組むことがポイントです。

運動は1日30分以上をできるだけ毎日行うことが望ましいとされています[12]。

まとまった運動時間が取れない場合は、1回10分以上の運動を数回に分けて行っても効果があるとされているので、1日合計30分となるようにしても良いでしょう[12]。

さらに継続して行うのが効果的であるため、運動を習慣化させることが重要です。

「どのぐらい激しい運動をしたら良いのかな?」

と気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。

始めからきつ過ぎる運動を行うと血圧が上がる可能性があるため、高血圧を発症している方は注意が必要です。

運動は、ややきついと感じる程度を目安にすると良いでしょう。

運動に慣れていない場合はあまりきつくない運動で短い時間から始めて、慣れてきたら少しずつ強度を上げてくださいね

[12] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧症を改善するための運動」

ポイント4 筋トレやストレッチを併せて行う

ストレッチをするひと

効果的に運動するためには、筋トレやストレッチを併せて行うと良いでしょう。

筋トレは筋肉に負荷をかけることを繰り返し行う運動のことであり、筋肉量を増やしたり筋肉を鍛えたりする効果があります

筋肉は体を動かす際にはたらき、運動だけではなく立ったり歩いたりなど日常生活を送る上でも欠かせません。

筋肉が減ると運動機能の低下や転倒のリスクの上昇につながるため、筋トレをして筋肉量を維持することが重要なのです。

筋トレについて具体的なメニューを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ダイエットにおすすめの筋トレは?健康かつ効率的に痩せる方法を伝授

一方でストレッチは、筋を伸ばしたり関節を動かしたりする運動のことをいいます。

筋の柔軟性を高めたり関節の可動域を広げたりできるため、けがの予防や疲労回復に効果が期待できます

公益財団法人 健康・体力づくり事業財団が「健康ネット」というサイトでストレッチの方法を公開していますので、参考にしてください。

健康ネット

このように筋トレやストレッチを組み合わせることでより運動機能が向上し、効果的に取り組めるのですね。

6.高血圧を予防・改善するためのその他のポイント

「食事や運動以外に気を付けることはないかな?」

このように、その他で気を付けることがあれば知っておきたいものですよね。

高血圧には食事や運動以外にも、喫煙やストレスなどが関わっているといわれています。

これからお伝えするポイントを参考にして、自分の生活習慣を見直し改善していきましょう。

まず、喫煙をしている場合は禁煙することが重要です。

喫煙は高血圧の危険因子であり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高めます

そのため、できるだけ早く禁煙を始めましょう。

まず禁煙すると決めたら、始める前に禁煙の準備をしておくことが重要です。

禁煙する目的や吸いたくなったときの対処法をあらかじめ決めておくことで、モチベーションを維持したばこの誘惑に対処することができるでしょう。

そうはいっても、一人で禁煙するのは不安に感じてしまいますよね。

最近は医師の禁煙指導が受けられる「禁煙外来」や専門家による「禁煙支援」などもあります。

無理せずに周りの協力を得ながら、禁煙を進められると良いですね。

詳しい禁煙方法は厚生労働省のe-ヘルスネット「禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》」「禁煙開始からまだ間もない方へ《実行期編》」を参考にしてください。

禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》

禁煙開始からまだ間もない方へ《実行期編》

また、過度のストレスも高血圧のリスクを高めるといわれています。

そのため、ストレスと上手に付き合えるように生活習慣を改善することもポイントとなります。

まずストレスに対する抵抗力を持つことが必要です。

ストレスへの抵抗力は規則正しい生活を送り体調を整えることでつけられます

さらに、ストレスをためないように興味があることに取り組んだり休息を取ったりすることも重要です。

生活習慣は血圧に影響を与えるため、日頃から気を付けておきましょう。

7.高血圧の症状についてのまとめ

高血圧は血圧が慢性的に高い状態のことをいい、自覚症状がほとんどありません

高血圧になっても気付かないことが多く、そのまま放置していると動脈硬化へ進行しさまざまな病気のリスクが高くなる可能性があります。

そのため、症状はなくとも高血圧を予防・改善することが重要なのです。

高血圧の原因は主に食習慣や運動不足などといった生活習慣であると考えられています。

高血圧を予防・改善するためには、生活習慣を見直し改善することが必要です。

食事では減塩をしたり野菜や魚を積極的に摂ったりすること、運動では有酸素運動を中心にできるだけ毎日行うことがポイントです。

また禁煙をしたりストレスを解消したりすることも重要です。

定期的に検査を受け、高血圧が発症・進行しない生活習慣を心掛けてくださいね。

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