男性の標準体重とは?計算方法と標準体重を目指すためのポイント

男性の標準体重とは?計算方法と標準体重を目指すためのポイント

2023年06月19日

2024年03月05日

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「最近太ってきた気がするけど、体重はどれくらいにキープしておくべきなんだろう?」

「おなか周りが気になる……男性の標準体重はどれくらいなのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は性別や年齢を問わず、標準体重の求め方は変わりません

肥満の状態は健康を損ねるリスクが大きくなってしまうため、健康のためにも標準体重前後の体重をキープすることが望ましいといえます。

この記事では標準体重の求め方や、標準体重を目指すための食事と運動のポイントをご紹介します。

男性の体に蓄積しやすい内臓脂肪についても解説しているので、メタボリックシンドロームの予防に役立ててくださいね。

1.男性の標準体重と平均体重

「標準的な体重はどれくらいなんだろう?」

「同年代の平均体重が知りたいな」

体形や健康への影響が気になってきたけれど、どれくらいの体重を目指せば良いのかよく分からないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

減量を検討している場合、健康のためには「標準体重」を目指すことが勧められます

この章では標準体重の求め方と男性の年代別平均体重をご紹介しましょう。

1-1.標準体重

健康のために標準体重を目指したい、と思っている方も多くいらっしゃることでしょう。

しかし標準体重がどのようなものなのかあまりよくご存じない方もいらっしゃるかもしれませんね。

標準体重とは「BMI」が22のときの体重を指し、[身長(m)の2乗]×22で求められます[1]。

BMIとは
国際的に用いられている肥満度を表す指標です。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められます。

標準体重は統計上、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧、脂質異常症などの病気に最もかかりにくい体重であるといわれています。

メモ
脂質異常症とは血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことです。いわゆる「悪玉コレステロール」値の高い「高LDLコレステロール血症」、「善玉コレステロール」値の低い「低HDLコレステロール血症」、「中性脂肪」値の高い「高トリグリセリド血症」などがあります。

なおBMIの計算方法は世界共通ですが、肥満の判定基準は国によって異なり、日本肥満学会では以下のように肥満度の分類が行われています。

【肥満度の分類】

BMI 判定
18.5未満 低体重
18.5以上25.0未満 普通体重
25.0以上30.0未満 肥満(Ⅰ度)
30.0以上35.0未満 肥満(Ⅱ度)
35.0以上40.0未満 肥満(Ⅲ度)
40.0以上 肥満(Ⅳ度)

厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」をもとに執筆者作成

ただし、BMIは筋肉量を鑑みずに計算されているため、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが25以上の場合が「肥満」と定義されています[1]。

BMIが25以上であるからといって医学的に減量が必要な状態であるとは限りませんが、肥満に該当する場合は標準体重を目指して減量するのが望ましいといえるでしょう。

まずはご自身の身長から標準体重を求め、現在の体重と比較してみましょう。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」

1-2.平均体重

「標準体重は分かったけど、平均体重はどれくらいなのかな?」

このように気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

以下が日本人男性の平均体重および平均身長です。

【日本人男性の年代別の体重と身長の平均】

年代 平均体重 平均身長
26〜29歳 70.4kg 171.8cm
30〜39歳 70.0kg 171.5cm
40〜49歳 72.8kg 171.5cm
50〜59歳 71.0kg 169.9cm
60〜69歳 67.3kg 167.4cm
70歳以上 62.4kg 163.1cm

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

平均体重が標準体重に比べ重いのか軽いのか気になったという方もいらっしゃるかもしれません。

そこで各年代の平均身長から計算した標準体重と平均体重を比較してみましょう。

【年代別の平均身長・平均体重に対する標準体重】

年代 平均体重 平均体重 標準体重
26〜29歳 70.4kg 64.93kg
30〜39歳 70.0kg 64.71kg
40〜49歳 72.8kg 64.71kg
50〜59歳 71.0kg 63.51kg
60〜69歳 67.3kg 61.65kg
70歳以上 62.4kg 58.52kg

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

メモ
標準体重は平均身長から算出し、小数点以下第二位で四捨五入しています。

26歳以上の全ての年代で、平均体重が標準体重を上回ってしまっていることが分かります。

特に40〜50代の平均体重は標準体重を大きくオーバーしているといえるでしょう。

年齢区分が異なりますが、男性の年代別平均BMIは以下のとおりです。

【年代別平均BMI】

年代 平均BMI
20〜29歳 22.9
30〜39歳 23.7
40〜49歳 24.7
50〜59歳 24.6
60〜69歳 24.0
70歳以上 23.4

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

いずれの年代も理想的だとされるBMI22を超えてしまっているので、節制が必要だといえるかもしれませんね。

2.男性に多い内臓脂肪型肥満とは?

メジャーで腹部を計測するメタボ気味な男性

「肥満の場合、健康にどんな影響があるんだろう?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

肥満は体脂肪が過剰に蓄積した状態を指し、糖尿病や高血圧、脂質異常症、心血管疾患などのさまざまな生活習慣病のリスクを高めます

メモ
心血管疾患とは心臓または血液に生じる病気のことです。狭心症や心筋梗塞などが含まれます。狭心症は心臓を取り巻く血管「冠動脈」が細くなり血液が流れにくくなった状態のことです。心筋梗塞は冠動脈がふさがれ、心筋が酸欠になって壊死(えし)を起こす病気で、突然死の大きな原因となります。

肥満のなかでも特に、男性に多い内臓脂肪型肥満には要注意です。

肥満は腸の周りに内臓脂肪と呼ばれる脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満と、皮下組織に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満に分けられます。

内臓脂肪型肥満は女性より男性に多い傾向にあり、ウエスト周りが大きくなることから「リンゴ型肥満」とも呼ばれています。

BMIが25未満であっても内臓脂肪が蓄積しているケースもあり、その場合は「隠れ肥満症」とも呼ばれます[2]。

内臓脂肪型肥満は高血圧や糖尿病、脂質異常症などを引き起こしやすく、またこれらが重なると動脈硬化を進行させます

動脈硬化は心臓から全身の器官に送られる血液が通る血管「動脈」の壁が弾力性を失い、厚く硬くなった状態のことです。

動脈硬化が進行した状態では血管が狭まったり詰まったり裂けたりしやすくなるため、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などの重大な病気が起こりやすくなります。

内臓脂肪の蓄積は「メタボリックシンドローム」の診断基準の一つでもあります。

メタボリックシンドロームとは
ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性で85cm以上、女性で90cm以上かつ、血圧・血糖・血中の脂質の三つのうち二つ以上が基準値から外れた状態のことです[3]。

内臓脂肪の蓄積や高血圧、高血糖、脂質異常症は単独でも動脈硬化を進行させますが、それぞれが重度でなくとも、重なるとより動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中のリスクを高めることが分かっています。

そのため命に関わる重大な病気を招いてしまわないよう、メタボリックシンドロームを予防・改善することが重要だと考えられているのですね。

おなか周りが気になるという方は放置していると高血圧や高血糖、脂質異常症を招いてしまう恐れがあるので、今のうちに減量を心掛けておきましょう。

メモ
皮下脂肪型肥満は男性よりも女性に多い傾向にあります。内臓脂肪型肥満のような動脈硬化を進行させるリスクは大きくないといわれていますが、関節痛や睡眠時無呼吸症候群などの原因となるため改善が勧められます。睡眠時無呼吸症候群はその名のとおり睡眠中に呼吸が止まってしまう病気で、過眠や高血圧などを引き起こします。男性の発症率は女性の約2〜3倍といわれています[4]。

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪型肥満」

[3厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」

[4] 一般財団法人 運輸・交通SAS対策支援センター「睡眠時無呼吸症候群になりやすい人とは」

3.標準体重を目指すための食事のポイント

「標準体重を目指したいけれど、どんなことに気を付けたら良いんだろう?」

「食事の改善が必須なのは分かっているけれど、何から始めて良いか分からない……」 このようにお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。

減量の基本は、消費カロリーよりも摂取カロリーを小さくすることにあります。

しかし、単にカロリー制限を行えば良いというものではありません。

体に必要な栄養素が不足してしまわないようバランスの取れた食事を摂ること、リバウンドしてしまわないよう無理なく続けられることも重要です。

ここでは、標準体重を目指すための食事のポイントをお伝えします。

標準体重を目指す食事のポイント

ポイント1 摂取カロリーを適切に制限する

カロリー制限の必要性は理解していても、カロリーとは何なのか、1日にどれくらいのカロリーを摂取するのが適当なのかはご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。 

カロリーとは本来、ヒトが食べ物などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの量を表す単位です。

1cal(カロリー)は非常に小さいため、一般的にはその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられています。

摂取カロリーの制限というよりは「エネルギー摂取量の制限」という方が適切な表現なのですが、ここではなじみやすい「カロリー」という表現を用いてご説明しましょう。

体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって決まります。

摂取カロリーと消費カロリーが同じであれば体重の変化はなく、摂取カロリーが消費カロリーを上回っていると体重は増加し肥満につながってしまいます。

反対に摂取カロリーが消費カロリーを下回れば、体重は減少し、痩せていくと考えられるのです。

標準体重を目指すためには、摂取カロリーを標準体重であったときの推定必要カロリーに設定すると良いでしょう。

まずは、ご自身の標準体重を計算します。

標準体重の求め方は[身長(m)の2乗]×22でしたよね[5]。

また推定必要カロリーの計算には「身体活動レベル」を把握することが必要になるので、以下の表で確認しましょう。

【身体活動レベル】

身体活動レベル 日常生活の内容
低い(Ⅰ) 生活の大部分を座って過ごし、体を動かす機会がほとんどない場合
普通(Ⅱ) 主に座って行う仕事に就いているが、職場内での移動や立った状態での作業・接客、通勤や買い物での歩行、家事、軽いスポーツのいずれかを行う場合
高い(Ⅲ) 徒歩での移動や立った状態での作業が多い仕事に就いている場合、あるいは余暇にスポーツなどの運動を活発に行う習慣がある場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

身体活動レベルが分かったら、標準体重と以下の体重1kg当たりの推定必要カロリーをかけ合わせます。

【男性の体重1kg当たりの推定エネルギー必要量】

身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18〜29歳 35.5kcal 41.5kcal 47.4kcal
30〜49歳 33.7kcal 39.3kcal 44.9kcal
50〜64歳 32.7kcal 38.2kcal 43.6kcal
65〜74歳 31.3kcal 36.7kcal 42.1kcal
75歳以上 30.1kcal 35.5kcal -

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

例えば身長170cmの30代男性の場合、標準体重は1.7×1.7×22=63.58kgです。

身体活動レベルが普通に該当するのであれば、推定必要カロリーは63.58×39.3で2,499kcal(小数点以下1位で四捨五入)となります。

このように求めた推定必要カロリーを参考に、カロリー制限を行いましょう。

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」

ポイント2 エネルギー産生栄養素バランスを適切に保つ

単にカロリー制限を行うだけでなく、エネルギー(カロリー)をどの栄養素から摂取するかということも重要だといえるでしょう。

ヒトの体がエネルギー源とできる栄養素は炭水化物(糖質)・たんぱく質・脂質の3種類の「エネルギー産生栄養素」です。

メモ
炭水化物はエネルギー源となる糖質と、ヒトの消化酵素では消化できず、ほとんどエネルギー源にならない食物繊維に分けられます。

炭水化物(糖質)とたんぱく質は1g当たり約4kcal、脂質は1g当たり約9kcalのエネルギーを生み出します[6]。

脂質が肥満の原因として知られているのはハイカロリーだからなのですね。

一方でエネルギー産生栄養素にはエネルギー源となる以外にも重要なはたらきがあります。

たんぱく質はエネルギー源となるだけでなく、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などの体の組織の材料となったり、ホルモンや酵素、抗体などの体の機能を調節する物質としてはたらいたりします

また脂質はエネルギー源となる他、細胞膜を構成する材料や、ホルモンなどの体の機能を調節する生理活性物質の材料としても使われます

このためエネルギー産生栄養素はバランス良く摂取することが重要なのです。

厚生労働省は1日に摂取するカロリーに対し、それぞれのエネルギー産生栄養素から摂取すべきカロリーの割合を目標量として定めています。

これがエネルギー産生栄養素バランスです。

男性の年代別のエネルギー産生栄養素バランスは以下のとおりです。

【男性の年代別エネルギー産生栄養素バランス】

年齢 たんぱく質 脂質 炭水化物
18〜29歳 13〜20%エネルギー 20〜30%エネルギー 50〜65%エネルギー
30〜49歳 13〜20%エネルギー 20〜30%エネルギー 50〜65%エネルギー
50〜64歳 14〜20%エネルギー 20〜30%エネルギー 50〜65%エネルギー
65〜74歳 15〜20%エネルギー 20〜30%エネルギー 50〜65%エネルギー
75歳以上 15〜20%エネルギー 20〜30%エネルギー 50〜65%エネルギー

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

つい脂質や糖質の多い食事を摂りがちになっているという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

脂質や糖質を摂り過ぎると体脂肪として蓄えられ、肥満の大きな原因となるので摂取量には十分注意するようにしましょう。

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ポイント3 食物繊維を十分に摂取する

標準体重を目指す上では、食物繊維を十分に摂取することもポイントです。

食物繊維とは
食べ物に含まれる、ヒトの消化酵素では消化できない物質です。水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維に分けられます。

食物繊維は消化・吸収されず大腸まで到達して便の材料となったり、大腸に生息するヒトに有用な「善玉菌」の餌となって善玉菌を増やしたりするため、整腸作用のある物質として知られています。

また食物繊維には脂質や糖質、ナトリウムを吸着して体外に排出するはたらきがあり、これらが原因となる肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧などの予防・改善に効果が期待されています

メモ
ナトリウムは食塩(塩化ナトリウム)の主成分の一つです。体に必要なミネラルの一種ですが、摂り過ぎると高血圧の原因となることが知られています。

食物繊維は炭水化物の一種ですが、生み出すエネルギーは非常に小さく、1g当たり0〜2kcalだと考えられています[7]。

つまり非常に低カロリーな物質なのですね。

加えて食物繊維を多く含む食べ物は噛み応えがあり、満腹感を覚えやすい傾向にあるといわれています。

カロリー制限を行うために単に食事量を減らすと、おなかがすいてつらい思いをすることになってしまうかもしれませんよね。

食物繊維はダイエットの心強い味方だといえるでしょう。

このように健康へのメリットが多い食物繊維ですが、現代の日本人は不足しがちな食生活を送っているといわれています。

成人の理想的な摂取量は1日当たり24g以上だといわれていますが[7]、日本人の摂取量はこれに遠く及びません。

そのため厚生労働省は実現可能性を考慮して以下のような摂取目標量を設定しています。

【男性の1日当たりの食物繊維摂取目標量】

年齢 目標量
18〜29歳 21g以上
30〜49歳 21g以上
50〜64歳 21g以上
65〜74歳 20g以上
75歳以上 20g以上

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

まずはこの目標量を目指して食物繊維の摂取量を増やしていきましょう。

食物繊維は動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に含まれています。

野菜類、いも類、豆類、きのこ類、海藻類、果実類を積極的に摂取するよう心掛けましょう。

特に切り干し大根やかぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、さつまいも、納豆、おから、しいたけ、ひじき、しらたきなどは1食当たりの摂取量で2〜3gの食物繊維を摂取することできます[8]。

また主食を通常の白ご飯やパンから玄米ご飯、麦ご飯、胚芽米ご飯、全粒粉パン、ライ麦パンなどに変えることでも食物繊維の摂取量を増やすことができますよ。

食物繊維を多く含む食べ物については以下の記事でご紹介しています。

食物繊維を手軽に摂れる食べ物は?効果や食事摂取基準も徹底解説

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」

ポイント4 ゆっくりよく噛んで食べる

減量のためには、ゆっくりよく噛んで食べることも重要だと考えられます。

研究の結果、早食いの方はBMIが高い傾向にあることが分かっているのです[9]。

ゆっくりとよく噛んで食べることで、脳の後部視床下部という部位が刺激されます。

これにより「神経性ヒスタミン」という神経伝達物質の生成が促進され、この神経性ヒスタミンが満腹中枢を活性化させます。

こうして満腹感が生じ、食べ過ぎが防がれると考えられているのです。

また神経性ヒスタミンのはたらきにより、体内の脂肪が燃えやすくなるともいわれています。

厚生労働省は肥満改善のため、1口につき30回噛むことを推奨しています[9]。

忙しくつい食事が蔑ろになってしまっているという方もいらっしゃるかもしれませんが、できるだけ噛む回数を増やすことを心掛けましょう。

軟らかい食材を避け、噛み応えのあるものを選ぶのも良いかもしれませんね。

[9] 厚生労働省 e-ヘルスネット「速食いと肥満の関係 -食べ物をよく『噛むこと』『噛めること』」

ポイント5 夜遅い時間の食事を避ける

夜遅い時間の食事を避けることも減量のポイントの一つです。

寝る間際に食事をすると、摂取したカロリーをあまり消費できないので余ったカロリーが体脂肪として蓄えられやすくなってしまいます。

また、近年では遺伝子レベルの研究で夜遅い時間の食事は肥満を招きやすいことが分かってきています[10]。

仕事の都合などでどうしても夕食の時間が遅くなってしまう場合はできるだけ脂質が少なく、消化に良いものを食べるようにしましょう。

野菜を多めに摂るようにするとカロリーや脂肪の摂り過ぎを防ぐことができますよ。

また昼食と夕食の間が長く空いてしまう場合は夕方に間食を摂るのも一つの手です。

一般的には間食のカロリーは1日に200kcal程度が適切だといわれていますが、1日の摂取カロリーのなかで調節するようにしましょう[11]。

[10] 農林水産省 みんなの食育「チェック&トピックス 若者単身者編 夜遅く食事をとるときは」

[11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)」

ポイント6 適度に節酒する

標準体重を目指す上では適度な節酒もポイントとなります。

アルコールは1g当たり約7kcalであり、お酒は高カロリーの飲み物です[12]。

アルコール自体のエネルギーはエネルギー産生栄養素と異なり、体に蓄えられることはないといわれていますが、多くのお酒には糖質やたんぱく質などが含まれています。

またアルコールには食欲増進の作用があるため、お酒を飲んでいてつい食べ過ぎてしまった経験のある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

お酒と一緒に食べることの多いおつまみには脂質や糖質を多く含むものもあるため、そういう点でも注意が必要です。

厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」を純アルコール量で1日平均20g程度としています[13]。

純アルコール量とは
お酒に含まれるアルコールの量のことで、通常はグラム(g)で表されます。[お酒の量(mL)]×[アルコール度数(%)/100]×0.8という式で求められます[14]。

一般的なお酒の純アルコール量20gに相当する量は以下のとおりです。

純アルコール20g相当のお酒の種類と量

公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識」をもとに執筆者作成

ただし、アルコールの分解能力は人によって異なるため、お酒に弱い方は自分に合った飲酒量にとどめておくことが重要です。

特に女性や65歳以上の高齢の方はより少ない飲酒量にすることが勧められています[13]。

また週に2日程度お酒を飲まない「休肝日」を設けることもポイントですよ[15]。

[12] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコール」

[13] 厚生労働省「健康日本21」

[14] 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量の単位」

[15] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールとメタボリックシンドローム」

4.標準体重を目指すための運動のポイント

標準体重を目指して減量する上では、食生活だけでなく運動習慣を改善することも欠かせません。

ダイエットの基本は摂取カロリーを消費カロリーよりも小さくすることであることは既にお伝えしましたよね。

このためには摂取カロリーを減らすだけでなく、消費カロリーを増やすことも重要です。

ここでは、標準体重を目指すための運動のポイントをお伝えしましょう。

標準体重を目指す運動のポイント

ポイント1 有酸素運動を適度に行う

減量のためにまず勧められるのは有酸素運動です。

有酸素運動とは
筋肉への負荷が比較的軽い運動のことです。筋肉を動かすエネルギーとして体内の脂質や血糖(血中の糖)と共に酸素が使われることからこのように呼ばれています。

有酸素運動は脂肪を燃料とするため体脂肪の減少に直接的な効果が認められています

また血中のLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)の減少効果も期待できます。

有酸素運動に該当する代表的な運動には、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、エアロビクスダンス、水泳、アクアウォーキングなどがあります。

なお、内臓脂肪を減少させるためには週当たり10メッツ・時以上の有酸素運動を行う必要があるといわれています[16]。

メッツとは
消費カロリーの計算に用いられる身体活動(運動)の強さを表す単位で、安静時の何倍に相当するかを意味しています。座って安静にしている状態は1メッツ、通常の歩行は3メッツに相当します[17]。メッツ・時とはメッツに身体活動の実施時間をかけたものです。

つまり、歩行で週当たり10メッツ・時を達成するためには約3.3時間が必要だという計算になります。

激しい運動であればその分メッツは大きくなるので、ご自分に合った運動で10メッツ・時を目指して取り組んでみましょう

有酸素運動のメッツや消費カロリーについては以下の記事でご紹介しています。

カロリー消費の多い運動は?ダイエット向きメニューや注意点を解説

[16] 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」

[17] 厚生労働省「身体活動・運動の単位」

ポイント2 筋トレを合わせて行う

標準体重を目指し減量を行うためには筋トレも合わせて行うことが勧められます。

筋トレは「無酸素運動」の一種です。

無酸素運動とは
短い時間に大きな力を発揮する強度の高い運動のことです。体内で酸素を使わずにエネルギーが供給されるためこのように呼ばれます。有酸素運動に比べ時間当たりの消費カロリーが大きい傾向にあり、短距離走や筋力トレーニングなどが該当します。

筋トレには脂肪燃焼効果はありませんが、基礎代謝の向上効果があると考えられます。

基礎代謝とは
呼吸や鼓動、体温の維持など生命を保つために最低限必要とされるエネルギー量のことです。

基礎代謝はヒトが1日に消費するカロリーの約60%を占めるといわれています[18]。

筋肉1kg当たりの基礎代謝量は13kcalであるといわれていますが、研究の結果、除脂肪量(体脂肪以外の組織の量)が1kg増加すると、基礎代謝量が50kcal向上することが分かっています[19]。

筋トレにより除脂肪量を増やすことで消費カロリーアップにつながると考えられるのですね。

ダイエットにおすすめの筋トレメニューは以下の記事でご紹介しています。

ダイエットにおすすめの筋トレは?健康かつ効率的に痩せる方法を伝授

[18] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」

[19] 横浜市スポーツ医科学センター 健康・体力アップ情報「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識 【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」

5.理想的な減量ペースとは?

「どれくらいのペースで痩せるのが良いんだろう?」

「あんまり急に食事や生活習慣を変えるのは難しい……」

このように不安に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

無理なダイエットを行ってしまうと長続きせず、リバウンドしてしまう恐れもあります。

そのためダイエットは無理のないペースで続けることが重要です。

厚生労働省は、内臓脂肪型肥満の男性に対し1カ月に体重の1%、3〜6カ月で現在の体重から3%の減量を推奨しています[20]。

つまり、70kgの場合は1カ月で700g、半年後までに2.1kgの減量を目指すということになります。

このペースであれば安心して続けられると感じた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

なお、内臓脂肪を1kg減少させるには摂取カロリーの節制と消費カロリーの増加を合わせて約7,000kcalが必要だといわれています[21]。

半年で内臓脂肪を2.1kg落とすためには、半年間で14,700kcal、180日間とすると1日当たり81.7kcal(小数点以下第一位で四捨五入)が必要です。

毎日少しずつカロリー制限や運動に取り組むようにしましょう。

[20] 厚生労働省「健康的な体づくりのための生活習慣見直しノート 男性編」

[21] 厚生労働省「健康づくりのための運動指針 2006〜生活習慣病予防のために〜」

6.男性の標準体重についてのまとめ

男女共に標準体重は[身長(m)の2乗]×22という式で求められます[22]。

標準体重とは平均体重とは異なり、統計上肥満と関連のある病気に最もなりにくい体重のことです。

肥満はさまざまな病気の原因であり、特に男性の場合、動脈硬化進行の要因となる内臓脂肪型肥満になりやすい傾向にあります

体脂肪が増え肥満になってしまっている場合、標準体重を目指して減量することが勧められるでしょう。

標準体重を目指して減量する上では、食事と運動習慣の改善が必須といえます。

食事ではまず、摂取カロリーを適切に制限することが重要です。

またエネルギー産生栄養素バランスが崩れてしまわないよう注意しましょう。

食物繊維をしっかりと摂ること、よく噛んで食べること、夜遅い時間の食事を避けることもポイントです。

アルコールも肥満の原因となるので、適度に節酒することも心掛けましょう。

また脂肪を減らすためには有酸素運動を行うことが重要です。

合わせて筋トレを行い、基礎代謝の向上も目指しましょう。

急なダイエットはリバウンドの原因にもなってしまうので、無理をしないことも肝要です。

理想的な1カ月の減量ペースは体重の1%程度だといわれています[23]。

無理のないペースで標準体重を目指していってくださいね。

[22] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」

[23] 厚生労働省「健康的な体づくりのための生活習慣見直しノート 男性編」

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