「サーキットトレーニングってどのようなトレーニングなんだろう?」
「サーキットトレーニングをすることで、どんな効果が得られるのかな?」
サーキットトレーニングに興味があり、具体的にどのようなトレーニングなのか詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。
サーキットトレーニングとは複数の筋トレと有酸素運動を組み合わせて行うトレーニングのことです。
効率良くダイエットができる他、全身持久力や筋力が向上する効果が期待できます。
サーキットトレーニングは短時間で効率良くトレーニングを行えるため、時間が取れない方や短期間で効果を得たい方にとっておすすめの運動といえます。
今回の記事ではサーキットトレーニングの特徴、具体的なメニュー、効果的に行うためのポイントについて解説していきます。
これからサーキットトレーニングに取り組みたい方は参考にしてくださいね。
1.サーキットトレーニングとは
まずはサーキットトレーニングがどのようなものかご紹介しましょう。
サーキットトレーニングとは数種類の筋トレと有酸素運動を交互に繰り返し行うトレーニングのことです。
サーキットトレーニングは筋トレと有酸素運動を組み合わせることから「コンバインドトレーニング」とも呼ばれます。
サーキットトレーニングはトレーニングメニューの組み合わせによってさまざまな部位を鍛えることができるため、運動機能の向上やダイエットに効果的です。
また筋トレと有酸素運動の間に休息を挟まず行うため、短い時間で集中してトレーニングを行うことができます。
つまりサーキットトレーニングは短期間で効果を上げたい方に適したトレーニングといえるでしょう。
2.サーキットトレーニングの効果
「サーキットトレーニングにはどんな効果があるのかな?」
このような疑問をお持ちの方も多いかもしれませんね。
サーキットトレーニングは有酸素運動と筋トレを組み合わせて実施するため、一度のトレーニングで複数の効果が期待できます。
この章ではサーキットトレーニングの主な効果について解説します。
2-1.脂肪燃焼
サーキットトレーニングの一部である有酸素運動はエネルギーとして脂肪が使われるためダイエット効果が期待できます。
また、有酸素運動の前に筋トレを行うと有酸素運動を単独で行った場合よりも脂肪が燃えやすくなるといわれています。
そのため、サーキットトレーニングは通常の有酸素運動よりも効率良くダイエットができる可能性があります。
「どうして筋トレを先に行うと脂肪が燃えやすくなるの?」
という点が気になりますよね。
なぜ筋トレを先に行うと脂肪が燃えやすくなるのかというと、筋トレをすることで中性脂肪の分解を促進するはたらきを持つ「成長ホルモン」が分泌されるからです。
成長ホルモンにより分解された中性脂肪はエネルギーとして消費されます。
つまり筋トレを行うことで脂肪が燃えやすい状態になるのですね。
そのため、脂肪を減らす効果を高めたい場合はサーキットトレーニングを筋トレのメニューから始めることがおすすめです。
2-2.全身持久力の向上
全身持久力の向上もサーキットトレーニングに期待できる効果の一つといわれています。
全身持久力とは一定の運動を長く継続できる体力や粘り強さのことです。
全身持久力が向上すると、肺や心臓のはたらきが強化され筋肉への血流が増加するため、体に多くの酸素を運搬できるようになります。
その結果、長時間にわたりエネルギーが供給され運動を継続して行えるようになるのです。
また全身持久力を高めるためには、有酸素運動を中心とした種目を長時間行う必要があるといわれています。
サーキットトレーニングは中等度程度の強度の運動を休みなく継続して行うため、全身持久力を向上させる効果が期待できます。
全身持久力をつけたい方はサーキットトレーニングに取り組むと良いでしょう。
2-3.筋力の向上
サーキットトレーニングは筋力アップの効果も期待できます。
サーキットトレーニングでは複数の筋トレのメニューを組み合わせて実施できるので、全身の筋肉をバランス良く鍛えられます。
さらに、サーキットトレーニングを行うことで筋肉量が増加すると基礎代謝量が増えるため、エネルギー消費量が増えて痩せやすい体になることが期待できます。
基礎代謝量を増加させることで、ダイエットを成功させやすくなるといわれています。
サーキットトレーニングは筋力アップやダイエットの効果が期待できるトレーニングなのですね。
3.ダイエットのためのサーキットトレーニング
「サーキットトレーニングをする場合、どんなメニューを組めば良いんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
この章ではサーキットトレーニングの流れ、トレーニングメニューの一例をご紹介します。
3-1.トレーニングの流れ
サーキットトレーニングの流れを簡単にご説明しましょう。
例えば筋トレから始める場合は、筋トレのメニューを30秒程度行います。
次に、有酸素運動を同じく30秒程度実施します。
その後は最初に行ったトレーニングとは異なる筋トレのメニューを行い、このサイクルを20〜30分ほど繰り返します。
このとき、休息を挟まず筋トレと有酸素運動を交互に行うことがポイントです。
また筋トレは複数のメニューを組み込み、同じメニューを繰り返して行わないようにすることも重要です。
例えば背中を鍛えるトレーニングの次は下半身を鍛えるトレーニング、その後は腕を鍛えるトレーニングなど、鍛える部位を変えることでバランス良く全身の筋力アップを目指せます。
同じ部位を鍛え続けるわけではないので、筋肉を休息させることもできます。
サーキットトレーニングは自分でさまざまなメニューを組み合わせて行うことができますが、実際どのように行えば良いのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、次にトレーニングメニューの一例をご紹介します。
3-2.トレーニングの一例
サーキットトレーニングを行う際のトレーニングメニューの一例をご紹介します。
【おすすめのサーキットトレーニングメニュー】
- スクワット
- もも上げ
- プッシュ・アップ
- シャドー・ボクシング
- バック・エクステンション
- バーピー・ジャンプ
このトレーニングメニューはそれぞれ鍛える部位が異なるため、全身の筋肉をバランス良く強化できますよ。
一つずつメニューの解説をします。
3-2-1.スクワット
まずは下半身を鍛えるスクワットを行います。
足は肩幅くらいに開いて、爪先は少し外側に向けます。
お尻に力を入れた状態で息を吸いながら椅子に座るイメージで膝を曲げましょう。
このとき膝が爪先よりも前に出たり、上体が前傾姿勢になったりしないようにすることがポイントです。
膝の角度が90度くらいになるまで曲げたら、息を吐きながらゆっくりと元の姿勢に戻ります。
これを繰り返し行います。
慣れてきたら、太ももと床が平行になる位置まで曲げてみると良いでしょう。
3-2-2.もも上げ
次は有酸素運動であるもも上げを行います。
まず背筋を伸ばして真っすぐ立ちます。
かかとを少し上げた状態で太ももを左右交互に上げます。
このとき、太ももを上げると同時に腕をしっかり振るのがポイントです。
体は常に真っすぐに保ち、一定のリズムで太ももを上げましょう。
3-2-3.プッシュ・アップ
次は上半身の筋肉を鍛えるプッシュ・アップを行います。
プッシュ・アップとは腕立て伏せのことです。
胸にある大きな筋肉を鍛えられるため、基礎代謝を高めやすいトレーニングといわれています。
まず両手を肩幅よりもやや広めに床につき、両脚をそろえて伸ばします。
頭から膝まで一直線になるようにした状態で、肘をゆっくりと曲げて体を下ろします。
胸が床につきそうになるくらいまで下げたら、肘を伸ばして元の体勢に戻しましょう。
このとき腰を反らさず、体を真っすぐにキープしたまま行うことがポイントです。
プッシュ・アップは比較的強度が高いため、筋力に自信のない方やこの動作がきついと感じる方は膝をついた状態から取り組んでくださいね。
3-2-4.シャドー・ボクシング
次は有酸素運動のシャドー・ボクシングを行います。
シャドー・ボクシングは格闘技のトレーニングとして知られているメニューです。
有酸素運動だけではなく無酸素運動としての効果が期待できる運動であるため、効率良くダイエットができます。
まず足を肩幅程度に開き、利き足を1歩後ろに引きます。
このとき後ろに引いた足のかかとを少し浮かし、両脚の膝を軽く曲げた状態にしましょう。
両手で拳をつくり、利き手の拳を顎の横辺り、利き手ではない方の拳を顔の前に構えます。
このとき両手を強く握らず、軽く握る程度にしてください。
この状態で、左右交互にパンチを繰り返し打ちます。
パンチするときは前のめりにならないように姿勢を維持することを意識しましょう。
また、腕だけで打つと肩や肘を痛める原因となるため、足を踏み込んだり体をひねったりして全身を使うことも重要です。
同じパンチを打つと飽きてしまうため、軽く前にパンチする「ジャブ」、力強く前にパンチする「ストレート」、下から上に向かってパンチする「アッパー」などさまざまなパンチを組み合わせて行うと良いでしょう。
3-2-5.バック・エクステンション
次に行うメニューは背中を鍛えるバック・エクステンションです。
まずうつぶせになり、両腕を前へ、両脚を後ろへ伸ばします。
脚を少し床から上げた状態にして、上半身をゆっくり反らしていきましょう。
可能な範囲で上半身を上げ切ったら、徐々に戻していきます。
これを繰り返し行います。
上半身を動かしている間は腕や脚は床につかないようにすることがポイントです。
上体を反る際に息を吐き、戻す際に息を吸うことを意識すると、効果的に鍛えられますよ。
3-2-6.バーピー・ジャンプ
最後のメニューは有酸素運動であるバーピー・ジャンプです。
まず真っすぐ立った状態からしゃがみ、両手を床につけ、両脚を後ろに伸ばします。
このとき腕立て伏せのように体が一直線になるように伸ばしてください。
伸ばした脚をしゃがんだときの位置まで戻します。
その場で立ち上がり、ジャンプします。
このとき両手を上に上げて万歳の状態にしましょう。
これを繰り返し行います。
4.サーキットトレーニングを行う際のポイント
「サーキットトレーニングの効果を高めるコツはあるのかな?」
このように気になる方もいらっしゃるかもしれません。
サーキットトレーニングを行う際は、けがを防ぐためにトレーニングの前後にストレッチをすることがポイントです。
また呼吸を意識しながら行うことで効率良く脂肪を燃焼させることができます。
筋肉を強化させるには、トレーニングを行うのを数日置きにしたりたんぱく質を摂ったりすると良いでしょう。
ここからはサーキットトレーニングの効果を高めるポイントを解説します。
ポイント1 前後にストレッチを行う
サーキットトレーニングの前後はストレッチを行うようにしましょう。
サーキットトレーニングは複数の種目を短時間で行うため、比較的負荷が大きいトレーニングといわれています。
そのため、いきなりサーキットトレーニングを始めてしまうとけがをしたり疲労がたまりやすくなったりするリスクがあります。
サーキットトレーニングを安全に行うためには前後にストレッチを行うことが重要なのですね。
継続してトレーニングに取り組むにはストレッチも忘れずに行いましょう。
ポイント2 呼吸を意識しながら行う
サーキットトレーニングは呼吸を止めずに行いましょう。
体脂肪を燃焼させるためには酸素が必要です。
そのため、トレーニングの最中は呼吸を止めないように意識することが重要なのです。
呼吸を止めてしまうと脂肪が燃えづらくなるだけではなく、血圧が急に上がったり心臓や脳に負担がかかったりする恐れもあります。
特に筋トレを行う際は力んで息を止めてしまいがちなので注意しましょう。
筋トレをしているときは筋肉への負荷が軽いときに息を吸い、負荷が最も高いときに息を吐くことがポイントです。
例えばスクワットの場合では、お尻を落とした際に息を吸い、立ち上がる際に息を吐きます。
安全にトレーニングするためにも呼吸をするように心掛けましょう。
ポイント3 トレーニング時の心拍数を意識する
サーキットトレーニングを行う際は心拍数を意識することも重要です。
実は心拍数によって脂肪が燃焼される度合いは異なるといわれており、トレーニング中に最も脂肪が燃えやすい心拍数を「目標心拍数」と呼びます。
目標心拍数は最大心拍数の50~70%に設定することが望ましいとされています[1]。
目標心拍数は「(最大心拍数―安静時の心拍数)×0.5〜0.7+安静時の心拍数」という式で求めることができます[1]。
最大心拍数の求め方は「220―年齢」です[1]。
また安静時の心拍数は、10秒間の脈拍の回数を6倍にして求めることができます[3]。
脈拍の測り方は安静にした状態で利き手の人差し指・中指・薬指の指で、利き手ではない側の手首の内側にある動脈を触って脈拍の回数を数えます。
それでは実際に最大心拍数と目標心拍数を計算してみましょう。
例えば年齢が40歳の場合、最大心拍数は「220―40=180」です。
安静時の心拍数が60だとすると、目標心拍数は「(180―60)×0.5+60=120」〜「(180―60)×0.7+60=144」と算出されます。
つまりトレーニング時の心拍数が1分当たり120〜144である場合は、脂肪を燃焼させやすい状態でトレーニングができているといえます。
「でも、トレーニング中の心拍数ってどうやって把握すれば良いの?」
という点が気になりますよね。
トレーニング時の心拍数を測り方も安静時の測り方と基本的には同じです。
トレーニングをした後に自分の脈拍を10秒測定し、それを6倍にしましょう[3]。
この数値が目標心拍数の範囲から外れている場合は、運動量や強度の調節が必要と考えられます。
効果的に脂肪を燃焼させるためには、目標心拍数を意識してトレーニングに取り組んでくださいね。
[1] 公益財団法人 横浜市スポーツ協会 横浜市スポーツ医科学センター 健康・体力アップ情報「肥満と減量(実践編)【減量を成功させるために】」
ポイント4 数日置きに行う
サーキットトレーニングは毎日ではなく数日置きに行いましょう。
通常はトレーニングを行うと筋線維が破壊され、その筋線維が修復される際に筋肉が太くなります。
この現象を超回復といい、超回復が繰り返されることで筋肉量が増加し筋力がアップします。
一般的に超回復するのに必要な期間は2〜3日といわれています[4]。
そのため、サーキットトレーニングは毎日ではなく2〜3日に1回、1週間に2〜3回の頻度で行うようにしましょう[5]。
また疲労が十分に回復しないままトレーニングを行うと、疲れやすくなる他、睡眠障害や食欲不振などの不調を招く可能性があります。
健康のためにも無理のない範囲で継続していきたいですね。
ポイント5 たんぱく質を十分に摂る
効果的にサーキットトレーニングを行うためには、筋肉に必要なたんぱく質を十分に補給することも重要です。
たんぱく質については以下の記事で詳しく解説しています。
たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介
たんぱく質は筋肉のもととなり、筋力を向上させるのに欠かせない栄養素です。
トレーニングによって傷ついた筋肉は回復したり成長したりするためにたんぱく質が必要となります。
しかし十分にたんぱく質が摂取できていないと、筋トレをしても筋肉に必要なたんぱく質が足りず筋肉量が減ってしまう恐れがあります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、健康のために1日当たりの摂取すべきたんぱく質量は18歳〜74歳の男性で65g、同じく女性で50gです[6]。
筋肉をつけたい方や積極的に運動している方は体重1kg当たり2gのたんぱく質を摂ると良いといわれています[7]。
また筋肉を強化するためにはたんぱく質以外にもビタミンやミネラルなどの栄養素を摂取することも欠かせません。
特定の栄養素や食品を摂取するのではなく、栄養バランスの良い食事を摂るように心掛けましょう。
筋力を向上させる効果を高めるための食事については以下の記事で解説しています。
筋トレの効果を高める食事とは?おすすめのタイミングや必要な栄養素
5.サーキットトレーニングについてのまとめ
サーキットトレーニングは数種類の筋トレと有酸素運動を交互に行うトレーニングです。
体を休ませずにトレーニングをするため、短期間でもダイエットや筋力向上といった複数の効果が期待できます。
さまざまなメニューを組み合わせて行うため、全身の筋肉をバランス良く鍛えられる他、全身の脂肪を燃焼させることもできます。
サーキットトレーニングを行う際は、けがを予防するためにトレーニングの前後にストレッチをすることがポイントです。
トレーニング中は呼吸を止めずに行い心拍数を意識すると、ダイエット効果を高められるでしょう。
また数日間の休息を取り、食事ではたんぱく質を十分に摂ることで筋肉量が増加し、痩せやすい体になることが期待できます。
この記事を参考に、ぜひサーキットトレーニングに取り組んでくださいね。