「中性脂肪を下げるためにはどのような食べ物を摂れば良いんだろう……」
「中性脂肪が高めなときに気をつけるべきことってあるの?」
このようなお悩みはありませんか?中性脂肪を減らすためには、まず食生活の見直しを行うことが大切です。
しかし、具体的にどのように見直せば良いかわからない方が多いのではないでしょうか。
この記事では、中性脂肪を下げる食べ物や、中性脂肪が高いときに控えたい食べ物などについて詳しく解説します。
1.中性脂肪が気になる人の食事のポイント7つ
中性脂肪とは、肉や魚などにも含まれている油のことです。体脂肪の大部分を占めていることから、脂肪と呼ばれることもあります。
中性脂肪は私たちの体を動かすエネルギー源となりますが、蓄え過ぎると肥満になったり生活習慣病を招いたりするため注意が必要です。
また、血液中の中性脂肪の数値が高いと悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減りやすくなることも分かっています。
悪玉コレステロールはLDLコレステロールとも呼ばれ、増え過ぎると動脈硬化のリスクを高めます。
脂質異常症の診断基準には、血液中の中性脂肪とコレステロールの両方が含まれますが、中性脂肪が高めの方では悪玉コレステロールを増やさないこともポイントです。
中性脂肪の基準値は、以下のとおりです。
【中性脂肪の基準値(mg/dL)】
異常 | 29以下 |
基準範囲 | 30~140 |
要注意 | 150~499 |
異常 | 500以上 |
中性脂肪が高めの方は、食生活を意識して見直すようにしましょう。
まずは中性脂肪を下げるために心掛けたい七つのポイントを紹介します。
【関連情報】 「中性脂肪値が高くなる原因とは?健康上のリスクや改善のポイント」についての記事はこちら
1-1.食事は適量を心掛ける
中性脂肪が高いときに大切なのは、適正体重を維持することです。
1日の摂取エネルギーと消費エネルギーはちょうど良いバランスを保つようにしましょう。
摂取エネルギーが過剰になると、中性脂肪やコレステロールの合成が促進されてしまいます。
コレステロールは血管を詰まらせ、動脈硬化や脳梗塞などを引き起こす原因となるため、中性脂肪を指摘されたらできるだけ早く食事量の見直しを行うことが大切です。
まずは、自分が適正体重であるかどうかを確認しましょう。
適正体重は、「身長(m)×身長(m)×22」で計算できます[1]。
身長165cmの方の場合は1.65×1.65×22=59.859kgで約60kgが適正体重となります。
適正を超えていた方は、特定の食品を抜いたり、極端に食事量を減らしたりはせず、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を基本として、バランスの良い献立を考えてみてくださいね。
何よりも、食べ過ぎに気をつけ、腹八分目を意識することが大切です。
栄養バランスを考えるときは、農林水産省が公表している食事バランスガイドも参考にしてみてください。
[1]日本医師会「適正体重」
1-2.糖質の多い食べ物は控える
糖質は、たんぱく質や脂質と同じくエネルギーをつくる栄養素で、不足すると疲労感や集中力の減少がみられます。
生きていく上で欠かせない栄養素の一つでしょう。
しかし、糖質を摂り過ぎると中性脂肪が増えることが分かっています。
「インスリン」という膵臓から分泌されるホルモンをご存じでしょうか。
インスリンは上がった血糖値を下げるために必要なホルモンです。
糖質を過剰に摂取すると、上がった血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されます。
摂取した糖質が適量であれば、エネルギー源のグリコーゲンとして筋肉や肝臓にブドウ糖の形で溜め込まれますが、過剰に摂取するとインスリンがブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に蓄えてしまうのです。
このようなメカニズムで糖質は中性脂肪に変換されてしまうため、糖質は摂り過ぎないように注意しましょう。
1-3.良質の油を使用する
脂質の主な成分である脂肪酸は、大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
飽和脂肪酸は、血中の中性脂肪やコレステロールを増やす作用があるため、控えなければなりません。
例えば、バターやラードなどの動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれます。
一方、不飽和脂肪酸は血中の中性脂肪を低下させるはたらきがあります。
油を摂取する場合は、できるだけ植物性油や魚の油を摂るようにしましょう。
また、肉類を食べる際は、脂身の少ない部分を選ぶようにすると良いでしょう。
普段から質の良い油を摂るように心掛けていきましょう。
1-4.食物繊維の多い食材を選ぶ
食物繊維は、中性脂肪の吸収を抑えるはたらきがあります。
また、小腸で消化・吸収されずに大腸に届くので、整腸効果も期待できます。
しかし、食物繊維は不足しがちな栄養素として知られています。
成人では、18歳~64歳で1日あたり男性は21g以上、女性は18g以上の食物繊維を摂取することが目標とされていますが、実際の摂取量の平均値を見ると18.4gしかありません[2][3]。
食物繊維の多い食材を1食ごとに2皿は取り入れるようにしましょう。
主食である白米を胚芽米や麦飯に変えたり、白いパンではなく全粒粉のパンに変えたりするだけでも食物繊維の摂取量を増やすことができます。
1-5.調理法に気を付ける
同じ食材を使っていても、調理法を変えるだけで摂取する中性脂肪の量を変えられます。
特に、肉の調理でおすすめの方法は「蒸す」です。
皮付きの鶏もも肉を蒸すことで、脂肪を30%もカットできるといわれています。
食材をアルミホイルで包んで煮たり、炊飯器を活用したりすることで簡単に蒸し料理ができますよ。
「ゆでる」「焼く」といった方法も肉の脂を落とし、脂肪をカットするのに役立つので、ぜひ試してみてくださいね。
1-6.脂質の酸化を防ぐ栄養を積極的に摂取する
血中の脂質が多いと、酸化して動脈硬化が引き起こされやすくなります。
そのため、酸化を防ぐ栄養素を積極的に摂るようにしましょう。
抗酸化作用がある栄養素としては、ビタミンCやビタミンE、カロテノイド類やポリフェノール類が知られています。
それぞれの栄養素について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
カロテンの効果とは?多く含む食べ物や効率的な摂取方法について解説
1-7.アルコールは適量に抑える
アルコールの過剰摂取にも気をつけましょう。
適切なアルコール量なら問題ありませんが、過剰に摂取すると、肝臓での分解が追いつかずに中性脂肪の合成が促進されてしまいます。
アルコールを摂る習慣がある方は飲み過ぎないように気をつけましょう。
適度なアルコールの摂取量は1日20g程度です[4]。
日本酒なら1合、ビールなら500ml、ワインならグラス1杯程度の量です。
できれば、週に1~2日ほど休肝日を設けてください。
過度な飲酒は中性脂肪を増やすだけでなく、高血圧や脳梗塞などの原因にもなります。
健康のためにも日頃からアルコールの摂取量には気をつけてくださいね。
[4]厚生労働省「アルコール」
2.中性脂肪を下げる食べ物
では、中性脂肪を下げるためにはどのような食べ物を食べれば良いのでしょうか。
中性脂肪が気になる方が押さえておきたい七つのポイントを紹介しましたが、極端な食生活を続けるのはおすすめできません。
例えば極端に糖質の量を減らしてしまうと、ブドウ糖の減少により意識障害を起こして、ふらつきやめまいが起こる可能性があります。
油を完全にカットしてしまうのも良くありません。
たしかに脂っこい食事は中性脂肪を上げる原因となりますが、脂質は体を寒さから守るはたらきなどがあるため、重要な栄養素でもあります。
このようなことに気をつけながら、これから紹介していく中性脂肪を下げる食べ物を上手に食生活のなかに取り入れてみてください。
2-1.魚介類
魚介類には、不飽和脂肪酸の一種であるω-3脂肪酸が豊富に含まれています。
ω-3脂肪酸として有名なのがDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)です。
DHAやEPAには、中性脂肪を減らすはたらきがあります。
海外の研究では、海産物を週に1回以上食べる方は、あまり食べない方と比べると心疾患で死亡するリスクが低いことが明らかになっています。
DHAやEPAを効果的に摂りたい方は、サプリも試してみましょう。
■おすすめのサプリメント
メイン成分 | DHA:500mg EPA:20mg |
---|---|
機能性表示食品の届出文言 | 本品にはDHAとEPAが含まれます。DHAには、中高年の方の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である記憶力、判断力をサポートすることが報告されています。(記憶力:数字に関する情報を記憶し、思い出す力。判断力:数字や文字の情報を認識し、次の行動にうつす力。)DHAとEPAには血中の中性脂肪を低下させる機能があることが報告されています。 |
メイン成分 | DHA:546mg EPA:54mg |
---|---|
機能性表示食品の届出文言 | 本品には、DHA・EPAが含まれます。DHA・EPAには中性脂肪を下げる機能があることが報告されています。 |
メイン成分 | DHA:690mg EPA:170mg |
---|---|
機能性表示食品の届出文言 | 本品にはDHA・EPAが含まれます。DHA・EPAには血中の中性脂肪の値を低下させる機能があることが報告されています。 |
2-2.食物繊維を多く含む食材
食物繊維の一種であるイヌリンは、中性脂肪を下げるほかに食後の血糖値の上昇をゆるやかにする効果があることでも有名です。
食物繊維は海藻やきのこ、野菜などにも多く含まれているので、これらの食材をうまく活用した食事を摂りましょう。
食物繊維が多く含まれる食材の一例を下記に挙げていますので、こちらも参考にしてみてください。
【食物繊維を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 調理法など | 含有量 |
---|---|---|
干しひじき | 乾燥 | 51.8g |
乾しいたけ | 乾燥 | 46.7g |
乾燥まいたけ | 乾燥 | 40.9g |
ドライトマト | 乾燥 | 21.7g |
切り干し大根 | 油炒め | 21.3g |
食物繊維を効果的に摂りたい方は、サプリも試してみましょう。
■おすすめのサプリメント
メイン成分 | イヌリン:8.1g |
---|---|
機能性表示食品の届出文言 | 本品にはイヌリンが含まれています。イヌリンは食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが報告されています。また、イヌリンは血中中性脂肪を下げることが報告されています。さらに、イヌリンは善玉菌として知られているビフィズス菌を増やし、腸内フローラを整えることでお通じを改善しおなかの調子を整えることが報告されています。 |
メイン成分 | イヌリン:8.1g |
---|---|
機能性表示食品の届出文言 | 本品にはイヌリンが含まれています。イヌリンは善玉菌の一種であるビフィズス菌を増やし、腸内フローラを整えることでお通じを改善しおなかの調子を整えること、血中中性脂肪を下げること、食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが報告されています。 |
3.中性脂肪が高いときに控えるべき食べ物
中性脂肪が高いときには控えるべき食べ物もあります。
特に、コレステロールを多く含む食材や、糖質の多い食材は摂り過ぎないように注意しましょう。
3-1.コレステロールを多く含む食材
コレステロールは、卵、レバーや肉の脂身、内臓などに多く含まれています。
これらの食材を摂り過ぎるとコレステロールの値が上昇しやすくなるため、摂取量には気をつけましょう。
中性脂肪が気になる場合、食材から摂るコレステロールの量は1日あたり200mg未満が目安です[5]。
3-2.糖質の多い食材
糖質を摂り過ぎると、余った糖がインスリンによって中性脂肪に変えられます。そのため、糖質を多く含む食材の摂り過ぎは控えましょう。
お菓子(ケーキ類やスナック菓子)、ジュース、ジャム、はちみつなどは糖質を多く含むので、注意が必要です。
4.中性脂肪が気になるなら生活習慣を見直そう
中性脂肪が気になるときは、まず生活習慣を見直すことが大切です。食べ過ぎに気をつけ、糖質の多い食材は控えましょう。
血中脂質の数値を下げるには、運動も効果的です。中強度以上の有酸素運動を1日に合計30分以上行うことで、中性脂肪の値を改善できます[6]。
運動メニューとしては、ウォーキング、速歩、水泳、エアロビクスダンスがおすすめです。
また、禁酒のほか、禁煙するのも効果的です。たばこは、血中の悪玉コレステロールを増やし、血圧を上昇させる作用があります。
動脈硬化が進行し、心疾患や脳血管疾患のリスクが高まります。
自分の意思だけで禁煙するのが難しい場合は、禁煙補助剤や禁煙外来なども上手に活用しましょう。
自分に合った方法で、1日もはやく禁煙を始めることをおすすめします。
薬を使って中性脂肪を下げることもありますが、薬を使うのは生活習慣を見直しても値が改善しない場合や、急いで下げる必要があるときなどです。
中性脂肪の値には生活習慣が大きく絡んでいるので、根本的な改善を目指すには、普段の生活を見直すことが重要となります。
5.中性脂肪を下げる食べ物についてのまとめ
中性脂肪を下げる食べ物としては、魚介類や食物繊維を多く含む食材が知られています。
魚介類にはDHAやEPAが豊富に含まれており、血中の中性脂肪を減らすはたらきが期待できます。
食物繊維は中性脂肪の吸収を抑制することが特徴です。糖質を控えたりアルコールの摂取量を抑えたりすることも大切です。
高めの中性脂肪は食生活の見直しによって下げることができますので、まずは毎日の食事から変えていきましょう。