背中痩せを目指すには?効率的に痩せるための運動や食事のポイント
「背中の脂肪を落として痩せるには、どうしたら良いんだろう?」
「手っ取り早く背中痩せする方法ってあるのかな……」
下着の上に乗っかってボディラインを乱す背中の脂肪、気になりますよね。
体重はひとまずおいておいても、なんとか背中だけでも痩せることができないかと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、体の特定の部分の脂肪だけを落とすことは理論上不可能なため、全身のダイエットを行う必要があります。
とはいえ背中の筋肉を鍛えることは無意味ではなく、ダイエットにもつながります。
この記事では背中に脂肪がつく原因や、背中の筋肉を鍛えるメリットを解説します。
また効率的に痩せるための運動や食事のポイントもご紹介します。
望みの背中のシルエットを手に入れるための参考にしてくださいね。
1.背中に脂肪がつく原因
「どうして背中に脂肪がついてしまうのかな?」
ご自身の背中を鏡でチェックしながら悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。
背中の脂肪を含む体脂肪は、エネルギー(カロリー)の過剰摂取によって蓄積します。
食事からの摂取カロリー(エネルギー摂取量)が生活上での活動や運動による消費カロリー(エネルギー消費量)を上回った場合、余ったカロリーが体脂肪としてたまってしまうのです。
なお体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪があり、背中につく脂肪は皮下脂肪に当たります。
脂肪がつく原因はエネルギーの過剰摂取ですが、特に背中につく理由としては以下のようなものが挙げられます。
この章では、それぞれの原因についてさらに掘り下げて解説します。
1-1.猫背
猫背などの姿勢の悪さは背中に脂肪がつく原因になります。
これは皮下脂肪が普段あまり動かさない部位につきやすいためです。
姿勢が悪い状態では背中の筋肉があまり使われないため、筋肉が衰えて脂肪がつきやすくなると考えられています。
デスクワークに従事する人は特に猫背になりやすく、背中に脂肪がつきやすいといわれています。
スマートフォンを長時間見たり、椅子に浅く座って背もたれに体重を預けたりする習慣のある人も、同様のため注意しましょう。
また猫背だと、肩甲骨が外側に開いた状態が続いて癖になってしまいます。
肩甲骨が外側に開いていると背中が大きく見えてしまい、肉がついていなくても背中が大きく見えてしまうのです。
1-2.筋肉量の低下
筋肉量が低下することでも背中に脂肪がつきやすくなると考えられています。
これは筋肉量が低下するほど基礎代謝が低下するためです。
基礎代謝は呼吸や心拍、体温の維持など生命維持に必要な最低限のカロリーのことで、総消費カロリーの約6割を占めます[1]。
基礎代謝のうち、筋肉の消費するカロリーは基礎代謝の2割以上を占めています[2]。
このため筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、消費カロリーが減って体脂肪が蓄えられやすくなります。
この結果、背中にも脂肪がついてしまうのですね。
基礎代謝については以下の記事で詳しく解説しています。
基礎代謝量とは?年齢別の目安や計算方法、代謝を上げる方法を解説
[1] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「身体活動とエネルギー代謝」
[2] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「加齢とエネルギー代謝」
1-3.胸の脂肪の移動
女性では、胸の脂肪が背中側に流れることで背中に脂肪がついてしまう場合があります。
ブラジャーのサイズが合っていない場合は、胸周りの脂肪が背中や腹部に逃げてしまうことがあります。
カップサイズやアンダーが大きい場合や小さい場合だけでなく、ストラップがきつ過ぎる場合やブラトップのようなカップ付きインナーを使用している場合も注意が必要です。
2.部分痩せは不可能
「背中の余分な脂肪だけでもなんとか落としたい……」
このように考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし理論上は部分痩せ、つまり特定の部位についた体脂肪だけを落とすことは不可能であるといわれています。
これは背中の脂肪が皮下脂肪であるためです。
体脂肪はまず内臓脂肪から落ち、背中の脂肪を含めた皮下脂肪はなかなか落ちないという性質があります。
このため、ダイエットで特定部位の脂肪を集中的に落とすことはできないのです。
「背中痩せを目指すなら、背中のトレーニングをすれば良いんじゃないの?」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれも誤解です。
筋トレを含む運動を行ったことで消費されるのは全身の糖質や脂肪です。
つまり特定部位のトレーニングを行っても、その部位の脂肪ばかりが燃焼されるわけではないのです。
また有酸素運動や食事の改善によっても特定の部位の脂肪だけを落とすことはできません。
背中の脂肪を減らすにはダイエットに取り組み、全身の体脂肪を落とす必要があります。
ダイエットで体脂肪を落とすには、摂取カロリーが消費カロリーを下回った状態をつくる必要があります。
このためには運動をして消費カロリーを増やすこと、食事からの摂取カロリーを減らすことが重要です。
体脂肪を1kg減らすためには摂取カロリーと消費カロリーの差を約7,000kcalつくることが必要であるとされています[3]。
短期的に体脂肪を落とすことは難しいため、長期的かつ計画的にダイエットを行い、減量を目指しましょう。
[3] 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」
3.背中の筋肉を鍛えるメリット
「背中だけ痩せることができないなら、背中の筋肉を鍛える必要はないのかな?」
このような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
背中だけを部分的に痩せることはできませんが、背中のトレーニングは全身の脂肪を減らすのに効果的です。
また背中の筋肉を鍛えることには、ダイエットだけにとどまらないメリットがあります。
3-1.姿勢が良くなる
背中の筋肉を鍛えると姿勢が良くなります。
背中の筋肉を鍛えることで猫背が解消されて姿勢が良くなり、スタイル良く見えるようになる可能性もありますよ。
これは背中の筋肉の多くが姿勢の保持に大きな役割を担っているためです。
特に背中の大きな筋肉である広背筋が衰えると、猫背になりやすいといわれています。
猫背は背中に脂肪がつく原因の一つでもあるため、あらかじめ背中の筋肉を鍛えて姿勢を整えておくと良いでしょう。
また背中の筋肉を鍛えて姿勢が良くなることで頭や腰を支えやすくなり、肩こりや腰痛が改善されるともいわれています。
姿勢が良くなることで見た目だけでなく、体の不調の改善効果もあるのですね。
3-2.基礎代謝が向上する
背中の筋肉を鍛えることで基礎代謝の向上も期待できます。
背中には多くの筋肉があるため、背中を鍛えることで効率良く基礎代謝を向上させることができます。
なお基礎代謝の向上には大きな筋肉を鍛えることが重要です。
このため、背中のなかでも特に大きな広背筋をメインに鍛えると良いでしょう。
4.効率的に痩せるための運動のポイント
背中の脂肪を落とすためにも、効率的に痩せられる運動の方法を知りたいという方は多いでしょう。
ダイエットに効果的な運動には有酸素運動と筋トレがあり、これらを適切に組み合わせることが重要です。
この章では有酸素運動と筋トレそれぞれの特徴について解説します。
また、これらを組み合わせる際のポイントについてもご紹介するので参考にしてくださいね。
ポイント1 適度に有酸素運動を行う
効率的に痩せるためには、脂肪を燃焼しやすい有酸素運動に取り組みましょう。
有酸素運動は体脂肪を直接消費してくれるため、効率的に痩せるのに適した運動といえるでしょう。
代表的な有酸素運動にはウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、ハイキング、エアロビクスダンス、ステップエクササイズ、太極拳などがあります。
ご自身の好みや運動経験、体力などをもとに種目を選んでくださいね。
有酸素運動については以下の記事で詳しく解説しています。
ポイント2 2〜3日に一度筋トレに取り組む
また、2~3日に一度筋トレを行いましょう[4]。
筋トレで筋肉に負荷をかけると、筋肉を構成する筋繊維の一部が破断します。
破断した筋繊維が回復する際、元の状態よりも太くなる「超回復」が起こります。
これにより筋肉が増大し、筋力が増すのです。
この際の超回復には時間がかかるため、同一部位の筋トレは2~3日に一度行うと効果的です[5]。
なお基礎代謝を向上させることを目的とする筋トレでは、大きな筋肉を鍛えることが重要です。
大きな筋肉には太ももの大腿(だいたい)四頭筋やハムストリングス、胸の大胸筋、背中の広背筋、お尻の大臀(だいでん)筋などがあります。
背中の筋肉を鍛えるトレーニングは基礎代謝向上に加えて姿勢の改善や肩こり・腰痛の緩和も期待できるため、ここでいくつかご紹介します。
なお、筋肉に負荷をかける動作を繰り返すタイプのトレーニングは、一般的に8〜12回を1セットとして2〜4セット程度行うと良いとされています[6]。
ご自身の体力に合わせて無理のない範囲で行ってくださいね。
バックエクステンションは器具なしで、脊柱起立筋や広背筋、僧帽筋といった背中の筋肉を鍛えられるトレーニングです。
まずうつぶせになって、両手を頭の後ろで組みましょう。
この際、足は肩幅程度に開いておきます。
次に、腰と両脚を床につけたまま背中を反らすように上半身を持ち上げます。
できるだけ高く上半身を起こしたら、数秒間キープして元の姿勢に戻ります。
上体を起こす際、背中やお尻以外に力が入らないよう注意しましょう。
リバースエルボープッシュアップは広背筋や僧帽筋を鍛えられるトレーニングです。
まず床にあおむけになって両膝を立て、肘を脇につけます。
床に肘をつき、お尻は上げずに肘で床を押して上体を起こします。
この際、肩甲骨を寄せるようにすることが重要です。
この状態をキープし、ゆっくり元の姿勢に戻ります。
腹筋のトレーニング(シットアップ)のような姿勢ですが、あくまで背筋のトレーニングのため腹筋は使わず、上体を丸めないようにしてください。
プランクは体幹全体を強化できるトレーニングで、脊柱起立筋などの背筋に加えて腹筋やインナーマッスルなども鍛えられます。
まず四つんばいになって両肘を床につけます。
おなかに軽く力を入れながら腰を浮かせます。
この際、顔は斜め前に向け、頭から背中全体、腰、かかとまでが一直線になるようにしてください。
自然に呼吸を続けながら30秒間キープします。
お尻が下がったり背中が丸くなったりすると効果が減少するので注意してください。
30秒を1セットとして、2〜3回行います。
体勢のキープがつらい場合や、途中で体勢が崩れてしまう場合は、1セットごとの秒数を減らして無理なく行いましょう。
また慣れるまでは両膝を床につけた状態で行っても構いません。
広背筋を鍛えられるトレーニング、ダイエットにおすすめの筋トレを知りたい方は以下の記事をご覧ください。
広背筋に効果的な筋トレとは?トレーニングのコツや食事法も解説
[4] 厚生労働省 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
[5] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「筋力・筋持久力」
[6] 厚生労働省 「成人を対象にした運動プログラム」
ポイント3 筋トレを有酸素運動の前に行う
有酸素運動と筋トレを同日に行う場合、筋トレを先に行うようにしましょう。
筋トレを行うと成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンには脂肪の燃焼を促すはたらきがあるため、筋トレを行ってから有酸素運動を行うと脂肪がより燃えやすくなります。
逆に有酸素運動の後に筋トレを行うと成長ホルモンの分泌が抑制されるため、ダイエットの効果が低下してしまいます。
効率的に痩せるためには運動を行う順番も重要なのですね。
5.効率的に痩せるための食事のポイント
「痩せるためには運動だけすれば良いのかな?」
「食生活を見直したら効率的に痩せられるんだろうか……」
体重を減らすには、摂取カロリーよりも消費するカロリーが多い状態を維持する必要があります。
このため、効率的に痩せるには運動だけでなく、日々の食事を見直すことも重要です。
この章では効率的に痩せるための食事のポイントをご紹介します。
ポイント1 摂取カロリーを適切に抑える
効率的に痩せるには、食事からの摂取カロリーを適切に抑えることが重要です。
体重は摂取カロリーが消費カロリーを下回った際に減少します。
運動で消費カロリーを増やすとともに摂取カロリーを減らすことで効率的に痩せられるのです。
ただし極端なカロリー制限は挫折やリバウンドの原因となるため、無理なく適切に抑えるようにしましょう。
摂取カロリーを制限する際に目安となるのが、目標とする体重での推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)です。
目標体重を決めるに当たっては、肥満の判定に用いられる「BMI」という指標が参考になります。
厚生労働省は身体能力や健康維持を目的に、目標とするBMIの範囲を以下のように定めています。
| 年齢 | 目標とするBMI |
|---|---|
| 18~49歳 | |
| 50~64歳 | |
| 65歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ご自身の年齢に合わせて目標とするBMIを決めると良いでしょう。
BMIから目標体重を決める際は、目標とするBMI×[身長(m)の2乗]で求められます。
1日活動するのに必要となる推定必要カロリーは、年齢や性別、身体活動の強さによって変わります。
身体活動の強さは以下のとおり3段階の「身体活動レベル」で表されます。
| 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
|---|---|
| 低い(Ⅰ) | 生活の大部分を座って過ごし、日常的にあまり動かない場合 |
| 普通(Ⅱ) | 座って過ごすことが多いが仕事でも立ったり歩いたりすることがある場合、通勤や買い物、家事や軽いスポーツをする場合 |
| 高い(Ⅲ) | 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、スポーツなどで活発に体を動かす習慣のある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
それぞれの身体活動レベルでの1日に必要な体重1kg当たりのカロリーは以下のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) | 低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) |
| 18~29歳 | 35.6kcal | 41.5kcal | 47.4kcal | 33.2kcal | 38.7kcal | 44.2kcal |
| 30~49歳 | 33.8kcal | 39.4kcal | 45.0kcal | 32.9kcal | 38.3kcal | 43.8kcal |
| 50~64歳 | 32.7kcal | 38.2kcal | 43.6kcal | 31.1kcal | 36.2kcal | 41.4kcal |
| 65~74歳 | 32.4kcal | 36.7kcal | 41.0kcal | 31.1kcal | 35.2kcal | 39.3kcal |
| 75歳以上 | 30.1kcal | 36.6kcal | - | 29.0kcal | 35.2kcal | - |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ご自身の目標体重に体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせることで、1日の適正な摂取カロリーを求められます。
例として営業職でスポーツが趣味の身長155cm、体重60kgの35歳女性の場合を考えてみましょう。
この女性の現状でのBMIは24.9(小数第二位で四捨五入)となります。
仮にこの女性がBMI21を目標とした場合、目標体重は50.5kg(小数第二位で四捨五入)となります。
ダイエットで摂取カロリーを控える場合は、この目標体重での1日当たりの推定必要カロリーを摂取すれば良いことになります。
この女性の身体活動レベルを高い(Ⅲ)とした場合、50.5(kg)×43.8(kcal)で2,211.9kcalが1日の適正な摂取カロリーです。
ただし、体重1kg当たりの推定必要カロリーは低体重や肥満といった個人の体格を度外視して算出されたものです。
また個人の正確な推定必要カロリーを算出すること自体も極めて難しいとされています。
このため推定必要カロリーはあくまで参考程度にとどめ、実際の食事の内容や体重の変化などをもとに適切にカロリーを摂取する必要があります。
1日に必要なカロリーについては以下の記事で詳しく解説しています。
1日の適切な摂取カロリーは?体格や運動量に合わせた計算方法を解説
[7] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「肥満と健康」
ポイント2 糖質の摂取量を適切に抑える
効率的に痩せるには、糖質の摂取量を抑えることが重要です。
糖質を摂り過ぎると、余った分が中性脂肪に合成され、体脂肪として蓄積されてしまいます。
糖質は炭水化物のうちエネルギー源となるもので、1g当たり4kcalのエネルギーを産生します[8]。
糖質はヒトの体の極めて重要なエネルギー源で、特に脳や神経組織、赤血球などは基本的にブドウ糖しかエネルギー源として用いることができません。
このため糖質が不足すると疲労を感じたり集中力が減退したりする他、場合によっては意識障害に陥る危険もあります。
糖質は過不足なく摂取する必要のある栄養素だといえるでしょう。
厚生労働省は、1歳以上の全年代に対して炭水化物から摂取するカロリーを摂取カロリー全体の50〜65%にするという目標量を設定しています[8]。
ただし炭水化物のカロリーのほとんどは糖質に由来するため、この基準は糖質を対象としたものと考えて問題ありません。
例として1日の推定必要カロリーが2,000kcalの人を考えてみましょう。
この人が糖質から摂取すべきカロリーは1,000~1,300kcalとなります。
このカロリーを重量に換算すると、糖質は1gで4kcalのため、250~325gです。
糖質は主にごはんやパン、麺類などの穀類、さつまいもやじゃがいもなどのいも類、バナナやぶどうなどの果物類、あめやせんべいなどの菓子類、砂糖や砂糖を材料に用いる飲食物などに含まれます。
糖質については以下の記事で詳しく解説しています。
糖質とは?はたらきや過不足の悪影響、摂取の目標量と摂取源を紹介
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント3 脂質の摂取量を適切に抑える
効率的に痩せるには、脂質の摂取量を抑えることも重要です。
これは脂質が1g当たり9kcalと糖質の2倍以上のエネルギーを産生し、摂り過ぎると体脂肪として蓄積しやすいためです[9]。
ただし脂質はホルモンや神経伝達物質といった生理活性物質や細胞膜の成分ともなるため、制限すればするほど良いというわけでもありません。
厚生労働省は1歳以上の全年代に対し、脂質から摂取するカロリーの割合を摂取カロリー全体の20~30%にするという目標量を設定しています[10]。
1日の推定必要カロリーが2,000kcalの人は400~600kcalの脂質を摂取すると良いでしょう。
これを重量に換算すると、脂質は1gで9kcalのため44.4~66.7gとなります(小数第2位で四捨五入)。
また脂質を摂取する際は、脂質の種類にも注意が必要です。
脂質はその構造から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大きく分けられます。
このうち肉類の脂身や鶏皮、バター、生クリームなどの乳製品、インスタントラーメンなどの加工食品に多く含まれる飽和脂肪酸は体内で合成できるため、食べ物から摂取する必要がありません。
また肥満や生活習慣病の原因ともなるため、成人に対して飽和脂肪酸から摂取するカロリーを1日に摂取するカロリーの7%以下に抑えるという目標量が設定されています[10]。
18歳以上で1日の推定必要カロリーが2,000kcalの人は、飽和脂肪酸の摂取量を140kcal以下、重量では15.6g(小数第2位で四捨五入)以下にしましょう。
一方で不飽和脂肪酸に分類される「n-3系多価不飽和脂肪酸」と「n-6系多価不飽和脂肪酸」は、体内で必要な量を合成できない必須脂肪酸で、不足すると皮膚炎などの原因となります。
不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に多く含まれるため、脂質を摂る際はこうした食品を積極的に選ぶようにすると良いでしょう。
脂質については以下の記事で詳しく解説しています。
脂質とは?はたらきや種類、1日に摂取すべき量の計算方法を解説
[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント4 たんぱく質を十分に摂る
効率的に痩せるにはたんぱく質を意識的に摂取しましょう。
たんぱく質はエネルギー源となる栄養素の一つで、1g当たり4kcalのエネルギーを産生します[11]。
糖質や脂質を制限する場合はたんぱく質から必要なカロリーを摂取する必要があります。
またたんぱく質は筋肉や臓器、皮膚などの細胞や、ホルモン、酵素の材料にもなる極めて重要な栄養素です。
効率的に痩せる上でたんぱく質の摂取が重要なのは、筋肉量が増えるに伴って基礎代謝が向上するためです。
筋肉が消費するカロリーは基礎代謝の4分の1近くを占めるため、筋肉量が増えるほど基礎代謝が高まり、日々の消費カロリーが増えるのです[12]。
このため、たんぱく質を十分に摂取することで筋トレの効果を高め、基礎代謝の向上につなげられるのです。
厚生労働省は1歳以上の全年代に対し、たんぱく質から摂取すべきカロリーの割合について、目標量を摂取カロリー全体に対する割合で定めています。
それぞれの年代の目標量は18〜49歳で13〜20%、50〜64歳で14〜20%、65歳以上で15〜20%とされています[13]。
またこれとは別に推奨量として、18〜64歳の男性で65g、65歳以上の男性で60g、18歳以上の女性で50gのたんぱく質を1日のうちに摂取することが勧められています[13]。
ただしたんぱく質を含む食品のなかには、飽和脂肪酸を多く含む肉類や乳製品もあります。
ダイエットの際は赤身肉を選ぶ、脂身や皮を取り除く、低脂肪乳を選ぶといった工夫をすることで飽和脂肪酸の摂取量を減らせますよ。
たんぱく質については以下の記事で詳しく解説しています。
タンパク質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介
[11] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[12] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「加齢とエネルギー代謝」
[13] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント5 食物繊維を十分に摂取する
効率的に痩せるには、食物繊維も十分に摂取しましょう。
痩せようとして食事量を減らすと便秘になる場合がありますが、食物繊維には整腸効果があり、便秘を防いでくれます。
また食物繊維には消化管内にある糖質や脂質を吸着して排出するはたらきもあります。
このため肥満を予防・改善する効果が期待できるのです。
加えて食物繊維は満腹感を得やすい上に腹持ちも良く、おなかが空きにくいことも特徴です。
効率的に痩せたい人にとってはうれしい栄養素だといえますね。
厚生労働省は成人に対し、健康のために食物繊維を1日当たり25g以上摂取することを推奨していますが、日本人の摂取量は全世代でこれよりかなり少ない状況です[14]。
このため現実的な数値として、以下のような摂取目標量が設定されています。
| 性別 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 20g以上 | 18g以上 |
| 30~64歳 | 22g以上 | 18g以上 |
| 65~74歳 | 21g以上 | 18g以上 |
| 75歳以上 | 20g以上 | 17g以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
食物繊維は主に野菜類や豆類、きのこ類、海藻類、果実類などの植物性食品に含まれる一方、肉類や魚介類などの動物性食品にはほとんど含まれません。
食物繊維の摂取量を増やすには、日々の主食を玄米ごはんや麦ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えることが効果的です。
また食物繊維が特に豊富な食品はかぼちゃやごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、切り干し大根、いんげん豆、さつまいも、おから、納豆、しいたけ、ひじきなどで、1食分の量にそれぞれ2〜3gが含まれます[15]。
食物繊維を多く含む食品については以下の記事で詳しく解説しています。
食物繊維とは?はたらきや摂取目標量、摂取源となる食べ物を解説
[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[15] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「食物繊維の必要性と健康」
ポイント6 よく噛んでゆっくり食べる
効率的に痩せるには、よく噛んでゆっくり食べる習慣を付けましょう。
これは早食いをすることで、満腹であると感じる前に食べ過ぎてしまう恐れがあるためです。
食事をして血糖値が上昇すると、脳の満腹中枢が刺激されて満腹感を覚えます。
食事を始めてから満腹と感じるまでは20分以上かかるといわれています[16]。
このため、効率的に痩せるにはゆっくり食べる必要があるのですね。
なお、よく噛んで食べることは早食いや食べ過ぎを防いでくれるため、満腹感を得られやすくなり、肥満の予防や改善にもつながります。
またよく噛んで食べることで、食事誘発性熱産生が高まって消費カロリーが増加します。
一口30回以上を目標に、意識的に噛む回数を増やしてみましょう[17]。
[16] 独立行政法人 労働者健康安全機構「ゆっくり食べてみませんか」
[17] 厚生労働省「歯科保健と食育の在り方に関する検討会報告書「歯・口の健康と食育~噛ミング 30(カミングサンマル)を目指して~」」
ポイント7 アルコールを控える
効率的に痩せるにはアルコールを控えましょう。
アルコールは体に必要な栄養素ではないものの、1g当たり約7kcalのエネルギーを産生する高カロリーな物質です[18]。
糖質などを含んでいないお酒であっても、アルコール度数が9%であれば500mLで250kcalを超える計算になるのです[19]。
またお酒には糖質やたんぱく質が含まれるものもあり、アルコールに加えてそれらに由来するカロリーも摂取することになります。
アルコール自体のカロリーは体に蓄積されないことから、エンプティーカロリーと呼ばれることもあります。
しかしアルコールのカロリーが消費されている間は、糖質や脂質などはエネルギー源として使われずに蓄えられるため、肥満の原因となります。
なお、お酒を分解する能力が弱い体質の人はアルコールのカロリーがゆっくり消費されることで太りやすくなるため注意が必要です。
これに加えてアルコールには食欲を増進する効果もあるといわれています。
おつまみには脂っこいものも多く、シメに丼ものやラーメンを食べたくなる場合もあるため、痩せたい人はアルコールを控えた方が良いでしょう。
アルコールの摂取については以下の記事で詳しく解説しています。
アルコールとは?体への影響や健康的なお酒の飲み方、注意点を解説
[18] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「アルコールのエネルギー(カロリー)」
[19] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「アルコールとメタボリックシンドローム」
ポイント8 バランスの取れた食事を摂る
効率的に痩せたい人は、意識的に栄養バランスの取れた食事を摂りましょう。
痩せようと思って食事を減らし過ぎると、栄養素が不足して健康を損なう恐れがあります。
例えばたんぱく質が足りないと体力や免疫機能の低下が起こり、炭水化物が不足するとエネルギー不足で集中力の低下や疲労感につながります。
また食物繊維不足が便秘を招いたり、鉄不足が貧血や月経異常の原因となったりするといったように、栄養素の不足はさまざまな不調を引き起こします。
加えて糖質や脂質を分解するために欠かせない栄養素も存在します。
極端な食事制限や特定の食品のみを摂取するようなダイエットでは栄養素が偏ってしまうため、さまざまな食材を食事に取り入れ、バランス良く食べるようにしましょう。
体に必要な栄養素には、3種類のエネルギー産生栄養素に加えて13種類のビタミンと、16種類のミネラルがあります[20]。
これらを過不足なく摂取するには主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食生活を送ることが重要です。
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をなるべく1日2回以上食べるようにしましょう[21]。
具だくさんのカレーやシチュー、鍋物などはさまざまな食材を一度に摂れるため、ぜひ献立に取り入れてくださいね。
バランスの良い食事については以下の記事で詳しく解説しています。
栄養バランスの取れた食事とは?主食・主菜・副菜のポイントを紹介
[20] 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
[21] 農林水産省「考える やってみる みんなで広げる ちょうどよいバランスの食生活」
6.背中痩せについてのまとめ
背中に脂肪がつく原因には、猫背や筋肉量の低下、女性では胸の脂肪が背中に流れることなどがあります。
体の特定の部分の脂肪だけを落とすことは不可能なため、背中の筋肉を鍛えても背中だけ痩せることはできません。
このため、背中痩せを目指すのであれば長期的なダイエットによって全身の脂肪を落とす必要があります。
ただし背中を鍛えると猫背が改善されたり、基礎代謝が向上して痩せやすい体になったりといったメリットもあります。
効率良く痩せるためには脂肪を燃焼させる有酸素運動を行うとともに、基礎代謝を向上させやすい背筋を含む大きな筋肉をトレーニングしましょう。
この際、筋トレを有酸素運動の前に行うことでより脂肪が燃えやすくなります。
また食事では摂取カロリーを制限し、糖質や脂質の摂取量も適切に抑えましょう。
一方で、筋肉の材料となるたんぱく質や肥満の予防・改善が期待できる食物繊維を積極的に摂りましょう。
バランスのとれた食事を摂ること、よく噛んでゆっくり食べること、アルコールを控えることも重要です。
全身のダイエットを通じ、引き締まった背中を実現するための参考にしてくださいね。