食物繊維とは?はたらきや摂取目標量、摂取源となる食べ物を解説

2024年09月03日

2024年11月11日

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「食物繊維にはどんなはたらきがあるんだろう?」

食物繊維がおなかに良い食品成分であることはなんとなく理解しているけど、詳しいはたらきについてはいまひとつ理解していないという人もいるのではないでしょうか。

食物繊維とは人の消化酵素では消化できない物質のことをいいます。

第6の栄養素ともいわれ便通を促したり、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着し体外に排出したりと有用なはたらきをします

この記事では食物繊維のはたらきや1日当たりの摂取すべき目標量、平均摂取量について紹介していきますのでぜひ参考にしてみてくださいね。

1.食物繊維とは

食物繊維とはヒトの消化酵素では消化できない物質であり、炭水化物の一部です。

炭水化物は単糖類や少糖類、多糖類など体のエネルギー源となる「糖質」と、そのほとんどがエネルギーにならない「食物繊維」に分けられます

しかし、実際には食物繊維の定義は国内外で少しずつ異なっており、明確に定まっているわけではありません。

なお、炭水化物が産生するエネルギー量は1g当たり4kcalといわれています[1]。

一方、食物繊維が産生するエネルギー量は1g当たり0~2kcalとされています[1]。

ただし、食物繊維のエネルギー産生は腸内細菌の発酵分解により行われるため、その量は一定ではないと考えられています。

なお、炭水化物のなかで食物繊維が占める割合はわずかであるため、食物繊維に由来するエネルギーはごく少量であるとされています。

実際、糖質が産生するエネルギー量は1g当たり約4kcalと、炭水化物が産生するエネルギー量のほとんどは糖質に由来しています。

食物繊維には多くの種類がありますが、水に溶けない性質を持つ「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に大きく分けられます。

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2.食物繊維のはたらき

食物繊維のはたらき

「食物繊維はおなかに良いことは知っているけど具体的にどんなはたらきをするのだろう」

このように食物繊維のはたらきについて疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか

ここからは食物繊維の二つのはたらきについて詳しく見ていきます。

2-1.おなかの調子を整える

左手にトイレットペーパーを持って右手をお腹に手をあてている人

食物繊維にはおなかの調子を整えるはたらきがあります。

食物繊維は消化酵素によって消化できないため大腸まで達します。

大腸へ到達した食物繊維は便の体積を増やしたり、大腸内の環境を改善する腸内細菌を増やしたりします

食物繊維のこのようなはたらきは便秘の予防につながります。

またある研究では、食物繊維の摂取量が便秘症の罹患(りかん)率や発症率、排便頻度と関連することが認められています。

食物繊維は便通を整え便秘を防ぐために欠かせない成分といえますね。

2-2.脂質・糖・ナトリウムを体外に排出する

塩をスプーンですくっているところ

食物繊維には脂質・糖・ナトリウムを体外に排出するはたらきがあります。

ナトリウムとは
ヒトに必要なミネラルの一つで、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。ナトリウムはそのほとんどが細胞外液(細胞の外の体液)に含まれています。また浸透圧の調節をするはたらきを持ち、このはたらきによって細胞外液量を保っています。摂り過ぎるとむくみや口の渇き、高血圧、胃・食道がんなどのリスクを高めるといわれています。

そのため、脂質・糖・ナトリウムの摂り過ぎによって引き起こされる肥満や「脂質異常症」「糖尿病」「高血圧」などの生活習慣病の予防・改善効果が期待できるでしょう。

3.食物繊維の目標量と平均摂取量

「食物繊維は1日にどれくらいの量を摂取すれば良いのかな?」

食物繊維を食事に取り入れようと思っても摂取量が分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この章では食物繊維の摂取量と日本人の平均摂取量についてご紹介します。

3-1.食物繊維の目標量

食物繊維の目標量は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上とされています[2]。

目標量とは
生活習慣病にならないようにするために現在の日本人が当面目標とすべき摂取量のことです。

一方、アメリカ・カナダの食事基準では、食物繊維の目標量は1日当たり24g以上、可能であれば1,000kcal当たり14g以上にするのが望ましいとされています[3]。

しかし、「平成28年国民健康・栄養調査」によると、日本人の食物繊維摂取量の中央値(13.7g/日)は、全世代においてアメリカ・カナダの目標量に達していません[3]。

そのため、日本ではこの値を目標にするのは難しいとし、欧米とは異なる目標量が設定されています。

日本人の食物繊維の目標量は以下のとおりです。

【食物繊維の食事摂取基準(g/日)】
性別 男性 女性
年齢など 目標量 目標量
0~5(月)
-
-
6~11(月)
-
-
1~2歳
-
-
3~5歳
8g以上
8g以上
6~7歳
10g以上
10g以上
8~9歳
11g以上
11g以上
10~11歳
13g以上
13g以上
12~14歳
17g以上
17g以上
15~17歳
19g以上
18g以上
18~29歳
21g以上
18g以上
30~49歳
21g以上
18g以上
50~64歳
21g以上
18g以上
65~74歳
20g以上
17g以上
75歳以上
20g以上
17g以上

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また妊婦や授乳婦の目標量はこちらのとおりです。

【食物繊維の食事摂取基準(g/日)】
性別 女性
年齢など 目標量
妊婦
18g以上
授乳婦
18g以上

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「物繊維の必要性と健康

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-2.食物繊維の平均摂取量

食物繊維の摂取量が足りているかどうか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは食物繊維の平均摂取量を見ていきましょう。

厚生労働省が行った「令和元年 国民健康・栄養調査」によると、日本人の平均的な食物繊維摂取量は以下のとおりです。

【食物繊維の平均摂取量(g/日)】
性別 男性 女性
年齢など
1~6歳
11.5g
10.6g
7~14歳
18.1g
16.6g
15~19歳
20.0g
17.0g
20~29歳
17.5g
14.6g
30~39歳
18.3g
15.9g
40~49歳
18.3g
16.0g
50~59歳
19.4g
16.8g
60~69歳
20.6g
19.8g
70~79歳
21.9g
20.5g
80歳以上
20.3g
18.0g

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

世代別の食物繊維の平均摂取量を見てみると、目標量に達しているのは男性の70歳以上、女性の60歳以上のみです。

このように多くの世代で食物繊維を十分に摂取できていないことが分かります。

日本人の食物繊維の平均摂取量は1950年頃には一人当たり1日20g以上でしたが、穀類やいも類、豆類などの摂取量が減ったため、現在は減少傾向にあります[4]。

目標量を達成できるように食物繊維を積極的に摂取しましょう。

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康

4.食物繊維の摂取源となる食べ物

しいたけやマッシュルームなどのきのこ類

「食物繊維を摂取するには何を食べれば良いのかな?」

食物繊維を摂りたくても摂取源となる食べ物が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

食物繊維の摂取源となる主な食品には次のようなものがあります。

【食物繊維の摂取源となる主食類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
そば
6.0g
ライ麦パン
-
5.6 g
全粒粉パン
-
4.5 g
食パン
-
4.2 g
そば
3.7 g
発芽玄米
-
3.1 g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【食物繊維の摂取源となる豆類・大豆製品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
いり大豆
-
19.4 g
いんげんまめ
ゆで
13.6 g
おから
11.5 g
納豆
-
9.5 g
あずき
ゆで
8.7 g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【食物繊維の摂取源となる野菜類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
グリンピース
冷凍
9.3g
えだまめ
冷凍
7.3 g
モロヘイヤ
5.9 g
ブロッコリー
5.1 g
オクラ
5.0 g
みずな
3.0 g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【食物繊維の摂取源となる果実類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
ドライブルーベリー
-
17.6 g
干しがき
-
14.0 g
アボカド
5.6 g
ラズベリー
4.7 g
ブルーベリー
3.3 g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【食物繊維の摂取源となるきのこ類と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
しいたけ
5.5g
まつたけ
4.7 g
えのきたけ
3.9 g
まいたけ
3.5 g
なめこ
3.4 g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

このように食物繊維は豆類や野菜類、果実類、きのこ類、海藻類などの食品に含まれています

食物繊維を摂りたくても何を食べれば良いのか分からないという方はこちらを参考にしてくださいね。

5.食物繊維についてのまとめ

食物繊維とは炭水化物の一部で、消化酵素では消化できない物質です。

炭水化物が産生するエネルギーはそのほとんどが糖質由来であり、食物繊維由来のエネルギーはごくわずかと考えられています。

食物繊維は便の体積を増やしたり腸内細菌を増やしたりすることでおなかの調子を整えます

また脂質・糖・ナトリウムを吸着して体外に排出するはたらきもあります。

そのためこれらの摂り過ぎが原因となる肥満や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の予防・改善効果が期待できます

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、日本人の食物繊維の目標量は18 ~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上とされています。

しかし、多くの世代で食物繊維を十分に摂取できておらず、日本人の食物繊維摂取量は不足しがちです。

そのため豆類や野菜類、果実類、きのこ類、海藻類などの摂取源となる食品から積極的に摂取するようにしましょう。

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