「たくましい肩周りをつくるには、どんな筋トレが良いんだろう……」
「肩の筋トレをしたら肩こりにも良いのかな?」
このように感じたことのある方は多いかもしれませんね。
肩の周りにはさまざまな筋肉があります。
そのため、それぞれに効く筋トレを行うことでたくましい肩をつくったり肩こりを改善したりといった効果が得られます。
しかし、正しい方法で筋トレを行わなければ、肩関節を傷めてしまうリスクもあるため注意が必要です。
この記事では、肩周辺の筋肉を鍛えることで得られる効果やおすすめの筋トレメニューをご紹介します。
がっしりとした肩周りを目指したい方や肩こりを改善したいという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.肩の筋肉とは
肩には骨と骨とのつなぎ目である「関節」が複数存在します。
なかでも腕の骨「上腕骨」と背中の上部左右にある「肩甲骨」、首と胸の間にある「鎖骨」をつなぐ関節が「肩関節」です。
この肩関節には「三角筋」や「僧帽(そうぼう)筋」「菱形(りょうけい)筋」などさまざまな筋肉が関わっています。
ここでは、肩周りにある筋肉のなかから三角筋、僧帽筋、菱形筋をピックアップして詳しく見ていきましょう。
1-1.三角筋
三角筋は肩を覆うように付き、肩関節の動作に重要な役割を果たしている筋肉です。
太ももやお尻、胸の筋肉と並び、体のなかでも大きい筋肉としても知られる三角筋は「前部」「中部」「後部」の三つの筋肉に分けられ、それぞれ作用が異なります。
前部は腕を前に、中部は真横に上げる動作に関わる筋肉です。
また後部は腕を後ろに上げたり外側に回したりする動作に関わっています。
1-2.僧帽筋
僧帽筋は三角筋と隣接し、肩関節にも関わっている筋肉です。
首から背中、肩までと広い範囲をカバーしている僧帽筋は、三角筋と同じように三つの部位に分かれ、それぞれ異なるはたらきを担っています。
僧帽筋は首や腕、肩を動かしたり背中を伸ばしたりする筋肉であることから、負担がかかりやすく疲労しやすい筋肉で、肩こりの原因となることも知られています。
1-3.菱形筋
背骨と肩甲骨の間に付くひし形の筋肉が菱形筋です。
僧帽筋の奥深いところにある菱形筋は、上部の「小菱形筋」と下部の「大菱形筋」で構成され、表面にある僧帽筋などのサポートをしています。
菱形筋がうまく作用しなくなると、猫背や肩こりなどの原因となります。
2.肩の筋肉を鍛えるメリット
「肩の筋肉を鍛えたらたくましい体になる以外にも、何か良い影響があるかもしれない……」
肩の筋トレをすることで理想の体型に近づけるだけではなく、何らかのメリットが得られるのではないかと考えている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは肩を鍛えることで、具体的にはどんな効果が得られるのかについて解説します。
メリット1 肩幅が広くなる
肩の筋肉である三角筋を鍛えると、肩幅が広くなりがっしりとした上半身が得られます。
三角筋を鍛えることで丸みのある大きな肩が得られ、Tシャツやスーツの着こなしが決まる逆三角形の体型をつくることができるでしょう。
また、肩を鍛えることで「なで肩」の改善も期待できます。
なで肩を治したいと考えている方は、肩の筋トレをしてみると良いでしょう。
メリット2 肩こりの改善に役立つ
肩を鍛えることで、首から背中・肩にかけての不快な症状「肩こり」の改善が期待できます。
肩こりの原因はさまざまですが、肩関節周りの筋肉の緊張による血流悪化がその一つです。
肩周りの筋肉は頭部や腕を支えています。
そのため頭や肩の重さが影響して生じる筋肉疲労や、それによって引き起こされる血流不足によって疲労物質が滞り、肩の痛みやだるさにつながるのです。
このような原因からくる肩こりの大部分が、肩周りの筋肉である僧帽筋や三角筋、菱形筋に負担がかかることで起こります。
肩周りの筋トレは筋肉をほぐし血流の改善につながるため、肩こりの改善につながると考えられます。
メリット3 基礎代謝量がアップする
肩の筋肉である三角筋を鍛えることは「基礎代謝量」を高め、太りにくい体づくりに役立ちます。
基礎代謝は筋肉量の影響を受け、筋肉が増えるとそれに伴って向上します。
より効率的に基礎代謝を高めるためには大きい筋肉を鍛えることが重要です。
三角筋は体のなかでも大きい筋肉であるため、肩を鍛えることは基礎代謝を高めるのに効果的な方法であるといえるでしょう。
肩を鍛えることが太りにくい体づくりに有効であるとは意外ですが、うれしいメリットの一つであることは間違いありませんね。
3.肩の筋肉を鍛えられるおすすめの筋トレメニュー
「目的に合った肩の筋肉を鍛えるにはどんな筋トレが良いんだろう……。」
肩に作用する筋肉には三角筋や僧帽筋、菱形筋などがあり、どこを鍛えたいかによって筋トレ方法も変わってきます。
ここでは肩を鍛える筋トレメニューを、器具(ダンベル)を使ったものと、自分の体の重さを使う「自重トレーニング」に分けてご紹介します。
3-1.ダンベルを使った筋トレメニュー
肩を鍛える筋トレにはダンベルを使うものが多くあります。
おすすめのダンベル >
ダンベルを使用した筋トレメニューを見ていきましょう。
3-1-1.ダンベル・ショルダー・プレス
肩を鍛える筋トレの代表が「ダンベル・ショルダー・プレス」です。
ダンベル・ショルダー・プレスは主に三角筋に負荷をかける筋トレで、ダンベルを上げる際には三角筋前部と中部、下ろすときには後部に負荷がかかります。
そのため、三角筋全体を効率良く鍛えられる筋トレであるといえるでしょう。
その他、僧帽筋などを鍛えることにも役立ちます。
まず、ダンベルを両手に持ちます。
背筋を伸ばして胸を張り、ダンベルが肩の上(耳の横)辺りにくるように構えましょう。
構えられたら、肘が十分伸びるまでダンベルを垂直に持ち上げます。
腕が伸び切ったら、ゆっくり元の位置まで下ろします。
座った状態で行えるので、気軽にできそうなのがうれしいポイントですよね。
3-1-2.サイド・レイズ
サイド・レイズは三角筋や僧帽筋に効く筋トレです。
その名のとおり、ダンベルを体の側面(サイド)に持ち上げる(レイズ)トレーニングで、特に三角筋中部に作用します。
足を肩幅程度に開いて立ち、両手にダンベルを持って腕は真っすぐ下ろします。
肘を伸ばしたままダンベルを真横に上げ、肩の高さまで持ち上げましょう。
下ろす際も、肘を伸ばしたままゆっくりと下ろします。
ショルダープレスやサイド・レイズ、次にご紹介するベント・オーバー・サイド・レイズなどは、下ろす動作をゆっくりと行うことでより効果的に肩を鍛えることができます。
3-1-3.ベント・オーバー・サイド・レイズ
ベント・オーバー・サイド・レイズは、三角筋や僧帽筋、菱形筋に効く筋トレです。
前方にかがんだ姿勢で行うため、三角筋のなかでも後部の筋肉が鍛えられます。
両足を肩幅程度に開いて立ち、手の甲が外側を向いた状態で両手に一つずつダンベルを握ります。
背中を伸ばして上体を前に傾け、床と平行になるよう意識しましょう。
このような体勢ができたら、両腕を軽く曲げながらダンベルを肩の高さまでゆっくりと持ち上げます。
限界まで持ち上がったらゆっくりと下ろしてください。
三角筋後部は日常生活ではあまり使わない筋肉なので、三角筋を均一に鍛えるにはおすすめの筋トレですよ。
また、菱形筋も鍛えられることから肩こりの改善にも期待ができそうですね。
3-1-4.アップライト・ロウ
アップライト・ロウは肩の筋肉のほか、腕の筋肉「上腕筋」にも効く筋トレです。
アップライト・ロウはバーベルでもダンベルでも行うことのできるトレーニングです。
両足を肩幅程度に開いて立ち、手の甲が上にくるよう、両手の幅を肩幅よりも狭くしてバーベルまたはダンベルのシャフト(持ち手)を握ります。
このとき肘は曲げずに、伸ばしておきましょう。
その姿勢から肘を曲げ、ダンベルを胸の辺りまで持ち上げたら、元の姿勢に戻ります。
両肘はバーベルよりも高い位置を保ち、外に張り出すように動かしましょう。
ダンベルを持った左右の手の距離が近過ぎると肩を傷めてしまう恐れがあるため、腕を下ろしたときに太ももの前あたりに来ていることを意識してくださいね。
3-2.自重を使った筋トレメニュー
肩を鍛えるにはダンベルトレーニングが一般的かもしれません。
しかし、自分の体重を負荷とする自重トレーニングで肩を鍛える方法もあります。
3-2-1.パイク・プッシュ・アップ
三角筋を自重で鍛えるパイク・プッシュ・アップ(パイク・プレス)は、なで肩の改善にも適した筋トレです。
うつぶせになり、手は肩幅よりも少し広めに広げ、肩よりも少し前の位置に置きます。
足は肩幅程度に広げ、体が「く」の字になるよう腰を高く上げましょう。
その体勢から肘の角度が90度程度になるまで曲げ、体を斜め前方に下ろしたら、肘を伸ばして元の体勢に戻ります。
腕の幅が狭過ぎたり広過ぎたりすると、三角筋に作用しなかったり横に開けなくなったりしてしまいます。
しっかりと横に広げられ、三角筋に効いていると感じられる位置を見つけてみましょう。
また体の角度が筋トレの負荷に影響を与えるため、筋力に応じて調整してみてくださいね。
3-2-2.リバース・エルボー・プッシュ・アップ
リバースエルボープッシュアップは、僧帽筋を自重で鍛える筋トレです。
僧帽筋の他、背中の中央部から脇、腕へと広がる「広背筋」も鍛えられます。
初めにあおむけになり、両脚を閉じて膝を直角に曲げます。
脇を締めて両肘を床につけ、床を押しやるようにして上体を起こしましょう。
肘を床に付ける際にはしっかりと胸を張り、腹筋ではなく背中や肩を意識しながら取り組んでみましょう。
4.肩の筋肉を鍛える際の注意点
肩の筋トレを行う際には負荷をかけ過ぎないようにしましょう。
効果を期待するあまりダンベルなどの重量を重くすると、肩関節を傷めてしまう可能性があります。
特に筋トレに慣れていない方は、負荷が高過ぎるとフォームが安定せず目的の部位に作用しなかったり十分な効果が得られなかったりすることもあります。
そのため、肩の筋トレを行う際には軽めの重量で行うことを意識してみてくださいね。
5.筋トレ効果を高めるために意識したいこと
理想の肩を手に入れるためには、鍛える部位を意識した筋トレを行うことが大切です。
しかし効率よくトレーニングを行うためには、体のコンディションを整えることも重要であるといえるでしょう。
ここでは、筋トレの効果を高めるためにも意識すべきことについて解説します。
5-1.適度な休息をとる
より効果的に肩を鍛えたいなら、筋トレは2~3日に1回、もしくは1週間に2~3回程度の頻度で行うのがおすすめ[2]です。
特定の筋肉に負荷を集中させる筋トレを行うと筋肉細胞(筋線維)の一部が傷つき、回復するのに2~3日を要します。[3]
この回復期間を設けることで筋肉は元の状態よりも少しだけ大きくなり、筋トレと回復を繰り返すごとに筋肉は肥大していくのです。
また筋肉を肥大させるための休息に加え、体を休ませるための休息も忘れてはいけません。
筋トレを継続させるためにも、適度な休息をとり入れることを意識してみてくださいね。
5-2.栄養バランスの良い食事を摂る
栄養バランスの良い食事は、理想の筋肉づくりに欠かせません。
筋肉づくりに重要な栄養素といえば「たんぱく質」を思い浮かべるという方も多いでしょう。
たんぱく質は炭水化物や脂質と並び体のエネルギー源となるだけでなく、筋肉など体の材料としても使われます。
そのため筋肉をつけたい方は、筋トレをすると同時にたんぱく質も十分摂取することが重要です。
たんぱく質補給におすすめの栄養バー >
たんぱく質は肉類や魚介類、卵類、豆類などに豊富に含まれています。
以下の記事では、たんぱく質の役割や1日当たりの摂取推奨量、効率良く摂取できるおすすめの食べ物などをご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
たんぱく質は1日どれくらい必要?効率良く摂取できるおすすめの食品
しかし他の栄養素の摂取を疎かにしてしまうと、たんぱく質が筋肉の材料として有効に活用できなくなってしまいます。
たんぱく質を筋肉の材料として利用するためには、エネルギー源となる糖質が必要です。
エネルギー源、つまり糖質が不足している状態で意識的にたんぱく質を摂取しても「筋肉の材料」ではなく「エネルギー源」として使われてしまいます。
これではたんぱく質を摂取しても筋肉をつけるどころか減ってしまう、筋肉がついてこないといった状況に陥ってしまうでしょう。
効果的な筋トレを行うためには糖質をしっかり摂取して、トレーニングに使えるエネルギーを補給しておく必要があるのですね。
糖質はご飯やパン、麺類などの穀類や、いも類、果実類などに多く含まれています。
糖質のはたらきや1日にどれくらい摂取すべきかといったことについては以下の記事で解説しているので参考にしてみてくださいね。
糖質は一日にどれくらい摂取するべき?摂り過ぎにも不足にも注意!
また、糖質からエネルギーをつくり出すのを助ける「ビタミンB1」や、たんぱく質の有効利用に関わる「ビタミンB6」などのビタミン類も、筋トレに役立つ栄養素であるといえます。
肩の筋肉を鍛えるためにはもちろん筋トレも重要ですが、加えて栄養バランスの良い食事も意識してみてくださいね。
筋トレ中の食事については以下の記事でまとめて説明しています。
6.肩の筋肉に効く筋トレ まとめ
肩周りはさまざまな筋肉から構成されています。
肩を大きく見せるには三角筋を、肩こりの改善には僧帽筋や菱形筋の筋トレを行うと良いでしょう。
また、体のなかでも大きい筋肉である三角筋を鍛えることで、基礎代謝量のアップも期待できます。
肩周りを鍛える筋トレにはダンベルを使ったものが効果的ですが、自分の体の重さを利用し自重で鍛えることも可能です。
適度な休息と栄養バランスも意識しながら、効率良く肩周りを鍛えてみてくださいね。