「スクワットにはどんな効果があるんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スクワットは太ももの表・裏、お尻などの下半身の筋肉を全体的に鍛えられる筋トレの一種です。
スクワットを行えばこれらの筋肉量が増加する他、カロリーの消費、基礎代謝の向上、ヒップアップ、姿勢の改善といった効果が得られると考えられます。
この記事ではスクワットの効果やスクワットによって鍛えられる部位、スクワットとそれに似たトレーニングのやり方をご紹介します。
この記事を参考にぜひスクワットというトレーニングを日常に取り入れてみてくださいね。
1.スクワットの効果
「スクワットってどんな効果のあるトレーニングなんだろう?」
筋トレを始めようと考えていて、このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スクワットはさまざまな効果のある筋トレだといえます。
ここでは、スクワットの効果を五つご紹介しましょう。
1-1.下半身の筋肉の増強
スクワットでは、太ももの表・裏、お尻など下半身の筋肉を満遍なく鍛えられます。
筋トレを行うと筋肉量が増え、筋力が強くなることは皆さんご存じですよね。
つまりスクワットを行うと下半身が鍛えられ、これらの筋肉が強くなるのです。
なぜ筋トレを行うと筋肉が強くなるのか疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
その仕組みを簡単にご説明しましょう。
筋トレを行うと筋肉を構成する筋線維の一部が傷つけられます。
傷つけられた筋線維は回復するとき、元の筋線維より少し太い状態になり、これは「超回復」と呼ばれます。
筋トレと超回復を繰り返すことで筋肉はどんどん太くなり、筋力もそれに伴って強くなっていくのです。
スクワットは引き締まった下半身を目指したい方にぴったりのトレーニングといえますね。
1-2.カロリーの消費
「少しでも多くカロリーを消費したい……」
ダイエットを行っていてこのようにお考えの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
下半身のさまざまな筋肉を使うスクワットは、消費カロリーも比較的大きいトレーニングであるといえます。
ここでは、代表的な運動とスクワットの消費カロリーを比較してみましょう。
運動による消費カロリーは運動の強度と継続時間、また運動を行う方の体重によって異なります。
スクワットを3分間行うことによる消費カロリーを体重40から90kgまで10kg刻みでご紹介します。
【体重別・スクワットの3分間当たりの体重別消費カロリー】
体重 | 40kg | 50kg | 60kg | 60kg | 80kg | 90kg |
---|---|---|---|---|---|---|
消費カロリー | 10.5kcal | 13.1kcal | 15.8kcal | 18.4kcal | 21.0kcal | 23.6kcal |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
スクワットの消費カロリーを見ただけでは、これが多いのか少ないのか分かりませんよね。
代表的な他の筋トレの消費カロリーと比較してみましょう。
腕立て伏せと腹筋運動を「ほどほどの労力」で行った場合の消費カロリーは以下のとおりです。
【体重別・腹筋と腕立て伏せの3分間当たりの体重別消費カロリー】
体重 | 40kg | 50kg | 60kg | 60kg | 80kg | 90kg |
---|---|---|---|---|---|---|
消費カロリー | 8.0kcal | 10.0kcal | 12.0kcal | 14.0kcal | 16.0kcal | 18.0kcal |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
腕立て伏せや腹筋より、スクワットを行った方が多くのカロリーが消費できることが分かりますね。
また参考までに、平らで硬い地面を時速4.0kmで歩いた場合の消費カロリーは以下のとおりです。
【体重別・時速4.0kmでの歩行の3分間当たりの体重別消費カロリー】
体重 | 40kg | 50kg | 60kg | 60kg | 80kg | 90kg |
---|---|---|---|---|---|---|
消費カロリー | 6.3kcal | 7.9kcal | 9.5kcal | 11.0kcal | 12.6kcal | 14.2kcal |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
歩行と筋トレでは継続できる時間が異なりますが、短時間であれば筋トレ、なかでもスクワットは多くのカロリーを消費できますね。
1-3.基礎代謝の向上
スクワットをはじめとする筋トレには、基礎代謝向上の効果が期待できます。
基礎代謝は筋肉を含む除脂肪量(脂肪を除いた組織の量)の影響を受け、筋肉が増えればそれに伴って向上します。
このためスクワットのような筋トレをして筋肉を付ければ、基礎代謝が上がり、全体の消費カロリーも増えると考えられるのです。
また筋肉を付けて基礎代謝を向上させておくと、ダイエット後のリバウンド防止にも役立つといわれています。
筋トレを行うことで、太りにくい体づくりができるのですね。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット 「身体活動とエネルギー代謝」
1-4.ヒップアップ
スクワットはヒップアップにも効果的だと考えられます。
キュッと引き締まったお尻に憧れたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
お尻のラインをきれいに見せるには、お尻の筋肉をよく動かすことが重要だといわれています。
スクワットはお尻を含む下半身の筋肉を満遍なく鍛えられるトレーニングです。
また、スクワットは体の使い方の上達にも有効だといわれています。
スクワットのように立ったりしゃがんだりする動作は日常生活でも多く行います。
椅子に座ったり椅子から立ち上がったり、階段を上り下りしたり、さまざまな動作に立ったりしゃがんだりする要素が含まれていますよね。
スクワットでお尻を鍛えれば、こうした日常生活でもお尻の筋肉を使う機会が増え、さらにお尻の筋肉が落ちにくくなると考えられます。
お尻のラインが気になっているという方はぜひスクワットに取り組んでみましょう。
1-5.姿勢の改善
スクワットは姿勢の改善にも有効だと考えられます。
スクワットでは太ももやお尻などの下半身の筋肉に加え、おなかや背中の筋肉も鍛えられるといわれています。
太ももや体幹の筋肉を鍛えることは、姿勢の改善や腰痛・肩こりの軽減につながります。
これらの筋肉を鍛えられるスクワットには姿勢の改善効果が期待できるのですね。
体幹のトレーニングについては以下の記事でご紹介しています。
2.スクワットで鍛えられる筋肉
「スクワットで鍛えられる筋肉には具体的にどんなものがあるんだろう?」
このように疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
スクワットで鍛えられる主な筋肉は四つあります。
ここではスクワットで鍛えられる主な筋肉をご紹介しましょう。
2-1.大臀筋
スクワットでは「大臀筋(だいでんきん)」を鍛えることが可能です。
大臀筋はお尻の筋肉のなかで一番外側にある筋肉で、主には太ももの骨「大腿骨(だいたいこつ)」を後ろに引く動きをしています。
体の中で最も大きく強い筋肉ですが、座っている時間が長い場合にはあまり活用されていません。
大臀筋には歩く際や運動する際の股関節が伸びる動きを助けるはたらきがあります。
また立っているときや歩いているときに上半身の重みを支え、正しい姿勢を維持する役割も果たしています。
その役割と大きさから、体の中でも重要な筋肉の一つであるといえますね。
2-2.大腿四頭筋
スクワットには「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」を鍛える効果もあります。
大腿四頭筋は太ももの前側に位置する筋肉で、「大腿直筋(だいたいちょっきん)」「内側広筋(ないそくこうきん)」「中間広筋(ちゅうかんこうきん)」「外側広筋(がいそくこうきん)」の四つの筋肉で構成されています。
大腿四頭筋は骨盤の前傾を維持して姿勢を保ったり、膝の関節を支えたりするはたらきをしています。
特に内側広筋は膝の内側を支えており、筋力が弱くなると膝の内側を痛める原因となります。
また大腿四頭筋は体内でも大きく、鍛えることで基礎代謝を上げやすい筋肉の一つです。
2-3.ハムストリングス
スクワットでは「ハムストリングス」も鍛えられます。
ハムストリングスは太ももの裏側に位置し、大腿四頭筋と対をなす筋肉群です。
「大腿二頭筋(だいたいにとうきん)」「半膜様筋(はんまくようきん)」「半腱様筋(はんけんようきん)」の三つの筋肉があります。
ハムストリングスは膝を曲げるときや股関節を後ろに反らすときにはたらきます。
また走るときに重要な役割を果たします。
2-4.脊柱起立筋
スクワットでは「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」も鍛えることができます。
脊柱起立筋は人間の背中側の中心部、背骨から腰骨にかけて存在する細長い筋肉です。
多くの筋肉が集まってできており、背骨に最も近い「多裂筋(たれつきん)」、その外側の「最長筋(さいちょうきん)」、さらにその外側の「腸肋筋(ちょうろくきん)」に大別されます。
脊柱起立筋は上半身を支えたり、背筋を伸ばしたりするはたらきがあります。
人間が直立二足歩行をする上で重要な役割を担う筋肉です。
3.スクワットのバリエーション
「スクワットの正しいフォームが知りたいな」
このようにお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スクワットには基本的なものの他に、派生型と呼べるトレーニングがいくつか存在します。
ここでは、スクワットとそのバリエーションのトレーニングを合わせて四つご紹介しましょう。
なお、筋トレは10〜15回を1セットとして1〜3セット、無理のない範囲で行うことが推奨されています[2]。
どのトレーニングもやり過ぎには注意しましょう。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット 「レジスタンス運動」
3-1.スクワット
まずは基本のスクワットのやり方をご紹介しましょう。
スクワットを行う際は、まず両足を肩幅程度に開き、爪先をやや外向きにして立ちます。
このとき、膝は爪先と同じ方向に向けましょう。
次に、椅子に座るようなイメージでお尻を後ろに引きながらゆっくりと膝を曲げ、腰を落としていきます。
おなかに力を入れ、背筋を真っすぐ伸ばした状態を保つよう心掛けましょう。
膝を90度くらいまで曲げたら、元の体勢にゆっくり戻ります。
これを繰り返しましょう。
スクワットを行っている間は膝が爪先よりも前に出てしまわないよう注意してくださいね。
スクワットは体勢によっては関節を痛める原因にもなります。
不安のある方は椅子の背もたれで体を支えながらスクワットをしたり、椅子に座って立ち上がる動作を繰り返す「椅子スクワット」を行ったりすることから始めてみましょう。
3-2.ワイド・スクワット
ワイド・スクワットは足を大きく開いて行うスクワットです。
太ももの外側やお尻に加え、内ももの筋肉を鍛えられます。
まずは両足を肩幅よりも大きく開いて立ちましょう。
このとき胸を張り、背筋を伸ばすことを意識します。
次にお尻を後ろに突き出し、太ももが床と並行になるまでしゃがみましょう。
膝が爪先よりも前に出ないよう注意してくださいね。
膝が爪先より前に出ていると、筋肉ではなく関節で体を支えている状態になり、けがを招く恐れがあります。
立ち上がる動作の際は反動を使わず、しゃがんだときと同じ軌道で元の姿勢に戻ることを心掛けてください。
これらの動作を繰り返します。
また、背中が丸まらないように目線は正面かやや上に向けることもポイントです。
3-3.ハーフ・スクワット
ハーフ・スクワットは有酸素運動としての側面も強いトレーニングです。
ハーフ・スクワットでは通常のスクワットよりも浅く、中腰程度までしかしゃがみません。
このため負荷が軽く、筋肉が少ない方にもおすすめです。
ハーフ・スクワットでは両足を肩幅程度に開いて立ちます。
このとき、爪先はやや外側を向けておきましょう。
次に、お尻を後ろに突き出すようにして腰を落とします。
膝が90度くらいになったら静止し、ゆっくりと膝を伸ばします。
ハーフ・スクワットは速く行うよりも、1回1回の動作をゆっくり行うことが重要です。
また、トレーニング中はかかとが浮かないように注意してくださいね。
3-4.シングル・レッグ・スクワット
シングル・レッグ・スクワットはその名のとおり、片脚で立って行うスクワットです。
太ももの筋肉の他、内ももの筋肉も鍛えることができます。
両脚で行う通常のスクワットよりも筋肉に高い負荷をかけられますが、その分故障のリスクは高まると考えられます。
無理のない範囲で取り組みましょう。
シングル・レッグ・スクワットでは片脚で立ち、両腕を前に上げます。
背筋を伸ばして正面を向いた状態で、体を支えている方の脚の膝をゆっくりと曲げてしゃがんだら、元の体勢に戻ります。
立っている状態からしゃがむ間も、上げた方の脚は膝を伸ばしておきましょう。
背筋は伸ばし、顔は正面を向けることを意識してくださいね。
3-5.ジャンピング・スクワット
ジャンピング・スクワットはその名のとおりスクワットとジャンプを組み合わせた筋トレです。
お尻や太ももの裏の他、ふくらはぎも鍛えられ、瞬発力の向上が期待できます。
まずは両足を肩幅より広げて立ちます。
次に、背筋を伸ばしたまま膝と股関節を軽く曲げ、腕とお尻を後ろに引きましょう。
そこから、腕を振って反動をつけながら、できるだけ高く、真上にジャンプします。
着地するときは軽く膝を曲げるようにしましょう。
着地したら、再び素早くジャンプします。
これを繰り返しましょう。
着地の際に足に負担がかかってしまうため、クッション性のあるシューズを履いて行うのがおすすめです。
4.スクワットの効果についてのまとめ
スクワットは太ももの表・裏、お尻など下半身全体を満遍なく鍛えられるトレーニングです。
また背中やおなかの筋肉にも効果があるといわれています。
スクワットの効果としてまず挙げられるのが、こうした筋肉群の増強です。
筋トレを繰り返すことで筋肉は強く、太くなっていきます。
またスクワットのようなさまざまな筋肉を使う運動は多くのカロリーを消費できます。
筋トレには基礎代謝を向上させる効果もあるので、ダイエットにもぴったりだといえますね。
さらにヒップアップや姿勢の改善といった効果も期待できますよ。
スクワットによって鍛えられる筋肉には大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、脊柱起立筋などがあります。
これらの筋肉を特に鍛えたいという方にもおすすめのトレーニングです。
スクワットには基本の動作の他、鍛えられる筋肉や負荷の大きさが異なる派生型のトレーニングがいくつかあります。
ご自分の目的に合わせてスクワットやその仲間をトレーニングに取り入れてみてくださいね。