「大臀筋を鍛えるにはどんな筋トレをやれば良いのかな?」
「大臀筋を効果的に鍛えるためのコツを知りたい」
大臀(だいでん)筋を鍛えたいけれどトレーニング方法が分からないという方もいらっしゃるでしょう。
大臀筋はお尻の表面にある大きな筋肉です。
鍛えると運動能力や基礎代謝を向上させられるほか、ヒップアップも期待できます。
この記事では大臀筋のトレーニング方法と、鍛える上でのポイントをご紹介します。
ぜひこの記事の内容を参考にトレーニングに取り組んでくださいね。
1.大臀筋とは
大臀筋はお尻の表面にある大きな筋肉です。
お尻の筋肉の大半を占めるほど大きく、強い筋力を発揮します。
大臀筋は脚を後ろに引くときに必要な筋肉であり、立つ、歩く、姿勢を維持するといったときに使われます。
しかし現代人は座っていることが多いため、大臀筋をあまり使えていないといわれています。
次の章では大臀筋を鍛えるメリットについてご紹介します。
2.大臀筋を鍛えるメリット
「大臀筋を鍛えるとどんなメリットがあるのかな?」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは大臀筋を鍛えるメリットを三つご紹介します。
2-1.運動能力の向上
大臀筋を鍛えると運動能力の向上につながります。
大臀筋は下半身で最も大きな筋肉であるため、ジャンプする力や走る力など、運動時のほぼ全てのパフォーマンスに影響します。
また、立つ動作や歩く動作といった日常生活を送る上での基盤となる筋肉でもあります。
スポーツをしている方はもちろんのこと、筋力不足が気になる高齢の方は積極的に大臀筋を鍛えましょう。
2-2.基礎代謝量の向上
大臀筋を鍛えると基礎代謝量を上げることができます。
基礎代謝量のうち筋肉の占める割合は22%に上ります[2]。
このため基礎代謝量を上げるには大きな筋肉を鍛えることが有効だといえるでしょう。
大臀筋は全身の筋肉のなかでも非常に大きな筋肉のため、鍛えることで基礎代謝量を効率的に上げられるのですね。
基礎代謝が向上すれば、それに伴って1日の総エネルギー消費量が増加します [1]。
ダイエットをしたいと考えている方は大臀筋の筋トレを始めてみると良いかもしれませんね。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
2-3.ヒップアップ
大臀筋を鍛えるとヒップアップ効果が見込めます。
垂れたお尻も、大臀筋を鍛えると美しく引き締めることができますよ。
またお尻が持ち上がることで脚が長く見えるというメリットもあります。
大臀筋は骨盤に付着している筋肉のため、姿勢の改善やウエストの引き締めといった効果も期待できますよ。
理想のボディラインを目指したいという方は大臀筋トレーニングに取り組んでくださいね。
3.自重で大臀筋を鍛えるトレーニング
「器具を使わずに大臀筋を鍛えられるトレーニングってあるのかな?」
普段運動をする習慣がなく、ダンベルやバーベルを使うトレーニングはハードルが高いと感じている方もいらっしゃるでしょう。
そんな方でも気軽に取り組めるのが、自分の体重を負荷とする「自重トレーニング」です。
ここからは大臀筋を鍛えるための自重トレーニングを七つご紹介します。
トレーニング器具をそろえる必要がないのですぐにでも始めることができますよ。
3-1.ヒップ・リフト
ヒップ・リフトは大臀筋に強い刺激を与え、筋肉の成長を促せるトレーニングです。
まずあおむけになり膝を曲げましょう。
次に息を吐きながら膝から肩までが一直線になる位置まで腰を上げてください。
腰を上げたらゆっくりと下ろします。
この動作を繰り返しましょう。
3-2.ヒップ・スラスト
ヒップ・スラストは股関節を動かして大臀筋を鍛えるトレーニングです。
まずベンチや椅子に背中をもたれさせ、膝を曲げて足を肩幅に開きましょう。
その後、膝から肩までが一直線になる位置まで腰を持ち上げてください。
ゆっくりと腰を下ろします。
この動作を繰り返していきましょう。
腰を反らせ過ぎると負荷がかかり、けがの原因となるため注意してくださいね。
3-3.スクワット
スクワットは体重をかけながら腰を上下させるトレーニングです。
まず足を肩幅程度に広げ、爪先をやや外側に向けて立ちます。
この際、膝と爪先は同じ向きにしてください。
お尻を後ろに突き出すようにして、背中を丸めずゆっくりと膝を曲げて腰を落とします。
この際膝が爪先よりも前に出ないよう注意してください。
太ももが床と平行になるまで曲げたら、ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
この動作を繰り返しましょう。
スクワットは体重をかけながらゆっくりと行うことがポイントです。
3-4.ヒップ・エクステンション
ヒップ・エクステンションは四つんばいの状態で足を上げることで大臀筋に強い刺激を与えられるトレーニングです。
まずは床で四つんばいになりましょう。
両手と両膝を肩幅くらいの間隔で床につきます。
次に片方の脚を後方に伸ばし、腰の高さまで上げてください。
脚を上げ切ったら、ゆっくりと元の位置に戻します。
この動作を繰り返してください。
無理に脚を上げると腰を痛める可能性があるため注意しましょうね。
3-5.ブルガリアン・スクワット
ブルガリアン・スクワットは大臀筋に加え中臀筋も鍛えることができるトレーニングです。
まず脚を前後に開き後ろの足をベンチや椅子の上に乗せます。
前に出している方のお尻に負荷がかかっていることを意識しながら、股関節と膝を曲げて体を下ろしましょう。
前の膝が直角になるところまで膝を曲げたら、元の姿勢に戻ります。
余裕がある場合は、前に置いた足をもう一歩前に出すとお尻の筋肉を意識しやすくなります。
また後ろ足に力を入れず、前の脚の股関節周りでバランスを取りながら動くことを意識してください。
3-6.サイド・レッグ・サークル
サイド・レッグ・サークルは脚を大きく動かすことでお尻の筋肉を鍛えるトレーニングです。
まずは横向きに寝転がり、下側の手で頭を支え、上側の手を体の前につき体をしっかりと支えましょう。
次に上側の脚を大きく円を描くように回します。
この動作を繰り返します。
できる限り大きく回すことで効果を高めることができますよ。
4.器具を使って大臀筋を鍛えるトレーニング
「器具を使って大臀筋を鍛えるトレーニングを知りたい!」
ジムに通っている方や多くのメニューを試したい方は、器具を使ったトレーニングに挑戦しても良いでしょう。
ここからは大臀筋を鍛える器具を使ったトレーニングを三つご紹介します。
4-1.バーベル・スクワット
バーベル・スクワットはその名のとおり、バーベルを持って行うスクワットです。
バーベルの重量により、大臀筋が伸びる際に大きな負荷をかけるトレーニングのため、小さい負荷から始めるか、一人で行わずに補助者に支えてもらうなどしましょう。
まずは肩の僧帽筋の上部にバーベルを乗せて、ラックからバーベルを持ち上げます。
次に肩甲骨を寄せながら胸を張り、おなかに力を入れて頭から胸、骨盤までを一直線にします。
顎を上げないようにして腰を反らさず、目線は前に向けましょう。
この際、脚は肩幅より少し広げ、つま先はやや外側に向けます。
また膝がつま先より前に出ないように注意してください。
腰を下ろすイメージで、膝とつま先が同じ方向を向くように膝を曲げます。
太ももが床と平行になるところで止めます。
頭上から引っ張られるイメージで真っ直ぐに立ち上がります。
正しいフォームを保つために、おなかに力を入れて上半身を真っすぐにすること、顎を上げないこと、腰を反らさないこと、目線を前に向けること、膝が爪先より前に出ないようにすることを意識しましょう。
4-2.デッド・リフト
デッド・リフトは大臀筋に加え、ハムストリングスや広背筋などの体の後ろ側の筋肉をまとめて鍛えられるトレーニングです。
ハムストリングスとは太ももの裏側、お尻の付け根から膝裏にかけてついている三つの筋肉の総称です。
また広背筋は肩甲骨の下部から腰にかけてついている背中の大きな筋肉です。
ハムストリングスについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ハムストリングとは?効果のあるトレーニングやストレッチを解説
広背筋についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
広背筋に効果的な筋トレとは?トレーニングのコツや食事法も解説
デッド・リフトは腰を痛める危険が大きいため、必ず正しいフォームで行ってください。
また正しいフォームに慣れるまでは無理をせず、軽い負荷で反復練習しましょう。
フォームを間違えてしまうと、腰を痛めるため、慣れるまでは軽い負荷で練習してくださいね。
まずは足を肩幅程度に開き、バーベルの軸が両足の親指の上に来るような位置に立ちます。
そのまま膝を曲げてしゃがみ、バーベルを握りましょう。
このとき両手は両足よりも少し広げておくのがポイントです。
また膝が爪先より前に出てしまわないよう注意しましょう。
バーベルを握ったら体に沿わせるようにして持ち上げ、上体を起こします。
体が真っすぐになったら、上半身を倒しお尻を突き出しながらバーベルを下ろし、元の姿勢に戻りましょう。
この動きを繰り返します。
握力が足りない方は、リストラップなどを使うと良いでしょう。
4-3.ケトルベル・スイング
ケトルベル・スイングは大臀筋を中心として全身を鍛えられるトレーニングです。
ケトルベルとは球体に取っ手がついた、やかん(ケトル)に似た形をしたトレーニング用器具です。
ジムでのトレーニングを行う方や自宅に器具を用意できる方はぜひ取り入れてくださいね。
まずはスクワットと同じように足を肩幅程度に広げて爪先をやや外側に向けて立ちます。
腰を落として両手でケトルベルを持ちます。
体の重心を後ろにかけながら、脚の間を通して背中側にケトルベルを振りましょう。
その後股関節を素早く伸ばしてケトルベルを前に振り、顔の高さくらいまで持ち上げます。
この際、腕に力を入れないようにします。
ケトルベルの重さに任せて再び下げます。
体幹部に力を入れて体を安定させることがポイントです。
5.筋トレの効果を上げるポイント
「大臀筋を鍛えるときに気を付けるポイントはあるのかな?」
大臀筋を鍛えるに当たり、このように気になっている方も多くいらっしゃるかもしれませんね。
この章では筋トレを行う際に気を付けたいポイントを四つご紹介します。
トレーニングのやり方と併せて参考にしてくださいね。
ポイント1 正しいフォームで行う
トレーニングは正しいフォームで行うことを意識しましょう。
フォームが崩れると筋肉に適切に負荷をかけられない上、けがにつながる危険があります。
正しいフォームを保つには、鍛えたい筋肉を意識し、適切なスピードで行うことがポイントです。
また動作の際に反動を使わないようにしましょう。
ポイント2 負荷を少しずつ上げる
トレーニングを行う際には少しずつ負荷を上げていくことがポイントです。
無理をして回数を増やしたり、重さを増やしたりするとけがの原因になってしまいます。
筋トレで筋肉を増やすには数カ月の時間が必要だといわれており、急に負荷を上げてもすぐに筋肥大につながるわけではありません。
徐々に負荷を上げ、継続して行うことが重要です。
ポイント3 呼吸を意識する
呼吸を意識することも、トレーニングの効果を上げることにつながります。
大臀筋を鍛えるトレーニングでは、動作を行う際に踏ん張るタイミングが多くあります。
踏ん張るときに呼吸を止めるとフォームが崩れやすくなるため、意識的に呼吸するようにしましょう。
力を入れるときに息を吐き、筋肉を伸ばすときに吸うよう心掛けてくださいね。
なお、筋トレ中に呼吸を止めると血圧が急に上がったり、酸欠になったりする危険もあるため、十分注意してください。
ポイント4 適切な頻度で行う
筋トレは10~15回を1セットとして、1~3セット、無理のない範囲で行うことが勧められています[3]。
また筋トレは毎日行うのではなく、2~3日に1回の頻度で行うことが推奨されています[3]。
筋トレで大きな負荷がかかると筋肉を構成する筋線維の一部が傷つけられ、回復の過程で元よりも少し太くなる「超回復」が起こります。
トレーニングで筋線維が傷つき、超回復するというサイクルを繰り返すことで筋肉量が増えていくのですね。
筋肉の回復には2~3日かかるため、同じ部位をトレーニングする際は数日間の休息期間を設けるべきであるとされています [3]。
無理に毎日トレーニングを行うのではなく、休むことも筋肉の成長には必要なのですね。
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」
ポイント5 必要な栄養を十分に摂取する
効率良く筋肉を鍛えるためには特にたんぱく質と糖質を積極的に摂りましょう。
効率的に筋肉をつけるためにはたんぱく質を十分に摂ることも重要だと考えられます。
たんぱく質はエネルギーを産み出すはたらきの他、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛など体の組織を構成したり、体の機能を調整する成分の材料となったりしています。
体に必要なたんぱく質が不足すると、筋肉を構成するたんぱく質が分解されて使われるため、筋肉量や基礎代謝などが低下してしまいます。
また糖質も筋トレの前後でエネルギー源として使われるためトレーニングをする人に欠かせない栄養素です。
筋トレの前の糖質摂取は筋トレで消費するエネルギーの補給に、筋トレ後の糖質摂取は筋肉の分解予防に役立ちます。
加えてビタミンは効率的にエネルギーを産み出すために使われます。
また筋トレ後の筋肉や全身の疲労回復やコンディションを整えるためにも重要なため、たんぱく質を積極的に摂るようにしましょう。
筋トレ中の食事についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
6.大臀筋を鍛える筋トレについてのまとめ
大臀筋はお尻にある大きな筋肉のことです。
全身の中でも大きな筋肉ですが、座っている時間の長い現代人はあまり大臀筋を使えていません。
大臀筋のトレーニングを行うことで、運動能力の向上、基礎代謝の向上、ヒップアップといったメリットが得られます。
自重で行える大臀筋のトレーニングとしてはヒップ・リフト、ヒップ・スラスト、スクワットなどがあります。
また、器具を使って大臀筋を鍛えるトレーニングとしてはバーベル・スクワット、デッド・リフト、ケトルベル・スイングなどがあります。
筋トレの効果を上げるためには、正しいフォームで行うこと、負荷を少しずつ上げること、呼吸を意識することなどがポイントです。
無理なく継続して大臀筋を鍛え、理想の体型を目指してくださいね。