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脂質の多い食べ物は?はたらき、健康への影響と摂取のポイントを紹介

「脂質ってどんな食べ物に含まれているのかな?」

「脂質の摂り過ぎは健康に悪いイメージだけど、どんなものを食べれば良いんだろう?」

脂質というと、肥満や生活習慣病など体に良くないイメージを思い浮かべる方もいらっしゃいますよね。

とはいえ脂質はヒトのエネルギー源の一つであり、必要な栄養素です。

そこで気になるのが、どのような食べ物から脂質を摂れば良いのか、また健康的な脂質の摂り方ですよね。

この記事ではまず、脂質とはどのような栄養素か、種類やはたらきなどを詳しくご説明します。

その上で脂質の多い食べ物や、脂質を摂取する上でのポイントをご紹介します。

日々の食事のなかで健康的に脂質を摂取するための参考にしてくださいね。

1.脂質とは

脂質(脂肪)は体のエネルギー源となる栄養素の一種です。

炭水化物(糖質)やたんぱく質と並んで「エネルギー産生栄養素」と呼ばれます。

ヒトは食べ物から摂取したエネルギーを、生命を維持することや体を動かすことに利用しています。

このエネルギーの量を表す単位がカロリーで、脂質は1g当たり9kcalのエネルギーを産生します [1]。

メモ
1cal(カロリー)は非常に小さい値のため、通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として使われます。

炭水化物とたんぱく質が1g当たり4kcalであるのに対し、脂質はその倍以上のエネルギーを産生するため効率の良いエネルギー源であるといえるでしょう[1]。

一方で体はエネルギーを蓄えるために、脂質を優先的に蓄えやすいという性質を有します

脂質は細胞膜の主要な構成成分である他、脂溶性ビタミンなどの他の栄養素の吸収を助けるはたらきもしています。

また脂質は一部のホルモンの材料にもなります。

ホルモンとは
体のはたらきを調節する化学物質です。さまざまな種類があり、それぞれの量はごくわずかですが健康の維持には欠かせません。主に脳の脳下垂体、喉に位置する甲状腺、腎臓、その上にある副腎、膵臓(すいぞう)、各種の生殖腺など、全身のさまざまな器官でつくられます。

ただし摂り過ぎた脂質は体内に蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因となるため注意が必要です。

脂質についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をぜひ参考にしてくださいね。

脂質とは?はたらきや種類、1日に摂取すべき量の計算方法を解説

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

2.主な脂質の種類とはたらき、健康への影響

「脂質にはどんな種類があるのかな?」

「脂質を摂ると体にどんな影響があるんだろう?」

脂質には中性脂肪、脂肪酸、リン脂質、糖脂質、ステロール類といった種類があり、それぞれはたらきや健康への影響が異なります

この章では、中性脂肪に加え、脂肪酸に分類される飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、コレステロールについて詳しく解説します。

2-1.中性脂肪

食品に含まれる脂質や、体内の脂質の大部分は「中性脂肪(トリグリセリド)」という物質で占められています

中性脂肪は血中にも溶け込んでいます。

血中に溶け込んでいる中性脂肪が増え過ぎると、「脂質異常症」の一種である「高トリグリセリド血症」になり、動脈硬化が進行してしまうため注意が必要です。

脂質異常症とは
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことをいいます。中性脂肪以外にも、LDLコレステロール、HDLコレステロールの血中濃度の異常があります。

中性脂肪について、数値や高くなる原因などについて気になる方は以下の記事をぜひ参考にしてくださいね。

中性脂肪(トリグリセリド)とは?体内でのはたらきや基準値を解説

2-2.飽和脂肪酸

脂質の構成要素である脂肪酸は、その構造の違いから「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。

飽和脂肪酸は肉や乳などの動物性の脂肪に多く含まれており、冷めると固まる脂肪に含まれている傾向があります。

飽和脂肪酸は体内で合成することができるため、食事から摂取する必要はありません

また、肥満や高LDLコレステロール血症の原因として警戒されています

飽和脂肪酸を多く含んだ食品や健康への影響など、詳細はについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

飽和脂肪酸を多く含む食品とは?健康への影響や摂取目標量を紹介

LDLコレステロールは血中に存在するコレステロールの一種で、悪玉コレステロールとも呼ばれます。

LDLコレステロールとは
肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ作用がある脂質です。血液中で増え過ぎてしまうと動脈壁に蓄積され、動脈壁が厚くなります。やがて血流を悪化させたり血液の塊(血栓)となって詰まったりし、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。

血中のコレステロールにはLDLコレステロールの他に、HDLコレステロールがあります。

HDLコレステロールとは
血管壁に付着した余分なコレステロールを回収して肝臓に運び、動脈硬化を防ぐはたらきをする脂質です。肥満や運動不足、喫煙などが原因で値が低くなることがあります。

悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールに対して、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれます

LDLコレステロールが増え過ぎた状態の「高LDLコレステロール血症」や、HDLコレステロールが減り過ぎた状態の「低HDLコレステロール血症」は動脈硬化の原因となるため注意が必要です。

脂質異常症についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

脂質異常症とは?発症の原因や健康への影響、改善のポイントも解説!

2-3.不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は植物や魚などの脂肪に多く含まれ、主に液体の油に多く含まれている傾向があります。

不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられます

脂質の分類

一価不飽和脂肪酸には、ミリストオレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エルカ酸などがあります。

多価不飽和脂肪酸はさらに「n-6系脂肪酸」と「n-3系脂肪酸」に分けられます

n-6系脂肪酸の代表的なものはリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸などです。

n-3系脂肪酸にはα-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などがあります。

多価不飽和脂肪酸はいずれも、食事から摂取する必要のある必須脂肪酸です。

ただし、不飽和脂肪酸のなかにも健康に害を及ぼすものもあります。

不飽和脂肪酸の一種である「トランス脂肪酸」は、工業由来のものと、牛など反すう動物の胃で微生物によってつくられ乳製品や肉類に含まれる天然のものがあります。

トランス脂肪酸は、飽和脂肪酸よりもHDLコレステロールに対するLDLコレステロールの割合を高めることが分かっているのです。

工業用のトランス脂肪酸はマーガリンやショートニングの他、これらを原料とするパンや洋菓子、揚げ物などに含まれます。

また天然のトランス脂肪酸は牛肉や羊肉、牛乳、乳製品などにわずかに含まれています。

いずれも身近なものなので、摂り過ぎないように注意したいですね。

2-4.コレステロール

コレステロールも脂質の一種です。

細胞膜やホルモン、胆汁酸をつくる材料として体内で利用されています

メモ
胆汁酸は脂肪の消化に関わる胆汁の構成成分です。

生活習慣病の因子として知られるコレステロールは、たんぱく質などと結合し「リポタンパク質」として血中に溶け込んでいる物質のことです。

食品を通じて摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内でつくられるコレステロールの約7分の1~3分の1の量だといわれています[2]。

食事性コレステロールの摂取量が増えると、肝臓で合成されるコレステロールの量が減り、体内のコレステロール量は調節されます。

このためコレステロールの摂取量がそのまま血中濃度に反映されるわけではありませんが、影響はあるとされているのです。

これらのことから、コレステロールは必須栄養素ではないといえます。

コレステロールについての詳細は以下の記事をご覧ください。

コレステロールとは?種類や基準値、正常に保つためのポイントを解説

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

3.脂質の多い食べ物

「脂質ってどんな食べ物に多く含まれているんだろう?」

脂質を気にされている方にとっては、どのような食べ物に脂質が多く含まれているかは気になるポイントですよね。

脂質は主に肉類、魚類、乳製品(クリーム・チーズ)、ナッツ類、油類などに多く含まれています

脂質を多く含む食べ物

ここからは脂質の多い食べ物を食品の種類ごとに分けてご紹介します。

3-1.肉類

からあげ

脂質を多く含む肉類には主に以下のようなものがあります。

【肉類の可食部100g当たりのカロリーおよび脂質含有量】
食品名 加工状態など カロリー(kcal) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 一価不飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g)
和牛リブロース(脂身付き)
514
56.5
19.81
29.80
1.39
鶏皮(もも)
474
51.6
16.30
25.23
6.54
和牛ばら肉(脂身付き)
472
50.0
15.54
26.89
1.12
鶏皮(むね)
466
48.1
14.85
23.50
6.31
和牛サーロイン(脂身付き)
460
47.5
16.29
25.05
1.12
豚ばら肉(脂身付き)
366
35.4
14.60
15.26
3.50
輸入牛ばら肉(脂身付き)
338
32.9
13.05
16.05
0.54
牛タン
318
31.8
11.19
15.98
1.25
和牛ランプ(脂身付き)
319
29.9
9.71
15.78
0.76
あいがも(皮付き)
304
29.0
8.02
13.32
5.66
牛ハラミ
288
27.3
9.95
13.86
0.97
ラムロース(脂身付き)
287
25.9
11.73
9.52
0.87
輸入牛サーロイン(脂身付き)
273
23.7
10.85
9.24
0.43
豚ロース(脂身付き)
248
19.2
7.84
7.68
2.21
鶏手羽先(皮付き)
207
16.2
4.40
8.32
2.33
鶏もも(皮付き)
190
14.2
4.37
6.71
1.85

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

このように肉類には飽和脂肪酸が多く含まれています。

また鶏肉は牛肉や豚肉に比べ脂質が少ない傾向がありますが、皮に脂質が多く含まれます

脂質をコントロールしたい方は鶏肉の皮を除いて食べるなど工夫をしてみると良いでしょう。

3-2.魚介類

オイルサーディン

脂質を多く含む魚介類には主に以下のようなものがあります。

【魚介類の可食部100g当たりのカロリーおよび脂質含有量】
食品名 加工状態など カロリー(kcal) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 一価不飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g)
あんこう肝
401
41.9
9.29
14.15
11.88
オイルサーディン(いわし油漬け缶詰)
351
30.7
7.05
6.83
13.96
みなみまぐろ(トロ)
322
28.3
6.06
10.62
7.68
天然くろまぐろ(トロ)
308
27.5
5.91
10.2
6.41
しめさば
-
292
26.9
5.79
8.26
5.69
たいせいようさば
295
26.8
5.19
9.79
7.46
さんま(皮付き)
287
25.6
4.84
10.58
6.35
ツナ油漬け缶詰(びんなが)
-
279
23.6
4.85
4.24
11.73
ツナ油漬け缶詰(きはだ)
-
265
21.7
3.37
4.86
12.16
うなぎかば焼き
-
285
21.0
5.32
9.85
3.39
ぎんだら
210
18.6
4.50
9.87
1.59
ぶり
222
17.6
4.42
4.35
3.72
まさば
211
16.8
4.57
5.03
2.66
イクラ
-
252
15.6
2.42
3.82
4.97
にしん
196
15.1
2.97
7.18
2.39

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

魚介類は飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸である一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪を多く含んでいることが分かりますね。

またさんまやさばなどの青魚には、必須脂肪酸であるDHAやEPAが豊富に含まれています

必須脂肪酸は体内で合成されないため、意識的な摂取を心掛けたいものですね。

3-3.乳製品類

マーガリン

脂質を多く含む乳製品類には主に以下のようなものがあります。

【乳製品類の可食部100g当たりのカロリーおよび脂質含有量】
食品名 加工状態など カロリー(kcal) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 一価不飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g)
マーガリン(家庭用有塩)
-
715
83.1
23.04
39.32
12.98
有塩バター
-
700
81.0
50.45
17.97
2.14
食塩不使用バター
-
720
83.0
52.43
18.52
2.14
発酵バター(有塩)
-
713
80.0
50.56
17.99
2.15
クリーム(乳脂肪)
-
404
43.0
26.28
9.89
1.37
クリーム(乳脂肪・植物性脂肪)
-
388
42.1
18.32
18.74
1.17
ホイップクリーム(乳脂肪)
-
409
40.7
24.98
9.34
1.25
クリーム(植物性脂肪)
-
353
39.5
26.61
7.38
1.73
ホイップクリーム(乳脂肪・植物性脂肪)
-
394
38.4
16.63
17.19
1.07
ホイップクリーム(植物性脂肪)
-
399
36.1
8.30
25.01
0.88
チェダーチーズ
-
390
33.8
20.52
9.09
0.81
エメンタールチーズ
-
398
33.6
18.99
8.12
0.87
クリームチーズ
-
313
33.0
20.26
7.40
0.89
パルメザンチーズ
-
445
30.8
18.15
7.11
0.94
ゴーダチーズ
-
356
29.0
17.75
6.39
0.67
ブルーチーズ
-
326
29.0
17.17
6.76
0.80
マスカルポーネチーズ
-
273
28.2
16.77
6.40
0.81
プロセスチーズ
-
313
26.0
16.00
6.83
0.56

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

このように、乳脂肪分には飽和脂肪酸が多く含まれるため摂り過ぎには注意が必要です。

また、一部のマーガリンにはトランス脂肪酸が含まれます。

工業的なトランス脂肪酸は血中脂質などに悪影響を及ぼすため、過剰な摂取には気を付けましょう

3-4.ナッツ類

ナッツ

脂質を多く含むナッツ類には主に以下のようなものがあります。

【脂質を含むナッツ類と可食部100g当たりの含有量およびカロリー】
食品名 加工状態など カロリー(kcal) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 一価不飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g)
マカダミアナッツ(いり、味付け)
-
751
76.7
12.46
59.23
1.56
ヘーゼルナッツ(フライ、味付け)
-
701
69.3
6.21
54.74
5.31
くるみ(いり)
-
713
68.8
6.87
10.26
50.28
ピスタチオ(いり、味付け)
-
617
56.1
6.15
30.92
16.42
アーモンド(いり、無塩)
-
608
54.1
4.13
35.09
12.65
ピーナッツバター
-
599
50.4
11.28
19.88
14.62
らっかせい(いり)
-
613
49.6
9.00
24.54
14.83
カシューナッツ(フライ、味付け)
-
591
47.6
9.97
27.74
8.08

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

このように、ナッツ類は不飽和脂肪酸である一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸が多く含む傾向があります

特に多価不飽和脂肪酸はヒトの体内で合成できない必須脂肪酸であるため、適切な量の摂取を心掛けたいものですね。

3-5.油類

オリーブオイル

脂質を多く含む油類には主に以下のようなものがあります。

【脂質を含む油脂類と可食部100g当たりの含有量およびカロリー】
食品名 加工状態など カロリー(kcal) 脂質(g) 飽和脂肪酸(g) 一価不飽和脂肪酸(g) 多価不飽和脂肪酸(g)
なたね油
-
887
100.0
7.06
60.09
26.10
パーム油
-
887
100.0
47.08
36.70
9.16
大豆油
-
885
100.0
14.87
22.12
55.78
とうもろこし油
-
884
100.0
13.04
27.96
51.58
オリーブ油
-
894
100.0
13.29
74.04
7.24
ごま油
-
890
100.0
15.04
37.59
41.19
やし油
-
889
100.0
83.96
6.59
1.53
ひまわり油(ハイリノール)
-
899
100.0
10.25
27.35
57.94
ひまわり油(ハイオレイック)
-
899
100.0
8.74
79.90
6.79
あまに油
-
897
100.0
8.09
15.91
71.13
綿実油
-
883
100.0
21.06
17.44
53.85
サフラワー油(ハイオレック)
-
892
100.0
7.36
73.24
13.62
サフラワー油(ハイリノール)
-
883
100.0
9.26
12.94
70.19
落花生油
-
882
100.0
19.92
43.34
29.00
えごま油
-
897
100.0
7.64
16.94
70.60
ラード
-
885
100.0
39.29
43.56
9.81
ぶどう油
-
882
100.0
10.93
17.80
63.55
米ぬか油
-
880
100.0
18.80
39.80
33.26

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

メモ
「ハイオレイック」はオレイン酸の多いもの、「ハイリノール」はリノール酸の多いもののことです。

いわゆる「油」は100g中100gが脂質です。

含まれる脂質は油の種類によって異なります。

大豆油やとうもろこし油にはn-6系脂肪酸のリノール酸が、えごま油やあまに油にはn-3系脂肪酸のα-リノレン酸が多く含まれています

毎日の料理で使う油から必須脂肪酸を補えるのはうれしいことですね。

4.脂質を摂取する上でのポイント

脂質を摂取する際、どのようなことに気を付けるべきか知っておきたいものですよね。

ここでは脂質を摂取する上でのポイントを三つご紹介します。

ポイント1 適量を意識する

ひとさじのオイル

健康のため、脂質は摂り過ぎを避け、適量を摂取することが勧められます

厚生労働省は脂質の摂取基準について、1日に摂取するカロリーのなかで脂質から摂取するカロリーが占めるべき割合(単位:%エネルギー)を設定しています。

1歳以上の全年代の目標量は20〜30%エネルギーです[3]。

また1歳未満の目安量は0〜5カ月で50%エネルギー、6〜11カ月で40%エネルギーです[3]。

メモ
目標量は生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量として設定されています。また目安量は、推定平均必要量と推奨量を設定する十分な科学的根拠が得られない場合に設定されます。一定の栄養状態を維持するのに十分な量で、目安量以上を摂取している場合、不足のリスクはほとんどないとされています。

飽和脂肪酸は肥満や生活習慣病の原因となるため、3歳以上に対し目標量が設定されています。

目標量は3〜14歳で10%エネルギー以下、15〜17歳で8%エネルギー以下、18歳以上で7%エネルギー以下です[3]。

またコレステロールやトランス脂肪酸には食事摂取基準は設けられていませんが、脂質異常症などの原因になり得るため摂り過ぎには注意が必要です。

このため、コレステロールは1日200mg未満に抑えることが望ましいと考えられています[3]。

トランス脂肪酸はWHOの目標では総エネルギー摂取量の1%未満、あるいは1%未満でもできるだけ低く抑えることとされています[3]。

メモ
厚生労働省の定める「目標量」とWHOの「目標」は異なります。厚生労働省はトランス脂肪酸に目標量を定めていませんが、WHOでは目標を設け推奨しています。

一方、n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は必須脂肪酸であるため目安量が設定されています

目安量とは一定の栄養状態を維持するのに十分な量のことです。

目安量は以下の表を参考にしてください。

【n-6系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)】
性別 男性 女性
年齢など 目安量 目安量
0~5カ月
4
4
6~11カ月
4
4
1〜2歳
4
4
3〜5歳
6
6
6〜7歳
8
7
8〜9歳
8
8
10〜11歳
9
9
12〜14歳
11
11
15〜17歳
13
11
18〜29歳
12
9
30〜49歳
11
9
50〜64歳
11
9
65~74歳
10
9
75歳以上
9
8
妊婦
-
9
授乳婦
-
9

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

【n-3 系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)】
性別 男性 女性
年齢など 目安量 目安量
0~5カ月
0.9
0.9
6~11カ月
0.8
0.8
1〜2歳
0.7
0.7
3〜5歳
1.2
1.0
6〜7歳
1.4
1.2
8〜9歳
1.5
1.4
10〜11歳
1.7
1.7
12〜14歳
2.2
1.7
15〜17歳
2.2
1.7
18〜29歳
2.2
1.7
30〜49歳
2.2
1.7
50〜64歳
2.3
1.9
65~74歳
2.3
2.0
75歳以上
2.3
2.0
妊婦
-
1.7
授乳婦
-
1.7

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

ご自身の年齢などと照らし合わせて、意識的な摂取を心掛けてみましょう。

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

ポイント2 調理法を工夫する

蒸し器

調理法を工夫することで、脂質の摂取量を減らすことができます。

揚げる、炒めるといった調理法を避け、食材を蒸したり煮たりすると良いでしょう。

また肉や魚は油を使わずに網で焼いたり、下ゆでや湯通しをしたりすることで余分な油を落とすことができます

ちょっとした工夫で脂質の摂取量をコントロールできるので、ぜひ試してみてくださいね。

ポイント3 食物繊維を十分に摂る

ごぼう

炭水化物の一種である食物繊維は、ヒトの消化酵素では消化できない物質です。

食物繊維には脂質や糖を吸着し体外に排出するはたらきがあり、肥満や脂質異常症の予防・改善に効果があるとされています

このように有用な食物繊維ですが、日本人の食生活では不足しがちだといわれており、積極的に摂取することが勧められます

食物繊維を含む食べ物についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

食物繊維を含む食べ物は?摂取目標量と摂取量を増やすコツも解説

5.脂質の多い食べ物についてのまとめ

脂質はエネルギー産生栄養素の一種で、生命の維持や体を動かすことに必要な栄養素です。

摂り過ぎると肥満などの原因になることが知られています。

なお、一口に脂質といっても種類によって性質が異なり、代表的なものには中性脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、コレステロールがあります。

中性脂肪は食品の脂質や体脂肪の大部分を占めており、血中にも溶け込んでいます。

増え過ぎると動脈硬化を進行させる脂質異常症の一種、高トリグリセリド血症になる恐れがあるため注意が必要です。

また脂肪の構成要素である脂肪酸は構造から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。

飽和脂肪酸は体内で合成することができるため食事から摂取する必要はありません。

肥満や高LDLコレステロール血症の要因として知られています

一方、不飽和脂肪酸のうち、多価不飽和脂肪酸は体内で合成できないため食事から摂取しなければならない必須脂肪酸です。

またコレステロールは細胞膜やホルモン、胆汁酸をつくる材料として利用される脂質の一種です。

たんぱく質などと結合して血中に溶け込んでおり、高LDLコレステロール血症や低LDLコレステロール血症は動脈硬化の要因となります

脂質は一部の肉類や魚類の他、クリームやチーズなどの乳製品、ナッツ類、油類などに多く含まれています。

特に肉類や乳製品は飽和脂肪酸を多く含んでいます。

一方で魚類やナッツ類、植物性油脂は不飽和脂肪酸を多く含む傾向があります。

必須脂肪酸のn-6系脂肪酸はくるみやごま油、ハイリノールなどの油、n-3系脂肪酸は青魚から摂取が可能です。

脂質を含む食品を摂取する際には適量や脂質の種類に注意することが重要だといえるでしょう。

調理方法を、油を使わず蒸したり煮たり、肉や魚を網焼きにするといった方法に変えてみるのもおすすめです。

また食物繊維を十分に摂ることで、脂質を体の外に排出する効果が望めるでしょう。

この記事を参考に、脂質の摂取源となる食べ物を選んだり、脂質の摂取量を意識したりしてみてくださいね。