低栄養とは?症状や健康への悪影響、体に必要な栄養素について
「低栄養ってどんな状態のことなんだろう?」
「低栄養になると、どんな影響があるのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
低栄養とは、健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂取できていない状態のことをいいます。
低栄養の状態では、筋肉量の減少やその結果起こる活動量の減少など、さまざまな問題が起こるといわれています。
この記事では低栄養の症状や、低栄養になりやすい層、ヒトの体に必要な栄養素について詳しく解説します。
ぜひ参考にしてくださいね。
1.低栄養とは
低栄養は「栄養障害」の一種で、健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂取できていない状態のことをいいます。
「そもそも栄養素って何だろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
栄養素とはヒトが生きるために外界から摂取しなければならない物質のことです。
基本の栄養素である「五大栄養素」には、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルがあります。
炭水化物、脂質、たんぱく質は体のエネルギー源となります。
またたんぱく質には筋肉や臓器、肌、髪の毛など体の組織の材料となるはたらきもあります。
ビタミンとミネラルは体の調子を整えるはたらきをしています。
なおビタミンは13種類[1]、ミネラルのなかでも体に必要なことが分かっている必須ミネラルは16種類あります[2]。
私たちが健康的な毎日を送るには、これらの栄養素をバランス良く摂る必要があるのですね。
しかし加齢や無理なダイエットなどによって食事量が低下すると、栄養素の摂取が不十分になり低栄養を招きます。
また下痢で栄養素が失われることや、「代謝」に異常が出る病気で栄養素の必要量が増えることによっても、低栄養が起こることもあります。
低栄養の症状は、原因や不足している栄養素によってさまざまです。
低栄養のうちビタミンが不足している状態を「ビタミン欠乏症」、たんぱく質とエネルギーが十分に摂れていない状態を「PEM(Protein Energy Malnutrition):たんぱく質・エネルギー欠乏症」といいます。
低栄養は体内での栄養素の濃度が低下することから始まり、段階的に進行し、最終的に明らかな症状や兆候が現れます。
低栄養で現れる症状やメカニズムについては、次の章で詳しく解説しますね。
[1] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「ビタミン」
[2] 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
2.低栄養の症状や健康への悪影響
「低栄養ではどんな症状が現れるのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。
低栄養では体重減少、筋肉量の低下、身体機能の低下、活動量の低下、免疫機能の低下などが起こります。
また高齢者の低栄養では、加齢に伴う身体的な衰えや病気などの合併により、さらなる問題を招くことがあるため注意が必要です。
2-1.体重減少
低栄養では、体重が減少します。
これは栄養素の不足により筋肉や脂肪組織が分解されることで起こります。
私たちが適切に体重を維持するには、摂取するエネルギー(カロリー)と消費するエネルギーのバランスが重要です。
摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ると体重が減り、上回ると体脂肪が増え、増え過ぎると肥満になります。
食事を十分に摂っていない状態では活動に必要なエネルギーが不足し、脂肪や筋肉が分解され、エネルギーとして使われてしまいます。
このため食欲低下や極端なダイエットなどで栄養素が不足すると、体重減少を招くのです。
2-2.筋肉量の低下
低栄養では筋肉量が低下します。
筋肉を維持するにはたんぱく質が重要です。
たんぱく質は体内で筋肉や臓器、皮膚、髪の毛を構成する成分になります。
たんぱく質が不足すると、筋肉を構成するたんぱく質が分解され筋肉量の低下を招きます。
筋肉量の低下はエネルギー消費量(消費カロリー)の低下を引き起こすため注意が必要です。
呼吸や心拍、体温の維持など、生命を保つのに消費される必要最低限のエネルギー(カロリー)を基礎代謝といいます。
基礎代謝は体格の影響を受け、筋肉量に伴って増減することが分かっています。
ダイエットのために食事を減らしているという方もいらっしゃるかもしれませんが、低栄養で筋肉量が低下してしまうと、エネルギーを消費しにくい体になってしまうのですね。
また高齢者においては筋肉量の低下が特に問題になります。
加齢に伴う筋肉量の減少によって筋力が低下した状態を「サルコペニア」といいます。
サルコペニアは加齢の他に、栄養素の不足も危険因子の一つとされています。
将来介護が必要となるリスクが高まるため注意が必要です。
2-3.身体機能の低下
低栄養では、身体機能が低下します。
身体機能とは、筋力、筋持久力、関節可動域、体力、柔軟性、バランス感覚などのことです。
身体機能が低下すると、歩行時などにふらつきや転倒を起こしやすくなり、思わぬけがにつながる恐れがあります。
一般に加齢に伴い身体機能は低下しますが、低栄養の高齢者では進行が早まるといわれています。
身体機能を維持し、健康的な毎日を送る上でも十分な栄養を摂る必要があるのですね。
2-4.活動量の低下
低栄養では、活動量が低下します。
低栄養で筋力や身体機能が低下すると次第に体を動かすことがおっくうになります。
長時間の歩行や重い物の持ち運び、調理などが苦痛になり、活動量が低下します。
活動量が低下すると、エネルギー消費量が減って食欲が落ち、さらなる低栄養を招くといった悪循環に陥るため注意が必要です。
加齢による身体機能や活動量の衰えは「生活機能」の低下をもたらします。
生活機能の低下した状態を「フレイル」といいます。
十分に栄養素を摂ることは、自立した生活を送る上でも重要なのですね。
2-5.免疫機能の低下
低栄養は「免疫機能」の低下を招く原因となります。
栄養素のなかでもたんぱく質は、ウイルスなどから体を守るための「抗体」を構成する材料になります。
このためたんぱく質不足では免疫機能の低下を招く恐れがあるのです。
またたんぱく質の他にも一部のビタミンやミネラルが免疫機能に関わっており、これらの不足でも免疫機能が正常に維持できなくなる恐れがあります。
免疫機能が低下すると病気やけがの治りが遅くなったり、感染症にかかったときに重症化したりすることがあります。
3.低栄養のリスクが高い層
「低栄養になりやすい人っているのかな?」
と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
低栄養のリスクは乳児期、幼児期、妊娠期および授乳期、老年期という特定の時期に高まります。
また菜食主義、無理なダイエット、特定の薬の摂取、アルコール・薬物依存なども低栄養の危険因子です。
この章では、低栄養のリスクが高い層や症状について詳しく解説します。
3-1.乳児・幼児
乳児や幼児は、特に低栄養に陥りやすいといわれています。
これは成長するのに栄養素やエネルギーが必要となるためです。
乳児期は母乳や育児用ミルクによって栄養を補給しており、幼児期に近づくにつれて食物からの栄養摂取を加える必要があります。
この時期に授乳や食事が不足するとエネルギーやたんぱく質、ミネラルの一種である鉄などの栄養素が不足することがあるといわれています。
また母親が厳格な菜食主義者で母乳のみを与えている場合、ビタミンB12欠乏症を発症することがあります。
乳児・幼児の低栄養は脳の発育に悪影響を及ぼす他、体の成長・発育の遅延や免疫機能の低下などを招く原因になるといわれています。
子どもの成長に合わせて、十分な栄養素を摂れるようサポートする必要があるのですね。
離乳食については以下の記事で解説しています。
離乳食はいつから開始?始める前の準備や気を付けたいポイントを解説
3-2.妊娠中・授乳中の女性
妊娠中や授乳中には低栄養になりやすいといわれています。
妊娠中や授乳中には、栄養素の必要量が増加します。
このため厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊娠中や授乳中における摂取量の基準が栄養素ごとに設けられています。
妊娠中には、母親の栄養状態の維持や正常な分娩(ぶんべん)、胎児の発育を考慮した必要量が付加されています。
また授乳中には子どもの発育に十分な量の栄養素が母乳中に含まれるよう必要量が付加されています。
しかし妊娠に伴う体の変化や、必要摂取量が維持されないことによって、栄養素の不足が起こることがあります。
妊婦が低栄養の場合、生まれてくる子どもが「生活習慣病」になるリスクが高まるといわれています。
日本では諸外国に比べ2,500g未満で生まれてくる低出生体重児の割合が高いことが分かっており、その原因は母体の痩せや、妊娠中の体重増加の不足であると考えられています[3]。
小さく生まれてきた子どもはエネルギーを体脂肪としてため込みやすい体質になり、成人後に高血圧や糖尿病といった生活習慣病を発症するリスクが高まるのといわれています。
母体の体重が子どもの健康にまで悪影響を及ぼしてしまう恐れがあるのですね。
また、妊娠中に鉄やビタミンの一種である葉酸の不足が原因で起こるのが「妊婦貧血」です。
妊婦貧血は、妊娠中に体内を巡る血液の量が増えたにもかかわらず、赤血球などの血液中の成分の増加が追いつかず、相対的に薄まってしまうことで起こると考えられています。
また妊娠中の鉄不足は、胎児へ鉄を届けるために肝臓などに貯蔵されている鉄が減少することでも起こるとされています。
妊娠中の葉酸不足は、血液をつくるはたらきである「造血機能」が妊娠に伴って激しくなることで起こるといわれています。
授乳期には、妊娠による貧血や出産による出血、栄養素が母乳へ移行することなどが重なり、貧血が改善しにくい場合があります。
貧血の症状が見られる場合には、産婦人科を受診してくださいね。
鉄、葉酸についてはそれぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
鉄分とは?はたらきや食事摂取基準、多く含まれる食品などを紹介
葉酸とは?はたらきや食事摂取基準、多く含まれる食品などを紹介
[3] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「若い女性の「やせ」と健康・栄養問題」
3-3.高齢者
高齢者は、低栄養に陥りやすいといわれています。
一般に加齢に伴って食事量は減少し、あっさりしたものや軟らかいものを好むようになるため、摂取する栄養素が偏りがちです。
また加齢に伴って「口腔(こうくう)機能」が低下することも低栄養のリスクを高めます。
口腔機能が低下すると、噛めない食品が増える、食事中にむせる、食べこぼすといったことが起こりやすくなり、食欲が低下したり食べられるものが減ったりしてしまいます。
これにより栄養素が偏りやすくなるのです。
高齢になればなるほど、低栄養の方は標準体型や肥満の方に比べ要介護の状態になりやすいことが分かっています。
また「BMI」が20以下の高齢者では生存率が低くなることも分かっているため、十分な栄養を摂ることが重要です[4]。
高齢の方の低栄養を防ぐには、日々の食事に一工夫加えましょう。
食欲がないときにたくさんの食事が並ぶと、プレッシャーを感じることがあります。
少量ずつ盛り付けるようにし、食べ切れる品数を心掛けると良いですよ。
また家族や仲の良い方と一緒に食卓を囲んだり、外食をしたりすることで食欲が増すことがあります。
楽しい雰囲気で食事をすることも低栄養予防になるのですね。
[4] 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター「食生活に要注意 -高齢者の低栄養はキケンー」
[5] 厚生労働省 健康づくりサポートネット「肥満と健康」
3-4.無理なダイエット中の人
無理なダイエットをすると、低栄養により健康に悪い影響を及ぼすことがあります。
無理なダイエットとしては、極端に食事量を抑えたり特定の食品のみを摂取したりするダイエットが挙げられます。
このようなダイエットでは一時的な体重減少は期待できますが、栄養素の不足により便秘や貧血、月経異常などを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
特に日本の若い女性には痩せる必要がなくとも無理なダイエットを繰り返してしまう方が多いといわれています。
健康維持のためには、十分な栄養素を摂るよう心掛けてくださいね。
3-5.菜食主義者
菜食主義の方(ベジタリアン)の方は、動物性食品が主な摂取源となる栄養素を十分に摂取することができず、低栄養に陥りやすい傾向にあるといわれています。
菜食主義者とは肉や魚介類、それらを含む食品を食べない人のことです。
このような食生活では、脂質が抑えられるため肥満や高血圧などの生活習慣病予防になるとされています。
一方で植物性食品にはあまり含まれない栄養素の摂取量が不足しがちになるため、注意していなければ健康を害する恐れがあります。
特にビタミンB12、カルシウム、鉄、亜鉛といった栄養素が不足しやすいとされます。
菜食主義の方は、こうした栄養素をなんらかの形で補給することが勧められます。
3-6.特定の薬を服用している人
特定の薬の服用は、低栄養を招くことがあります。
なかでも高齢者によく見られる病気の治療薬が、低栄養の原因になることがあるとされています。
高血圧の治療に用いられる利尿薬、心不全やがんの治療薬などでは食欲低下や吐き気、下痢などの副作用が起こることがあり、それにより栄養状態に影響を及ぼす場合があるのです。
またカロリーと栄養素の必要量が増加する薬や、特定の栄養素の吸収を阻害する薬もあります。
内服によって何かしらの症状が出現している場合や、不安がある場合には担当医へ相談するようにしましょう。
3-7.薬物・アルコール依存者
アルコールや薬物依存症の方は、低栄養に陥ることがあります。
アルコールや薬物に依存していると、それらに日常生活が支配され健康を維持できる食生活を送ることが難しくなってしまうのです。
アルコール依存の場合は、食事を摂らずに飲酒をするといった食習慣が続き、アルコールの代謝に必要な「ビタミンB群」が欠乏しやすくなります。
多量飲酒した場合は特にビタミンB1の需要が高まるためビタミンB1が不足しやすくなります。
ビタミンB1不足では「ウェルニッケ脳症」によって細かい眼の震え、意識障害、ふらつきといったさまざまな症状が出現することがあります。
さらに過度な飲酒により肝臓にダメージを与えられるため、栄養素の吸収が妨げられることもあります。
また薬物依存症の方は、欠食などの極端な食行動により、低栄養に陥ることがあるとされています。
4.ヒトの体に必要な栄養素
ヒトの体に必要な栄養素には炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルがあります。
これらはいずれも欠かすことができず、不足するとさまざまな不調を引き起こすため十分に摂取しなければいけません。
ここからは、低栄養に陥らないために摂っておくべき栄養素をご紹介しましょう。
4-1.炭水化物
炭水化物は「エネルギー産生栄養素」の一つです。
炭水化物が不足するとエネルギーが足りず、疲労を感じやすくなったり集中力が落ちたりすることがあります。
一方摂り過ぎると脂肪として蓄積され、肥満を招くため注意が必要です。
炭水化物は不足しても摂り過ぎても体へ悪い影響を与えることがあるのですね。
炭水化物(糖質)は主に米やパン、麺などの主食、いも類、とうもろこしなどに含まれています。
日頃から適量を意識して食べるよう心掛けましょう。
炭水化物や糖質については以下の記事で解説しています。
糖質と炭水化物の関係は?摂取目標量や摂取源となる食べ物も紹介
4-2.脂質
脂質はエネルギー産生栄養素の一つです。
脂質は体に悪いものと思われがちですが、エネルギー源となる他、細胞膜や「生理活性物質」の材料にもなります。
脂質は「脂肪酸」によって構成されており、脂肪酸は構造の違いなどから「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。
飽和脂肪酸は肉類の脂身や鶏皮、バター、ココナッツミルクなどに多く含まれています。
飽和脂肪酸は体内で合成可能なため、摂取が必須な栄養素ではありません。
不飽和脂肪酸はさらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられ、多価不飽和脂肪酸は「n-3系」と「n-6系」に分けられます。
飽和脂肪酸が体内で合成できるのに対し、多価不飽和脂肪酸は体内で合成できないため食品から摂取する必要がある「必須脂肪酸」です。
一価不飽和脂肪酸はオリーブオイルやなたね油、n-6系はごま油やまぐろの油漬け、n-3系は青背の魚などに多く含まれています。
脂質はエネルギー源として欠かせない栄養素ですが、摂り過ぎると脂肪として蓄えられ、肥満の原因となります。
脂質を摂る際は必須脂肪酸が十分に摂取できているかに留意しつつ、全体の摂取量を意識しておきましょう。
脂質のはたらきや代表的な食品の脂質含有量については以下の記事でご紹介しています。
脂質の多い食べ物と摂取方法とは?100種類以上の食材を種類ごとにランキング!
4-3.たんぱく質
たんぱく質はエネルギー源になるだけでなく、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などの材料となります。
また免疫機能の一部である抗体や「ホルモン」など、体の機能を調節する物質の成分としてもはたらきます。
たんぱく質が不足すると筋肉量の減少、成長障害、免疫機能の低下などを招くことがあるため注意が必要です。
たんぱく質は肉類、卵類、豆類などに豊富に含まれています。
なおたんぱく質はアミノ酸で構成されており、このバランスによって体内での利用率が異なります。
たんぱく質を効率良く利用するには、良質なたんぱく質を摂ることがポイントです。
良質なたんぱく質食品を摂るには「アミノ酸スコア」が高いものを選ぶようにしましょう。
アミノ酸スコアが100の食品には、納豆や豆腐などの大豆食品、牛・豚・鶏肉などの肉類、いわしやぶりなどの魚類、卵、牛乳などがあります[9][10]。
たんぱく質の1日に摂るべき量や摂取源となる食品については以下の記事でご紹介しています。
タンパク質の1日当たりの適切な摂取量とは?摂取源となる食品も紹介
[6] 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「良質なたんぱく質とは? 【低栄養予防】」
[7] 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「No.44 良質なたんぱく質とは?(2)~食事ごとのたんぱく質摂取と筋肉量~」
[8] 厚生労働省「食生活改善指導担当者テキスト ~ 栄養指導・健康教育編 ~」
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
4-4.ビタミン
ビタミンはヒトの体の機能を維持するのに欠かせない栄養素です。
体内でほとんどつくられないため、食事から摂る必要があります。
ビタミンには水に溶けない性質を持つ「脂溶性ビタミン」と、水に溶ける性質を持つ「水溶性ビタミン」があります。
脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあります。
水溶性ビタミンにはビタミンB群とビタミンCが該当します。
なおビタミンB群の多くは補酵素としてはたらきます。
それぞれのビタミンの主なはたらきや、摂取源となる代表的な食べ物は以下のとおりです。
| 名称 | 主なはたらき | 含まれる食品 |
|---|---|---|
| ビタミンA | 目や皮膚の健康維持 | 鶏・豚レバー、うなぎの蒲焼き |
| ビタミンD | 骨の形成に関与 | しらす干し、さけ |
| ビタミンE | 抗酸化作用 | うなぎの蒲焼き、かぼちゃ |
| ビタミンK | 血液凝固に関与 | 納豆、ほうれん草、小松菜 |
| ビタミンB1 | 炭水化物からのエネルギー産生、皮膚や粘膜の健康維持 | 豚ヒレ肉、黄大豆 |
| ビタミンB2 | エネルギー代謝に補酵素として関与、皮膚や粘膜の健康維持 | 豚・牛レバー、うなぎの蒲焼き |
| ナイアシン | 酸化還元反応などに補酵素として関与、抗酸化系の機能に関与、皮膚や粘膜の健康維持 | たらこ、まぐろ、かつお |
| ビタミンB6 | たんぱく質からのエネルギー産生、皮膚や粘膜の健康維持 | まぐろ、かつお、豚ヒレ肉 |
| ビタミンB12 | 赤血球の形成に関与 | しじみ、牛・豚レバー |
| 葉酸 | 赤血球の形成、細胞の増殖に関与、胎児の正常な発育に関与 | 鶏・牛・豚レバー、枝豆 |
| パントテン酸 | 脂質の代謝に関与、補酵素の構成成分、皮膚や粘膜の健康維持 | 鶏・豚・牛レバー、納豆 |
| ビオチン | 補酵素としてアミノ酸の代謝や脂肪酸の合成に関与、皮膚や粘膜の健康維持 | 鶏・豚レバー、らっかせい |
| ビタミンC | コラーゲンの生成に関与、抗酸化作用、皮膚や粘膜の健康維持 | 赤ピーマン、ブロッコリー |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンは健康を維持する上で大切なはたらきをするのですね。
ビタミン不足は無理なダイエットや不規則な食生活、加齢に伴う食生活の変化などによって起こり、不足したビタミンの種類によってさまざまな症状が現れます。
日頃の食生活ではビタミンを含む食材を取り入れながら不足しないよう心掛けてくださいね。
ビタミンについては以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ビタミンとは?13種類のビタミンのはたらきと食事摂取基準を紹介
4-5.ミネラル
ミネラルは体内で体の機能を正常に保つはたらきをしています。
元素のうち、人体を主に構成している酸素、炭素、水素、窒素の四つ以外のものの総称で、「無機質」とも呼ばれます。
ミネラルのうち栄養素として体に必要なことが分かっているものを「必須ミネラル」といいます。
必須ミネラルにはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、硫黄、塩素、コバルトの16種類があります[11]。
ミネラルは体内で合成できず、お互いに吸収やはたらきに影響し合う性質があるため、各種をバランス良く摂ることが大切です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンの摂取基準が設定されています。
これらのミネラルのはたらきや、摂取源となる代表的な食べ物は以下のとおりです。
| 名称 | 主なはたらき | 含まれる食品 |
|---|---|---|
| ナトリウム | 細胞の浸透圧の維持 | 食塩やそれを含む調味料、加工食品 |
| カリウム | 細胞の浸透圧の維持 | 乾燥わかめ、切り干し大根 |
| カルシウム | 骨や歯の成分、血液凝固に関与 | 乾燥わかめ、牛乳 |
| マグネシウム | 体の代謝や体温調整に関与 | 乾燥わかめ、黄大豆 |
| リン | 骨や歯の成分 | するめ、しらす干し |
| 鉄 | 酸素の運搬・貯蔵 | しじみ、豚レバー |
| 亜鉛 | 細胞分裂に関与 | 牛ひき肉、豚レバー |
| 銅 | 鉄の吸収・貯蔵に関与 | 牛レバー、黄大豆 |
| マンガン | 酵素の成分 | しじみ、しょうが |
| ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの成分 | 乾燥わかめ、真たら |
| セレン | 抗酸化作用に関与 | たらこ、まぐろ |
| クロム | 糖や脂質の代謝に関与 | 干しぶどう、黄大豆 |
| モリブデン | 酵素の構成成分 | 黄大豆、えだまめ、豚レバー |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ミネラルは不足しても過剰になっても体へ悪影響を及ぼすことがあるといわれているため、適量をバランス良く摂るようにしてくださいね。
[11] 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
5.低栄養についてのまとめ
低栄養とは、健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂取できていない状態のことです。
基本の栄養素である五大栄養素には炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルがあり、健康のためにはこれらの栄養素をバランス良く摂る必要があります。
しかし無理なダイエットや加齢によって食事量が低下すると、栄養素の摂取が不十分になり低栄養を招きます。
また下痢で栄養素が失われることや、代謝に異常が出る病気で栄養素の必要量が増えることによっても、低栄養が起こることがあります。
低栄養の症状は、原因や不足している栄養素によってさまざまです。
ビタミンが不足している状態をビタミン欠乏症、たんぱく質とエネルギーが十分に摂れていない状態を「PEM(たんぱく質・エネルギー欠乏症)」といい、それぞれに異なる症状が現れます。
低栄養のリスクは乳児期、幼児期、妊娠期および授乳期、老年期という特定の時期に高まります。
また菜食主義や極端なダイエット、特定の薬品の服用、アルコール・薬物依存なども低栄養をもたらす場合があります。
五大栄養素は生きる上で必要なエネルギー源になる、体をつくる材料になる、体の調子を整えるなど、それぞれに異なるはたらきがあります。
これらはいずれも欠かすことができず、不足するとさまざまな不調を引き起こすため日頃から十分に摂取するようにしましょう。
健康的な毎日を送るために、ぜひこの記事を役立ててくださいね。