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糖質と炭水化物の関係は?両者の違いやはたらきを分かりやすく解説

2023年9月7日

ダイエット

「糖質」や「炭水化物」という言葉はよく見聞きしますが、それぞれどのようなものなのか違いがよく分からずお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

近年では「糖質制限」という言葉もメジャーになり、糖質や炭水化物はダイエットや健康のために避けた方が良いもの、というイメージもあるかもしれませんね。

実は糖質は炭水化物の一種に当たり、炭水化物と呼ばれるもの全てが肥満の原因となるわけではありません

また炭水化物およびそれに含まれる糖質は体に必要な栄養素の一つであるため、無理な制限は禁物です。

この記事では糖質と炭水化物の定義や互いの関係、摂取目安量などについて分かりやすく解説します。

ぜひダイエットや健康的な体づくりの参考にしてみてくださいね。

1.炭水化物とは?糖質との関係は?

炭水化物という言葉はよく見聞きしますが、そもそも炭水化物がどのようなものなのかよく分かっていない、という方も少なくないのではないでしょうか。

炭水化物は体のエネルギーとなる重要な栄養素の一つで、たんぱく質や脂質と並んで「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。

「じゃあ糖質は何なの?」

と疑問に思った方もいらっしゃいますよね。

結論からお伝えすると、糖質は炭水化物の一部です。

炭水化物とは?糖質との関係は?

糖質は炭水化物のうち、体内で分解・吸収されエネルギーとして使われるものを指します。

実は炭水化物は、エネルギーになる糖質と、ヒトの消化酵素では消化されないためほとんどエネルギーにはならない食物繊維に分けられるのです。

ここで知っておきたいのは、「カロリー」とは本来食べ物や飲み物がどれくらい体のエネルギーになるかを表す単位であるということです。

糖質には1g当たり4kcalのカロリー(エネルギー)がありますが、食物繊維はほとんどエネルギーにならずカロリーがないため、食品中に含まれている糖質に由来するカロリーと炭水化物に由来するカロリーはほぼ同等であると考えられます。

ダイエット法として「炭水化物制限」ではなく「糖質制限」が広く知られているのは、糖質だけがエネルギーになる、つまりカロリーがあって摂り過ぎると肥満の原因になるからなのですね。

メモ
1cal(1カロリー)は非常に小さいため、一般的にはその1,000倍の1kcal(1キロカロリー)が最小単位として用いられます。

【関連情報】 「炭水化物」についてもっと知りたい方はこちら

2.炭水化物の分類は?

「じゃあ、糖質以外の炭水化物には何があるの?」

「糖質と糖類や糖分は違うものなのかな?」

このように疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

炭水化物の定義は「単糖あるいはそれを最小構成単位とする重合体」というものです。

やや難しいように感じられてしまいますが、簡単にいってしまえば一つ以上の「糖」から構成されている物質が炭水化物、といえるでしょう。

炭水化物の分類にはさまざまな方法がありますが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」においては「ヒトの消化酵素で消化しやすいかどうか」で分けられます。

ヒトの消化酵素で消化できるものはエネルギーになり、糖質に分類されます

食物繊維は消化しにくくほとんどエネルギーにはなりません

ここでは、炭水化物の分類とそれぞれの役割について詳しくご説明しましょう。

2-1.体のエネルギーとなる糖質

糖質は、炭水化物のうち消化しやすくエネルギーになるものを指します。

食べ物や飲み物から摂取された糖質の多くは、最終的にブドウ糖に分解されエネルギー源として使われます。

吸収されたブドウ糖は血液中に放出され、血糖値を上昇させます。

血糖値が上昇するとそれに反応して膵臓(すいぞう)から「インスリン」と呼ばれるホルモンが分泌され、血液中のブドウ糖を細胞にエネルギーとして使わせるはたらきをするのです。

「糖質と糖類は何が違うの?」

と気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

「糖類」は「糖質」の分類の一つで、その他に多糖類や糖アルコールなどの分類があります。

体のエネルギーとなる糖質

糖類はさらに糖が一つだけの「単糖類」、糖が二つ結合してできる「二糖類」に分けられます。

脳のエネルギー源として知られているブドウ糖や果物に多く含まれる「果糖」は単糖類の一種で、砂糖の主成分であるショ糖や牛乳に含まれる乳糖は二糖類に該当します。

またじゃがいもなどに含まれることで知られるでんぷんや整腸作用があるといわれるオリゴ糖は多糖類、むし歯予防効果があるとされているキシリトールは糖アルコールにそれぞれ含まれます。

五大栄養素とは
自然界に最も多く存在する代表的な単糖類の一種です。人体のエネルギー源となる重要な栄養素の一つで、特別な場合を除き、脳がエネルギーとして利用できる唯一の物質だといわれています。

2-2.ヒトの消化酵素では消化できない食物繊維

「食物繊維」という言葉は皆さんご存じでしょう。

炭水化物のうち、ヒトの消化酵素では消化することのできないものを食物繊維といいます。

「消化できないなら何の役にも立たないんじゃないの?」

と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、食物繊維も重要な栄養素の一つです。

食物繊維におなかの調子を整える作用があることはよく知られていますよね。

食物繊維はほとんど消化・吸収されることがないので、小腸を通り大腸にまで達します。

このため便の体積を増やすほか大腸の環境を良くする腸内細菌に利用され、これらの菌を増やすはたらきをしてくれるのです。

また食物繊維にはそのほかにも有用なはたらきがあります。

脂質・糖・ナトリウムを吸着し体外に排出する作用があるため、これらが原因となる肥満や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防や改善に効果が期待できるのです。

また食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果もあります。

なお食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に大別されます。

不溶性食物繊維は主に野菜に多く含まれており、ぼそぼそざらざらした食感と表現されることもあります。

一方の水溶性食物繊維は海藻や果物、さといも、大麦などに多く含まれています。

ヒトの消化酵素では消化できない食物繊維

多くの日本人は食物繊維が不足しがちな食生活を送っているため、食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取することが勧められます。

メモ
血糖値の急上昇は肥満を招きやすいと考えられます。これは血糖値の上昇に反応して分泌されるインスリンが、エネルギーとして使い切れなかった糖を体内に脂肪として蓄えるはたらきを促進する作用も持っているためです。

3.炭水化物の摂取量の目安は?

「糖質は1日にどれくらい摂取すべきなんだろう?」

「食物繊維はどのくらい必要なのかな?」

このように気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

厚生労働省がそれぞれの栄養素についてどれだけ摂るべきかを提示している「食事摂取基準」をもとに、糖質と食物繊維の摂取量の目安をご紹介しましょう。

3-1.糖質摂取量の目安

炭水化物の食事摂取基準は、重さではなく「1日に必要なカロリーのうち何パーセントを炭水化物から摂るべきか」という形で定められています。

なお食物繊維はほとんどエネルギーにならないため、食品中に含まれている糖質に由来するカロリーと炭水化物に由来するカロリーはほぼ同等であると考えられます。

つまり糖質をどれくらい摂るべきかは炭水化物の食事摂取基準を参考にすれば良いといえるでしょう。

厚生労働省は1歳以上の全ての年代・性別に対して、炭水化物から摂取するカロリーを1日の必要カロリーの50〜65%にするという目標を設定しています*1。

これは炭水化物の過剰摂取は場合によってビタミンやミネラルの不足を招く可能性があることや、摂取カロリーにおけるたんぱく質や脂質とのバランスを考慮した上で定められた数値です。

とはいえ何をどれくらい食べたら良いのか迷ってしまいますよね。

参考までに、活動量の少ない成人男性の1日の必要カロリーは2,000〜2,400kcal、女性の場合は1,400〜2,000kcalだといわれています*2。

いわゆる白ご飯のカロリーは100g当たり156kcalです*3。

糖質摂取量の目安

必要摂取カロリーが2,000kcalだとするとそのうちの50%を白ご飯だけから摂取する場合は、約600gの白ご飯を食べることになります。

ただし糖質を含んでいるのは主食だけに限りません

野菜や果物にも含まれている他、砂糖の主成分ショ糖も糖質の一種であるため、お菓子やジュースなどを摂り過ぎると糖質過多になってしまいます。

おかずや間食などとのバランスを考えることが重要だといえますね。

メモ
1合のお米を炊くと約340gのご飯になるので、600gは2合弱のご飯です*4。

*1 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

*2 農林水産省 実践食育ナビ「一日に必要なエネルギー量と摂取の目安

*3 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)

*4 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構「1合のお米を炊くとごはんは何グラムになるのですか。

3-2.食物繊維摂取量の目安

食物繊維の食事摂取基準は、以下のとおり定められています。

【食物繊維の食事摂取基準】

年齢男性女性
18〜64歳21g以上18g以上
65〜74歳20g以上17g以上
75歳以上20g以上17g以上

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ただし「日本人の食事摂取基準(2020年版)」のなかでは、本来は1日当たり24g以上摂取することが理想的ともされています。

日本人の食物繊維摂取量はこの目標に遠くおよばず、平成28年国民健康・栄養調査の結果から割り出された18歳以上の日本人の食物繊維摂取量の中央値はわずか13.7gにとどまっています。

そのためこの摂取量中央値と理想的な摂取量の中間値をもとに、体型による違いを鑑みて目標量として設定されたのが食事摂取基準なのです*5。

この記事をご覧のあなたも、おそらく食物繊維が不足した食生活を送っていらっしゃるのではないでしょうか。

少しでも食物繊維の摂取量を増やしたいですね。

ただしサプリメントでたくさん摂ることは勧められないので注意が必要です。

できるだけ食べ物から、適切な量の食物繊維を摂取するよう心掛けましょう。

注意事項
食物繊維の摂取目標量の算定に用いられた研究の多くは通常の食品から食物繊維を摂取した場合を対象としています。そのためサプリメントから食物繊維を摂取した場合に食品から摂取したのと同様の健康に対する効果を得られるとは限りません。また一般的な食べ物から摂取できる量を超えてたくさんの食物繊維をサプリメントから摂取すればより健康への効果が期待できるというわけでもありません。

*5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

【関連情報】 「食物繊維」についてもっと知りたい方はこちら

4.糖質と炭水化物について まとめ

糖質は炭水化物のうち体のエネルギーになるものを指します。

炭水化物はヒトの体内で消化しやすいものとそうでないものに分類され、前者が糖質、後者が食物繊維と呼ばれます。

普段の生活で見聞きする機会の多い糖類は、1つの糖からなる単糖類と、2つの糖類が結合した二糖類に分けられます。

単糖類のなかでもブドウ糖は脳の重要なエネルギー源として知られています。

消化しにくくほとんどエネルギーにならない食物繊維は不要なのかといえば、そういうわけではありません。

食物繊維はおなかの調子を整えるほか、糖や脂質、ナトリウムを吸着して体外に排出したり、血糖値の上昇を緩やかにしたりするはたらきも持っています。

どれくらい糖質を摂取すべきかということについては、厚生労働省が定める炭水化物の食事摂取基準を参考にするのが良いでしょう。

厚生労働省は炭水化物から摂取するカロリーを1日の総摂取カロリーの50〜65%にすることを目標量として定めています。

食物繊維から摂取できるエネルギーはほぼないものと考えられるため、実質的には糖質から摂取するカロリーの基準として使うことができるのですね。

食物繊維は18歳以上の成人の場合、1日に17〜21g以上摂取することが推奨されています。

多くの日本人は食物繊維が不足しがちな食生活を送っているため、少しでも多く食物繊維を摂取するよう意識しましょう。

この記事を参考に、バランスの取れた食生活を心掛けてくださいね。

この記事の監修者

青木厚
青木厚
あおき内科さいたま糖尿病クリニック
院長

【経歴】
自治医科大学付属さいたま医療センター内分泌代謝科を経て 2015 年に開設。糖尿病、高血圧、高脂血症、生活習慣病が専門。糖尿病患者の治療に食事術を取り入れインスリン脱悦や薬を使わない治療に成功するなど成果を挙げている。自身も 40 歳のときに舌がんを患うも完治。食事療法を実践して再発を防いでいる。著書「空腹こそ最強のクスリ」(アスコム刊)は40万部超えのベストセラー。近年では、「ファーストファスティングー青木式 16 時間断食ー」の監修に携わり、宿泊しながら気軽にファスティングを体験できるホテル・ファーストキャビン HD の専属顧問に 2021 年から就任。また、エステプロ・ラボでも医学顧問を務めている。

【出演番組等】
日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース」、中京テレビ「それって!?実際どうなの課」、テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ」、フジテレビ「めざましテレビ」、「ポップUP!」、テレビ東京「なないろ日和!」など出演多数。ほかにも番組の医療監修なども日々行っている。

【クリニックのHP・SNS情報】
»あおき内科さいたま糖尿病クリニック »Twitter »Instagram

【執筆論文情報】
»Association of serum osteoprotegerin with vascular calcification in patients with type 2 diabetes, Cardiovascular Diabetology 2013 Jan 9;12:11.
»Prompt increases in retinol-binding protein 4 and endothelial progenitor cells during acute exercise load in diabetic subjects, Endocrine Journal 2012, 59 (12), 1085-1091

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