筋トレは食後にすべき?理由と筋トレのための食事のポイントを解説
「筋トレするなら食前と食後のどちらが良いのかな?」
「食後何時間経てば筋トレをやっても良いんだろう?」
このように疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。
筋トレなどの運動では体内のエネルギーが消費されるため、事前に食事から栄養を摂ることが重要です。
食事をしないままの筋トレは、筋トレの効果を得られないばかりか、けがのリスクが高まる恐れもあります。
この記事では筋トレと食事の関係、筋トレに適したタイミング、食事のポイントを詳しく解説します。
食事に気をつけながら筋トレに励んでいきたいと感じている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
1.筋トレと食事の関係
筋トレをする上では、しっかり食事を摂ることが欠かせません。
これは、筋トレによって傷ついた筋肉を修復させるのに、栄養素が必要なためです。
筋トレは、筋肉に負荷をかけることで筋肉を肥大させ、筋力を向上させるための運動です。
筋トレを行うと筋肉を構成する筋線維の一部が傷つけられ、この部分が修復される際に元よりも少し太い状態になります。
これを「超回復」といいます。
筋トレで超回復が繰り返されることで筋線維は太くなり、筋力が向上するのです。
しかし、食事を摂らず必要な栄養素が十分に供給されていない状態だと、超回復が妨げられてしまいます。
このため筋トレの効果が得られなかったり、けがのリスクが高まったりすると考えられるのです。
筋トレを進める上で、食事は非常に重要な役割をしているのですね。
2.筋トレを食後にすべき理由
筋トレは、食後で体内へのエネルギー補給が十分な状態で行うと良いとされます。
食後の体は、筋肉に栄養素が効率良く吸収される状態です。
筋肉のエネルギー源になったり、筋肉をつくる材料になったりする栄養素が十分に供給されているため、筋肉の超回復がスムーズに行われ効率的に筋力向上できるのです。
ただし食事の直後の筋トレは消化不良を招く恐れがあるため、筋トレは食後数時間後に行うことがベストだと考えられます。
この章では、筋トレを食後にすべき理由を三つご紹介します。
2-1.筋肉の分解を防げる
食事を摂ってエネルギーを補給してから筋トレを行うことで筋肉の分解を防ぐことができます。
通常、筋トレの際には体内の「糖質」が筋肉を動かすエネルギー源として消費されます。
体内の糖質が不足していると筋肉がエネルギー源として分解されるため、せっかくの筋トレの効果が見込めなくなってしまう恐れがあります。
エネルギーが補給された状態で筋トレを行えば、筋肉の分解を防ぐことができ、超回復もスムーズに行われると考えられるのです。
糖質については以下の記事で解説しています。
糖質とは?はたらきや過不足の悪影響、摂取の目標量と摂取源を紹介
なお筋トレの目的が、筋肉の増強ではなくダイエットという方もいらっしゃるかもしれませんね。
実は筋トレではダイエット効果も期待できます。
そもそも体脂肪は、食事から摂取したエネルギーが消費し切れなかったとき、余ったエネルギーが脂肪に変えられ体内に蓄積します。
このためダイエットでは、摂取カロリー(エネルギー摂取量)が消費カロリー(エネルギー消費量)を下回った状態をつくることが重要です。
筋トレで得られるダイエット効果は、筋肉量が増えて「基礎代謝」が増加することです。
基礎代謝量は1日で消費されるエネルギー量の約60%に及び[1]、このうちおよそ20%は筋肉での消費によるものです[2]。
つまり筋トレで筋肉量が増えると、安静時や運動時の消費カロリーが増加し、痩せやすく太りにくい体を目指せるのです。
痩せたい場合でも筋肉量を増やすことを目指すと良いでしょう。
基礎代謝については以下の記事で解説しています。
基礎代謝量とは?年齢別の目安や計算方法、代謝を上げる方法を解説
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
2-2.体脂肪の蓄積を防げる
食後の筋トレは脂肪の蓄積を予防するのにも有効とされます。
食事から摂取した糖質は、エネルギーとして消費し切れないと体脂肪などに変えられ体内に蓄えられます。
食後に筋トレをすると、食事で摂取した糖質が脂肪に変わる前に消費できるため、脂肪の蓄積を防げるのです。
2-3.集中力や持続力が高まる
食後に筋トレを行うことで、筋トレの集中力や持続力が高まります。
糖質不足で体内のエネルギーが不足している状態では、集中力の減退や疲労感などが生じるといわれています。
このため食後で糖質などのエネルギーが補給されていると、筋トレにしっかりと集中できると考えられるのです。
また糖質は筋肉を動かすためのエネルギー源として使われるため、十分に補給がされた状態では、より持続的に筋トレを行えると考えられます。
食後に行うことで、筋トレのパフォーマンスを高く維持できるのですね。
3.筋トレを行う際の食事のポイント
「筋トレをより効果的にするには、どんな食事を摂れば良いのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。
筋トレとダイエットの両方を行う場合の注意点もご紹介しますので、参考にしてくださいね。
ポイント1 たんぱく質を十分に摂取する
筋トレをする際には、たんぱく質を積極的に摂取することが大切です。
たんぱく質は1g当たり4kcalのエネルギー源となる他[3]、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などの体の組織をつくる材料となります。
たんぱく質は筋肉を増強させるのに非常に重要な栄養素なのですね。
厚生労働省は、たんぱく質の摂取不足を回避するための指標の一つとして、1日に摂取すべき「推奨量」を定めています。
たんぱく質の1日当たりの推奨量は、男性の場合18〜64歳で65g、65歳以上で60g、女性の場合18歳以上で50gです[4]。
また、たんぱく質の目標量については、1日の総摂取カロリーのうちたんぱく質から摂るカロリーの割合(%エネルギー)で定められています。
総摂取カロリーに対してたんぱく質から摂るべきカロリーの割合は、18〜49歳で13〜20%、50〜64歳で14〜20%、65歳以上で15〜20%エネルギーです[4]。
この摂取基準を目安に、たんぱく質を摂るようにしましょう。
たんぱく質は、肉や魚、卵、豆類などから摂ることができますよ。
たんぱく質を含む食べ物について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
たんぱく質を豊富に含む食べ物は?良質なたんぱく質の摂取源を紹介
なお、筋肉をつけたい人や運動習慣がある人は、1日に体重1kg当たり2gのたんぱく質を摂取する必要があるといわれています[5]。
体重60kgの人の場合は、1日に120gものたんぱく質が必要なのですね。
しかし肉類からたんぱく質を摂取しようとすると、同時に脂質を摂り過ぎたりカロリーを過剰摂取したりする恐れがあるため注意が必要です。
たんぱく質の摂取量を増やしたい場合は、適宜プロテインの活用がおすすめです。
プロテインには牛乳のたんぱく質からつくられるホエイプロテインとカゼインプロテイン、大豆のたんぱく質からつくられるソイプロテインがあります。
それぞれ特徴が異なるので、目的や体質に応じて選ぶようにしてくださいね。
プロテインについては以下の記事で詳しく解説しています。
プロテインとは?たんぱく質を効率的に摂取!種類や飲み方を解説
[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[5] 一般社団法人 日本プロテイン協会「プロテイン=タンパク質」
ポイント2 糖質を適切に摂取する
糖質は筋トレ中、筋肉を動かすためのエネルギー源として使われるため、適切に摂取するようにしましょう。
糖質は摂り過ぎると肥満の原因になるため、減量を目指している方のなかには糖質制限を行う人も多いかもしれませんね。
しかし極端な糖質の制限によりエネルギーが不足すると、筋肉がエネルギー源として分解されて筋肉量が減少する恐れがあります。
つまり、筋肉を育てるためには糖質の摂取が重要なのです。
また筋トレ後の疲労を予防するためにも、糖質をしっかり摂取することが重要だと考えられています。
糖質は炭水化物の一種であり、厚生労働省では炭水化物の目標量が設定されています。
1日の総摂取カロリーに対して炭水化物から摂るべきカロリーの割合は、1歳以上の全年代において50〜65%です[6]。
例えば、1日の推定必要カロリーが2,000kcalの人の場合、炭水化物から摂取すべきカロリーは1,000〜1,300kcalと分かります。
炭水化物全体のカロリーは1g当たり4kcalのため[7]、1日に炭水化物から摂取すべきカロリーを重量に換算すると250〜325gになります。
糖質は主にご飯やパン、麺類などの主食類や、いも類、果物類、砂糖、甘味料などに含まれています。
この摂取目標量を目安に、食べる量を調整してくださいね。
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント3 脂質を適切に制限する
筋トレの際には、脂質も適切に制限するようにしましょう。
脂質は摂り過ぎると体脂肪が蓄積し肥満につながる恐れがあるため、体に悪いものというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし脂質はたんぱく質や糖質と同様に、体を動かすエネルギー源になります。
またホルモンなどの体の機能を調節する物質や細胞膜の材料としても使われます。
ただし1g当たり9kcalと他のエネルギー産生栄養素の倍以上のカロリーであるため、適度に制限する必要があります[8]。
厚生労働省は1歳以上の全年代に対し、20〜30%エネルギーという脂質の目標量を設定しています[9]。
なお脂質を構成する脂肪酸は、構造の違いにより「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
このうち飽和脂肪酸は肉の脂身や乳脂肪などに多く含まれ、体内で合成が可能な上、摂り過ぎると肥満や生活習慣病の原因になるため適度な制限が勧められています。
18歳以上の飽和脂肪酸の目標量は7%エネルギー以下です[9]。
一方、不飽和脂肪酸のうち、多価不飽和脂肪酸に分類される「n-6系脂肪酸」と「n-3系脂肪酸」は食べ物から摂る必要のある必須脂肪酸で、不足すると皮膚炎などを起こす恐れがあります。
不飽和脂肪酸は植物や魚の油に含まれているため、脂質の多い肉やバターなどを控え、魚や植物性油脂を適切に摂ることが勧められます。
脂質については以下の記事で詳しく解説しています。
脂質とは?はたらきや種類、1日に摂取すべき量の計算方法を解説
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ポイント4 摂取カロリーを適切に調整する
筋トレで減量を目指す場合は、摂取カロリーを制限することも勧められます。
運動で消費カロリーを増やしつつ、食事からの摂取カロリーを減らすことで、効率良く減量できます。
減量する際の摂取カロリーは、ご自身が目標とする体重における推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を目安にしましょう。
目標体重は、目標とする「BMI」により設定します。
ただし肥満は脂肪が多い状態を指すため、体重が多くても脂肪が過剰に蓄積していない場合は肥満に該当しません。
厚生労働省は年齢に応じて、目標とするBMIの範囲を以下のように設定しています。
| 年齢 | 目標とするBMI(kg/m2) |
|---|---|
| 18〜49歳 | |
| 50〜64歳 | |
| 65〜74歳 | |
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
この範囲に収まるよう目標体重を決定しましょう。
目標とするBMIに[身長(m)の2乗]を掛けると、目標体重が算出できます[10]。
目標体重を算出できたら、その体重における推定必要カロリーを設定します。
カロリーの消費量は身体活動量によって変動するため、「身体活動レベル」を参照します。
| 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
|---|---|
| 低い | 生活の大部分を座って過ごしている場合 |
| 普通 | 座って過ごすことが多いが、立った状態での作業や徒歩移動、家事、軽いスポーツなどをしている場合 |
| 高い | 歩いたり立ったりしている時間が長い場合、あるいは活発な運動習慣がある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ご自身の性別や年齢、身体活動レベルに合わせた体重1kg当たりの推定必要カロリーは以下のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 18~29歳 | ||||||
| 30~49歳 | ||||||
| 50~64歳 | ||||||
| 65~74歳 | ||||||
| 75歳以上 | ||||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ご自身が該当する箇所の数値を、目標体重と掛け合わせると1日の摂取カロリーの目安が分かります。
ただし必要カロリーを正しく算出することは難しいと考えられているため、体重変化に応じて摂取カロリーを適宜調節してくださいね。
[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
ポイント5 栄養バランスの取れた食事を摂る
筋トレを行う際には、必要な栄養素をバランス良く摂ることも大切です。
糖質やたんぱく質、脂質といったエネルギー産生栄養素以外の栄養素には「ビタミン」や「ミネラル」があり、これらをまとめて五大栄養素といいます。
ビタミンは、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と水に溶けにくく脂質に溶けやすい「脂溶性ビタミン」に分けられ、合わせて13種類あります[11]。
ミネラルは無機質とも呼ばれ、体に必要なことが分かっているものを「必須ミネラル」といいます。
必須ミネラルは16種類で、代表的なものにカルシウムやカリウムがあります[12]。
ビタミンや必須ミネラルは、いずれも食事からの摂取が不可欠な栄養素です。
エネルギー産生栄養素の分解や合成を助けたり、体の調子を整えたりするはたらきを持つため、筋肉を育てるためだけではなく健康を維持するためにも過不足なく摂取しましょう。
バランス良く栄養素を摂取するには、ご飯や麺などの主食、肉や魚料理などの主菜、サラダなどの副菜がそろった食事を摂ることが勧められます。
主食は炭水化物の摂取源、主菜はたんぱく質や脂質の摂取源、副菜はビタミンやミネラルの摂取源になります。
筋トレを行う際に重要な栄養素については以下の記事をご参照ください。
筋トレの効果を高める食事とは?おすすめのタイミングや必要な栄養素
[11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
[12] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」
ポイント6 適宜軽食を活用する
筋トレ前に食事を摂れない場合も、適宜軽食を摂るようにしましょう。
空腹状態での運動は結果として筋肉量の減少を招くことがあるため、食事を摂ることが難しい場合でも軽食でのエネルギー補給が勧められます。
運動前の軽食としてはバナナやゼリードリンクなどがおすすめです。
これらは比較的消化が良く、糖質やビタミン、ミネラルなどの摂取源になります。
また糖質やたんぱく質を摂取できるプロテインも適しています。
小腹が空いている場合はおにぎりなどもおすすめですが、1日の摂取カロリーをオーバーしてしまわないよう食べる量の調節が必要です。
ポイント7 筋トレ後の飲酒は控える
筋トレ後の飲酒は避けた方が良いと考えられています。
多量のアルコールを摂取すると、ストレスホルモンで知られる「コルチゾール」が分泌されます。
このホルモンには筋肉の分解を促す作用があるとされているため、筋トレの効果が減少する恐れがあるのです。
またアルコールを飲むことで筋肉を増やすはたらきのある「テストステロン」の分泌量が減るともいわれています。
これらのことから、筋トレ後に飲酒をすると筋肉がつきにくくなる恐れがあるのですね。
4.食後の筋トレについてのまとめ
食事は筋トレをする上で非常に重要なため、筋トレは食後に行いましょう。
空腹の状態で筋トレをすると、筋肉がエネルギー源として分解されてしまい筋肉量の減少を招く恐れがあります。
食後に筋トレを行えば、筋肉の分解を防げる他、超回復もスムーズに行われると考えられます。
また食事で摂取した糖質が脂肪に変わる前に消費できるため、脂肪の蓄積を防げるのもメリットです。
この他にも、食後はエネルギーが十分存在していて疲労を感じにくくなるため、集中力を維持したまま持続的に筋トレを行えると考えられます。
ただし食事の直後の筋トレは消化不良を招く恐れがあるため、筋トレは食後数時間後に行うようにしてください。
なお筋トレを効率的に進めるには、エネルギー産生栄養素やビタミン、ミネラルをバランス良く摂取しましょう。
その際、摂取カロリーを目標体重に合わせて適切に調整することも重要です。
また、食事が取れない場合でも筋トレ前にバナナやプロテインなどでエネルギーを補給すること、筋トレ後にアルコールを控えることもポイントです。
効率良く筋トレを行うために、この記事を参考にしてくださいね。