基礎代謝量とは?年齢別の目安や計算方法、代謝を上げる方法を解説

2022年09月05日

2024年11月22日

「基礎代謝って何だろう?」

「自分の基礎代謝はどれくらいなのかな?」

基礎代謝という言葉について見聞きしたことはあっても、その意味を詳しく知らないという方もいらっしゃるでしょう。

基礎代謝とは体温の維持や心拍、呼吸など、生命を維持するために必要な最低限のエネルギーのことです。

基礎代謝はダイエットに取り組む上で重要な要素となるものです。

ただし基礎代謝量は性別や年齢、体格などによって異なるため、自分の基礎代謝量を把握しておくことが大切です。

この記事では基礎代謝とはそもそも何なのか、性別や年齢別の基礎代謝量の目安、計算方法について解説します。

基礎代謝を上げる方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.基礎代謝とは

胸のあたりに手をあてているタンクトップを着た若い女性

基礎代謝とは生命を維持するために必要とされる最低限のエネルギーのことです。

体は体温を保つ、心臓を動かす、呼吸をするといった活動をする際、常にエネルギーを使っています。

これらの活動は、寝ているときや休んでいるときにも行われます。

つまり基礎代謝は生きているだけで使われるエネルギーだといえるでしょう。

基礎代謝量は筋肉量が増えるとそれに伴って増加するといわれています。

筋肉1kg当たりの基礎代謝量は13kcalです[1]。

メモ
カロリーはヒトが食べ物から摂取し、生命維持や身体活動などに消費するエネルギーの量を表す単位です。1cal(カロリー)は非常に小さいため通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられます[2]。

1日の推定エネルギー必要量を計算する際に、基礎代謝の数値が用いられる場合もあります。

人の総エネルギー消費量は、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発性熱産生の三つに分けられます[3]。

メモ
身体活動量は日常生活の動作と意図的な運動によって消費されるエネルギーのことです。また食事誘発性熱産生とは、食後に栄養素を分解する過程で生じるエネルギー消費のことです。

総エネルギー消費量においてそれぞれが占める割合は、基礎代謝量が約60%、身体活動量は約30%、食事誘発性熱産生は約10%です[3]。

1日に消費するエネルギーの割合

厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」をもとに執筆者作成

基礎代謝量が最も大きな割合を占めることから、生命を維持するためにどれだけ多くのエネルギーが消費されているかが分かりますね。

安静にしているときに消費されるエネルギー量は、臓器によって大きく異なります

例えば体重70kgの場合、骨格筋(筋肉)が消費するエネルギーは基礎代謝全体の22%です[4]。

ほか肝臓が21%、脳が20%、心臓が9%、腎臓が8%、脂肪組織が4%、その他の器官が残りの16%を消費しています[4]。

安静時の組織別エネルギー代謝比率

厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」をもとに執筆者作成

筋肉量は加齢に伴って減少するため、基礎代謝量もそれに伴い低下していきます。

加えて各臓器における代謝率も低下すると考えられています。

筋肉は基礎代謝に大きく関与する臓器だといえるでしょう。

[1] 独立行政法人 国立健康・栄養研究所「健康・栄養フォーラム

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝

2.男女別・年齢別の基礎代謝量

公園で並んで深呼吸している男女の後ろ姿

「自分の基礎代謝量はどのくらいなのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

基礎代謝量は性別や年齢、体格などによって異なります

自分の基礎代謝量を知ることで、日々の生活に必要なエネルギーを適切に摂取できますよ。

この章では男女別・年齢別の基礎代謝量について解説します。

2-1.基礎代謝量の目安(基礎代謝基準値)

厚生労働省は男女別・年代別に基礎代謝量の目安を公開しています。

基礎代謝量は次の表のように、基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×参照体重(kg)で求められます。

【参照体重における基礎代謝量】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
年齢 基礎代謝基準値
(kcal/kg体重/日)
参照体重 (kg) 基礎代謝量
(kcal/日)
基礎代謝基準値
(kcal/kg体重/日)
参照体重 (kg) 基礎代謝量
(kcal/日)
1〜2歳
61.0
11.5
700
59.7
11.0
660
3〜5歳
54.8
16.5
900
52.2
16.1
840
6〜7歳
44.3
22.2
980
41.9
21.9
920
8〜9歳
40.8
28.0
1,140
38.3
27.4
1,050
10〜11歳
37.4
35.6
1,330
34.8
36.3
1,260
12〜14歳
31.0
49.0
1,520
29.6
47.5
1,410
15〜17歳
27.0
59.7
1,610
25.3
51.9
1,310
18〜29歳
23.7
64.5
1,530
22.1
50.3
1,110
30〜49歳
22.5
68.1
1,530
21.9
53.0
1,160
50〜64歳
21.8
68.0
1,480
20.7
53.8
1,110
65〜74歳
21.6
65.0
1,400
20.7
52.1
1,080
75歳以上
21.5
59.6
1,280
20.7
48.8
1,010

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

基礎代謝基準値は参照体位における体重1kg当たりの基礎代謝量です。

メモ
参照体位とは参照身長や参照体重のことです。平均的な体格の日本人を想定し、健やかな発育や健康の維持、生活習慣病の予防のための参照値として提示されています。

なお、体重はエネルギー摂取量とエネルギー消費量のバランスによって増減し、エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回っていると体重が増加します。

このため基礎代謝基準値から計算した基礎代謝量を用いて1日のエネルギー摂取量を決めると、体重が多い人はより体重が増え、体重が少ない人はより体重が減ってしまいます

2-2.基礎代謝量の計算方法

自分の基礎代謝量をより正確に求めたい場合は、身長や体重、年齢などから基礎代謝を求める推定式を用いると良いでしょう。

基礎代謝の推定式はいくつかあり、代表的なものに「国立健康・栄養研究所の式(Ganpuleの式)」や「Harris-Benedict の式」などがあります。

例えば国立健康・栄養研究所の式によれば、男性の基礎代謝は(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)−0.0138×年齢(歳)−0.4235)×1000÷4.186で求められます[5]。

また女性の基礎代謝は(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)−0.0138×年齢(歳)−0.9708)×1000÷4.186で求められます[5]。

これは日本人の幅広い年齢において、比較的正確性が高い計算式です。

ただし個人のエネルギー消費量を正確に測定することは極めて難しいといわれています。

あくまで一つの目安と考えると良いでしょう。

自分の基礎代謝を計算したい方は以下のサイトを参考にしてください。

国立健康・栄養研究所の式を用いた基礎代謝量の推定

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3.基礎代謝を上げる方法

「基礎代謝を上げるためには、何をすれば良いんだろう?」

「ダイエットをしているから基礎代謝を上げたいな」

基礎代謝が上がると消費するカロリーも増えるため、太りにくい体に近づくといわれています。

そのためダイエット中の方などは、基礎代謝を上げる方法が気になるかもしれませんね。

この章では基礎代謝を上げる方法について解説します。

3-1.筋トレを行う

スクワットをしている男性の後ろ姿

基礎代謝を上げるために、筋トレを行うことが大切です。

基礎代謝は体格の影響を受けるため、筋トレを行って筋肉量を増やすことで基礎代謝量を増やすことができます。

基礎代謝を上げるためには大胸筋や広背筋、大臀筋(だいでんきん)、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、ハムストリング、腓腹筋(ひふくきん)、ヒラメ筋などの大きな筋肉を鍛えると良いでしょう。

特に大臀筋や大腿四頭筋、ハムストリングは全身の筋肉に占める割合が大きいため、これらの筋肉を重点的に鍛えることが勧められます

筋肉量を増やすことで増える基礎代謝量はわずかですが、基礎代謝量が増えるとそれに伴って活動時のエネルギー消費量も増えるといわれています。

また筋トレは全身のエネルギー代謝や、有酸素運動による体脂肪燃焼を促進する効果もあると考えられています。

大胸筋のトレーニング、広背筋のトレーニング、大臀筋のトレーニング、ハムストリングのトレーニング、ふくらはぎのトレーニングは以下の記事で解説しています。

大胸筋を効率良く鍛える筋トレを紹介!コツや食事のポイントも解説

広背筋に効果的な筋トレとは?トレーニングのコツや食事法も解説

大臀筋を鍛える筋トレとは?自重・器具別のトレーニングをご紹介

ハムストリングとは?効果のあるトレーニングやストレッチを解説

ふくらはぎに効く筋トレメニューは?鍛えるメリットやポイントを解説

3-2.たんぱく質を十分に摂取する

ささみの料理

基礎代謝を上げるために、たんぱく質を十分に摂取しましょう

たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれる栄養素で、筋肉の材料になるものです。

たんぱく質が不足すると体力や免疫機能が低下する他、成長障害を来す恐れがあります

そのためたんぱく質には推奨量が設定されています。

メモ
推奨量はほとんどの人にとって十分な量のことです。

たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は男性の場合18~64歳で65g、65歳以上で60gです[6]。

女性の場合18歳以上で50gです[6]。

たんぱく質を多く含む食べ物は以下の記事で詳しく紹介しています。

たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4.1日の推定エネルギー必要量

「自分に必要なエネルギーはどれくらいなのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。

1日に必要なエネルギー量は日々の活動量や体格によって異なります

自分の1日の推定エネルギー必要量を知るには、まず「身体活動レベル」を知ることが重要です。

身体活動レベルは以下のとおり3段階で表されます

【身体活動レベル別にみた活動内容】
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
日常生活の内容 ・生活の大部分を座って過ごし、日常的にあまり動かない場合 ・座って過ごすことが多いが、仕事などで立ったり歩いたりすることがある場合
・通勤や買い物、家事や軽いスポーツをする場合
・歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合
・スポーツなどで活発に体を動かす習慣のある場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

自分の身体活動レベルがどれに当たるのか確認してみてくださいね。

この章では身体活動レベルを元に、1日の推定エネルギー必要量の算定方法について詳しく解説します。

4-1.標準的な体格の場合

標準的な体格である場合の推定エネルギー必要量は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で以下のように示されています。

【1日当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
1~2歳
-
950
-
-
900
-
3~5歳
-
1,300
-
-
1,250
-
6~7歳
1,350
1,550
1,750
1,250
1,450
1,650
8~9歳
1,600
1,850
2,100
1,500
1,700
1,900
10~11歳
1,950
2,250
2,500
1,850
2,100
2,350
12~14歳
2,300
2,600
2,900
2,150
2,400
2,700
15~17歳
2,500
2,800
3,150
2,050
2,300
2,550
18~29歳
2,300
2,650
3,050
1,700
2,000
2,300
30~49歳
2,300
2,700
3,050
1,750
2,050
2,350
50~64歳
2,200
2,600
2,950
1,650
1,950
2,250
65~74歳
2,050
2,400
2,750
1,550
1,850
2,100
75歳以上
1,800
2,100
-
1,400
1,650
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

例えば18〜29歳で身体活動レベルが「普通(Ⅱ)」の場合、推定エネルギー必要量は男性で2,650kcal、女性で2,000kcalです。

この推定エネルギー必要量は日本人の平均的な体重(参照体重)を元にして算出されます。

【日本人の参照体重(kg)】
年齢 男性 女性
1~2歳
11.5
11.0
3~5歳
16.5
16.1
6~7歳
22.2
21.9
8~9歳
28.0
27.4
10~11歳
35.6
36.3
12~14歳
49.0
47.5
15~17歳
59.7
51.9
18~29歳
64.5
50.3
30~49歳
68.1
53.0
50~64歳
68.0
53.8
65~74歳
65.0
52.1
75歳以上
59.6
48.8

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

自分の体重と参照体重に差がある場合、1日の推定エネルギー必要量も変わるので注意しましょう。

自分の体格に合ったエネルギー量を知りたい方は、次の「基礎代謝量推定式から求める場合」を参考にしてくださいね。

4-2.基礎代謝量推定式から求める場合

自分の体格に合った1日の推定エネルギー必要量は、基礎代謝量と身体活動レベルを掛け合わせることで計算できます

基礎代謝量の算定には日本人において妥当性の高い国立健康・栄養研究所の式を使用すると良いでしょう。

男性の基礎代謝は(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)−0.0138×年齢(歳)−0.4235)×1000÷4.186、女性の基礎代謝は(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)−0.0138×年齢(歳)−0.9708)×1000÷4.186という計算式で求められます[6]。

ここで求めた基礎算定量に、年齢別の身体活動レベルを掛け合わせます。

【年齢階級別の身体活動レベル(男女共通)】
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
1~2歳
-
1.35
-
3~5歳
-
1.45
-
6~7歳
1.35
1.55
1.75
8~9歳
1.40
1.60
1.80
10~11歳
1.45
1.65
1.85
12~14歳
1.50
1.70
1.90
15~17歳
1.55
1.75
1.95
18~29歳
1.50
1.75
2.00
30~49歳
1.50
1.75
2.00
50~64歳
1.50
1.75
2.00
65~74歳
1.45
1.70
1.95
75歳以上
1.40
1.65
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

例えば身長が160cm、体重が54kgの20歳女性の場合、基礎代謝量は1,217kcalと計算されます。

この女性の身体活動レベルが普通(Ⅱ)だとすると、1日の推定エネルギー必要量は1,217kcal×1.75≒2,130kcalとなります。

これを1日の摂取エネルギーの目安にすると、現在の体重を維持できるでしょう。

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

5.基礎代謝についてのまとめ

基礎代謝とは体温の維持や心拍、呼吸など、生命を維持するために必要とされる最低限のエネルギーのことです。

基礎代謝量は性別や年齢、体格などによって異なり、筋肉量が増えるとそれに伴って増加するといわれています。

1日の推定エネルギー必要量を計算する際に、基礎代謝の数値が用いられる場合もあります。

自分の基礎代謝量を知りたい場合は身長や体重、年齢などから計算する推定式を用いると良いでしょう。

基礎代謝を上げることで消費するカロリーが増え、太りにくい体になるといわれています。

基礎代謝を上げるためには、筋トレを行うことに加え肉や魚などのたんぱく質を十分に摂取することが重要です。

この記事を参考に、基礎代謝を増やす工夫をしてみてくださいね。

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