「高血圧はどうすれば予防できるのかな?」
「高血圧になるとどんな悪影響があるんだろう……」
健康診断などで血圧が高めと言われ、気になっている方もいらっしゃるでしょう。
高血圧は慢性的に血圧が高い状態のことで、塩分の過剰摂取や肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどによって起こります。
高血圧は動脈硬化を進行させ、心不全や脳卒中、腎臓病などの致命的な病気を招く可能性があります。
この記事では高血圧を予防するためのポイントをご紹介します。
また高血圧の基準や起こり得る悪影響についても解説するので参考にしてくださいね。
1.高血圧とは
「血圧が高ければ高血圧なのかな……」
「そもそも血圧って何を指しているんだろう?」
高血圧は改善すべきだと聞いたことはあっても、高血圧とはどのような状態なのか、健康にどのような悪影響を及ぼすのかご存じない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
またそもそも血圧とはなんなのかと気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
この章では血圧のメカニズムや高血圧の基準、悪影響について解説します。
【関連情報】 「高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説」についての記事はこちら
1-1.血圧が上下するメカニズム
血圧を測ったことのある方は、上下二つの値があることをご存じでしょう。
ここでは血圧とは何なのか、また血圧に二つの値が生じるメカニズムを解説します。
血圧は心臓から送り出された血液が血管の内壁を押す際の圧力です。
一般的に血圧という際は、上腕にある動脈(上腕動脈)の血圧のことを指します。
血圧には心臓の脈動に関連した「上の血圧」と「下の血圧」と呼ばれる二つの値があります。
上の血圧は血液を送り出すために心臓が収縮した際の、血管に最も強い圧力がかかっている状態の血圧です。
この値は最高血圧、収縮期血圧とも呼ばれます。
下の血圧は次に血液を送り出すために心臓が拡張した際の、血管への圧力が最も下がっている状態の血圧です。
この値は最低血圧、拡張期血圧とも呼ばれます。
血圧の値は主に心臓から送り出される血液の量や血管のしなやかさによって決まり、血液の粘度なども影響します。
またこれらは腎臓や神経系のはたらき、食塩の摂取量などさまざまな要素の影響も受けます。
1-2.血圧の基準値
「血圧がどのくらいだと、高血圧に該当するのかな?」
血圧は常に変動しており、一度測定した血圧が高かったからといって高血圧とは限りません。
高血圧は慢性的に血圧が高い状態を指します。
なお、血圧には、病院や健康診断などで測定した「診察室血圧」と、家庭で測定した「家庭血圧」で異なる基準値が設けられています。
診察室血圧における正常値血圧は、年齢や性別にかかわらず最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満です[1]。
また診察室血圧における高血圧は最高血圧140mmHg以上かつ/または90mmHg以上です[1]。
診察室血圧の基準値は以下のとおりです。
【病院で測定した際の血圧値の基準】
分類 | 最高血圧 | 最低血圧 | |
---|---|---|---|
正常血圧 | 120mmHg未満 | かつ | 80mmHg未満 |
正常高値血圧 | 120~129mmHg | かつ | 80mmHg未満 |
高値血圧 | 130~139mmHg | かつ/または | 80~89mmHg |
高血圧(Ⅰ度) | 140~159mmHg | かつ/または | 90~99mmHg |
高血圧(Ⅱ度) | 160~179mmHg | かつ/または | 100~109mmHg |
高血圧(Ⅲ度) | 180mmHg以上 | かつ/または | 110mmHg以上 |
特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」をもとに執筆者作成
また家庭血圧の基準値は以下のとおりです。
【家庭で測定した際の血圧値の基準】
分類 | 最高血圧 | 最低血圧 | |
---|---|---|---|
正常血圧 | 115mmHg未満 | かつ | 75mmHg未満 |
正常高値血圧 | 115~124mmHg | かつ | 75mmHg未満 |
高値血圧 | 125~134mmHg | かつ/または | 75~84mmHg |
高血圧(Ⅰ度) | 135~144mmHg | かつ/または | 85~89mmHg |
高血圧(Ⅱ度) | 145~159mmHg | かつ/または | 90~99mmHg |
高血圧(Ⅲ度) | 160mmHg以上 | かつ/または | 100mmHg以上 |
特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」をもとに執筆者作成
診察室血圧の方が、家庭血圧より高い基準値が設定されています。
これは病院にいると緊張から血圧が上昇してしまう傾向にあるためです。
なお高血圧の判定においては家庭血圧の結果が診察室血圧よりも優先されます。
ご自分が高血圧かどうかをしっかり確認したい場合は、自宅で血圧を測る習慣をつけましょう。
[1] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
1-3.高血圧の悪影響
高血圧となった場合、直ちに自覚できる症状は現れませんが、多くの致命的な病気を発症するリスクが高まります。
血圧が高い状態が続くと、血管は長期間張りつめた状態に置かれて本来の弾力性を失い、厚く硬くなります。
この状態を「動脈硬化」といいます。
高血圧になると、脳や心臓など全身の大小の血管でこの動脈硬化が起こってしまうのです。
動脈硬化の状態では、血管が狭まったり詰まったり裂けたりしやすくなるため、さまざま病気が引き起こされます。
例えば心臓に血液を送る冠動脈が狭まると心臓に十分な血液が送られず酸欠になる「狭心症」が生じます。
また狭心症が進行し冠動脈が詰まると、心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞が起こります。
同様のことが脳の血管で起こるのが脳梗塞です。
脳の血管が破れる脳出血や、脳の表面の血管にこぶができて破裂し、出血を引き起こすくも膜下出血のリスクも高まります。
腎臓では腎機能が低下する腎硬化症や、慢性腎不全といった病気が引き起こされます。
これらはいずれも治療が難しかったり命に関わったりする危険な病気のため、高血圧を予防することは健康にとって極めて重要です。
現在日本では4,300万人が高血圧に該当し、そのうち3,100万人が血圧を適切にコントロールできていないといわれています[2]。
自分が高血圧かどうかをしっかりチェックし、予防につなげていくことが大切だといえるでしょう。
[2] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
2.高血圧を予防するポイント
「高血圧を予防するにはどうすれば良いのかな?」
高血圧は致命的な病気を招くため、日頃からしっかり予防しておきたいものですよね。
高血圧には、生活習慣や遺伝的体質などの複数の要因が関係して原因のはっきりしない「本態性高血圧」と、内分泌系や血管などの特定の病気を原因とする「二次性高血圧」があります。
日本人の高血圧のうち、9割ほどが本態性高血圧であるとされています[3]。
本態性高血圧は食塩の過剰摂取や肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質などの要因が組み合わさって起こります。
この章では本態性高血圧を予防するポイントをご紹介します。
[3] 一般社団法人日本内分泌学会「二次性高血圧症(腎血管性高血圧を含む)」
ポイント1 減塩
高血圧の予防のためには、塩分の摂取量を減らすことが重要です。
ナトリウムの摂り過ぎは血圧の上昇を招くことが分かっています。
塩分を摂り過ぎて体内のナトリウム濃度が上昇すると、体内ではナトリウム濃度を下げるため水分がため込まれます。
これにより体内の血液量が増加して血管にかかる圧力が増し、血圧が上がってしまうのです。
高血圧の予防・改善のためにはナトリウムの摂取量を食塩相当量で1日当たり6g未満に抑えることが望ましいとされています[4]。
しかし日本人は日々の食生活でしょうゆやみそなどの塩分の多い調味料やインスタントラーメンのような加工食品を多く口にしており、塩分を過剰摂取する傾向にあります。
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば、日本人の1日当たりの平均塩分摂取量(食塩相当量)は成人男性で10.9g、成人女性で9.3gです[5]。
日本における平均的な食生活は塩分過多である、と考えられますね。
日ごろから減塩を意識するようにしましょう。
具体的な減塩のコツは以下のとおりです。
厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」をもとに執筆者作成
まずは調味料の使用量を減らし、薄味の調理を心掛けることが重要です。
ソースやしょうゆは料理にかけるのではなく、つけるようにすることで使う量を減らせます。
薄味の調理が物足りないのでは、と不安な方には、新鮮な食材を用いることがおすすめです。
食材本来の味を楽しむことができますよ。
みそ汁などは具だくさんにすれば食材のうま味が出るため調味料の量を減らせます。
また具が多くなる分汁の量を減らせるため相対的に減塩になります。
また酢やケチャップ、マヨネーズなど、ナトリウム含有量の少ない調味料を活用しましょう。
こしょうや七味などの香辛料、しょうやにんにくがなどの香味野菜、レモンなど酸味のある柑橘(かんきつ)類も減塩の助けとなります。
漬物や麺類の汁は塩分過多の原因になりがちなので控えましょう。
特にラーメンなど麺類の汁を全て飲むとそれだけで6g近い塩分を摂ってしまうことになるので注意が必要です[6]。
外食や加工食品も知らず知らずのうちに多くの塩分を摂ってしまう原因になるので、できるだけ避けるようにしましょう。
減塩のポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
減塩食を続けるポイントとは?健康への効果や食塩の摂取目標量も紹介
[4] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019」
[5] 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
ポイント2 カリウムの十分な摂取
高血圧の予防のためには、カリウムを積極的に摂取することも重要です。
カリウムにはナトリウムを体外に排出するはたらきがあります。
このため高血圧の予防・改善に効果が認められているのです。
カリウムは野菜類、いも類、豆類、果物類、海藻類などに含まれます。
カリウムを多く含む食品の例としては以下のようなものが挙げられます。
【カリウムを多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
利尻昆布 | 素干し | 5,300mg |
わかめ | 生 | 730mg |
ほうれん草 | 生 | 690mg |
納豆 | - | 690mg |
アボカド | 生 | 590mg |
小松菜 | 生 | 500mg |
さわら | 生 | 490mg |
さつまいも(皮なし) | 生 | 480mg |
きはだまぐろ | 生 | 450mg |
まだい | 生 | 440mg |
長いも | 生 | 430mg |
ぶなしめじ | 生 | 370mg |
バナナ | 生 | 360mg |
キウイフルーツ(緑) | 生 | 300mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、カリウムの目標量を定めています。
カリウムの1日の摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、18歳以上の女性で2,600mg以上です[7]。
日本人はカリウムを十分摂取できていないといわれているので、カリウムを意識的に摂取するようにしましょう。
カリウムについては以下の記事で詳しく解説しています。
[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ポイント3 肥満の解消
高血圧を予防するには、肥満を解消しましょう。
肥満は高血圧の大きな原因の一つで、肥満の方が高血圧になる可能性は体重が正常な方の2~3倍といわれています[8]。
また肥満は高血圧以外にも脂質異常症や糖尿病など多くの生活習慣病の発症リスクを高めます。
肥満は体重が多く体脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。
通常、肥満度の判定にはBMIが用いられます。
BMIが25以上の方は、この値が25よりも小さくなるように減量を行いましょう。
なお、健康のためにはBMI22を目指すことが勧められます。
BMIが22のときの体重は「標準体重」と呼ばれ、統計上肥満との関連が強い高血圧や糖尿病、脂質異常症などの病気に最もかかりにくいことが分かっています[10]。
標準体重は[身長(m)の2乗]×22で求められます[10]。
体脂肪を減らすためには食事から摂取するエネルギー(カロリー)を減らすこと、運動によって消費するエネルギーを増やすことが基本となります。
ヒトの体は食べ物に含まれる炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類の栄養素からエネルギーを摂取し、生命を維持したり体を動かしたりしています。
しかしエネルギーを摂り過ぎると脂肪が蓄積され、肥満につながります。
減量のためにはエネルギー消費量(消費カロリー)がエネルギー摂取量(摂取カロリー)を上回るようにすることが欠かせません。
まずはエネルギー摂取量を適切に制限するようにしましょう。
1日に必要なエネルギーは性別や体格、どれくらい体を動かしているかによって異なります。
ご自身の適切なエネルギー摂取量を把握しておきましょう。
1日に必要なエネルギーについては以下の記事でご紹介しています。
1日に必要なカロリーって?計算方法と健康を保つポイントを解説!
ただし極端な食事制限は長続きせずリバウンドの原因になりやすい上、栄養素が不足して健康を損ねる恐れがあるので注意してください。
運動でエネルギー消費量を増やすには有酸素運動が有効です。
なお、詳しくは後述しますが、有酸素運動には高血圧の改善効果も認められています。
肥満の解消には、有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせるとより効果的です。
筋肉が増えると基礎代謝量が増え、日々の生活で消費されるエネルギーが増えます。
筋トレによってエネルギーを消費しやすい体になり、多くのエネルギーを消費できるようになるのですね。
肥満の解消法については以下の記事で詳しく解説しています。
肥満とは?判定基準や原因・健康への悪影響・体脂肪の減らし方を解説
[8] 一般社団法人 日本肥満症予防協会「3. 肥満と高血圧 」
[9] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
[11] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[12] 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「エネルギー消費量の測定方法」
ポイント4 適度な運動
高血圧の予防には適度な運動が推奨されています。
運動療法は血管内皮機能を改善して血圧を低下させるといわれています。
高血圧を予防・改善したい方には、ウォーキングやステップ運動、ジョギングなどの有酸素運動が推奨されています。
できるだけ毎日30分、もしくは1週間で計180分を目安に運動を継続させましょう[13]。
運動をする際の強度はややきついと感じる程度にとどめ、無理をしないことが重要です。
また有酸素運動に加えて筋トレやストレッチも推奨されているため、無理のない範囲で行うようにしましょう。
運動の時間を取りにくい方は階段を使う、通勤時に一駅歩く、積極的に掃除や片付けを行うといった日常生活を通じて体を動かすことを意識しましょう。
有酸素運動については以下の記事で詳しく解説しています。
有酸素運動の8つの効果とは?おすすめの運動や効果を高めるコツ
[13] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧の話」
ポイント5 節酒
飲酒も高血圧の原因となるため、血圧が気になる方はお酒を控えましょう。
日本高血圧学会は1日の飲酒量をアルコールの量で男性は20〜30mL以下、女性は10〜20mLにすることを推奨しています[14]。
なお医師から特に指示されていない限りは、高血圧を理由に禁酒する必要はありません。
アルコールの20~30mLはビールでは中瓶1本、日本酒では1合、焼酎では半合、ワインでは2杯、ウィスキーやブランデーではダブルで1杯程度に相当します[14]。
また最低でも週に1日程度は休肝日を設けましょう[16]。
おつまみには塩分の多いものが少なくないため、できるだけ薄味のものを選んでくださいね。
[14] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン 2019」
[15] 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量の単位」
[16] 厚生労働省 e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」
ポイント6 禁煙
血圧が気になる方は禁煙しましょう。
たばこの煙にはさまざまな有害物質が含まれており、その一部は血圧の上昇に関わったり、心臓や血管に悪影響を及ぼしたりすることが分かっています。
例えばたばこの煙に含まれる物質として知られるニコチンは、交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。
また、たばこの煙に含まれる一酸化炭素も血圧上昇を招く有害物質の一つです。
加えて血液の粘度を高め、動脈硬化を進行させます。
さらに喫煙により、血中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加することも分かっています。
HDLコレステロールの減少とLDLコレステロールの増加はいずれも動脈硬化を進行させる要因です。
加えてたばこはがんや呼吸器疾患、糖尿病のリスクも増大させるといわれています。
喫煙は百害あって一利なしといえるでしょう。
喫煙による健康への影響は喫煙者本人だけでなく、同居する方にも及ぶといわれています。
ご自分だけでなく家族の健康のためにも早急な禁煙を行いましょう。
ポイント7 ストレス解消
過剰なストレスは高血圧の原因となるため、しっかり解消するようにしましょう。
人間の体はストレスを受けると緊張し、防御反応として交感神経が活発になります。
交感神経が活発になると血管が収縮するため、血圧が上がってしまうのです。
ストレスには仕事や人間関係などによる精神的ストレスに加え、暑さや寒さ、湿度などの気候や過労、睡眠不足などによる身体的ストレスもあります。
精神的ストレスで気を付けたいのは仕事上のストレスによる「職場高血圧」です。
職場高血圧とは、病院などで測定した血圧は正常であっても、一定の環境下で高血圧が見られる「仮面高血圧」の一種で、職場で働いている時間帯の血圧値が高血圧に該当するものです。
職場では人間関係やパワーハラスメント、セクシャルハラスメントなどによる精神的なストレス、長時間労働や激務による身体的なストレスがかかる場合があります。
職場でストレスを感じている場合は一人で抱え込まず、早い段階で周囲の人や専門家に相談しましょう。
一方、身体的ストレスで特に危険なのが寒い時期の急激な寒暖差によるストレスです。
暖かい室内などから急に寒い場所に移動すると血管が収縮して血圧が上がります。
激しい温度変化を避けるため外出時は帽子やマフラー、手袋などで肌の露出を抑えるようにしましょう。
ストレスを解消するには規則正しい生活を心掛け、十分な休養と睡眠を取るようにしましょう。
睡眠には脳や体を休める役割があるため、十分な睡眠にはストレス発散だけでなく病気の予防や仕事の効率アップも期待できます。
ただしストレスで寝付けない場合は無理に眠ろうとせず、脳をリラックスさせましょう。
リラックスすることで交感神経が鎮静化し、副交感神経が活性化することでストレスが発散されていきます。
リラックスするには好きな音楽を聞く、軽く読書をする、お香やアロマテラピーなどで香りを楽しむ、ヨガやストレッチを行うといったことが効果的です。
意識的に深く呼吸をしてみたり、瞑想を試してみたりしても良いでしょう。
入浴もストレス解消に効果的です。
入浴をすると副交感神経が優位になってリラックスし、ストレスが和らぎます。
シャワーだけで済まさず、少しぬるめのお湯にじっくりつかるようにしましょう。
お湯につかりながら読書や音楽鑑賞も良いですね。
また適度な運動は血圧を下げるだけでなく、ストレスを解消させ、睡眠リズムを整えてくれます。
これは運動によって心を落ち着けるはたらきのあるセロトニンや、鎮痛効果があり多幸感を感じさせるエンドルフィンといった物質の分泌量が増えるためです。
ストレス解消には特にウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動が効果的といわれています。
またヨガやストレッチはこり固まった筋肉をほぐして血流を改善し、深い呼吸によって精神をリラックスさせることでストレスを発散させてくれます。
ストレス解消法については以下の記事で詳しく解説しています。
ストレス発散に効果的な方法は?手軽にスッキリできるおすすめ解消法
3.血圧が高めの場合は医療機関を受診しよう
血圧が高めであることが分かったら、早めに医療機関を受診しましょう。
高血圧と判断された場合は生活習慣の改善とともに降圧剤などによる服薬治療が必要になることがあります。
なお高血圧は自覚症状がほとんどないため、自分で気付くことは困難です。
そのため、毎年健康診断を受けることが極めて重要です。
また家庭用血圧計を購入し、自宅で家庭血圧を日々測定することも高血圧予防には有効です。
普段から自分の血圧がどれくらいかを把握し、高い数値が続いた場合は自己判断せず、早急に医療機関を受診してくださいね。
4.高血圧の予防についてのまとめ
血圧は心臓から送り出された血液が血管の内壁を押す際の圧力のことで、一般的には上腕動脈にかかる力のことを指します。
血圧には心臓が収縮して血管に最も強い圧がかかった際の最高血圧と、心臓が拡張して血管の圧力が最も低下した際の最低血圧があります。
高血圧は慢性的に血圧が基準値を超えている状態のことです。
高血圧の基準は世界共通で、病院や健診などで測る診察室血圧では最高血圧140mmHg以上かつ/または最低血圧90mmHg以上です[17]。
自宅で測定する家庭血圧ではそれぞれ5mmHg低い値が基準とされ、こちらの値が診察室血圧よりも優先されます[17]。
高血圧は目立った症状はあまりないものの、動脈硬化をもたらし、心不全や脳卒中、腎臓病などの致命的な生活習慣病のリスクを高める危険な状態です。
日本人の高血圧の大きな原因は塩分の過剰摂取のため、予防するにはまず塩分(ナトリウム)の摂取量を減らし、ナトリウムを排出してくれるカリウムを十分に摂取しましょう。
また肥満の解消や適度な運動も高血圧の予防に有効なので、日々の食事や運動習慣を見直してみましょう。
さらにお酒は控え、禁煙しましょう。
ストレスもできるだけため込まずに解消するようにしてくださいね。
ただし血圧が高めになった場合は治療が必要な可能性もあるため、自己判断せず早急に医療機関を受診してください。
この記事を参考に高血圧の予防を心掛けてくださいね。
[17] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」