「最近忙しくて気分が落ち込んでしまうんだよなあ……」
「ストレスのせいかイライラしてしまう……どうすれば解消できるんだろう?」
ストレスを上手に解消できず溜め込んでしまう状況は辛いですよね。
ストレスは誰もが多かれ少なかれ受けているものですが、うまく処理できていないと体や心、日頃の行動にも大きな影響を及ぼします。
ストレスが溜まっていて大変な状況をどうにかしたいけれど、解消の方法が分からないとお困りの方も多いのではないではないでしょうか。
そこで、この記事では手軽にスッキリできるストレスの発散方法をご紹介していきます。
また、ストレスが溜まっているからといって頼り過ぎてはいけない二つの方法もあわせて解説しています。
ぜひこの記事でご説明した方法を実践し、元気な自分を取り戻してみてくださいね。
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1.溜めるの危険!ストレスを感じる仕組みと心身への悪影響
ストレスは体や心、行動にさまざまな影響を及ぼすため、無理に我慢してはいけません。
「そんなこと言われても、耐えるしかない状況だってあるんじゃない……?」
と現状にお困りの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ストレスを溜め込むと私たちの心身が危険な状態になってしまうことは事実です。
まずはストレスとはどんなものなのか、私たちにどのような影響を及ぼすのかという基本的な仕組みからご説明しましょう。
1-1.ストレスを感じる仕組みとは?
ストレスをそのまま我慢し続けていると人の体や心、行動にさまざまな悪影響を及ぼします。
例えばとても忙しかった日や、上司に叱られてしまったときなどに「疲れた」「辛い」と感じることも多いと思いますが、まさにこのような感情が「ストレス」です。
「忙しさ」「上司」などのストレスの原因となるものは「ストレッサー」といいます。
【ストレスの二つの要素】
- ストレスの原因(ストレッサー)
- ストレッサーによって生じた反応(ストレス)
これらは風船に例えると分かりやすいでしょう。
風船はストレッサーによって押さえつけられ、ストレス反応として歪みが生じます。
ストレスは心理的・社会的な要因が多くを占めていますが、睡眠不足といった生理的なものや、暑さ・寒さといった物理的な環境もストレッサーになり得ます。
一方、いわば風船の「弾力性」のようにストレッサーに抗って元に戻ろうとする力もはたらきます。
しかし、風船を押さえ付けるストレッサーの力が強すぎると、限界を迎えた風船は破裂してしまうかもしれません。
1-2.ストレスが心身や行動に与える悪影響とは?
風船が破裂するように私たちがストレスの限界を迎えてしまうと、どのような影響が出てきてしまうのか気になりますよね。
ストレスは私たちの体や心、行動にさまざまなかたちで悪い影響を及ぼします。
気持ちが不安定になったり、食欲がなくなったり、夜眠りづらくなったりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
そのような状態のまま放置して同じようにストレスを受け続けていると、病気にかかるリスクが上がってしまいます。
心当たりのある方は「自分がストレスを溜め込んでいる」という自覚を持ち、我慢をしすぎないようにしてくださいね。
特に以下のようなストレスサインが現れている場合は、心に負担がかかってしまっている証拠です。
【心のストレスサイン】
- 悲しい、憂うつな気持ちが続いている
- 不安感、イライラ、緊張感が消えない
- 無力感が続きやる気が出ない
【体のストレスサイン】
- 食欲が出ない、痩せてきた
- 寝付きが悪い、夜中や朝早くに目が覚める
- 手や足の裏に汗をかく
【行動のストレスサイン】
- 消極的になった
- 周囲との交流を避けるようになった
- 飲酒や喫煙の量が増えた
自分でできることからストレスを発散し、続く場合には専門の医療機関を受診することも検討しましょう。
2.手軽にスッキリ!おすすめのストレス発散法
「じゃあ、一体どうしたらストレスを発散できるんだろう?」
というところが一番気になるポイントですよね。
ここからは、ストレスを発散して身も心もスッキリできるつの方法をお伝えします。
どれも手軽にできて今日から始められるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
2-1.こまめにストレッチをする
デスクワークで仕事中は同じ姿勢でいることが多く、体の凝りに悩んでいる方も多いでしょう。
また、仕事量が多かったり、人間関係がうまくいっていなかったりといったストレスがかかっている状況も筋肉の緊張につながります。
こまめにストレッチをして、体をほぐすことでストレスを軽減することができるでしょう。
椅子に座っている状態でも、伸びをしたり体を後ろにひねったりすることでストレッチになりますよ。
ストレッチを行う際には以下の点に注意しましょう。
【ストレッチのポイント】
- 弾みをつけない
- 痛みを感じたらそれ以上は伸ばさない
- 大きい筋肉ほど長く伸ばす
- 呼吸は止めない
- 伸ばしている部位を意識する
2-2.甘いものを食べる
「ストレスが溜まると甘いものが食べたくなる……」
という方も多いのではないでしょうか。
自分の好きなおやつを食べることも、気分転換になりますよね。
甘いものを食べることは科学的にもストレスに対して効果があると考えられます。
精神の安定や安心感をもたらす「セロトニン」と言う神経伝達物質の合成には、血糖値の上昇に伴って分泌されるホルモン「インスリン」が必須となります。
インスリンが血液中の「トリプトファン」という物質を脳内に運ぶことでセロトニンが作られるのです。
血糖値を上げる砂糖などの糖質はインスリンの分泌を促し、その結果としてセロトニンの合成を高めてくれると考えられるのですね。
実験の結果からも、甘いものを食べるとストレスが軽減されるということが報告されています[1]。
また糖質が体内で分解されて作られる「ブドウ糖」は脳がエネルギーとして利用できる重要な物質であるため、ストレスで集中力や判断力が低下したときにも効果的だと考えられます 。
ストレスが溜まっているときには甘いものを食べるのがおすすめですよ。
[1] 独立行政法人 農畜産業振興機構「糖や甘味が精神的ストレス応答に及ぼす影響」
カロリーが気になる方はこちらを参考にしてください
2-3.とにかくぐっすり寝る
ぐっすり眠ることも、ストレスを解消するためには重要です。
「最近、夜更かしが多いかもしれない……」
という方も多いのではないでしょうか。
睡眠は体の休息だけでなく、脳を休ませる役割もあります。
睡眠不足になると脳が疲れ、体の機能を調整してくれる自律神経やホルモンのバランスも崩れてしまいます。
「疲れているな」「ストレスが溜まっているな」と感じるときには早めに布団に入ることを心掛けましょう。
また快適な睡眠のためには、寝具選びも重要です。
柔らかすぎるマットレスは姿勢が不自然になってしまうためおすすめできません。
背中のS字カーブが適度に保てる固さのものを選ぶようにしましょう。
また、枕は低くて柔らかめの方が安眠しやすいといわれています。
近年の研究では、高すぎる枕は脳卒中の原因の一つである特発性椎骨動脈解離の発症割合が高い傾向にあるとの報告があります[2]。
自分が安眠できる寝具を選ぶようにしてくださいね。
[2] Egashira S, Tanaka T, Yamashiro T, et al.「High pillow and spontaneous vertebral artery dissection: a case-control study implicating “Shogun pillow syndrome”」(European Stroke Journal. 2024;0(0))
(日本語のサイトはこちら)
[3] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
2-4.太陽の下で体を動かす
太陽の下で体を動かすことも有効なストレス発散法の一つです。
「スポーツは苦手だな……」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし勝ち負けを競ったり、激しい運動を無理にしたりする必要はないのでご安心くださいね。
ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、同じリズムを反復するような運動がおすすめです。
一定のリズムを刻む運動を反復して行うと、心を穏やかにしてくれる 神経伝達物質「セロトニン」の分泌が高まるといわれています[3]。
「少し歩いてみる」程度の簡単な運動から無理なく始めてみましょう。
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また、日光を浴びることもセロトニンの分泌を促進します。
セロトニンが分泌されると、脳が活発にはたらき、精神が安定したり、安心感を覚えたりするといわれています。
セロトニンが不足するとよりストレスや疲れなどを感じてしまうため、ストレスが溜まっているときには積極的に外を歩くなどしてセロトニンの分泌を促すべきだといえるでしょう。
[3] ロッテ 噛むこと研究室「咀嚼とストレス解消のメカニズム」
2-5.親しい人と話してたくさん笑う
家族や友人、パートナーといった親しい人と話すことで気分が軽くなったと感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。
人に話を聞いてもらうと気持ちの整理が付いたり、自然と解決策が見えてきたりすることがありますよね。
また、アドバイスをもらえることもあるでしょう。
気がかりなことがあってストレスが溜まっていると感じる場合には一人で溜め込まず、信頼できる相手に相談してみましょう。
さらに相談だけでなく、関係のない話題で笑うこともストレス発散には効果的です。
笑うとなんとなく気分が軽くなるような気がしますよね。
実は笑うことにはさまざまな効果があり、ストレスに対しても科学的に有効だと考えられます。
笑うと副交感神経が優位にはたらくようになり、安心感や安らぎを感じるようになるとされています。
またセロトニンを分泌する神経を活性化したり、気分を高揚させる「エンドルフィン」や楽しく心地よい気分になる「ドーパミン」といった脳内麻薬物質を分泌させたりする効果があるともいわれています。
笑うことで、ストレスで鬱屈した気持ちも晴れると考えられますね。
2-6.趣味に没頭して日常を忘れる
趣味に没頭することも大きなストレス発散になります。
仕事のことを忘れ自分の好きなことをする時間を確保するようにしましょう。
好きな映画や小説、ゲームなどの娯楽に触れたり、音楽を聴いたり演奏したり、スポーツに励んだり、旅行に出かけたり、さまざまな趣味がありますよね。
自分に合った方法でストレスを発散しましょう。
仕事や勉強とのオンオフの切り替えをしっかり行うことで仕事への意欲もさらに高まると考えられます。
また、共通の趣味を持つ人と関わることで生活が豊かになりますよ。
3.ストレスが溜まっているときに注意したい2つのポイント
ストレスが溜まっていると、つい「お酒」や「煙草」に頼ってしまうという方も多いでしょう。
しかし、お酒や煙草は健康を損ねてしまうリスクがあります。
ここからはストレスが溜まっているときこそ注意したい二つのポイントについて解説していきましょう。
3-1.お酒を飲みすぎない
「ストレスが溜まってお酒を飲まずにはいられない……」
「お酒を飲んだらよく眠れる気がする」
このように考えてついお酒を飲んでしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ストレスが溜まっているからといってお酒に頼ってしまうのはあまりおすすめできません。
アルコールは気分を晴らしてくれることもありますが、酔いからさめると反動でさらに気分が落ち込んでしまう可能性があります。
そのため、量と頻度のコントロールは必須です。
また、お酒を飲んで眠ると睡眠の質を下げてしまいます。
寝つきが良くなる気がするかもしれませんが、睡眠が浅くなったり、途中で目が覚めてしまったりするのです。
よく眠れないと、疲れも溜まっていく一方ですよね。
お酒を飲むのが趣味だという方も必ず休肝日を設け、飲みすぎには十分に注意してくださいね。
3-2.たばこを吸いすぎない
「たばこを吸うと頭がスッキリしたり気分が落ち着いたりする……」
「ストレスが溜まるとついたばこの本数が増えてしまうんだよなあ」
という方もいらっしゃるでしょう。
確かに、喫煙者の場合たばこを吸うことで吸う前よりもストレスが軽減されるといわれています。
しかし、たばこを吸うとストレスが解消されたように感じられるのは、あくまでも一時的なものです。
喫煙後しばらくするとニコチンの血中濃度が下がればまたストレスが増加してしまいます。
たばこでストレスを軽減しようとすることは避け、極力減煙や禁煙を心掛けましょう。
4.辛い状態が続くようなら専門家に相談しよう
「ずっと気分が落ち込んだ状態が続いている……」
「ストレスで体調が悪化して良くならないなあ……」
このように辛い状態が続いている場合には、無理をせず早めに専門家に相談しましょう。
ストレスを溜めすぎると心や体にさまざま不調が現れ、放っておくと病気になってしまう可能性もあります。
一人で抱え込まず、辛いときには早めに心療内科などにかかるようにしましょう。
また、公的機関の設置している相談窓口を利用してみるのも良いでしょう。
厚生労働省が設置している相談窓口は、以下のページから確認できます。
忙しくて電話や受診はなかなかできないという方にはメール相談窓口も用意されていますよ。
5.ストレス発散についてのまとめ
ストレスとは心理的・社会的要因や物理的な環境などのストレッサーによって生じる心身の反応のことです。
ストレスがたまると、心身に不調を来したり、行動に悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。
憂うつな気持ちが続いたり、食欲が出なかったり、飲酒や喫煙の量が増えたりするといったストレスサインが出てしまった経験がある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
このような状態を放置していると体調を崩してしまうため、適度にストレスを発散することが重要です。
ストレスを発散するにはこまめにストレッチをして体をほぐしたり、甘いものを食べたり、ぐっすり眠ったりすることがおすすめです。
また太陽の下で体を動かす、親しい人と話してたくさん笑う、趣味に没頭するといったこともストレス発散になるでしょう。
一方でお酒やたばこに頼ることは健康上のリスクを増大させるためおすすめできません。
またストレスによる不調が続く場合には早めに心療内科などの専門機関に相談しましょう。
この記事を参考に、ストレスとうまく付き合っていってくださいね。