「基礎代謝を上げるには筋トレが良いって本当?」
と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
基礎代謝とは私たちが生きるために消費される必要最低限のエネルギー量のことをいいます。
私たちの体では安静にしているときでも、さまざまな臓器や組織がはたらきエネルギーが消費されており、なかでも骨格筋は最も消費エネルギー量が多いことが知られています。
そのため基礎代謝を高めるには、筋トレによって筋肉量を増やすことが重要です。
この記事では、基礎代謝を高めることによるメリットや効果的な筋トレメニューを解説します。
基礎代謝を高めることは痩せやすく太りにくい体づくりに効果的なため、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.基礎代謝とは
「そもそも基礎代謝ってなんだろう?」
と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
基礎代謝とは安静時に呼吸や心拍、体温の維持などの生命を保つために消費される、必要最低限のエネルギー量のことです。
私たちの体が1日に消費するエネルギー量は基礎代謝量が約60%を占めており、残りは身体活動量が約30%、食事誘発性熱産生が約10%といわれています[1]。
私たちの体では基礎代謝によって、多くのエネルギーが消費されているのですね。
さまざまな臓器や組織における基礎代謝のうち最もエネルギーの消費が多いのが骨格筋です。
そのため基礎代謝を高めて消費エネルギーを増やすには、筋肉量を増やすことが重要といえます。
基礎代謝が高まってエネルギーが消費されやすくなると、太りにくく痩せやすい体を目指すことができますよ。
2.基礎代謝を上げるメリット
基礎代謝が上がるとダイエット効果が得られるだけでなく、さまざまなメリットを得ることができます。
基礎代謝が上がって体が温まると血行が良くなるため、冷え性や肩こりを改善することができます。
さらに血行が促進されて全身に酸素や栄養が行き渡ると、肌の「ターンオーバー」が整う効果も得られるといわれていますよ。
ターンオーバーの過程では保湿成分もつくられているため、乱れると肌のハリや弾力の低下を招くとされています。
ターンオーバーを整えることが潤いのある肌を保つのに重要なのですね。
その他にも基礎代謝が高まると「免疫機能」の向上に効果があるとされています。
ヒトの体では免疫機能を持った白血球などが血中を流れ、細菌やウイルスの侵入を防いだり駆除したりしています。
しかし体温が下がって血流が悪化すると、免疫機能が低下する恐れがあるといわれています。
ヒトの体で体温を正常に保つのに重要な役割を担っているのが筋肉です。
そのため筋肉量が増えて基礎代謝が高まると体温を維持でき、免疫機能を向上することもできるのです。
このように基礎代謝を上げることによってさまざまなメリットが得られます。
3.基礎代謝を上げる筋トレメニュー
基礎代謝を上げるためには筋肉量を増やすことが重要です。
筋肉を増やす筋トレは「レジスタンス運動」と呼ばれます。
レジスタンス運動にはダンベルやマシンなどを使った方法と、スクワットや腕立て伏せなどの自分の体重を負荷にして行う方法があります。
この章では、筋肉量を増やすための筋トレメニューを解説します。
自分の体に合った方法から取り組んでみてくださいね。
3-1.プランク
プランクはおなかや背中、腰部分の筋肉に効果的なトレーニングです。
まずは四つんばいになり、床に両肘をつけます。
両膝を伸ばし、頭からかかとまでが一直線になるようにします。
この体勢のまま30秒キープしましょう。
ここまでの動作を2〜3回実施します。
呼吸が止まらないように注意し、自然な呼吸を続けるようにしましょう。
もし体勢を30秒維持することが難しい場合は、時間を短くしたり両膝をつけた状態で行ったりして無理せず取り組むようにしてくださいね。
3-2.ヒップ・リフト
ヒップ・リフトはお尻や足などの下半身、おなかを鍛えるのに効果的なトレーニングです。
まずはあおむけになり、膝を立てて足の裏を床に着けます。
両腕は体の横に添え、手のひらを床に着けましょう。
お尻を引き締めておなかに力を入れ、お尻を持ち上げます。
両手で体を支えるようにし、肩、お尻、膝が一直線になるようにします。
一番高い位置で数秒キープし、ゆっくりとお尻を下げて元の位置に戻しましょう。
この動作を20回繰り返し、3セット行います。
慣れてきたら片足を伸ばし、宙に持ち上げた状態で行うと負荷を高めることができますよ。
3-3.スーパイン・ピラー
スーパイン・ピラーではおなかの「インナーマッスル」である腹横筋を鍛えることができます。
まずはあおむけになって脚を腰幅に開き、両膝を股関節の真上に持ち上げて、90度に曲げます。
この際、足先が天井に向くようにしてください。
両腕は床と垂直になるよう真っすぐに上げ、手のひらを向かい合わせましょう。
片方の腕は頭の上方向に、対角にある脚は真っすぐ下方向に床につくぎりぎりまで伸ばし、元の位置に戻します。
この動作を15〜20回、反対側も同様に行い3セット繰り返しましょう。
おなかに力を入れて腰が反らないように留意し、動かさない方の手足はぶれないようにしてくださいね。
3-4.スクワット
スクワットでは、太ももやお尻などの下半身全体を鍛えることができます。
最初に両足を肩幅程度に開き、爪先がやや外向きになるように立ちます。
膝が爪先と同じ方向を向くように気を付けてください。
次に椅子に座るイメージで、お尻を後ろに引きながらゆっくりと膝を曲げて腰を落としていきます。
おなかに力を入れ、背中を伸ばした状態を保つよう心掛けましょう。
膝を90度程度まで曲げたらゆっくりと元の体勢に戻ります。
この動作を繰り返しましょう。
スクワットを行っている間は膝が爪先より前に出ないよう意識しましょう。
スクワット中は呼吸を続け、深呼吸するペースに合わせて行うようにしてくださいね。
また、スクワットが難しいときは椅子を使って実施する方法もあります。
椅子を使用して立ったり座ったりすると、膝にかかる負担を軽減し安全にスクワットを行うことができますよ。
3-5.ダンベル・スクワット
ダンベル・スクワットは、スクワットと同様に太ももやお尻などの下半身全体を鍛えることができるトレーニングです。
ダンベルを使用することによって、負荷を強め筋トレの効果を高めることができます。
まずは両手で一つずつダンベルを持ち、腕は体の横に垂らします。
肩幅と同じくらい足を開き、胸を張って立ちましょう。
爪先より前に膝が出ないよう、体をゆっくりと下げます。
膝とお尻が同じくらいの高さになったら、すぐに元の姿勢に戻します。
この動作を20回繰り返し2セット行いましょう。
慣れていない場合などは無理せず回数を減らしたり、スクワットなどの負荷の軽いメニューを選ぶようにしたりしてくださいね。
3-6.ニープッシュ・ステーショナリーランジ
ニープッシュ・ステーショナリーランジでは、太ももやお尻の筋肉を鍛えることができます。
両脚を前後に開いて動かしバランスを取る必要があるため、スクワットよりも難しいトレーニングです。
まずは拳1個分程度、両脚を開いて立ちます。
左脚を大股で1歩分前に踏み出して両膝を曲げ、右脚は爪先を立てます。
両手は左膝に重ねて置き、胸を張って上体を軽く前傾させましょう。
右膝が床につくすれすれまでしゃがみます。
両手で左膝を押しながらバランスを取り、左脚で床を押して元の姿勢に戻ります。
この動作を10〜15回、反対も同様に行い3セット繰り返しましょう。
4.基礎代謝を高めダイエットを成功させるコツ
「基礎代謝を高めるには筋トレだけで大丈夫なの?」
と、疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
より効果的に基礎代謝を高めるには、トレーニングの頻度や食事内容などに気を付けると良いとされています。
ダイエットを成功させたい方や健康的な体づくりをしたいと感じている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
4-1.適切な頻度でトレーニングする
基礎代謝を上げるには2、3日に1回程度の頻度で筋トレを行うことが大切です[2]。
筋力を上げるのに効果的なレジスタンス運動は筋肉に強い負荷をかけるため、筋肉は疲労を解消する時間が必要となります。
筋肉の疲労を解消せずにいると、筋トレの効果が得られなくなる場合があります。
毎日のトレーニングで疲れがたまったままだと、継続することも難しくなるかもしれません。
筋トレによって破れた筋線維は2、3日で修復して太くなるため、その期間は体を休めるようにしましょう[2]。
筋力を効率良く上げるには、休息を挟みながら適切な頻度で行うと良いのですね。
4-2.有酸素運動も併せて行う
筋トレと併せて有酸素運動を行うと運動効果が高まります。
有酸素運動は無酸素運動に比べて負荷が軽いため、長い時間継続しやすい運動です。
有酸素運動では、エネルギー源として脂肪が利用されるためダイエット効果が期待できます。
筋力向上に有効な筋トレに加えて、有酸素運動を行うと脂肪燃焼効果も得ることができるのですね。
また有酸素運動では、酸素を全身に循環させ続けることで肺や心臓も同時に鍛えられるため体力や持久力をつけることができます。
次第に負荷の高い筋トレに耐えられるようになり、トレーニングの効果を高めていくことができるのです。
忙しくて運動時間を確保できない場合には、エレベーターではなく階段を使用するなどして日頃から活動量を増やすようにすると良いでしょう。
日常的に体を動かすようにし、それぞれの運動をバランス良く取り入れて健康的な体を目指してくださいね。
4-3.バランスの取れた食事を摂る
基礎代謝を高めるにはバランスの取れた食事を心掛けることも重要です。
筋肉をつくる材料ととなるたんぱく質に加えて、糖質や脂質の代謝に欠かせないビタミンB群を豊富に含む食品や、体を温めるはたらきをする食べ物を摂るようにしましょう。
たんぱく質の含有量の多い良質なたんぱく質食品には、卵類・肉類・豆類などが該当します。
たんぱく質の摂取量が不足すると筋力が落ちることが分かっているため、意識的に取り入れるようにしてくださいね。
また、糖質の代謝にはビタミンB1、脂質の代謝にはビタミンB2が欠かせません。
ビタミンB1が不足すると糖からエネルギーを十分につくることができず、体のだるさが生じることがあります。
ビタミンB2は、「三大栄養素」の代謝やエネルギーをつくることに関与しているため、多くのエネルギーを消費する場合には特に必要となる栄養素です。
ビタミンB1は豚肉、小麦、ごま、まいたけなどから、ビタミンB2はさけ、豚肉、あまのり、卵などから摂取することができますよ。
その他にも、体を温めるはたらきをする食べ物を摂ることも効果的です。
体温が上がると基礎代謝が活発になることが分かっています。
唐辛子やしょうがは血流を良くし、体を温める作用があるといわれています。
手軽に取り入れやすい食材として、ねぎ、玉ねぎ、にんにくなどからも同様の効果を得ることができますよ。
また、朝食をしっかりと食べたり、水分を摂ったりすることも大切です。
私たちの体は入眠すると活動量が減少するため、体温や基礎代謝も低下している状態となります。
そのため朝食を摂ると胃や腸が活発に動いて体温が上昇し、エネルギー代謝を促進することができます。
また体に十分な水分が保たれると、血流が良くなり基礎代謝を高めることができるため、日中はこまめに水分を取るようにしましょう。
バランスを考えた食事を心掛けて、効率良く基礎代謝を高めていきましょう。
4-4.起床時にストレッチをする
起床時にストレッチを行うと基礎代謝を高めることができます。
ストレッチとは意図的に筋や関節を伸ばす運動のことを指します。
起床時にストレッチを行うと自律神経が整えられ、基礎代謝を高めることができます。
通常、体の状態は交感神経と副交感神経が交互にはたらくことで調整されています。
しかしストレスなどによってこのリズムが崩れると血流が悪くなり、基礎代謝が低下するといわれています。
さらに、深呼吸をしながらストレッチを行うと体にたくさんの酸素が取り込まれ、より効果を高めることができますよ。
4-5.入浴時は湯船につかる
基礎代謝を高めるには、しっかり湯船につかることも効果的です。
湯船につかると体温が上昇し、血流が改善されるため基礎代謝が高まります。
副交感神経が優位になることによってリラックス効果を得ることもできますよ。
普段シャワーだけで済ませている方も、できるだけ湯船につかるようにしましょう。
ただし、熱過ぎるお湯は体に負担をかける恐れがあるため避ける必要があります。
ぬるめのお湯であっても、基礎代謝を高めることができます。
温度の目安としては、38度のぬるめのお湯で25〜30分、熱めのお湯なら5分程度が理想的です[3]。
適切な温度で入浴して体が温まると、寝付きも良くなるといわれていますよ。
入浴時はできるだけ湯船につかって、心身の健康を保ちましょう。
5.基礎代謝を上げる筋トレについてのまとめ
基礎代謝とは、私たちが生きるために消費される必要最低限のエネルギー量のことをいいます。
基礎代謝量は加齢に伴い筋肉量などが減少することで、低下してしまいます。
そのため、基礎代謝を高めるには筋肉量を増やすことが大切です。
自重を利用して自宅で行える筋トレには、プランクやヒップ・リフト、スクワットなどがあります。
まずは無理のないきつさや頻度から始めるようにし、慣れてきたら回数を増やしたり、ダンベルを使用したダンベル・スクワットを取り入れたりすると良いでしょう。
また適切な頻度で筋トレを行い、有酸素運動も併せて行うことによって効果的に基礎代謝を高めることができ、太りにくく痩せやすい体をつくることができます。
その他にも栄養バランスを考えた食事や毎朝のストレッチ、湯船につかることでも基礎代謝を上げることができますよ。
基礎代謝を高めるために、筋トレを習慣化し日常生活でできる工夫を取り入れていきましょう。