基礎代謝を上げるには?運動や食事など日常生活のポイントを解説

2023年06月29日

2024年10月30日

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「基礎代謝を上げるにはどうしたら良いんだろう?」

「基礎代謝ってよく聞くけど、実はどんなものか分かっていないかも……」

などと基礎代謝について知りたいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そもそも基礎代謝は私たちが生きるために消費される必要最低限のエネルギー量のことをいいます。

私たちの体では骨格筋や肝臓・脳といった臓器、脂肪組織などでエネルギーが消費されています。

そのなかでも骨格筋は最も消費エネルギー量が多いといわれており、基礎代謝を上げるためには筋肉量を増やすことが重要です。

基礎代謝を上げることによって、太りにくく痩せやすい、理想の体を目指すことができます

この記事では基礎代謝とは何か、上げるとどのようなメリットがあるかとともに、基礎代謝を上げる方法を詳しく説明していきます。

ダイエットや健康的な体作りのために基礎代謝を上げたい方は必見ですよ。

1.基礎代謝とはどういうもの?

「基礎代謝がどういうものなのかよく分からない」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この章では、基礎代謝についての基本的な知識や計算方法についても詳しく解説します。

【関連情報】 「基礎代謝量とは?年齢別の目安や計算方法、代謝を上げる方法を解説」についての記事はこちら

1-1.基礎代謝の定義について

基礎代謝は私たちが生きるために消費される必要最低限のエネルギー量のことです。

基礎代謝における消費エネルギー量は、早朝の空腹時に快適な室内などにおいて安静にしている状態で測定されます。

私たちの体内では安静な状態でも心臓や脳、内臓などがはたらいているため、多くのエネルギーが消費されています。

1日のエネルギー消費量のうち基礎代謝が約60%を占め、残りは身体活動量が約30%、食事誘発性熱産生が約10%であるとされています[1]。

メモ
身体活動量は家事や運動によって消費されるエネルギーのことを指し、食事誘発性熱産生は食事によって摂取した栄養素を消化・吸収する際に生じる熱のことをいいます。食事誘発性熱産生で消費されるエネルギーは摂取した栄養素によって異なります。

このように、基礎代謝量は身体活動量の約2倍のエネルギーを消費することが分かりますね[1]。

[1]厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」

1-2.基礎代謝に影響する要素

基礎代謝量は年齢や性別などさまざまな因子により変化し、加齢に伴い低下するといわれています。

基礎代謝量は体格による影響を大きく受けているため、年を重ねるごとに筋肉量などが減少すると、それに伴って基礎代謝量も低下してしまうのです。

また、生命維持にはたらいている各臓器のエネルギー消費量が低下することも原因と考えられています。

基礎代謝に影響を与える要素をまとめると以下のようなものがあります。

【基礎代謝に影響する要素】

  • 体表面積:体表面積が広いと体の表面から放出される熱量が多いため、基礎代謝が高くなる。
  • 年齢:年齢が若い人の方が成長のための代謝が活発なため、基礎代謝が高くなる。
  • 性別:男性の方が代謝の活発な筋肉などの組織の量が多いため、女性より基礎代謝が高くなる。
  • 体格:代謝が活発な筋肉量が多い筋肉質の人は、脂肪過多の人より基礎代謝が高くなる。
  • 体温:体温が高いと皮膚表面から放散される熱量が増えるため、基礎代謝が高くなる。
  • ホルモン:甲状腺ホルモンや副腎髄質ホルモンの分泌量の多い人は、 代謝が活発であり基礎代謝が高くなる。
  • 季節:基礎代謝は夏に低く冬に高くなる。
  • 月経:女性は月経周期によって基礎代謝量が変動する。

このように基礎代謝は年齢や性別、季節やホルモンバランスなどさまざまな影響を受けています。

年齢や性別が同じでも体格が異なったり、同一人物でも時期によって体の状態が異なったりすると、基礎代謝量が変化することが分かりますね[2]。

[2] 厚生労働省「食生活改善指導担当者テキスト ~ 栄養指導・健康教育編 ~」

1-3.基礎代謝の基準値と計算方法

基礎代謝量は年齢・性別ごとの参照体重をもとに算出されています。

参照体重とは
日本人として平均的な体重を持った者を想定した体重のことをいいます。参照体重は性別や年齢ごとに異なっており、健全な発育や健康の維持・増進、生活習慣病の予防を考える上で参照されます[3]。

年齢・性別ごとの基礎代謝量は以下のようになります。

【参照体重における1日あたりの基礎代謝量】

年齢 男性 女性
参照体重 基礎代謝量 参照体重 基礎代謝量
18歳〜29歳 64.5kg 1,530kcal 50.3kg 1,110kcal
30歳~49歳 68.1kg 1,530kcal 53.0kg 1,160kcal
50歳~64歳 68.0kg 1,480kcal 53.8kg 1,110kcal
65歳~74歳 65.0kg 1,400kcal 52.1kg 1,080kcal
75歳以上 59.6kg 1,280kcal 48.8kg 1,010kcal

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ただし個々の体格などによって違いがあるため、肥満の方や痩せている方の場合は基礎代謝に誤差が出る可能性があるため注意が必要です。

「自分の身長や体重での基礎代謝量を知りたい。」

と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

基礎代謝量は直接測定する以外にも性別や年齢、身長や体重を用いて算出する計算式があります。

なかでも国立健康・栄養研究所の「ガンプール(Ganpule)」の計算式は、健康な日本人に適した基礎代謝量が推定できるとされています。

男性の場合は[(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.4235)×1,000/4.186]、女性の場合には[(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1,000/4.186]で基礎代謝量を算出できます[4]。

ぜひ自分の身長や体重などを当てはめて計算してみてくださいね。

基礎代謝量の計算式にはさまざまありますが、いずれも推定値であるためあくまで目安として活用するようにしましょう。

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2.基礎代謝を上げるメリットとは

お腹にメジャーを当てた女性

基礎代謝を上げることによって太りにくく、痩せやすい体になることが期待できます。

これは、基礎代謝の向上により安静にしている状態でのエネルギー消費量が増え、1日の消費カロリーを高めることができるためです。

ダイエットを成功させたいと思っている方や、肥満を予防したいと感じている方は基礎代謝を上げることを意識すると良いでしょう。

また基礎代謝が上がると血行が良くなり、冷え性や肩こりの改善、肌の健康維持にも効果的だとされています。

血行が促進されると体の隅々まで血液が行き渡って手先や足先が温まったり、肩の筋肉にたまった乳酸などの老廃物が流れていったりするため肩こりが解消されると考えられます。

乳酸とは
筋肉を収縮させるエネルギーを得るためにブドウ糖などの糖質が代謝・分解されてできる生成物のことをいいます。乳酸は激しい運動をした後に蓄積するため、血液中に増えた乳酸の量は運動の強さの目安として用いられています[5]。

基礎代謝が上がると肌の新陳代謝(ターンオーバー)も活発になり潤いを保つことができると考えられています。

ターンオーバーとは
古くなった角層細胞(角質)が剥がれ落ち、新しい角層細胞へ生まれ変わるサイクルのことを指します。

私たちの肌は一定の周期でターンオーバーを繰り返しており、その過程では肌の潤いに欠かせない天然保湿因子も作られています。

そのためターンオーバーが促進されることによって、ハリのあるみずみずしい肌を手に入れることができる可能性があるのです。

基礎代謝を上げることは、健康的な体や美しい肌を目指す上で重要だといえますね。

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「乳酸」

3.基礎代謝を上げる方法について

「基礎代謝を上げるにはどんな方法があるのかな。」

と基礎代謝を上げる方法を知りたいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

基礎代謝量は骨格筋や肝臓、脳が多く、これらで全身の約6割を占めています[6]。

そのため基礎代謝を高める上では筋肉量を増やすことや内臓のはたらきを活発にする取り組みが重要です。

ここでは具体的な方法を紹介していきます。

基礎代謝を上げる方法

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」

3-1.適度な運動をして筋肉をつける

ランニングマシーン

基礎代謝を上げるためには適度な運動を取り入れ筋肉量を増やしましょう

筋肉をつけるのに効果的なのは筋トレです。

筋トレをすることによって骨格筋を増やすことができ、基礎代謝量が高まります

筋トレとして代表的なものには「レジスタンス運動」があります。

レジスタンス運動とは
筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動のことをいいます。器具を用いて行う方法と自分の体重を利用して行う方法があります。

レジスタンス運動はダンベルなどの器具を使って行うこともできますが、スクワットや腕立て伏せなど自重を用いる方法によって手軽に実施することもできますよ。

レジスタンス運動は10〜15回程度を1セットとし、1〜3セットを無理のない範囲で行うことが推奨されています[7]。

レジスタンス運動を行うと筋線維の一部が壊れ、修復される過程で太くなり筋力が上がります。

筋繊維を回復させる必要があるためレジスタンス運動は毎日行うのを避け、2〜3日に1回程度実施するようにしましょう[7]。

また体温が上昇すると基礎代謝量が高まることが分かっているため、有酸素運動も効果的な運動だといえます。

有酸素運動とは
筋肉を動かす際にエネルギー源として体内にある糖質や脂質と共に酸素が使われる運動のことをいい、筋肉への負荷が軽いのが特徴です。体脂肪の減少に効果があるとされています。

有酸素運動によって体温が上がると基礎代謝が高まります。

有酸素運動には水泳やジョギング、ウォーキング、サイクリングなどがあります。

有酸素運動はややきついと感じる程度で1回当たり30〜60分、週に2〜5回を目安に実施しましょう[8]。

「忙しくてまとまった運動時間が取れない」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その場合は日常生活のなかで意識的に体を動かすようにしましょう。

例えば買い物には徒歩や自転車で行ったり、普段エレベーターを利用している場面で階段を使ったりすることで活動量を増やすことができます。

まずは自分に合った運動を取り入れ、筋肉量を増やして基礎代謝を上げていきたいですね。

[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」

[8] 厚生労働省「成人を対象にした運動プログラム」

3-2.バランスの取れた食事を摂る

雑穀米とおかず

基礎代謝を上げるためにはバランスの取れた食事を心掛けましょう。

基礎代謝を上げる上で特に摂取したい栄養素はたんぱく質です。

たんぱく質の含有量が多い良質なたんぱく質食品には、卵類・肉類・豆類などがあります。

たんぱく質は筋肉を作る重要な栄養素であり、不足すると筋肉量が低下するといわれています。

基礎代謝量を上げるためには、意識的にたんぱく質を摂取するようにしましょう。

また、筋肉量を維持するには十分なエネルギーを摂取することも大切です。

私たちが食事によって取り込むたんぱく質、脂質、炭水化物などの栄養素は生命を維持するためのエネルギーとして利用されます。

エネルギーが不足すると筋肉量の減少や活動量の低下を招き、基礎代謝も低下してしまいます。

基礎代謝を高めるためには、たんぱく質だけでなく脂質や炭水化物も併せて摂取するようにしましょう。

また、ビタミンや食物繊維も同時に摂ることでより効果的に基礎代謝を高めることができます。

ビタミンB1は糖質の代謝に、ビタミンB2は脂質の代謝に欠かせない栄養素です。

ビタミンB1は豚肉やごま、舞茸、うなぎ、大豆などに含まれており、ビタミンB2は鮭や豚肉、卵などから摂ることができます。

基礎代謝をサポートするビタミンB群も積極的に摂取していきたいですね。

そして食物繊維は腸内環境を整える善玉菌を増やし、腸の動きを活発にするため基礎代謝を高める効果が期待できます。

食物繊維を含む食品にはさつまいも、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、納豆、ひじきなどが挙げられます。

食物繊維を効率よく摂取するには白米を玄米や麦ご飯に置き換えることもおすすめですよ。

さらに腸内環境を整えるには乳酸菌などを含む発酵食品も一緒に摂ると効果的です。

乳酸菌はヨーグルト・チーズ・漬物などから手軽に摂ることができるため、毎日の食卓に取り入れてみたくださいね。

3-3.起床時に水を飲む

コップに入った水

起床時に水を飲むことで基礎代謝を上げることができます。

人は寝ている間にも汗をかいており、体からは多くの水分が奪われています。

水分は全身に栄養素や酸素を届ける血液の主成分のため、体内の水分が減少すると血液がドロドロになり、血行が悪くなりやすいといわれています。

そのため起床時にしっかり水分を取ると血行が改善されて細胞や臓器のはたらきが活発になり、基礎代謝が上がります

また、水の代わりに白湯を飲むと胃腸が温まってはたらきが良くなり基礎代謝が上がりやすくなります。

毎朝起きたらコップ一杯の水分を取る習慣をつけてみてくださいね。

ある研究では、50歳以上75歳未満の日本人男女60名に普段の生活に加えてペットボトル入りの水550mlを朝夜1本ずつ飲むことを12週間続けてもらいました。

その結果、普段通りの生活を送ったグループと比べて、血圧低下、体温上昇または低下抑制、腎機能低下抑制、血中老廃物希釈などの効果が認められました[9]。

普段から意識して水を多めに摂るようにすると良いでしょう。

[9] Y. Nakamura et al. 「AEffect of Increased Daily Water Intake and Hydration on Health in Japanese Adults」Nutrients , 12(4), 1191(2020)

3-4.起床時にストレッチをする

基礎代謝を上げるには、起床時のストレッチも有効です。

ストレッチとは意図的に筋や関節を伸ばす運動のことを指します。

ストレッチを行うことによって体の柔軟性が高まる他、筋肉の温度である筋温や体温を高める効果があります。

体温の上昇に伴って基礎代謝量も高まるため、毎朝のストレッチで体を温めるようにしましょう。

また、ストレッチをすると副交感神経が優位となりリラクゼーション効果が得られることも分かっています。

副交感神経とは
体の機能を調整する自律神経の一つです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は体を活発に動かすときに優位になり、副交感神経は身体を休めるときに優位になります。

通常であれば交感神経と副交感神経が交互にはたらくことで体の状態が調整されていますが、ストレスなどによってこのリズムが崩れると血行が悪くなり、代謝が下がるといわれています。

毎朝のストレッチが、健やかな心と体を保つのに有効だといえますね。

基礎代謝を高めたい方は、朝目覚めたらストレッチする習慣を取り入れていきましょう。

3-5.毎晩入浴する

基礎代謝を高めるには、毎晩入浴することも効果的です。

入浴によって全身が温まると血液やリンパの流れが促進され、基礎代謝を上げることができます。

入浴する際はしっかり体を温めることを心掛けましょう。

ただし、高い温度のお湯に長い時間つかっていると体の負担が大きくなってしまうため注意が必要です。

入浴時は、38度のお湯で25〜30分程度、42度の熱めのお湯なら5分程度を目安にすると十分に体を温められるとされています[10]。

また、入浴によって多量の汗をかくため入浴前後にはしっかり水分を取るようにしてくださいね。

[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」

4.基礎代謝を上げる方法についてのまとめ

基礎代謝とは生きるために消費される必要最低限のエネルギー量のことです。

基礎代謝が上がれば全体の消費カロリー(エネルギー消費量)を増やすことができるため、太りにくく痩せやすい体になるといえます。

また血行が改善し冷え性や肩こりが緩和されたり、肌の健康維持につながったりするともいわれています。

基礎代謝を上げるためには適度な運動を行い、筋肉量を増やすことが重要です。

運動のなかでも筋肉増強に有効な筋トレ(レジスタンス運動)に積極的に取り組みましょう。

また有酸素運動により体温を上昇させることも基礎代謝の向上につながります。

運動する時間を確保することが難しいという方は、日常生活のなかで少しでも体を動かすことを意識しましょう。

またバランスの取れた食事を摂ることも重要だと考えられます。

特に筋肉の材料にもなるたんぱく質はしっかり摂取しておきたい栄養素です。

体のエネルギー源を供給するという観点から、脂質や炭水化物もきちんと摂取するよう心掛けましょう。

エネルギー産生栄養素の代謝に関わるビタミンや、腸のはたらきを活発にする食物繊維もしっかり摂取しておきたいところです。

さらに起床時に水を飲んだりストレッチしたりすること、毎晩入浴することも有効だといわれていますよ。

この記事を参考に基礎代謝の向上を目指してみましょう。

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