「体脂肪率ってどうすれば減らせるのかな?」
「体脂肪率はどのくらいが正常なの?」
このように疑問に感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。
体脂肪率は食事や運動などの生活習慣を改善することで減らすことができます。
しかし、体脂肪は体にとって重要な役割もあるため、単に減らすだけでなく適正範囲に保つことが重要です。
そこでこの記事では、体脂肪率とはどんなものなのかや、体脂肪率を減らす方法、体脂肪率を減らす上での注意点について解説します。
健康的な体脂肪率を保ちたいという方は、ぜひ参考にしてくださいね。
1.体脂肪率とは
「そもそも、体脂肪率って何だろう?」
改めて考えてみると体脂肪率がどのようなものかよくご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
体脂肪率とは、体に占める脂肪の割合をパーセンテージで表したものです。
体脂肪には、皮膚のすぐ下の「皮下組織」につく「皮下脂肪」と腸などの内臓周りにつく「内臓脂肪」があります。
脂肪が蓄積すると外見に変化が生じるほか、内臓脂肪が蓄積すると血圧などに影響を与え、「生活習慣病」の原因になることもあるため注意が必要です。
具体的には、成人男性では25%、成人女性では30%を超えると「体脂肪量増加」とされています[1]。
ご自身の体脂肪率を把握し、高過ぎる場合には生活習慣を見直してみましょう。
【関連情報】 「体脂肪率とは?健康への影響やBMIとの違い、減量のポイントを解説」についての記事はこちら
2.体脂肪率を減らす方法
「体脂肪率を減らすにはどうしたら良いの?」
というのが最も気になるところですよね。
ここでは体脂肪率を減らすための方法をご紹介します。
2-1.摂取カロリーを抑える
体脂肪率を減らすには、摂取カロリーを抑えることが重要です。
私たちの体は食事に含まれる炭水化物や脂質、たんぱく質からエネルギーを取り出して活動していますが、食べ物や飲み物から摂取したカロリーが多過ぎると、使い切れなかった分は体脂肪として体に蓄えられてしまいます。
反対に摂取カロリーが消費カロリーを下回ると体脂肪が体を動かす燃料として消費され、減っていくのです。
「1日にどれくらいのカロリーを摂れば良いんだろう?」
と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
1日に必要なカロリーは体格や運動量などによって異なります。
ご自身に適した摂取カロリーは標準体重であったとき1日に消費するカロリーを目安とすると良いでしょう。
日常生活でどれだけ体を動かすかを表す指標を「身体活動レベル」といい、これを消費カロリーの計算に用います。
【身体活動レベル】
身体活動レベル | 日常生活の内容 |
---|---|
低い(Ⅰ) | 生活の大部分を座って過ごし、あまり体を動かさない |
普通(Ⅱ) | 座って過ごす時間が多いが、職場内で立った状態での作業や移動をしたり、通勤や買い物などで歩いたり、家事や軽いスポーツを行ったりする |
高い(Ⅲ) | 移動したり立った状態での作業をしたりする仕事に就いている、あるいは余暇にスポーツなど活発な運動を行う習慣がある |
生活習慣病の栄養指導に用いられる体重1kg当たりの推定エネルギー必要量は以下のとおりです。
先に求めた標準体重と該当する体重1kg当たりのカロリーを掛け合わせた数字があなたの摂取カロリーの目安となります。
【体重1kg当たりの推定エネルギー必要量】
男性
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
---|---|---|---|
18歳〜29歳 | 35.5 | 41.5 | 47.4 |
30歳〜49歳 | 33.7 | 39.3 | 44.9 |
50歳〜64歳 | 32.7 | 38.2 | 43.6 |
65歳〜74歳 | 31.3 | 36.7 | 42.1 |
75歳以上 | 30.1 | 35.5 | - |
女性
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
---|---|---|---|
18歳〜29歳 | 33.2 | 38.7 | 44.2 |
30歳〜49歳 | 32.9 | 38.4 | 43.9 |
50歳〜64歳 | 31.1 | 36.2 | 41.4 |
65歳〜74歳 | 30.0 | 35.2 | 40.4 |
75歳以上 | 29.0 | 34.2 | - |
例えば身長160cmで身体活動レベルが「普通(Ⅱ)」に該当する20代の女性の場合、標準体重は1.6×1.6×22=56.32kg、推定必要カロリーは56.32×38.7=2,180kcal(小数点以下1位で四捨五入)です。
体のエネルギーになるのは炭水化物(糖質)・たんぱく質・脂質の3種類の栄養素で、これらはまとめて「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。
炭水化物(糖質)とたんぱく質には1g当たり約4kcal、脂質には約9kcalのカロリーがあります[3]。
摂取カロリーを減らすには特に炭水化物(糖質)と脂質の摂取量に注意するのが良いといえるでしょう。
お肉は脂身の多い部位を避け、煮たり蒸したりすることでも摂取カロリーは抑えられます。
またついおなかいっぱい食べてしまっているという方もいらっしゃるかもしれませんが、食べ過ぎはカロリー過多になってしまいがちなので、腹八分目を意識することも重要だと考えられますよ。
2-2.たんぱく質や食物繊維を摂取する
体脂肪率を減らしたい場合には、たんぱく質や食物繊維を摂取することも有効です。
たんぱく質は炭水化物や脂質と並ぶ「エネルギー産生栄養素」の一つですが、減量を目指したいときには摂取の欠かせない栄養素であるといえます。
これはたんぱく質が筋肉など体の組織の多くを構成したり、エネルギーを消費する上で欠かせない「酵素」やホルモンの材料になったりしているためです。
1日に消費されるカロリーのうち、約60%は基礎代謝が占めています[4]。
基礎代謝は筋肉量に影響を受け、筋肉が減ってしまうとその分基礎代謝も落ちてしまいます。
つまり筋肉の材料となるたんぱく質をきちんと摂取しておかないと、消費カロリーが減ってしまうと考えられるのですね。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日に摂取するたんぱく質量は18〜64歳男性で65g、65歳以上の男性で60g、18歳以上の女性では50gが推奨されています[5]。
たんぱく質は肉類や魚介類、牛乳、卵、大豆製品などに豊富に含まれるため、これらの食品を毎日の食事に取り入れるよう心掛けましょう。
たんぱく質が豊富に含まれる食品や摂取する上でのポイントについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてくださいね。 たんぱく質は1日どれくらい必要?効率良く摂取できるおすすめの食品
一方おなかの調子を整えることで知られる食物繊維には、余分な脂質や糖質、塩分(ナトリウム)を吸着して体の外に排出するはたらきがあります。
そのため肥満の予防や改善に効果が期待できるのです。
欧米における研究では、1日当たり24gの摂取で心筋梗塞や脳卒中、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの発症リスクが低下するという報告がなされています[6]。
しかし現代においては多くの日本人が食物繊維の不足した生活を送っているといわれており、健康や美容のためには食物繊維の摂取量を増やすことがすすめられます。
食物繊維は穀類や野菜類、豆類、きのこ類、海藻類などに多く含まれます。
これらの食品を食事に取り入れるだけでなく、主食の穀類を玄米や全粒小麦パンなどに置き換えると効率的に食物繊維を摂取することができますよ。
食物繊維の1日当たりの摂取量や食物繊維を効率的に摂取できる食品については以下の記事で解説しているので、毎日の献立に役立ててくださいね。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
2-3.アルコールを控える
体脂肪率を減らしたい場合にはアルコールを控えることも重要です。
これは飲酒時に必要以上のカロリーを摂取してしまう恐れがあるためです。
アルコール自体にも1g当たり7.1kcalのカロリーがあり[7]、一般的なお酒には糖質や脂質、たんぱく質といったカロリーのある栄養素が含まれます。
またおつまみとして揚げ物など高カロリーのものを摂取してしまうこともあるでしょう。
また大量のアルコールを飲むと「中性脂肪」がつくられやすくなることも分かっています。
アルコールの量を減らすのが難しいという場合には、まずはアルコールの適量を把握し、それ以上に飲んでいる場合には減らすよう意識してみましょう。
厚生労働省では、節度ある適度な飲酒として1日当たり平均純アルコールで20g程度としています[8]。
代表的なお酒の純アルコール20g相当は以下の量です。
飲酒量を控えるだけでなく、週に2日程度は「休肝日」を設けることも心掛けましょう[10]。
2-4.有酸素運動を行う
体脂肪率を減らす上では有酸素運動を行うことも有効です。
有酸素運動は比較的負荷の軽い運動で、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などが該当します。
これらの運動は筋肉を動かす際のエネルギーとして酸素と一緒に血糖や脂肪が使われ、体脂肪の減少に効果が期待できるのです。
またそれだけでなく、運動をすることで消費カロリーを増やすことにもつながります。
有酸素運動は、継続して20分以上[11]行うとエネルギー源が体脂肪に切り替えられるといわれています。
そのため、長い時間無理なく継続できる運動を選ぶと良いでしょう。
いきなり激しい運動をしなくても、近所を散歩したり通勤時に一駅前で電車を降りたりすると続けやすいでしょう。
2-5.筋力トレーニングを行う
有酸素運動だけでなく、筋力トレーニング(筋トレ)を行うことも有効です。
体脂肪を減らしたい場合には、筋肉量を増やす必要があるためです。
筋肉をつけると基礎代謝が高まり、エネルギーを消費しやすくなるため運動していなくても脂肪を燃焼させやすくなる効果が期待できます。
有酸素運動と併せて筋トレを行うことで体が引き締まり、痩せやすくなるといえるでしょう。
また有酸素運動と筋トレを並行して行う場合には、筋トレを先に行った方が良いといわれています。
これは筋トレを行うことで「成長ホルモン」の分泌が促されるためです。
成長ホルモンには中性脂肪を分解する作用があるといわれています。
筋トレを先に行い、中性脂肪が分解されやすい状態をつくることで、より効果的に脂肪を燃焼させる効果が期待できるのです。
また成長ホルモンには運動後にも長時間持続して脂肪を燃焼させる効果が期待できるため、筋トレ後に有酸素運動を行えばより持続的に体脂肪を燃焼させられると考えられるでしょう。
しかし、筋トレの前に有酸素運動を行うと成長ホルモンの分泌が抑えられてしまうとされています。
両方の運動を同じ日に行う場合には、脂肪を減らす効果を最大限に発揮させるために筋トレを先に行った方がより効果的といえるでしょう。
ただし、いきなり筋トレなどの運動強度の高い運動から始めるとけがの原因になることもあるため、最初はストレッチや軽めの有酸素運動をしてから筋トレを行うようにしてくださいね。
3.体脂肪率とBMIとの関係
「体脂肪率が高いとBMIも高くなるの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
肥満の判定には体脂肪率ではなく「BMI(Body Mass Index)」が採用されています。
体脂肪率を測定する方法にはいくつかありますが、正確に測定することは困難とされています。
また体脂肪率はあくまでも皮下脂肪と内臓脂肪を含むすべての体脂肪の量を反映しているため、数値が高い場合でも必ずしも生活習慣病などのリスクがあるとはいえないのです。
さらに、BMIが25未満であっても内臓脂肪が蓄積しているケースもあります[14]。
しかし体脂肪率が高い場合にも、それが内臓脂肪の蓄積によるものであった場合には生活習慣病発症のリスクがあると考えられます。
さまざまな病気を予防し健康を維持するためにはBMIだけでなく体脂肪率も把握しておく必要があるといえるでしょう。
[13] 厚生労働省e-ヘルスネット「BMI」
4.体脂肪率は適正範囲に保つことが重要
「体脂肪率って減らし過ぎても大丈夫なの?」
というのも気になるところですよね。
体脂肪には健康を維持するための役割があるため、減らし過ぎると健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。
皮下脂肪は外部の刺激から体を守ったり体温を維持したりする役割があり、内臓脂肪にもエネルギーを蓄えたり内臓を正常な位置に保ったりする役割があるのです。
また血液中の中性脂肪にもコレステロールの数値のバランスを取るなどの役割があります。
女性は男性と比べ体脂肪率が高い傾向にありますが、これは妊娠や出産といった体の機能を維持するためです。
特に女性の場合には体脂肪率を減らし過ぎてしまうことで生理が止まってしまったり骨粗しょう症のリスクを高めたりすることもあるので、注意が必要です。
体脂肪率は単に減らすだけではなく、適正範囲を保つことが重要だといえるでしょう。
5.体脂肪率を減らすためのポイントのまとめ
体脂肪率は体に占める脂肪の割合をパーセンテージで表したものです。
成人男性の場合は25%、成人女性の場合は30%を超えると「体脂肪量増加」とされます[15]。
体脂肪を減らすには、生活習慣の改善が必要です。
食事では摂取カロリーを適切に抑え、たんぱく質や食物繊維を積極的に摂取することを心掛けましょう。
またアルコールを控えることもポイントです。
さらに運動習慣を付けることも重要となります。
有酸素運動で体脂肪を燃焼させ、筋トレで筋肉量を増やしましょう。
この記事を参考に理想の体脂肪率を目指してくださいね。
[15] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」