豆乳の効果とは?含まれる栄養素のはたらきや摂取のポイントを解説

2024年08月12日

2024年11月11日

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「豆乳にはどんな栄養素が入っているんだろう?」

「豆乳は体に良さそうだけど本当かな……」

このように、豆乳に関心をお持ちの方もいらっしゃると思います。

豆乳には体をつくるための重要な栄養素であるたんぱく質をはじめ、さまざまなビタミンやミネラルが含まれています

さらに、更年期の不調を軽減するといわれる大豆イソフラボンなどの成分も含まれます。

この記事では、豆乳に含まれる栄養素の効果やはたらきについて詳しく解説します。

豆乳に含まれる代表的な成分についても紹介しますので、参考にしてくださいね。

1.豆乳とは

白いマグカップに入った飲み物と大豆

豆乳とは、水に浸した大豆をすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁を濾してできる液体です。

日本農林規格(JAS規格)において、豆乳は大きく「豆乳」「調製豆乳」「豆乳飲料」に分類されます。

この規格において、豆乳は大豆から熱水などを用いてたんぱく質などの成分を溶け出させ、繊維質を除去した乳状の飲料のうち、「大豆固形分」が8%以上のものと定義されます[1]。

大豆固形分とは
豆乳中の水分を飛ばした残りの部分のことで、豆乳に対しての割合(パーセント)で表されます。大豆固形分が多いほど含まれるたんぱく質などが多いといえます。

この豆乳は大豆を搾ったそのままで味付けをしていないことから「無調整豆乳」とも呼ばれます。

調製豆乳は無調整豆乳に大豆油などの植物油脂や砂糖、食塩などを加えた飲料で、大豆固形分が6%以上のものと定義されます[1]。

大豆本来の味わいを活かしながら、より飲みやすくするために油脂や調味料が加えられた飲料といえるでしょう。

豆乳飲料は調製豆乳に果汁やコーヒー、ココア、牛乳などの風味を足したものです[1] 。

豆乳飲料のうち果汁の風味を足した豆乳飲料は大豆固形分が2%以上、それ以外のコーヒーや紅茶などの風味を足した豆乳飲料は大豆固形分が4%以上含まれる必要があります[1]。

【豆乳の分類】
区分 定義
無調整豆乳
大豆固形分8%以上
調製豆乳
大豆固形分6%以上
豆乳飲料
果汁入り:大豆固形分2%以上
その他:大豆固形分4%以上

農林水産省「豆乳類の日本農林規格」をもとに執筆者作成

ダイエット中や健康を気遣う方など、豆乳のカロリーが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

豆乳のカロリーは以下のとおりです。

【豆乳100g当たりのカロリー】
区分 カロリー
無調整豆乳
43kcal
調製豆乳
61kcal
豆乳飲料
57kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

他の飲料と比較してみましょう。

【主な飲料100g当たりのカロリー】
区分 カロリー
トマトジュース
15kcal
サイダー
41kcal
オレンジジュース
46kcal
りんごジュース
47kcal
コーヒー牛乳
56kcal
牛乳
61kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

他の飲料との比較では、豆乳のカロリーが特に低いとはいえませんね。

ただし、豆乳には健康に役立つたくさんの栄養素が含まれています

豆乳に含まれる栄養素ついて詳しく見ていきましょう。

この記事では無調整豆乳の栄養素や成分についてご紹介します。

[1] 農林水産省「豆乳類の日本農林規格

2.豆乳に豊富な栄養素の効果・はたらき

シリアルにミルクをかけているところ

豆乳には細胞をつくる材料となるたんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています

ミネラルとは
ヒトの体を構成する元素のうち、主要なものである酸素・炭素・水素・窒素の四つを除いたものの総称です。このうちヒトにとって不可欠な16種類を「必須ミネラル」と呼びます[2]。代表的な必須ミネラルにはカルシウム、カリウム、マグネシウム、リンなどがあります[2]。
メモ
この章でご紹介する栄養素は食品表示基準にのっとり100kcal当たりの含有量が「豊富である」と表現できるものです[3]。豆乳100kcal当たりは232gに当たります[4]。

また成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)を紹介していますので参考にしてくださいね。

メモ
17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください[5]。

乳児・小児の食事摂取基準

妊娠中・授乳中の食事摂取基準

【無調整豆乳に豊富に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 含有量
たんぱく質
3.6g
ナイアシン当量
1.4mg
ビタミンB6
0.06mg
葉酸
28μg
パントテン酸
0.28mg
ビオチン
3.8μg
カリウム
190mg
マグネシウム
25mg
1.2mg
0.12mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

[2] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識

[3] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック

[4] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-1.たんぱく質

豆乳にはたんぱく質が豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのたんぱく質含有量は3.6gです[6]。

たんぱく質は体を構成する筋肉や臓器、皮膚、毛髪などをつくる主要な材料となります。

また体の機能を調節するホルモンや酵素などの材料ともなるため、生きるために欠かせない栄養素だといえるでしょう。

酵素とは
食べ物の消化や吸収など、生命を維持するためのさまざまな化学反応に欠かせないたんぱく質のことです。酵素のみではたらくものと、はたらくために補酵素を必要とするものがあります。

また、たんぱく質は脂質や糖質とともに体のエネルギー(カロリー)源となる「エネルギー産生栄養素」でもあります。

大豆に含まれるたんぱく質は「アミノ酸スコア」が100の極めて「良質なたんぱく質」であることが知られています[7] 。

アミノ酸スコアとは
たんぱく質がヒトの体に欠かせず体内で合成できない必須アミノ酸をどれだけ含むかの指標です。この値が高いほど良質なたんぱく質とされ、100が最高値です[7]。

たんぱく質が不足すると、成長障害や体力・免疫機能の低下の原因となります。

特に高齢者などでは、食事量が減少することでたんぱく質が不足しやすいため注意が必要です。

たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は男性の場合18~64歳で65g、65歳以上で60gです[8]。

女性の場合18歳以上で50gです[8]。

メモ
推奨量はほとんどの人の必要量を満たす量です。半数の人が必要量を満たす『推定平均必要量』を補助するために設定されています。

たんぱく質についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説

[6] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[7] 一般財団法人日本食品分析センター「食品たんぱく質の栄養価としての『アミノ酸スコア』

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-2.ナイアシン

豆乳にはナイアシンが豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのナイアシン含有量ナイアシン当量(NE)で1.4mgです[9]。

メモ
ナイアシンは食事から摂取する以外に、体内でトリプトファン(必須アミノ酸の一種)から合成することも可能です。そのため食事摂取基準ではトリプトファンから合成される分のナイアシンを合わせたナイアシン当量(NE)が用いられています。

ナイアシンは水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種です。

水溶性ビタミンとは
血液などの体液中に存在する、水に溶けやすく油に溶けにくいビタミンの総称です。ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCが該当します。

ナイアシンはエネルギーの元になるATP(アデノシン三リン酸)の産生や、脂肪の材料である脂肪酸、ステロイドホルモンの生合成に関わります。

ステロイドホルモンとは
女性ホルモンや男性ホルモンなどの性ホルモンや、副腎の外側部分の副腎皮質で産生される糖質コルチコイド、鉱質コルチコイドなどの総称です。体のさまざまな機能を維持するために重要なはたらきをします。

さらに、DNAの合成や修復、細胞分化にも関わっています。

ナイアシンが不足すると、皮膚炎や下痢、精神症状などを招くペラグラを引き起こすことがありますが、日本ではまれです。

ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で15mgNE、50~74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[10]。

女性は18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[10]。

[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-3.ビタミンB6

豆乳にはビタミンB6が豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのビタミンB6含有量は0.06mgです[11]。

ビタミンB6はビタミンB群の一種で、たんぱく質や脂質、炭水化物などの栄養素や神経伝達物質を代謝する際の補酵素としてはたらきます。

代謝とは
食べ物から摂取した栄養素をエネルギーや生命維持に必要な物質に変えるはたらきのことです。

ビタミンB6が欠乏すると、皮膚炎や舌炎の他、うつ状態や脳波の異常が現れたりけいれん発作が起こったりする場合があります

ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性で1.1mgです[12]。

ビタミンB6についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンB6を豊富に含む食べ物は?効果や食事摂取基準も解説

[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-4.葉酸

豆乳には葉酸が豊富に含まれています。

豆乳100g当たりの葉酸含有量は28μgです[13]。

葉酸はビタミンB群の一種で、細胞増殖のために必要とされるDNAの合成に関わっています。

また、赤血球の形成やたんぱく質の合成、アミノ酸の代謝、胎児の正常な発達など重要な役割を担っています。

不足すると細胞分裂が抑制されるため、造血機能に異常を来し貧血や神経障害を起こすことがあります。

また、妊娠初期で胎児の細胞増殖が活発な時期に葉酸が不足すると、胎児の神経管が正常に成長することができず、神経管閉鎖障害と呼ばれる先天異常の発症率が高まることが明らかになっています

メモ
神経管閉鎖障害の予防には、妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月の間に葉酸を十分摂取する必要があります。そのため厚生労働省はこの時期に通常の食事からの240μgに加え、栄養補助食品から1日当たり400μgの葉酸を摂取することを推奨しています[14]。

葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[14]。

葉酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説

[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[14] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-5.パントテン酸

豆乳にはパントテン酸が豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのパントテン酸含有量は0.28mgです[15]。

パントテン酸はビタミンB群の一種で、糖や脂肪の代謝に関わるビタミンです。

また脂質の代謝を促すコレステロールや免疫抗体の生成を助けるはたらきもあります。

さまざまな食品に含まれるため不足することはほとんどありません。

パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上で6mg、女性は18歳以上で5mgです[16]。

[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[16] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-6.ビオチン

豆乳にはビオチンが豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのビオチン含有量は3.8μgです[17]。

ビオチンはビタミンB群の一種で、たんぱく質や脂質、炭水化物からのエネルギー代謝に関わっています。

またアミノ酸や脂肪酸の合成、肝臓での「糖新生」といったはたらきにも関与します。

糖新生とは
乳酸やアミノ酸などからブドウ糖をつくり出す代謝の一種です。

また、ビオチンによりつくられる抗炎症物質にはアレルギーの症状を緩和する作用があることが認められています

さまざまな食品に含まれているため、通常の食事をしていて不足することはほぼありません。

ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に50μgです[18]。

ビオチンについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビオチンとは?はたらきや摂取の目安量、摂取源となる食品を解説

[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[18] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-7.カリウム

豆乳にはカリウムが豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのカリウム含有量は190mgです[19]。

カリウムはそのほとんどが体の細胞内に存在し、血液やリンパなどの細胞外液や骨にもわずかに含まれています。

カリウムはナトリウム(塩分)を体外に排出する作用を持ちます

ナトリウムとは
ミネラルの一つで、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されます。摂り過ぎるとむくみや口の渇きの原因となる他、高血圧や胃がん、食道がんを引き起こす可能性が高くなるといわれています。

またカリウムには細胞内液の浸透圧の保持や筋肉の収縮、体液の酸性・アルカリ性のバランス調整などのはたらきがあります。

浸透圧とは
濃度の異なる溶液が、半透膜(水など小さな分子のみを通す膜)を間にして存在する場合に生じる圧力のことです。水は濃度の低い溶液から高い溶液に移動し浸透圧を生じます。

カリウムが不足すると脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などの症状が現れます。

カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[20]。

メモ
目標量は生活習慣病の発症予防のため、日本人が当面の目標とすべき摂取量として設定された量です。

カリウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介

[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[20] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-8.マグネシウム

豆乳にはマグネシウムが豊富に含まれています。

豆乳100g当たりのマグネシウム含有量は25mgです[21]。

体内のマグネシウムの50~60%は骨に存在し、骨や歯をつくるはたらきをしています[22]。

マグネシウムはたんぱく質の生合成や代謝に関するほとんどの反応に不可欠です。

また補酵素として、神経伝達やホルモン分泌、筋収縮などに関わります。

マグネシウムは精製や加工がされていない多くの食品に含まれるため、健康な方が通常の食事をしている場合に不足することはほとんどありません。

マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[22]。

女性は18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[21]。

マグネシウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説

[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[22] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-9.鉄

豆乳には鉄が豊富に含まれています。

豆乳100g当たりの鉄含有量は1.2mgです[23]。

体内の鉄は大きく「機能鉄」と「貯蔵鉄」に分けられます。

鉄の多くは「機能鉄」で、赤血球中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれ、酸素の運搬や細胞呼吸などのはたらきに関与しています。

一方、貯蔵鉄は肝臓や脾臓(ひぞう)、骨髄に蓄えられています。

鉄は月経のある女性や妊婦、授乳婦、乳児などで不足しやすく、欠乏が進むと鉄欠乏性貧血をひき起こすことがあります

鉄欠乏性貧血では、頭痛や目まい、動悸(どうき)、息切れなどの症状が現れます。

このような症状は鉄欠乏がかなり進んだ状態にならないと現れないため、日頃から注意が必要です。

鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[24]。

女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64 歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[24]。  

鉄についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!

[23] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[24] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-10.銅

豆乳には銅が豊富に含まれています。

豆乳100g当たりの銅含有量は0.12mgです[25]。

銅は体内では筋肉や骨に多く存在する他、肝臓などに含まれます。

エネルギー生成や神経伝達物質の代謝、活性酸素の除去など重要な役割を果たしています。

活性酸素とは
呼吸で取り込まれた酸素が体内で活性化されたものです。体内の免疫機能や感染防御など重要なはたらきに関わる一方、過剰になると老化や免疫機能の低下、がんなどの要因となります。

健康な場合、銅が不足することはほとんどありません。

銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[26]。

女性は18歳以上で0.7mgです[26]。

[25] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[26] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3.豆乳に含まれる栄養素の効果・はたらき

白いポタージュスープ

豆乳には正常な血液凝固のために必要なビタミンKなどのビタミンや骨や歯をつくるカルシウムなどのミネラルが含まれています

この章では、豆乳に含まれる栄養素とその効果やはたらきについて見ていきましょう。

メモ
この章でご紹介する栄養素は食品表示基準にのっとり100kcal当たりの含有量が「含まれている」と表現できるものです[27]。豆乳100kcal当たりは232gに当たります[28]。
【無調整豆乳に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 含有量
食物繊維
0.9g
ビタミンK
4μg
ビタミンB1
0.03mg
カルシウム
15mg
亜鉛
0.3mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

[27] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック

[28] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

3-1.食物繊維

豆乳には食物繊維が含まれています。

豆乳100g当たりの食物繊維含有量は0.9gです[29]。

食物繊維は食べ物に含まれる成分のうち、ヒトの消化酵素で分解できない物質の総称です。

食物繊維は途中で消化されずに大腸まで到達します。

大腸へ達した食物繊維は便の体積を増やす他、ビフィズス菌や乳酸菌など善玉菌といわれる腸内細菌の餌となって腸内環境を改善してくれます

メモ
整腸作用などのヒトに有益なはたらきのある腸内細菌の総称が善玉菌です。腸内細菌を含む腸内のことを腸内環境といいます。

さらに、食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、血中のコレステロール値を下げたりする作用が認められています。

食生活の変化で穀類やいも類、豆類の摂取が減少したため、現代の日本人の食物繊維の摂取量は不足傾向にあります。

健康のために重要な栄養素であるため、積極的な摂取を心掛けたいですね。

食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[30]。

女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[30]。

食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介

[29] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[30] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-2.ビタミンK

豆乳にはビタミンKが含まれています。

豆乳100g当たりのビタミンK含有量は4μgです[31]。

ビタミンKは脂溶性のビタミンで、血液凝固因子がカルシウムと結合するための補酵素です。

ビタミンKのこのはたらきにより、血液凝固を正常に行うことができます

またビタミンKは骨をつくるときにも必要で、骨粗しょう症の治療薬としても用いられます。

一般的な食生活において、ビタミンKが不足することはほとんどないといわれています。

ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[32]。

ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介

[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[32] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-3.ビタミンB1

豆乳にはビタミンB1が含まれています。

豆乳100g当たりのビタミンB1含有量は0.03mgです[33]。

ビタミンB1は、糖質やアミノ酸の代謝を行う際の補酵素としてはたらきます。

摂取量が少ない場合に加え、糖質の多い食品やアルコールを多く摂取した場合などに不足することがあります。

ビタミンB1が不足すると全身の倦怠(けんたい)感や、手足の知覚障害、腱反射の喪失といった症状が現れます。

なお脳や神経は糖質を主要なエネルギー源とするため、ビタミンB1の不足で深刻な影響を受ける危険があります

ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[33]。

女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[34]。

ビタミンB1についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説

[33] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[34] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-4.カルシウム

豆乳にはカルシウムが含まれています。

豆乳100g当たりのカルシウム含有量は15mgです[35]。

カルシウムは体重の1~2%を占めるミネラルで、99%が骨と歯に、残りは細胞や血液、組織液などに存在しています[35]。

カルシウムは骨や歯をつくる主な材料です。

また、血液の凝固や筋肉の収縮、酵素反応、ホルモンや神経伝達物質の放出など重要な役割を持ちます。

食事からの摂取不足などでカルシウムが不足すると、骨量の減少や骨粗しょう症を引き起こすことがあります

さらに、肥満や高血圧、糖尿病、変形性関節症などさまざまな病気の原因になるといわれるため注意が必要です。

現代の日本人のカルシウム摂取量は不足気味であるため、積極的に摂取したい栄養素の一つです。

カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は男性の場合、18〜29歳で800mg、30〜74歳で750mg、75歳以上で700mgです[36]。

女性では18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgです[36]。

カルシウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説

[35] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[36] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-5.亜鉛

豆乳には亜鉛が含まれています。

豆乳100g当たりの亜鉛含有量は0.3mgです[37]。

亜鉛は体内では歯や骨、肝臓、腎臓、筋肉などに多く分布しているミネラルです。

多くの酵素の構成成分となり、細胞の成長や分化に関わる重要な役割を果たしています

また、ホルモンの分泌や合成、たんぱく質の合成、免疫反応などにも関わります。

食事からの摂取不足などにより亜鉛が不足すると、味覚障害や食欲不振、皮膚炎などが起こるとされています。

さらに貧血や下痢、免疫機能の低下、精神障害などの原因となる恐れがあります。

亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです[38]。

女性は18歳以上で8mgです[38]。

亜鉛についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

亜鉛に期待できる効果とは?摂取目安量やおすすめの食品を紹介!

[37] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[38] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4.豆乳に含まれる成分の効果・はたらき

白い器と大豆

豆乳には健康や美容に役立つといわれるさまざまな成分が含まれています

この章では、豆乳に含まれる代表的な成分をご紹介します。

4-1.大豆イソフラボン

豆乳には大豆イソフラボンが含まれています

大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ており、エストロゲンと似た作用があることが分かっています。

このため、大豆イソフラボンは更年期障害を軽減するといわれています。

更年期障害とは
女性の更年期に生じるエストロゲンの分泌量の急変に伴うホットフラッシュや目まい、落ち込みやイライラといった症状のうち、日常生活に支障を来すもののことです。

また2型糖尿病の改善、骨粗しょう症や乳がん、前立腺がんなどの予防に効果があるとの報告があります。

厚生労働省の食品安全委員会では、大豆イソフラボンが乳がんの発症や再発に影響する可能性があるとし、大豆を含む特定保健用食品や健康食品について摂取量の上限を定めています。

ただし、豆乳や納豆を含む大豆の加工食品はこの対象ではありません。

大豆イソフラボンを摂り入れるために、適量の豆乳を摂取する分には心配はないのですね。

4-2.オリゴ糖

豆乳にはオリゴ糖が含まれています

オリゴ糖は途中で消化・吸収されずに大腸へ届き、腸内にすむビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の餌となります。

その結果、腸内の善玉菌の割合が増えて腸内環境が良くなり、便秘解消効果にもつながります

便秘でスッキリしない方や便秘が続いて肌荒れが気になる方にとっても、豆乳でオリゴ糖が摂れるのはうれしいですね。

4-3.レシチン

豆乳にはレシチンが含まれています

レシチンには悪玉コレステロールを減らしたり血流を改善させたりするはたらきがあるため、生活習慣病の予防につながるといわれています

悪玉コレステロールとは
体内に存在する脂質の一つで、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運びます。悪玉コレステロールが一定量を超えると動脈の内側に沈着し、血管が狭くなり動脈硬化を引き起こします。

また脳細胞を活性化するはたらきがあり、老化防止にも効果的とされています。

4-4.サポニン

豆乳にはサポニンが含まれています

サポニンはマメ科の植物に多く含まれる成分で、肥満を予防する効果があるといわれています。

またサポニンには活性酸素のはたらきを抑える抗酸化作用があるため、肌を老化から守りしみやそばかすを予防する効果が期待できます

豆乳は美肌づくりにも役立ちそうですね。

5.豆乳の効果についてのまとめ

豆乳とは、水に浸した大豆をすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁を濾してできる液体で、製法や成分の濃度などにより無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料に分けられます

豆乳は低カロリーな飲料ではありませんが、健康に良い栄養素や成分が多く含まれています。

豆乳に豊富に含まれる栄養素には、細胞をつくる材料となるたんぱく質、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB群、塩分の排出を促すカリウム、酸素の運搬で重要な役割を果たす鉄などがあります

また、正常な血液凝固のために必要なビタミンKや骨や歯をつくるカルシウムなども含まれています

豆乳には他にも、健康や美容に役立つといわれるさまざまな成分が含まれています。

大豆イソフラボンはエストロゲンに似たはたらきを持ち、女性の更年期障害を緩和する効果があるといわれています。

またオリゴ糖は腸内の善玉菌の餌となることで腸内環境を整え、便秘を解消したり肌の調子を整えたりしてくれます。

レシチンは悪玉コレステロールを減らして血流を改善させることで生活習慣病を予防する他、脳細胞を活性化させて老化を防止してくれます。

サポニンには抗酸化作用があり、肌の老化を抑制してしみやそばかすの予防が期待できます。

日々の生活に豆乳を取り入れ、健康に役立ててくださいね。

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