亜鉛に期待できる効果とは?摂取目安量やおすすめの食品を紹介!

亜鉛に期待できる効果とは?摂取目安量やおすすめの食品を紹介!

2022年07月18日

2024年03月05日

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「亜鉛ってどんな効果があるの?」

「どんな食べ物に亜鉛が含まれているんだろう……」

亜鉛が私たちの体にとって必要な栄養素であることは知っていても、どのような効果があるのかまではよく分からないという方も多いかもしれませんね。

亜鉛は人間の健康維持に必須であるミネラルの一つで、味覚を正常に保ったり皮膚などの健康維持に関わったりする栄養素です。

そのため、亜鉛が不足してしまうと味覚障害や皮膚炎などの症状が起こることが知られています。

この記事では、亜鉛の効果や摂取目安量、含まれている食品などについて解説します。

1.亜鉛に期待できる効果

私たちの体にとって重要な役割を持つ栄養素の一つが「ミネラル」です。

亜鉛はミネラルの一つで、現時点で人間の体に必要なことが明らかにされている「必須ミネラル」に分類されています

多くの酵素の材料となる亜鉛は生体内のさまざまな代謝に関与し、細胞の成長や新しい細胞が作り出される組織などにおいて重要な役割を担っています。

ここでは、亜鉛が私たちにもたらす効果について詳しく見ていきましょう。

1-1.味覚を正常に保つ

味覚を正常に保つ

亜鉛に味覚を正常に保つ作用があることをご存じの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

舌の上皮細胞には亜鉛が豊富に存在しています。

特に多いのが味を感じる部分である舌表面の「味蕾(みらい)」と呼ばれる部分で、この中には味覚センサーのような役割を持つ「味細胞」があります。

味細胞はとても短いサイクルで生まれ変わっていて、この再生に必須とされている成分が亜鉛です。

亜鉛が十分に存在していなければ味細胞の生まれ変わりが追いつかず、味覚も不安定になってしまうと考えられます。

味覚の異常は亜鉛の不足だけが原因ではありませんが、正常な味覚を維持するためには亜鉛を十分に摂取することも重要であるといえるでしょう。

1-2.皮膚や粘膜の健康を保つ

亜鉛は皮膚などの構成成分であるたんぱく質の合成にも関わっています。

亜鉛は皮膚や毛髪に存在している成分でもあるため、亜鉛を十分に摂取することで皮膚の炎症やかゆみなどのトラブル、脱毛などの症状を回避できると考えられています。

また亜鉛は細胞の再生にも関わっているため、傷の治りを早めることにも役立つとされています。

一方、胃や腸など消化管粘膜の健康を保つ作用もあることから、亜鉛が不足すると食欲低下や下痢を引き起こすことが知られています。

1-3.体の成長・発育を助ける

体の成長・発育を助ける

亜鉛は子どもの成長にも深く関わっています。

成長ホルモンの分泌に関わる栄養素であるため、身長を伸ばすなど子どもの体を大きくすることに役立つと考えられています。

子どもの成長にとって重要な役割を担う栄養素の一つが亜鉛であるといえるでしょう。

1-4.貧血を改善する

赤血球の産生には亜鉛が必要不可欠です。

そのため、亜鉛を補うことで貧血が改善する場合があります。

鉄不足による「鉄欠乏性貧血」は主に赤血球中の色素「ヘモグロビン」の減少が原因で起こりますが、亜鉛不足による貧血は赤血球の増殖が妨げられ数が減少することで生じます。

貧血といえば鉄欠乏性貧血が良く知られていますが、鉄だけではなく亜鉛不足でも貧血が起こることが考えられるのですね。

1-5.抗酸化酵素の構成成分となる

亜鉛は「活性酸素」から体を守る酵素の合成に関わる物質の一つです。

活性酸素とは
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が変化したものです。体内で免疫機能などに関与していますが、過剰になると細胞を傷害し老化やがん、生活習慣病などを引き起こす原因となると考えられています。

私たちの体には活性酸素から体を防御するための機能が備わっており、この機能に関与しているのが「抗酸化酵素」です。

抗酸化酵素とは
活性酸素のはたらきを抑えたりそのものを除去したりする「抗酸化作用」を持つ酵素のことです。

抗酸化酵素の合成には亜鉛や銅、マンガンなどのミネラルが必要です。

老化や生活習慣病などの予防には、抗酸化酵素の合成に関与する亜鉛が重要な役割を果たしているといえるのではないでしょうか。

メモ
生体内で合成される抗酸化酵素のほか、食品から摂取できる「抗酸化物質」と呼ばれる成分にはビタミンA、C、Eやポリフェノール、カロテノイドなどがあります。

1-6.生殖機能を維持する

亜鉛は特に男性の生殖機能に影響を与えています

性腺(精巣)の発達や機能に関与しているため、亜鉛が不足すると男性ホルモンの合成や分泌が低下したり男性不妊の原因になったりすることがあります

また、前立腺に亜鉛が多く存在していることが分かっていますが、その機能については明らかにされていないようです。

1-7.免疫機能を維持する

私たちには体内に侵入した病原菌やウイルスなど(抗原)を攻撃したり排除したりするシステム、いわゆる免疫機能が備わっています。

この免疫機能のためにはたらくのが「免疫細胞」と呼ばれる細胞です。

免疫機能を担っている細胞には多くの種類がありますが、亜鉛は免疫細胞のうち「ヘルパーT細胞」の機能に関与しているとされています。

ヘルパーT細胞とは
病原菌やウイルス(抗原)の情報を得て、抗原を排除するための「抗体」を作る指令を出すはたらきを担う免疫細胞です。

ヘルパーT細胞は状況に応じて「Th1細胞」「Th2細胞」に変化しますが、このTh1細胞とTh2細胞は互いの機能を制御しあいバランスを保っています

しかし、亜鉛が不足するとこの2つの細胞のバランスが崩れ炎症やアレルギー性の疾患などが生じたり、免疫細胞の活性が低下し感染を起こしやすくなったりしてしまうと考えられています。

亜鉛を適切に摂取することで、免疫機能を正常に保ち細菌やウイルス感染から体を守ることにつながるのですね。

【関連情報】 「免疫力」についてもっと知りたい方はこちら

2.亜鉛を適切に摂取できないとどうなる?

人体にとって重要なはたらきを持つ亜鉛を適切に摂取できなかった場合、健康にどのような影響があるのか気になってしまいますよね。

ここでは、亜鉛が不足したり摂り過ぎてしまったりした場合には、体にどのような影響があるのかについて詳しくご説明します。

2-1.亜鉛が不足した場合

亜鉛が不足した場合

亜鉛が不足した場合、皮膚炎や味覚障害、食欲低下や下痢、貧血などの症状が現れることがあるほか、小児では成長障害や性腺発育障害の可能性があることが知られています。

亜鉛が不足する原因は、食事からの摂取不足や病気などによる吸収障害、妊娠などによる必要量の増大などさまざまです。

また、亜鉛の排泄増加によっても不足することがあり、その原因として内服薬や病気の影響などが挙げられます。

特に激しいスポーツを行うアスリートに多い亜鉛欠乏性貧血は、汗や尿への亜鉛の排泄が増加すること起こると考えられています。

2-2.亜鉛を過剰摂取した場合

通常の食生活においては、亜鉛の過剰摂取が起こることはあまりありません。

しかし、サプリメントなどの利用により長期にわたって亜鉛を過剰摂取すると銅の吸収が阻害され、老化防止などにはたらく抗酸化酵素の活性低下が起こる場合があります。

また、鉄の吸収も阻害されるため貧血や胃の不快感などが生じる恐れもあります。

【関連情報】 「抗酸化作用による疾病予防効果」についてもっと知りたい方はこちら

3.亜鉛の摂取推奨量と平均摂取量

「亜鉛にはいろいろな効果が期待できるようだけど、どのくらい摂ったらいいのかな?」

「自分は亜鉛を十分に摂れているのかな……」

期待できる効果が多い分不足した場合の健康への影響も多岐にわたるため、亜鉛を十分に摂れているかどうか不安に感じる方も多いかもしれませんね。

じつは亜鉛は不足しがちなミネラルであるといわれているのです。

ここでは、亜鉛の摂取目安量や実際の平均摂取量について、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」や「国民健康・栄養調査」の結果をもとにお伝えしていきます。

3-1.1日当たりの摂取推奨量

厚生労働省は1日当たりの亜鉛の食事摂取基準を以下のように定めています。

【亜鉛の1日当たりの食事摂取基準】

<男性> 推奨量 耐容上限量
18歳~29歳 11mg 40mg
30歳~49歳 11mg 45mg
50歳~64歳 11mg 45mg
65歳~74歳 11mg 40mg
75歳以上 10mg 40mg
<女性> 推奨量 耐容上限量
18歳~29歳 8mg 35mg
30歳~49歳 8mg 35mg
50歳~64歳 8mg 35mg
65歳~74歳 8mg 35mg
75歳以上 8mg 30mg
妊婦(負荷量) +2mg -
授乳婦(負荷量) +4mg -

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

通常の食生活で亜鉛の過剰摂取が生じる恐れはあまりありません。

しかし、サプリメントなどを利用することで過剰摂取となる可能性があるため、耐容上限量が設けられています。

メモ
耐容上限量はその量を超えて摂取すると過剰摂取による潜在的な健康障害のリスクが高まると考えられる量のことです。

また、妊娠中の方や授乳中の方は亜鉛の必要量が増すため、年代別の推奨量に負荷量を加えた量の摂取が推奨されています。

3-2.1日当たりの平均摂取量

亜鉛の1日当たりの平均摂取量を、厚生労働省「国民健康・栄養調査」で見ていきましょう。

【亜鉛の1日当たりの平均摂取量】

年齢 男性 女性
20歳~29歳 9.8mg 7.3mg
30歳~39歳 9.1mg 7.3mg
40歳~49歳 9.4mg 7.8mg
50歳~59歳 9.2mg 7.5mg
60歳~69歳 9.3mg 8.0mg
70歳~79歳 9.1mg 8.0mg
80歳以上 8.3mg 7.2mg

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

食事摂取基準と比較してみると、ほとんどの年代において亜鉛が不足していることが分かります。

亜鉛が不足しないようにするためには、日々意識して摂取する必要があるといえそうですね。

日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。

実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[1]。

亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。

[1]神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))

4.亜鉛を効率よく摂取できる食品を紹介

「亜鉛はどんな食べ物に多く含まれているの?」

一番気になるのは、何を食べたら亜鉛が摂れるのかということですよね。

亜鉛は肉類、魚介類、種実類、海藻類などに多く含まれています

ここでは、動物性食品と植物性食品に分けて亜鉛を効率よく摂取できる食べ物をご紹介していきます。

注意事項
食べ物のなかには、過剰摂取すると亜鉛の吸収を妨げるといわれているものがあります。乳製品などカルシウムを多く含むものやタンニンを含むコーヒー、食物繊維、オレンジジュース、アルコールなどが挙げられます。また「フィチン酸」と呼ばれる化合物を多く含む未生成の穀物、小麦、豆類なども吸収を妨げるといわれています。

4-1.動物性食品

動物性食品

動物性食品では肉類や魚介類に含まれています。

【亜鉛が含まれる食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
牡蠣(養殖) 14.5mg
ビーフジャーキー - 8.8mg
パルメザンチーズ - 7.3mg
豚レバー 6.9mg
牛肩ロース(赤肉) 6.4mg
ほや 5.3mg
牛リブロース(赤肉) 5.2mg
ラム肩肉(脂身つき) 5.0mg
牛ランプ(赤肉) 4.9mg
チェダーチーズ - 4.0mg
しらす干し 半乾燥品 3.0mg

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

特に牡蠣には亜鉛が豊富に含まれているのが分かりますね。

たんぱく質を多く含む肉類や魚介類は栄養バランスを整えるためにも必要な食材ですが、亜鉛の摂取にも役立つためしっかりと摂取しましょう

4-2.植物性食品

植物性食品

植物性の食品では、ナッツなどの種実類や豆類、海藻類に亜鉛が多く含まれています。

【亜鉛が含まれる食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
ごま いり 5.9mg
カシューナッツ フライ/味付け 5.4mg
きな粉 黄大豆/全粒大豆 4.1mg
アーモンド いり/無塩 3.7mg
焼きのり - 3.6mg

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

手軽に食べられる食材にも含まれているため、亜鉛の摂取量を増やしたいという方はぜひ意識して摂取してみてくださいね。

【関連情報】 「アーモンドの効果」についてもっと知りたい方はこちら

5.亜鉛の効果のまとめ

亜鉛は人体にとって必要不可欠なミネラルの一つで、適切に摂取することで味覚を正常に保つなど多くの効果が期待できます

しかし実際の亜鉛摂取量は、ほとんどの年代において食事摂取基準の定めた推奨量に満たないというのが現状です。

亜鉛が不足すると味覚障害や皮膚炎、貧血などさまざまな悪影響が生じる可能性があるため、亜鉛を多く含む食べ物をしっかりと摂取しましょう。

一方、通常の食生活を送っている分には過剰摂取の心配はあまりありませんが、サプリメントの利用などにより亜鉛の過剰摂取が長期にわたってしまうと体に悪影響を及ぼす可能性もあります。

健康維持のために亜鉛を適切に摂取できるよう、改めて食生活を見直してみるのも良いかもしれませんね。

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