ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介

ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介

2022年06月09日

2024年04月18日

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「ビタミンKってどんな効果のあるビタミンなのかな?」

「今の食生活でビタミンKは十分に摂取できているのかな?」

ビタミンKに関して、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

他のビタミンに比べて名前を聞く機会が少なく、あまり馴染みがないビタミンですよね。

ビタミンKは腸内細菌からも合成されるため不足する心配はあまりありません

しかし、内服薬との相互作用もあるため摂取には注意が必要なケースもあります。

この記事では、ビタミンKの効果や摂取目安量のほか、多く含まれている食品や過不足による影響などについて詳しく解説していきます。

1.ビタミンKにはどんな効果がある?

ビタミンKは「脂溶性ビタミン」の一種で、出血したときに血液を固めて止血したり、骨の健康を維持したりすることに関わっています

脂溶性ビタミンとは
水に溶けず油に溶けやすい性質を持ったビタミンのことです。脂溶性ビタミンにはビタミンKのほか、ビタミンA、D、Eがあります。

天然に存在するビタミンKには、ビタミンK1(フィロキノン)ビタミンK2(メナキノン)の2種類があります。

メモ
ビタミンK1は緑色の野菜や海藻類など食品に含まれ、ビタミンK2は腸内細菌によって合成されます。

ここでは、ビタミンKの効果について見ていきましょう。

効果1 血液凝固に関与する

血液凝固に関与する

ビタミンKは出血を止めるために必要な成分の生成に不可欠な栄養素です。

通常はけがなどで出血を起こしても、時間経過とともに血が止まりますよね。

これは、「血液凝固因子」と呼ばれるたんぱく質の作用によるものです。

出血が起きるとまず血液中に存在する血小板が傷口をふさぐ「一次止血」が起こります。

それに続きより強力な「二次止血」が行われますが、このときにはたらくのが血液凝固因子です。

二次止血は12種類の血液凝固因子が関与しており、それぞれの反応により最終的に「フィブリン」という網目状の膜が作られます

このフィブリンが血小板や周辺の細胞をからめて傷口をふさぎ、止血が完了します。

ビタミンKには、二次止血の過程ではたらく「プロトロンビン」という血液凝固因子の生成に関与する酵素のはたらきを補助する役割があるのです。

そのため、ビタミンKが不足するとプロトロンビンが少なくなり止血に時間がかってしまいます

出血したときに自然に血が止まることは当たり前のことのように思えますが、ビタミンKが不足すると止血に支障が出てしまう可能性があるのですね。

効果2 骨の健康を維持する

ビタミンKはビタミンDとともに骨の健康維持に関わるビタミンです。

ビタミンDは骨の形成に必要なカルシウムやリンの吸収を促しますが、ビタミンKは骨の形成を促すたんぱく質「オステオカルシン」を活性化させ、カルシウムを骨に取り込むはたらきがあります。

そのため、ビタミンK剤が「骨粗しょう症」の治療薬として処方されています。

骨粗しょう症とは
骨の代謝バランスが崩れ、骨がもろくなってしまう状態のことです。骨粗しょう症は、骨の形成に関わるカルシウムやビタミンDなどの不足や加齢、運動不足などが原因として考えられています。

骨粗しょう症を防ぐためには、カルシウム、ビタミンDと一緒にビタミンKも意識して摂取することが大切であるといえるのですね。

【関連情報】 「骨粗鬆症のリスク」についてもっと知りたい方はこちら

効果3 動脈の石灰化を抑制する

動脈の石灰化を抑制する

ビタミンKには、動脈(血管)の内側にカルシウムが沈着して硬くなってしまう「石灰化」を抑制する作用があります

メモ
動脈の血管が硬くなり弾力性を失ってしまった状態を「動脈硬化」といいます。動脈硬化にはいくつかのタイプがあり、石灰化はそのうちの一つです。動脈の「中膜」という部分にカルシウムがたまることから「中膜硬化」とも呼ばれています。

骨の組織に存在し、血管の石灰化を抑制するはたらきをする「MGP(マトリックスGlaたんぱく質)」というたんぱく質があります。

ビタミンKは、このMGPのはたらきを活性化させる効果があるといわれているのです。

疫学調査や臨床試験でも、ビタミンKを十分摂取することによって動脈硬化を予防する効果が期待できることが報告されています[1] [2] [3]。

血管の石灰化(動脈硬化)は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病により血管内の壁がダメージを受けたり、腎臓の病気があり体内のリンとカルシウムのバランスが崩れやすくなったりすることで起こります。

動脈硬化が進むと血管が詰まりやすくなるため、脳梗塞や心筋梗塞などを発症する恐れもあります

そのため、ビタミンKを十分に摂取して血管の石灰化を防ぐことは病気の予防にもつながるのですね。

[1] GCM Gast et al.「A high menaquinone intake reduces the incidence of coronary heart disease」(Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2009 Sep;19(7):504-10.)

[2] Johanna M. Geleijnse et al.「Dietary Intake of Menaquinone Is Associated with a Reduced Risk of Coronary Heart Disease: The Rotterdam Study」(J. Nutr. 134, 3100-3105, 2004)

[3] 鈴木啓章「ビタミン K の健康栄養機能に関する最近の知見」(オレオサイエンス 第14巻第12 号35-41, 2014)

2.ビタミンKの摂取目安量と平均摂取量

「ビタミンKの効果については分かったけど、どのくらい摂るのが適切なのかな?」

「自分は十分にビタミンKを摂れているのかな……」

このように感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。

ビタミンKは通常の食生活を送っていれば不足することはほとんどないといわれていますが、実際にはどうなのでしょうか。

ここでは、ビタミンKの摂取目安量や実際の平均摂取量について、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」や「国民健康・栄養調査」の結果をもとにお伝えしていきます。

注意事項
心臓弁膜症の手術を受けた方、心筋梗塞や脳梗塞などの既往歴がある方で「ワルファリンカリウム製剤(ワルファリン)」内服中の方は、ここで紹介する摂取目安量が当てはまらない場合もあります。ビタミンKの摂取については主治医指示に従うようにしましょう。

2-1.1日当たりの摂取目安量

厚生労働省では、1日当たりのビタミンKの食事摂取基準を以下のように定めています。

【ビタミンKの1日当たりの食事摂取基準】

年齢 男性 女性
18歳以上 150μg 150μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

通常、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすく大量に摂取すると健康に害を及ぼす可能性があるため、「耐容上限量」が設けられています。

耐容上限量とは
その量を超えて摂取すると過剰摂取による潜在的な健康障害のリスクが高まると考えられる量のことです。

しかし、脂溶性ビタミンの一つであるビタミンKは食品から摂取する分には大量に摂取しても毒性が認められないことなどから耐容上限量は設けられていません

メモ
脂溶性ビタミンに限らず、水溶性ビタミンやミネラルにも必要に応じて耐容上限量が設定されています。

2-2.1日当たりの平均摂取量

1日当たりの平均摂取量

ビタミンKの1日当たりの平均摂取量は、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」で知ることができます。

【ビタミンKの1日当たりの平均摂取量】

年齢 男性 女性
20〜29歳 198μg 207μg
30〜39歳 228μg 220μg
40〜49歳 234μg 219μg
50〜59歳 245μg 239μg
60〜69歳 274μg 270μg
70〜79歳 302μg 268μg
80歳以上 255μg 227μg

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

食事摂取基準と比較してみると、男女どの年代においても目安量以上のビタミンKが摂取できています

実際の摂取量を見ても、ビタミンKの不足をあまり気にすることはなさそうですね。

【関連情報】 「骨に関連するビタミン」についてもっと知りたい方はこちら

3.ビタミンKを効率的に摂取できる食品

「ビタミンKってどんな食べ物に多く含まれているの?」

一番気になるのは、どんな食品でビタミンKが摂れるのかということですよね。

ビタミンKは野菜類、海藻類、豆類などに多く含まれています

脂溶性ビタミンには油に溶けやすく熱に強い性質があるため、炒め物など油を使う調理方法がおすすめです。

ここでは、ビタミンKを効率的に摂取できる食品を食品群別にご紹介していきます。

3-1.野菜類

野菜類

ほうれん草や小松菜などの鮮やかな緑色を持つ野菜を「青菜」と呼ぶこともありますが、ビタミンKはこの青菜類などに多く含まれています

これは、ビタミンKが植物の「葉緑素」に含まれているためです。

葉緑素とは
植物に含まれる緑色の色素のことで、クロロフィルとも呼ばれています。光合成を行い、エネルギーを作り出すはたらきを持っています。

ビタミンKは脂溶性のため、油と一緒に摂取することで吸収率を高めることができます。

ゆでて食べることも多い緑の野菜ですが、油炒めなどにして食べるとより効率的にビタミンKを摂取できるでしょう。

【ビタミンKを多く含む野菜類と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
しそ(葉) 690μg
モロヘイヤ 640μg
ほうれん草 270μg
春菊 250μg
ブロッコリー 210μg
小松菜 210μg
にら 180μg
リーフレタス 160μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

3-2.海藻類

ビタミンKは、海藻類にも多く含まれています

わかめやのりなどは手軽に食べられる食材なので、日常的に取り入れる意識を持っておくとビタミンKを摂取できます。

乾燥わかめなど水分が抜けた状態の食品はとても軽いため、100g当たりのビタミンKの含有量は非常に多くなります。

このような食品では1食当たりの使用量が非常に少ないため、実際のビタミンK摂取量は100g当たりの数値と比較すると大幅に少なくなります。

しかし、ビタミンKを補うのには適した食品であるといえるため、積極的に摂取すると良いでしょう。

【ビタミンKを多く含む海藻類と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
カットわかめ 乾燥 1,600μg
味付けのり - 650μg
干しひじき 乾燥 580μg
焼きのり - 390μg
塩昆布 - 74μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

3-3.豆類

豆類

ビタミンKは豆そのものというよりは大豆製品、特に納豆に多く含まれています

納豆に含まれている納豆菌には腸内でビタミンKを作り出すはたらきがあります。

そのため、納豆は含有されている量以上のビタミンKを補える食品であるといえるのです。

【ビタミンKを多く含む豆類と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
ひきわり納豆 - 930μg
納豆 - 870μg
油揚げ 67μg
高野豆腐(凍り豆腐) 乾燥 60μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

4.ビタミンKを適切に摂取できないとどうなる?

ビタミンKは、私たちが普段から食べている身近な食材から摂取できるビタミンです。

しかし、ビタミンKが適切に摂取できずに不足してしまったり過剰に摂取してしまったりした場合には、体にどのような影響があるのか気になりますよね。

ここでは、ビタミンKの不足や過剰によって生じる症状について解説していきます。

4-1.ビタミンKが不足した場合

ビタミンKが不足した場合

ビタミンKは体内で腸内細菌によっても合成されているため、不足することはまれであるといわれています。

しかし、抗生物質を長期に服用している方や肝臓の病気がある方などは欠乏しやすいため注意が必要です。

ビタミンKが欠乏すると出血しやすい状態となり、内出血や鼻血、月経過多などの症状が出る場合があります。

4-2.ビタミンKを過剰摂取した場合

食品に含まれるビタミンK1および腸内細菌から合成されるビタミンK2は、過剰に摂取しても毒性がないことが報告されています。

そのため、ビタミンKを多く含む食品をたくさん摂っても過剰摂取から生じる悪影響への心配はないといえるでしょう。

メモ
ビタミンKの合成化合物であるビタミンK3(メナジオン)は大量に摂取すると毒性が認められる場合があります。しかし、日本ではビタミンK3は食品や医薬品としての使用は認められていないため、私たちが摂取することはありません。

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5.ビタミンKは薬との相互作用にも注意

ビタミンKは薬との相互作用にも注意

ビタミンKは「ワルファリンカリウム製剤(ワルファリン)」の効果を弱めてしまうことが知られています。

ワルファリンは血液を固まりにくくして血管の中で血の塊ができるのを防ぐ薬です。

メモ
ワルファリンは心臓弁膜症の手術後の方や心房細動、心筋梗塞、肺塞栓症、脳塞栓症などの治療や予防のために処方されます。

一方、ビタミンKは血液凝固に関わるビタミンです。

つまり、血液を固めるためにはたらくビタミンKと血液を凝固しにくくする作用を持つワルファリンは、真逆の作用を示すということになります。

そのため、ワルファリンを内服している方はビタミンKを多く含む食品の摂取には注意しなければいけません。

なかでも納豆はビタミンKの含有量が多い上に腸内でビタミンKを作り出す納豆菌を含むため、ワルファリン内服中の方は少量であっても食べないようにする必要があります。

また、緑色野菜を主原料とする青汁や葉緑素が豊富な「クロレラ」を含む健康食品なども、ビタミンKが多く含まれているため摂らないようにすべき食品です。

クロレラとは
湖や沼、河川などに生息している、肉眼では見えないほど小さな緑色の藻です。緑色の植物の原点であるともいわれており、健康食品などとして利用されています。

しかし、ビタミンKを多く含んでいるからといってほうれん草やブロッコリーなどの野菜そのものを全く食べないことは、栄養不足を引き起こす可能性があります。

そのため、緑色野菜については一度に大量摂取しないように注意し、食べて良い量については主治医に相談するようにしましょう。

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6.ビタミンKについて まとめ

ビタミンKは血液凝固や骨の健康に関わる栄養素です。

腸内細菌によって体内でも合成できるため不足することはまれで、実際の平均摂取量も食事摂取基準を満たしています。

ビタミンKは過剰摂取に対する安全性も確認されていますが、ワルファリンカリウム製剤を内服中の方は摂取に注意しましょう。

ビタミンKは野菜類や海藻類、納豆など普段良く食べている食材から摂取できるので、これを機にビタミンKを意識して摂取してみてくださいね。

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