カロリーとは?体重との関係や摂取カロリーの目安、栄養について解説
「カロリーって何のことなんだろう……」
「カロリーを摂り過ぎると体重が増えてしまうのかな?」
カロリーという言葉を知っていても、何を指すのか、体重とどう関係するのか詳しく知らないという方もいらっしゃいますよね。
カロリーはヒトが食事などから摂取したり、生命維持や運動などに消費したりするエネルギーの単位です。
この記事ではカロリーと体重の関係や、摂取カロリーと消費カロリーの計算方法を解説します。
またエネルギー源となる栄養素や主な食品のカロリーについても詳しくご紹介するので参考にしてくださいね。
1.カロリー(エネルギー)とは
「カロリーとエネルギーって何が違うのかな?」
「カロリーと体重ってどんな関係にあるんだろう……」
カロリーという言葉を日常的に見聞きしたり使ったりしていても、正確に何を表しているか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
カロリーはヒトのエネルギーに関する単位で、体重の増減とも密接に関係しています。
この章ではカロリーとエネルギーの関係や、カロリーが体重に与える影響について詳しく解説します。
カロリーについて理解すると、体重の変化についてもよりよく知ることができますよ。
1-1.カロリーとエネルギーの関係
カロリーはヒトが食事などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの単位です。
摂取したエネルギーの量を「エネルギー摂取量」といい、一般的には「摂取カロリー」と呼ばれています。
一方、ヒトの体が消費するエネルギーの量は「エネルギー消費量」で、一般には「消費カロリー」と呼ばれます。
ヒトが食べ物から摂取するエネルギーの多くは、最終的に熱として体から放出されます。
このためエネルギーの摂取量や消費量は熱量として示されます。
カロリーは熱量を表す単位の一種です。
1calは1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量として定義されています[1]。
ただし1calは非常に小さいため、通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が用いられています。
なお、ヒトのエネルギー源になる栄養素には炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類があり、まとめて「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。
カロリーはヒトの生命維持や身体活動に関わるエネルギーの基本単位なのですね。
[1] 独立行政法人国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター「循環・廃棄物のけんきゅう」
1-2.カロリーと体重の関係
カロリーと体重には密接な関係があります。
摂取カロリーと消費カロリーが同程度であれば体重は変わりませんが、このバランスがどちらかに偏ると体重が増減します。
摂取カロリーが消費カロリーよりも多い場合は体重が増加して肥満につながります。
逆に消費カロリーが摂取カロリーよりも多い場合は体重が減少して痩せにつながります。
つまり、食事から摂取するカロリーを制限して消費カロリーよりも少なくすれば減量が目指せるといえるのです。
摂取カロリーと消費カロリーを適切に調節することで、体重のコントロールが可能となるのですね。
2.摂取カロリーの目安と計算方法
「カロリーはどれくらい摂取すれば良いものなのかな?」
「減量するには摂取カロリーをどれくらい抑えれば良いか知りたい……」
毎日食事からどれくらいカロリーを摂取すれば良いのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
1日に必要なカロリーは体格や日々どれくらい体を動かしているかなどによって変わります。
また現在の体重を維持したいのか、目標とする体重があるのかによっても変化します。
このため、推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を知るにはまずご自身がどれくらい「身体活動」をしているのかを把握することが重要です。
身体活動の強さは以下のとおり3段階の「身体活動レベル」で表されます。
ご自身の身体活動レベルがどれに当てはまるかチェックしてみましょう。
| 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
|---|---|
| 低い | 生活の大部分を座って過ごし、日常的にあまり動かない場合 |
| 普通 | 座って過ごすことが多いが仕事でも立ったり歩いたりすることがある場合、通勤や買い物、家事や軽いスポーツをする場合 |
| 高い | 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、スポーツなどで活発に体を動かす習慣のある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ここからは身体活動レベルをもとに1日の推定必要カロリーの計算方法を詳しく解説するので、参考にしてくださいね。
2-1.標準的な体格の場合
厚生労働省によると、標準的な体格の方の推定必要カロリーは以下のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 0〜5カ月 | ||||||
| 6〜8カ月 | ||||||
| 9〜11カ月 | ||||||
| 1〜2歳 | ||||||
| 3〜5歳 | ||||||
| 6〜7歳 | ||||||
| 8〜9歳 | ||||||
| 10〜11歳 | ||||||
| 12〜14歳 | ||||||
| 15〜17歳 | ||||||
| 18〜29歳 | ||||||
| 30〜49歳 | ||||||
| 50~64歳 | ||||||
| 65~74歳 | ||||||
| 75歳以上 | ||||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
また、妊娠中や授乳中の方は身体活動レベルに関わらず年代別の推定必要カロリーに以下のカロリーを追加する必要があります。
| 時期 | 付加量 | |
|---|---|---|
| 妊娠 | 初期 | |
| 中期 | ||
| 後期 | ||
| 授乳婦 | ||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
なお、年代別の推定必要カロリーは日本人の平均的な体重(参照体重)をもとに算出されています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 0〜5カ月 | ||
| 6〜8カ月 | ||
| 9〜11カ月 | ||
| 1~2歳 | ||
| 3~5歳 | ||
| 6~7歳 | ||
| 8~9歳 | ||
| 10~11歳 | ||
| 12~14歳 | ||
| 15~17歳 | ||
| 18〜29歳 | ||
| 30〜49歳 | ||
| 50〜64歳 | ||
| 65〜74歳 | ||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
参照体重に近い体重の方は、前掲の推定必要カロリーを摂取カロリーの目安として良いでしょう。
ただし、参照体重より体重が軽い場合、前掲の推定必要カロリーを摂取していると体重が増加すると考えられます。
また参照体重よりも体重が重い場合では減量が起こり得ます。
ご自身の体格に合った摂取カロリーの目安が知りたいという方は、次の項をご覧ください。
2-2.体格に合ったカロリーを摂取したい場合
「自分の体格に合った摂取カロリーを知りたい……」
体格が標準から外れているという方や、ご自身に適した摂取カロリーを正確に把握したいという方もいらっしゃいますよね。
体格に合った推定必要カロリーを知りたい場合は、体重1kg当たりの推定必要カロリーを用いて計算してみましょう。
現在の体重に、以下の表から該当する性別・年齢・身体活動レベルに当てはまる体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせることで求められますよ。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 1〜2歳 | ||||||
| 3〜5歳 | ||||||
| 6〜7歳 | ||||||
| 8〜9歳 | ||||||
| 10〜11歳 | ||||||
| 12〜14歳 | ||||||
| 15〜17歳 | ||||||
| 18~29歳 | ||||||
| 30~49歳 | ||||||
| 50~64歳 | ||||||
| 65~74歳 | ||||||
| 75歳以上 | ||||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
算出された値が、現在の体重を維持するのに必要な1日の推定必要カロリーです。
例えば身体活動レベルが普通(Ⅱ)に当たる30代女性で体重が45kgの場合、1日の推定必要カロリーは38.4(kcal)×45(kg)=1,728kcalとなります。
これを1日に摂取するカロリーの目安と考えると良いでしょう。
ただし、理論的には推定必要カロリーは参照体重よりも体重が少ない人ではこの計算結果よりも多く、参照体重よりも体重が多い人ではこの計算結果よりも少なくなる点に注意が必要です。
2-3.目標体重を目指したい場合
「もう少し痩せたいんだけど、摂取カロリーはどれくらいに抑えたら良いんだろう?」
「健康に良い体重ってどれくらいなのかな……」
現在の体重とご自身が理想と考える体重に差があるという方もいらっしゃいますよね。
理論上ご自身の目標とする体重のときに消費するカロリーを摂取すれば、体重は目標体重に近づきます 。
まずは目標体重を設定しましょう。
目標体重の設定に当たっては、BMIを参考にしてみましょう 。
肥満が糖尿病や高血圧など、さまざまな生活習慣病の原因になることはよく知られていますよね。
一方で体重が低過ぎる状態では、疲れやすい、だるいといった症状が現れたり、体力や免疫機能が低下して風邪をひきやすくなったりするといわれています。
また痩せた状態で年齢を重ねると筋肉量の低下や骨粗しょう症のリスクも大きくなると考えられています。
適切な体重をキープすることが重要なのですね。
厚生労働省は18歳以上に対し、目標とするBMIの範囲を定めています。
| 年齢 | BMI |
|---|---|
| 18〜49歳 | |
| 50〜64歳 | |
| 65〜74歳 | |
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
減量する場合は、このBMIを参考に目標体重を決めると良いでしょう。
目標体重が決まったら、体重1kg当たりの推定必要カロリーと掛け合わせましょう。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
| 18~29歳 | 35.6 | 41.5 | 47.4 | 33.2 | 38.7 | 44.2 |
| 30~49歳 | 33.8 | 39.4 | 45.0 | 32.9 | 38.3 | 43.8 |
| 50~64歳 | 32.7 | 38.2 | 43.6 | 31.1 | 36.2 | 41.4 |
| 65~74歳 | 32.4 | 36.7 | 41.0 | 31.1 | 35.2 | 39.3 |
| 75歳以上 | 30.1 | 36.6 | - | 29.0 | 35.2 | - |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
例えば目標体重が60kgで、身体活動レベルが普通に当たる30代男性の場合、摂取カロリーの目安は39.4×60で2,364kcalとなります。
特に肥満の方は健康を損ねるリスクもあるため、適切なBMIを目安に減量に取り組みましょう。
また必要カロリーを正確に推定することは難しく、実際の必要カロリーには大きな個人差があると考えられています。
減量を目指す場合は実際の体重変動を参考に、摂取カロリーの調節を行うと良いでしょう。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
3.消費カロリーの計算方法
「毎日の消費カロリーを計算するにはどうすれば良いのかな?」
「日常生活や運動での消費カロリーがどのくらいなのか知りたい……」
ご自身の推定必要カロリーを把握したら、次は日々の消費カロリーも気になるのではないでしょうか。
消費カロリーは基礎代謝、食事誘発性熱産生(DIT)、身体活動の3種類に分けられます。
基礎代謝とは安静な状態で呼吸や心拍、体温維持など生命を保つために消費される必要最小限のエネルギーのことです。
また食事誘発性熱産生とは、食後に栄養素を分解する過程で生じるエネルギー消費のことです。
身体活動とは文字どおり体を動かすことを意味し、日常生活の動作と意図的な運動に大きく分けられます。
一般的には、総エネルギー消費量に対して基礎代謝が約60%、食事誘発性熱産生が約10%、身体活動が約30%を占めているといわれています[4]。
この章では基礎代謝と身体活動による消費カロリーの計算方法をご紹介します。
ただし消費カロリーは個人差が大きいといわれているので、あくまでおおまかな目安として参考にしてくださいね。
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
3-1.基礎代謝量の計算方法
参照体重における基礎代謝量は以下の表のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||
|---|---|---|---|---|
| 年齢 | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal) |
| 1〜2歳 | ||||
| 3〜5歳 | ||||
| 6〜7歳 | ||||
| 8〜9歳 | ||||
| 10〜11歳 | ||||
| 12〜14歳 | ||||
| 15〜17歳 | ||||
| 18〜29歳 | ||||
| 30〜49歳 | ||||
| 50〜64歳 | ||||
| 65〜74歳 | ||||
| 75歳以上 | ||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
体重が参照体重に近い方は、そのままご自身の年代の基礎代謝量を参考にしてみてください。
また該当する年代の基礎代謝基準値とご自身の体重を掛け合わせても、大まかな基礎代謝量を求められます。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 1〜2歳 | ||
| 3〜5歳 | ||
| 6〜7歳 | ||
| 8〜9歳 | ||
| 10〜11歳 | ||
| 12〜14歳 | ||
| 15〜17歳 | ||
| 18〜29歳 | ||
| 30〜49歳 | ||
| 50〜64歳 | ||
| 65〜74歳 | ||
| 75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ただし、体重が参照体重から大きくかけ離れた人においては誤差が大きくなると考えられる点に注意が必要です。
より詳細に基礎代謝量を知りたいという方は、以下の式から求められます。
【基礎代謝量の推定式】
- 男性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.4235)×1,000÷4.186
- 女性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1,000÷4.186
基礎代謝の推定式はいくつかありますが、前掲のものは国立健康・栄養研究所によるもので、18〜79歳において妥当性が確認されています[5]。
[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
3-2.身体活動による消費カロリーの計算方法
身体活動による消費カロリーは、身体活動の強度と継続時間、ご自身の体重から求められます。
身体活動にはそれぞれ「メッツ」という強度が設定されており、身体活動量にはこれに継続時間(時)を掛け合わせた「メッツ・時」が用いられます。
まずは計測したい運動や生活活動のメッツを調べましょう。
身近な運動のメッツは以下の表のとおりです。
| 運動 | メッツ |
|---|---|
| ストレッチ | |
| ボウリング | |
| やや速いウォーキング(5.6km/時) | |
| ゴルフ | |
| バドミントン | |
| かなり速いウォーキング(7.2km/時) | |
| ジョギング | |
| スキー | |
| エアロビクスダンス | |
| サイクリング(20km/時) | |
| 水泳(クロール、45.7m/分) | |
| ランニング(8.0km/時) | |
| ランニング(9.7km/時) |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
また主な生活活動のメッツは以下の表のとおりです。
| 生活活動 | メッツ |
|---|---|
| 座って静かにテレビを見る | |
| 子ども(幼児)の世話 | |
| 掃除機をかける | |
| 調理、皿洗いなどの台所での活動 | |
| 草むしり | |
| 掃き掃除をする | |
| ガーデニング | |
| 家畜の餌やり、肥料散布などの農作業 | |
| 部屋の片付け | |
| シャベルでの雪かき |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
身体活動のメッツが分かったら、継続時間を掛けて身体活動量のメッツ・時を計算します。
この身体活動量とご自身の体重を以下の式に当てはめると、身体活動による消費カロリーが計算できます。
【身体活動による消費カロリーの計算式】
- [メッツ]×[実施時間(h)]×[体重(kg)][6]
体重80kgの方が90分間、かなり速いウォーキング(7.2km/時)をした場合を例に考えてみましょう。
かなり速いウォーキング(7.2km/時)のメッツは7.0のため、7.0×1.5×80で消費カロリーは840kcalとなります。
[6] 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
4.カロリー源になる栄養素と理想的なバランス
「エネルギー源になる栄養素はそれぞれどう違うんだろう」
「どの栄養素からカロリーを摂取しても良いのかな?」
1日の摂取カロリーを考えるに当たり、どの栄養素からどれくらいカロリーを摂取すれば良いのか気になりますよね。
エネルギー源となる栄養素は炭水化物(糖質)とたんぱく質、脂質で、健康のためにはこれらをバランス良く摂取することが重要です。
この章ではそれぞれの栄養素の性質と、摂取する上での理想的なバランスについて解説します。
4-1.炭水化物(糖質)
炭水化物はエネルギー産生栄養素の一種です。
炭水化物は消化・吸収されてエネルギー源になる糖質と、ほとんどエネルギーにならない食物繊維に大きく分けられます。
糖質は1g当たり約4kcalのエネルギーを産生します[7]。
糖質はごはんやパン、麺類などの穀類、さつまいもやじゃがいもなどのいも類、バナナやぶどうなどの果物類、あめやせんべいなどの菓子類、砂糖や砂糖を材料に用いる飲食物などに多く含まれています。
糖質は重要なエネルギー源ですが、摂取し過ぎると脂肪として蓄えられて肥満の原因となります。
また糖尿病などの生活習慣病を招く恐れもあるため注意が必要です。
一方、食物繊維はヒトの消化酵素で消化できないためほとんどエネルギー源にはなりません。
また炭水化物全体に占める食物繊維の割合もわずかであるため、炭水化物から摂取できるカロリーはほぼ糖質に由来するといえるでしょう。
食物繊維は便秘の予防といったおなかの調子を整える効果がよく知られていますが、それだけでなく消化管内の糖質や脂質、ナトリウム(塩分)を吸着して排出するはたらきもあります。
さらに糖質の吸収を緩やかにすることで血糖値の急上昇を抑制する効果も認められています。
このため食物繊維には肥満や高血糖、高血圧といった生活習慣病を予防・改善する効果が期待できるのです。
食物繊維が豊富な食品には、かぼちゃやごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、切り干し大根、いんげん豆、さつまいも、おから、納豆、しいたけ、ひじきなどがあります。
カロリー源になる糖質と健康の維持や改善に役立つ食物繊維は、いずれも重要な栄養素だといえるでしょう。
[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
4-2.脂質
脂質はエネルギー産生栄養素としてエネルギー源となる他、ホルモンや神経伝達物質といった生理活性物質や細胞膜の成分となります。
脂質は糖質やたんぱく質よりもカロリーが高く、1g当たり9kcalのエネルギーを産生します[8]。
脂質は油や肉類、魚類、乳製品、ナッツ類などに多く含まれています 。
脂質は糖質と同様に摂り過ぎると体脂肪として蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因となるため注意してくださいね 。
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4-3.たんぱく質
たんぱく質はエネルギー産生栄養素の一種としてカロリー源となる他、筋肉や臓器、肌や髪など体の組織の材料になります。
また、ホルモンや酵素など体のさまざまな機能を調整する物質の成分にもなります。
たんぱく質は1g当たり4kcalのエネルギーを産生します[9]。
たんぱく質は肉類や魚介類、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれている他、豆類などの植物性食品からも摂取できます。
たんぱく質の摂取量が不足すると体力や免疫機能の低下、成長障害などが起こる場合があります。
このため、たんぱく質をしっかりと摂取するよう心掛けましょう。
[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4-4.エネルギー産生栄養素バランス
エネルギー産生栄養素はバランス良く摂取することを心掛けましょう。
厚生労働省はエネルギー産生栄養素の目標量を1日の総摂取カロリー(総エネルギー摂取量)に対し、各エネルギー産生栄養素から摂取するカロリーが占める割合で設定しています(単位:%エネルギー)。
これをエネルギー産生栄養素バランスといいます。
年代別のエネルギー産生栄養素バランスは以下のとおりです。
| 性別 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 年齢 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
| 1~49歳 | ||||||
| 50~64歳 | ||||||
| 65歳以上 | ||||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦・授乳婦には以下の目標量が設定されています。
| 時期 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
|---|---|---|---|---|
| 妊婦 | 初期 | |||
| 中期 | ||||
| 後期 | ||||
| 授乳婦 | ||||
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
妊娠後期と授乳期にはたんぱく質の目標量がやや高く設定されているのですね。
ただし、このエネルギー産生栄養素バランスは必要なカロリーを摂取することを前提として設定されたものであることを理解しておきましょう。
5.代表的な食品のカロリー
「どの食べ物にどれくらいカロリーがあるんだろう……」
日々の食生活で口にする食べ物のカロリーがどれくらいか、気になりますよね。
この章では代表的な食品のカロリーを種別ごとにご紹介します。
毎日の献立の参考にしてくださいね。
5-1.主食
代表的な主食のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| 白ごはん | ||
| 食パン | ||
| うどん | ||
| スパゲティ | ||
| 中華麺 | ||
| そば |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
主食のカロリーの多くは炭水化物に由来するものです。
5-2.肉
代表的な肉のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| 豚ばら肉 | ||
| 牛ばら肉 | ||
| 鶏むね肉 | ||
| 牛サーロイン肉 | ||
| 豚ロース肉 | ||
| 鶏もも肉 | ||
| 牛ヒレ肉 | ||
| 豚ヒレ肉 | ||
| 鶏ささみ肉 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
肉類はたんぱく質の摂取源として重要な食品です。
牛肉や豚肉は脂身を、鶏肉は皮を取り除くことでカロリーを下げることができます。
5-3.魚介類
代表的な魚介類のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| くろまぐろ(トロ) | ||
| ぶり | ||
| しろさけ | ||
| くろまぐろ(赤身) | ||
| ブラックタイガー | ||
| するめいか | ||
| まだこ | ||
| ほたて貝 | ||
| しじみ | ||
| あさり |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
魚類やえび、いか、たこなどは肉類と同様に重要なたんぱく質の摂取源となります。
5-4.卵・乳製品
代表的な卵・乳製品のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| クリーム | ||
| 鶏卵(卵黄) | ||
| プロセスチーズ | ||
| カマンベールチーズ | ||
| モッツァレラチーズ | ||
| うずら卵(全卵) | ||
| 鶏卵(全卵) | ||
| ヨーグルトドリンク(加糖) | ||
| 普通牛乳 | ||
| ヨーグルト(全脂無糖) | ||
| 鶏卵(卵白) | ||
| 低脂肪加工乳 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
乳製品のなかにはたんぱく質や脂質を多く含むものがあり、特に脂質を多く含むものはカロリーが高い傾向にあります。
5-5.野菜・いも
代表的な野菜・いものカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| さつまいも | ||
| かぼちゃ | ||
| じゃがいも | ||
| さといも | ||
| ブロッコリー | ||
| ねぎ | ||
| たまねぎ | ||
| にんじん | ||
| キャベツ | ||
| トマト | ||
| ピーマン | ||
| ほうれん草 | ||
| 大根 | ||
| もやし | ||
| きゅうり | ||
| 白菜 | ||
| レタス |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
野菜はカロリーが低い傾向にありますが、一部の根菜やいも類などは糖質を比較的多く含むためカロリーが若干高めです。
5-6.豆類・大豆製品
代表的な豆類・大豆製品のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| いり大豆(黄大豆) | ||
| 油揚げ | ||
| あずき(つぶあん) | ||
| 納豆 | ||
| ひよこ豆 | ||
| いんげん豆 | ||
| 大豆 | ||
| おから | ||
| 木綿豆腐 | ||
| 絹ごし豆腐 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
豆類や大豆製品は植物性食品のなかではたんぱく質が多く含まれています。
5-7.きのこ
代表的なきのこのカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| えのきたけ | ||
| エリンギ | ||
| ぶなしめじ | ||
| しいたけ | ||
| まいたけ | ||
| マッシュルーム | ||
| なめこ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
きのこ類は総じてカロリーが低めな傾向にあります。
5-8.海藻
代表的な海藻のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| 味付けのり | ||
| 焼きのり | ||
| 刻み昆布 | ||
| 乾燥わかめ | ||
| ほしひじき | ||
| もずく |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
のりや昆布などは一度に多く食べられないため、海藻類は1食当たりで考えるとカロリーはかなり低めです。
5-9.果物・ナッツ類
代表的な果物のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| バナナ | ||
| 柿 | ||
| ぶどう | ||
| パイナップル | ||
| キウイフルーツ | ||
| みかん | ||
| バレンシアオレンジ | ||
| なし |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
果物のカロリーのほとんどは炭水化物に由来するもので、たんぱく質や脂質はほとんど含まれていません。
代表的なナッツ類のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| マカダミアナッツ(味付け) | ||
| ヘーゼルナッツ(味付け) | ||
| ピスタチオ(味付け) | ||
| らっかせい | ||
| アーモンド(無塩) | ||
| カシューナッツ(味付け) | ||
| 甘ぐり |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ナッツ類の多くは脂質とたんぱく質を多く含んでいることからカロリーが高めです。
5-10.調理済み料理
代表的な調理済み料理のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| メンチカツ | ||
| カニクリームコロッケ | ||
| ポテトコロッケ | ||
| ぎょうざ | ||
| チャーハン | ||
| 鶏から揚げ | ||
| ハンバーグステーキ | ||
| 卵焼き | ||
| お好み焼き | ||
| えびグラタン | ||
| 牛丼の具 | ||
| ビーフカレー | ||
| 親子丼の具 | ||
| カップめん(しょうゆ味) | ||
| 肉じゃが |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
市販の調理済食品を購入する際はカロリーをチェックすると良いでしょう。
5-11.お菓子類
代表的なお菓子類のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| ミルクチョコレート | ||
| ポテトチップス | ||
| しょうゆせんべい | ||
| ドーナツ | ||
| ショートケーキ(いちご) | ||
| カステラ | ||
| ベイクドチーズケーキ | ||
| アップルパイ | ||
| シュークリーム | ||
| みたらしだんご | ||
| カスタードプリン |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
主に間食で食べることを考えると、かなり高カロリーな食品が多いといえるでしょう。
[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)」
5-12.飲み物類
代表的な嗜好(しこう)飲料のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| りんごジュース | ||
| オレンジジュース | ||
| ぶどうジュース | ||
| コーラ | ||
| パイナップルジュース | ||
| コーヒー(ブラック) | ||
| 緑茶 | ||
| 紅茶(ストレート) | ||
| ほうじ茶 | ||
| ウーロン茶 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
砂糖を入れないコーヒーやお茶はカロリーが極めて低いことが特徴です。
また代表的な酒類のカロリーは以下のとおりです。
| 食品名 | 加工状態など | カロリー |
|---|---|---|
| ウイスキー | ||
| 焼酎(甲類) | ||
| 梅酒 | ||
| 焼酎(乙類) | ||
| 日本酒(純米酒) | ||
| 白ワイン | ||
| 赤ワイン | ||
| レモン酎ハイ | ||
| ビール |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
アルコールは酵母が糖を発酵させることで生じる物質で、エネルギー産生栄養素とは別に1g当たり7.1kcalのエネルギーを生み出します[11]。
[11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールのエネルギー(カロリー)」
6.カロリーについてのまとめ
カロリーはヒトが食事などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの単位です。
食事などから摂取するエネルギーの量を摂取カロリーと呼びます。
その元となるのは炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質という三つのエネルギー産生栄養素です。
またヒトが消費するエネルギーの量は消費カロリーと呼ばれ、基礎代謝、食事誘発性熱産生(DIT)、身体活動の3種類に分けられます。
カロリーと体重は密接に関係しており、摂取カロリーが消費カロリーよりも多いと体重が増加し、消費カロリーが摂取カロリーよりも多いと体重が減少します。
1日に必要となる摂取カロリーは体格や日々の身体活動量に加え、体重を維持したいのか、目指す目標体重があるのかによっても変わります。
理想の体重を目指すべく摂取カロリーの制限を行う場合、BMIを参照した上で健康的な目標体重を設定しましょう。
一方、消費カロリーのうち、基礎代謝量は体重や身長、年齢などを用いた推定式で計算ができます。
また身体活動による消費カロリーはメッツという運動の強度と体重、実施時間を用いて求められます。
ただし消費カロリーには大きな個人差があるので参考程度にとどめておきましょう。
食品のカロリーはエネルギー産生栄養素がどれくらい含まれているかによって異なり、特に脂質の多いものは高い傾向にあります。
それぞれの食品のカロリーを把握し、過不足なく摂取すると良いでしょう。
この記事を適切なカロリーの摂取と消費のための参考にしてくださいね。