成人女性の適切な摂取カロリーは?カロリー制限する際の注意点も解説

2024年09月06日

2024年11月22日

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「成人女性にとって適切な摂取カロリーはどれくらいなのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

必要以上にカロリー(エネルギー)を摂り続けると肥満になり、一方で極端なカロリー制限を行うと健康を損ねる恐れがあります。

特に女性では、必要のないダイエットによって痩せ過ぎてしまうことがあるため注意が必要です。

この記事では成人女性の摂取カロリーの目安や、女性に多い肥満のタイプ、カロリー制限を行う場合の注意点などを詳しく解説します。

健康的に理想の体形を目指したいと考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

1.成人女性の摂取カロリーの目安

体重計に乗ろうとしている女性の足

「1日に必要な摂取カロリーはどれくらいなのかな……」

女性のなかには、とにかく体重を落としたいと思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし無理なダイエットをするとリバウンドを招きやすくなる他、健康を害することがあります

このため適切に摂取カロリー(摂取エネルギー量)を決めることが重要です。

適切な摂取カロリーは年齢や体格、身体活動の強さによって異なります

身体活動の強さは以下のように3段階の「身体活動レベル」で表されます。

【身体活動レべル別の活動内容】
身体活動レベル 日常生活の内容
低い(Ⅰ) 生活の大部分を座って過ごしている場合
普通(Ⅱ) 座って過ごすことが多いが、立った状態での作業や徒歩移動、家事、軽いスポーツなどをしている場合
高い(Ⅲ) 歩いたり立ったりしている時間が長い場合、あるいは活発な運動習慣がある場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

この章では、成人女性の年齢や体格、身体活動レベルに応じた推定必要カロリーを解説します。

標準的な体格の方、現在の体重を維持したい方、目標体重を目指したい方に分けてご紹介するので、参考にしてくださいね。

【関連情報】 「カロリーとは?体重との関係や摂取カロリーの目安、栄養について解説」についての記事はこちら

1-1.標準的な体格の場合

適切な摂取カロリーは年齢や体格、身体活動レベルによって異なります

標準的な体格の成人女性の場合、年齢や身体活動レベルに照らし合わせた1日の推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)は以下のとおりです。

【成人女性の推定必要カロリー(kcal/日)】
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18〜29歳
1,700
2,000
2,300
30〜49歳
1,750
2,050
2,350
50〜64歳
1,650
1,950
2,250
65〜74歳
1,550
1,850
2,100
75歳以上
1,400
1,650
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

妊娠中・授乳中の方には以下の付加量が設定されています。

【妊婦・授乳婦の推定必要カロリーの付加量(kcal/日)】
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
妊婦初期
+50
+50
+50
中期
+250
+250
+250
後期
+450
+450
+450
授乳婦
+350
+350
+350

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ただし妊婦の方の推定エネルギー必要量は、個々の体格や妊娠中の体重増加量、胎児の発育状況によっても異なることがあるためあくまで目安とし、医師の指示に従うようにしてください。

なお推定必要カロリーは、日本人の標準的な体格を想定して設定されたものです。

日本人の標準的な体格とは平均的な体重である状態のことです

以下は日本人の成人女性の平均的な体重(参照体重)です。

【成人女性の平均的な体重(参照体重)(kg)】
18~29歳 50.3
30~49歳
53.0
50~64歳
53.8
65~74歳
52.1
75歳以上
48.8

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

体重は、摂取カロリー(エネルギー摂取量)と消費カロリー(エネルギー消費量)のバランスによって増減します。

このため体重が参照体重より軽い方では、前掲の推定必要カロリーを摂取すると体重増加が起こると考えられます。

また反対に体重が参照体重より重い方は、前掲の推定必要カロリーでは現在の体重を維持できません。

自分の体格に合った摂取カロリーが知りたい方は、次の項をお読みください。

1-2.自分の体格に合ったカロリーを摂取したい場合

標準的な体格の方に合ったカロリーを摂取していると、小柄な方では体重増加が起こり、反対に大柄な方では体重減少が生じます

ご自分に合った摂取カロリーが知りたいという方は、体重1kg当たりの推定必要カロリーを用い、現在の体重を維持できる摂取カロリーを計算しましょう。

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、成人女性の体重1kg当たりの推定必要カロリーを以下のように定めています。

【成人女性の体重1kg当たりの推定必要カロリー】
身体活動レベル Ⅰ(低い) Ⅱ(普通) Ⅲ(高い)
18〜29歳
33.2kcal
38.7kcal
44.2kcal
30〜49歳
32.9kcal
38.4kcal
43.9kcal
50〜64歳
31.1kcal
36.2kcal
41.4kcal
65〜74歳
30.0kcal
35.2kcal
40.4kcal
75歳以上
29.0kcal
34.2kcal
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

この表の該当するカロリーとご自身の現在の体重を掛け合わせてみましょう。

これによって算出された値が、現在のご自分の体格で必要と考えられる摂取カロリーです。

このカロリーを摂取していると、現在の体重を維持できると考えられるのですね。

1-3.目標体重を目指す場合

「理想の体重を目指したい……」

「減量するにはカロリーをどの程度抑えるべきなのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

減量を目指す場合は、目標体重における体重1kg当たりの推定必要カロリーを参照しましょう。

なお、目標体重は「BMI」をもとに設定することが重要です。

BMIとは
肥満度の判定に用いられる国際的な標準指標で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められます[1]。

「日本肥満学会」におけるBMIによる肥満度の分類は以下のとおりです。

【肥満度の分類】
低体重(痩せ)
18.5未満
普通体重
18.5以上25未満
肥満
25以上

厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」をもとに執筆者作成

肥満はさまざまな「生活習慣病」の原因として知られていますが、痩せた状態も健康を損ねる恐れがあります。

生活習慣病とは
食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因となる病気の総称です。心臓病、脳卒中などがあります。

BMIが「低体重(痩せ)」に当たる方には減量は勧められません。

一方、BMIが肥満に該当する方は「標準体重」を目標体重にしてみると良いでしょう。

標準体重はBMIが22.0の状態で、肥満との関連が強い病気に最もかかりにくい体重といわれています[1]。

標準体重は[身長(m)の2乗]×22で求められます[1]。

目標体重が決まったら、以下の表の成人女性の体重1kg当たりの推定必要カロリーと掛け合わせましょう。

【成人女性の体重1kg当たりの推定必要カロリー(kcal)】
性別 女性
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18~29歳
33.2
38.7
44.2
30~49歳
32.9
38.4
43.9
50~64歳
31.1
36.2
41.4
65~74歳
30.0
35.2
40.4
75歳以上
29.0
34.2
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

例えば身長150cmの女性の標準体重は、1.5×1.5×22で49.5kgです。

この方が30代で身体活動レベルは普通(Ⅱ)に該当する場合、1日の推定必要カロリーは49.5×38.4で1,901kcal(小数第一位で四捨五入)となります。

ここで求めた摂取カロリーを参考に、減量を目指す方も無理のない範囲で制限を行うようにしましょう。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康

2.カロリー(エネルギー)とは

テーブルに並べられたパンやフルーツと虫眼鏡

「そもそもカロリーって何だろう?」

カロリーという言葉を知っていても、何のことか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

カロリーはヒトが食事から摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの量を表す単位です。

エネルギーの単位はJ(ジュール)が一般的ですが、栄養学ではcal(カロリー)として表されます。

しかし1cal(カロリー)は非常に小さい単位であるため、一般的にはその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられています[2]。

体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって変動し、摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態が続くと肥満につながり、反対に消費カロリーが摂取カロリーを上回る状態が続くと痩せていきます。

このためダイエットでは摂取カロリーの制限が重要視されるのですね。

なおヒトのエネルギー源になる栄養素には炭水化物(糖質)やたんぱく質、脂質があり、これらをまとめて「エネルギー産生栄養素」といいます。

一方、ヒトが1日に消費するカロリーは「基礎代謝」や身体活動、「食事誘発性熱産生」に分けられます

基礎代謝量とは
呼吸や体温維持など、私たちが生きるために消費される必要最低限のエネルギー量のことです。早朝の空腹時に快適な室内などにおいて安静にしている状態で測定されます。

なお、基礎代謝は体格の影響を受け、筋肉量に比例して増減することが分かっています。

また身体活動は、日常生活の動作や意図的な運動などに分けられます。

食事誘発性熱産生は食後に栄養素を分解する過程で起こるエネルギー消費のことです。

総消費カロリー(総エネルギー消費量)のうち、基礎代謝は約60%、身体活動量が約30%、食事誘発性熱産生が約10%を占めるといわれています[3]。

肥満の方が減量する際には、摂取カロリーを目標体重に必要なカロリーに抑えるとともに、身体活動によって消費カロリーを増やすと良いでしょう。

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝

3.成人女性に多い脂肪のつき方

お腹のにくをつまんでいる女性

女性と男性では脂肪のつく位置が違うという印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は女性と男性ではつきやすい体脂肪の種類が異なり、このため、脂肪のつきやすい部位も違います。

成人女性の体につきやすいといわれているのは「皮下脂肪」です。

皮下脂肪は皮下組織につく脂肪のことで、下腹部や腰周り、お尻などにつきやすいといわれています。

また一度つくと減りにくいといわれており、なかなか減らない体脂肪に悩んだことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

体脂肪はこの皮下脂肪と内臓脂肪に分けられます。

内臓脂肪は胃や腸などの内臓の周りにつく脂肪で、皮下脂肪に比べ生活習慣病を引き起こしやすいことが分かっています。

内臓脂肪は男性の体につきやすいといわれていますが、女性でも閉経後には内臓脂肪が蓄積しやすくなるといわれているため注意が必要です。

また最近の若い女性では、BMIは標準でも筋肉や骨と比べて脂肪が多く、体脂肪率が高い「隠れ肥満」が多く見られます。

隠れ肥満の状態では、見た目は肥満でなくとも体脂肪が蓄積して筋肉量が少なくなっているため、生活習慣病を発症したり運動機能の低下によるけがをしたりするリスクが高まるため注意が必要です。

4.カロリー制限を行う場合の注意点

ウォーキングしている中年女性2人の後ろ姿

理想とする体形を目指すために、カロリー制限を行いたいと考えている方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、健康的に理想の体形を目指すためには、注意しなければならない点がいくつかあります。

ここではカロリー制限を行う上での注意点をご紹介しましょう。

注意点1 極端な制限を行わない

極端なカロリー制限は行わないようにしましょう

カロリーを極端に制限するダイエットは、リバウンドするリスクが大きいといわれています。

極端に摂取カロリーを制限していると、食事から十分な栄養を摂ることができなくなり、体が飢餓状態に陥ります。

この状態では体ができるだけ栄養素を吸収しようとするため、少ない食事でも脂肪として蓄えられやすくなってしまうといわれています。

また体に必要なエネルギーや栄養素を摂っておかないと、筋肉がエネルギー源として分解されてしまいます。

これに伴って基礎代謝が低下するため、消費カロリーが減ってリバウンドしやすくなってしまうのです。

また、極端なカロリー制限には健康を損ねるリスクもあります。

生命を維持するためには最低限のエネルギー(基礎代謝)が必要です。

この基礎代謝を下回るようなカロリー制限は、健康を害する恐れが大きいため行うべきではないといえるでしょう。

ダイエットをする際には極端なカロリー制限をしないことが重要です。

注意点2 エネルギー産生栄養素バランスに留意する

摂取カロリーだけでなく、エネルギーをどの栄養素から摂取するかということも重要です。

エネルギー産生栄養素をバランス良く摂ることを心掛けましょう。

エネルギー産生栄養素はそれぞれに異なるはたらきを持っています。

例えばたんぱく質はエネルギー源となるだけでなく、筋肉や臓器、肌、髪の毛など体の組織の材料となります。

また脂質はホルモンなどの生理活性物質や細胞膜の成分となります。

私たちが健康的な毎日を送るには、1日に摂取するカロリーのなかで、これらの栄養素をバランス良く摂ることが大切です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、エネルギー産生栄養素を摂取する上での理想的なバランスとして「エネルギー産生栄養素バランス」が設定されています

エネルギー産生栄養素の「目標量」は、総摂取カロリー(総エネルギー摂取量)に対してそれぞれの栄養素から摂取すべきカロリー(エネルギー量)の割合で設定されています。

目標量とは
現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量のことで、高血圧などの生活習慣病の発症予防を目的として設定されています。

なお、1日の総エネルギー摂取量のうち各栄養素から摂取するエネルギー量(カロリー)が占める割合は、「%エネルギー」で表されます。

成人女性のエネルギー産生栄養素バランスの目標量は以下のとおりです。

【エネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)】
炭水化物 脂質 たんぱく質
18〜29歳
50〜65
20〜30
13〜20
30〜49歳
50〜65
20〜30
13〜20
50〜64歳
50〜65
20〜30
14〜20
65〜74歳
50〜65
20〜30
15〜20
75歳以上
50〜65
20〜30
15〜20

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また妊婦・授乳婦の方には以下の目標量が設定されています。

【妊婦・授乳婦のエネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)】
時期 炭水化物 脂質 たんぱく質
妊娠 初期
50〜65
20〜30
13〜20
中期
50〜65
20〜30
13〜20
後期
50〜65
20〜30
15〜20
授乳期
50〜65
20〜30
15〜20

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また脂質の一つである「飽和脂肪酸」は、生活習慣病の発症などに深く関与しているため、別途目標量が設定されています。

飽和脂肪酸とは
脂質の構成要素である脂肪酸の一種で、肉類の脂身やバターといった動物性食品などに含まれています。飽和脂肪酸を多く含む脂は、低温で固形になる特徴があります。

エネルギー産生栄養素バランスにおける飽和脂肪酸の目標量は、成人女性で7%エネルギー以下です[4]。

具体的に、標準的な体格で身体活動レベルが「普通」に該当する18〜29歳の女性の場合で考えてみましょう。

【成人女性の推定必要カロリー(kcal/日)】
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18〜29歳
1,700
2,000
2,300
30〜49歳
1,750
2,050
2,350
50〜64歳
1,650
1,950
2,250
65〜74歳
1,550
1,850
2,100
75歳以上
1,400
1,650
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

この場合、1日の推定エネルギー必要量が2,000kcalです[5]。

その年代の女性の炭水化物の目標量は50〜65%エネルギー、脂質の目標量は20〜30%エネルギー、たんぱく質の目標量は13〜20%エネルギーです[4]。

このため炭水化物から摂取すべきエネルギー量は1,000〜1,300kcal、脂質から摂取すべきエネルギー量は400〜600kcal、たんぱく質から摂取すべきエネルギー量は260〜400kcalとなります。

「具体的にどの栄養素を何グラム摂取すれば良いの?」

と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

炭水化物(糖質)やたんぱく質は1g当たり4kcal、脂質は1g当たり約9kcalのエネルギーを産生します[4]。

先の例で計算すると、炭水化物(糖質)や脂質、たんぱく質の1g当たりのエネルギー量を踏まえて計算すると、炭水化物(糖質)は250〜325g、脂質は44〜67g、たんぱく質は65〜100g程度が目安といえます(小数点第一位で四捨五入)。

また飽和脂肪酸から摂るエネルギー量は140kcal以下、重量に換算すると16g以下に抑えることが望ましいでしょう(小数点第一位で四捨五入)。

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

注意点3 体に必要な栄養素を十分に摂る

摂取カロリーの制限を行う際には、必要な栄養素を十分に摂ることも心掛けましょう

エネルギー産生栄養素以外の栄養素には「ビタミン」や「ミネラル」などがあります。

ビタミンは13種類あり[6]、水に溶けやすい水溶性ビタミンと、水に溶けにくく脂質に溶けやすい脂溶性ビタミンに分類されます。

水溶性ビタミンにはビタミンB群とビタミンCがあり、脂溶性ビタミンにはビタミンAやビタミンDなどがあります。

またミネラルのうち、カルシウムやカリウム、鉄といった体に必要なことが分かっている16種類を「必須ミネラル」といいます[7]。

ビタミンや必須ミネラルは、いずれも食事などから摂取する必要があります。

エネルギー産生栄養素の分解や合成を助け、体の調子を整えるはたらきをするため、過不足なく摂取することが重要です。

しかし極端に摂取量を制限したり、特定の食品のみを摂取したりするダイエットでは、これらの栄養素が不足する恐れがあります。

ビタミンやミネラルが不足するとさまざまな悪影響が現れます。

女性のダイエットによる栄養不足で懸念される不調の代表例としては、鉄不足による貧血が挙げられます。

月経のある女性の体は男性よりも多量の鉄を必要としますが、多くの女性は十分に鉄を摂取できていないといわれています[8]。 鉄不足による貧血では、倦怠(けんたい)感や疲労感などの症状が現れます。

またビタミンが不足すると肌荒れが見られることもあります。

この他に、カルシウムやビタミンDが不足すると骨粗しょう症のリスクが高まるなど、栄養素の不足によって現れる症状や病気はさまざまです。

骨粗しょう症とは
骨の密度や質が低下し、骨折しやすくなる病気です。

ダイエットで食事制限を行う際も、体に必要な栄養素を十分摂取するようにしてくださいね。

ビタミン、ミネラルについてはそれぞれ以下の記事で詳しく解説しています。

水溶性ビタミンとは?9種類のビタミンのはたらきや食事摂取基準

ミネラルとは?体に必要な理由と豊富に含まれる食べ物を種類別に紹介

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン

[7] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識

[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題

注意点4 適度に運動も行う

減量を目指すのであれば、カロリー制限だけでなく、適度に運動も行いましょう。

体重が減ると、それに伴って消費カロリーも減ります。

このため摂取カロリーの制限だけではいずれ減量は止まってしまいます。

ダイエットのためには、運動で消費カロリーを増やすことも重要です。

メモ
内臓脂肪を1kg減らすには、摂取カロリーと消費カロリーの差が合計約7,000kcal必要だといわれています[9]。つまり、1日の摂取カロリーを約200kcal減らしても、1kg減量するのに1カ月以上かかるのです。摂取カロリーを減らすだけでは非効率的であることが分かりますね。

運動による消費カロリーは運動の激しさと継続時間によって決まり、激しい運動を長く続ければ大きくなります。

しかし激しい運動を長時間にわたって続けるのはなかなか難しいものですよね。

そこで、体脂肪を燃焼させたいという方には有酸素運動をおすすめします。

有酸素運動とは
筋肉を動かすエネルギーとして血糖や脂肪が酸素と一緒に使われる運動のことです。ウォーキングやジョギング、サイクリング、エアロビクスダンス、水泳、アクアビクスなどが該当します。

有酸素運動は体内の脂肪をエネルギー源とするため、体脂肪の直接的な減少効果があるといわれているのです。

ただし基礎代謝は体格の影響を受けるため、単に体脂肪を減らしただけでは基礎代謝が低下してしまいます。

そこで、筋トレによって筋肉量を増やし、基礎代謝を増やすことが勧められます

筋肉は体の組織のなかでも多くのエネルギーを消費します。

有酸素運動で体脂肪を燃焼させ、筋トレで基礎代謝を高めることで、消費カロリーを増やしましょう。

ダイエットに適した運動については、詳しくは以下の記事で解説しています。

ダイエットに効果的な運動は?有酸素運動と筋トレについて徹底解説

[9] 厚生労働省「健康づくりのための運動指針 2006

5.成人女性のカロリーについてのまとめ

適切な摂取カロリーは、年齢や体格、身体活動レベルによって異なります

標準的な体格の方は参照体重をもとに算出された厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における推定必要カロリーの表を参照しましょう。

ただし参照体重と体重が大きく違う場合は減量や増量につながるためご自分の体格に合った摂取カロリーを計算することが勧められます。

現在の体重と体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせて計算しましょう。

また、目標体重を目指す場合は、目標体重と体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせましょう。

このとき、目標体重はBMIを参考に設定することが勧められます。

体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、女性の体につきやすいのは落としにくい皮下脂肪だといわれています

減量を目指してカロリー制限を行う場合は極端な制限を行わないこと、エネルギー産生栄養素バランスにも留意すること、体に必要な栄養素を十分に摂ることも心掛けましょう。

またダイエットを進める上では、適度に運動を行うことも欠かせませんよ。

この記事を参考に、1日の摂取カロリーを意識してみてくださいね。

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