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脂質は1日にどれくらい摂取して良い?摂取目標量や過不足による影響

2023年8月7日

ダイエット

「脂質は1日にどれくらい摂取して良いんだろう?」

「脂質の過剰摂取や摂取不足による影響を知りたい」

このように脂質の1日の摂取量について知りたいという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

脂質はヒトの体のエネルギー源となる他、細胞膜を構成したり、体内の機能を調節するホルモンなどとしてはたらいたりする重要な栄養素です。

しかし、炭水化物やたんぱく質といった他のエネルギー源となる栄養素よりもカロリーが高く過剰に摂取すると肥満や脂質異常症、動脈硬化などを引き起こす恐れがあります

そのため摂り過ぎや不足を避け、適切な量を摂取するよう日々意識する必要があるといえます。

この記事では脂質の1日の摂取目標量や過不足による影響などについて紹介します。

1.脂質とは

見聞きする機会の多い「脂質」という栄養素ですが、体内でどのようにはたらいているのか、詳しくはご存じないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、一口に「脂質」といってもいくつかの種類に分けられ、体内でのはたらきもそれぞれに異なります

脂質の1日当たりの摂取目標量をご紹介する前に、まずは脂質についてご説明しましょう。

脂質は炭水化物やたんぱく質と並ぶ「エネルギー産生栄養素」の一つです。

エネルギー産生栄養素とは
ヒトにとって必要不可欠な栄養素のうち、エネルギー源となるたんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)の総称です。

炭水化物(糖質)とたんぱく質のカロリーが1g当たり約4kcalであるのに対し、脂質は1g当たり9kcalとカロリーが高く、効率の良いエネルギー源であるといえます[1]。

メモ
カロリーはヒトが食べ物などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの量を表す単位です。1cal(カロリー)は非常に小さいため、一般的にはその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられます。

なお、食べ物などから消費カロリー(消費エネルギー量)を上回るカロリー(エネルギー)を摂り過ぎると、使い切れなかったエネルギーが脂肪として体内に蓄えられ、肥満を招きます。

脂質の摂り過ぎが肥満の原因として知られているのは、他のエネルギー産生栄養素よりもカロリーが高いためなのですね。

また脂質は体内で細胞膜を構成したり、ホルモンなどの体の機能をコントロールする成分の材料となったりします

さらに油に溶けるビタミンA・D・E・Kといった「脂溶性ビタミン」などの栄養素の吸収を助けるはたらきもあり、体にとって重要な栄養素の一つです。

なお、脂質のはたらきは種類によって異なる場合もあります。

脂質のなかでも代表的なものの一つが、中性脂肪です。

中性脂肪はトリグリセライドとも呼ばれ、肉や魚、食用の油などの食品に含まれる脂質や、ヒトの体脂肪の大部分を占めています。

中性脂肪などの脂質は、「脂肪酸」によって構成されています。

脂肪酸は構造的な違いから「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます

飽和脂肪酸は主に肉やバター、乳脂肪などの動物性の食品や、ココナッツミルクなどに多く含まれている脂肪酸です。

体内で合成することができるため食事から摂取する必要はなく、肥満や生活習慣病の原因として知られています。

一方、不飽和脂肪酸は主に魚や植物性の油脂に多く含まれます。

また不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます

「体に悪い脂質」として「トランス脂肪酸」という名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種です。

トランス脂肪酸は牛などの反すう動物の胃でつくられるものと、液状の不飽和脂肪酸を固形の飽和脂肪酸に工業的に変える際に副産物として生じるものに分けられます。

具体的には前者は牛肉や乳製品、後者はマーガリンやショートニング、それらを使った菓子類などに含まれています。

多価不飽和脂肪酸にはn-6系とn-3系があります

脂肪の分類

n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は体内でつくることができず、食事から摂取する必要があるため「必須脂肪酸」と呼ばれています。

不足すると皮膚炎などの症状が現れるため要注意です。

この他に、生活習慣病の因子として知られる「コレステロール」も脂質の一種です。

摂り過ぎると生活習慣病のリスクを高めるため過剰摂取には注意が必要だといわれていますが、体内では細胞膜やホルモン、消化液の一種である「胆汁酸」の材料として使われており、適量であれば体に不可欠な物質です。

コレステロールは食べ物では卵類や内臓類などに多く含まれています。

理想とする体型や健康のために脂質の摂取量を減らしたいと考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、脂質は体にとって重要な栄養素の一つです。

脂質の種類も意識して過不足なく摂取することが大切だといえるでしょう。

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2.脂質の1日当たりの摂取目標量と平均摂取量

「脂質は1日に何グラム摂取すべきなんだろう?」

「今の食生活で脂質を摂り過ぎていないか不安……」

このように気になっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは脂質の1日当たりの摂取目標量や平均摂取量について解説します。

ここで紹介する摂取目標量を参考に脂質の摂取量に注意するようにしましょう。

2-1.脂質の摂取目標量

1日に摂取すべき脂質の量は、重量では定められていません。

厚生労働省は成人に対し、脂質から摂取するカロリー(エネルギー)を1日の総摂取カロリー(総エネルギー摂取量)の20〜30%に抑えるという摂取目標量を設定しています[2]。

また飽和脂肪酸から摂取するカロリーを総摂取カロリーの7%以下にすることが望ましいとされています[2]。

これを重量に換算すると何グラムになるのか、計算してみましょう。

1日当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)は年齢や性別、身体活動レベル(どれだけ体を動かすかということ)によって異なります。

まずは以下の表でご自身の身体活動レベルを確認してください。

【身体活動レベル】

身体活動レベル日常生活の内容
低い(Ⅰ)生活の大部分を座って過ごし、体を動かす機会があまりない場合
普通(Ⅱ)座って過ごすことが多いが、歩いたり立った状態で作業・接客したりすることがある仕事に就いている場合、または通勤や買い物で歩いたり、家事をしたり、軽いスポーツを行ったりする習慣がある場合
高い(Ⅲ)移動したり立った状態で作業したりすることの多い仕事に就いている場合、または余暇にスポーツなどの活発な運動習慣を持っている場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

身体活動レベルが分かったら、下の表でご自分に合った推定必要カロリーを確認します。

【1日当たりの推定エネルギー必要量(kcal)】

男性女性
身体活動レベル低い(Ⅰ)普通(Ⅱ)高い(Ⅲ)低い(Ⅰ)普通(Ⅱ)高い(Ⅲ)
18〜29歳2,3002,6503,0501,7002,0002,300
30〜49歳2,3002,7003,0501,7502,0502,350
50〜64歳2,2002,6002,9501,6501,9502,250
65〜74歳2,0502,4002,7501,5501,8502,100
75歳以上1,8002,100-1,4001,650-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

例えば20代で身体活動レベルが普通の女性の場合、1日当たりの推定必要カロリーは2,000kcalとなります。

脂質から摂るべきカロリーはこの20〜30%に当たるので、計算すると400〜600kcalです。

脂質は1g当たり約9kcalであるため、9で割ると約44〜67gの脂質を摂取すべきであることが分かりますね。

また、飽和脂肪酸から摂取すべきカロリーは140kcal以下、グラム換算すると約16g以下ということになります。

メモ
前掲の推定必要カロリーは標準的な体格の方を対象に算出されたものです。また妊娠中や授乳中の方は年代別の推定必要カロリーに状況に応じた付加量を加える必要があります。

ご自身の体格や状況に合った1日当たりの推定必要カロリーが知りたいという方は以下の記事をご確認ください。

1日に必要なカロリーって?計算方法と健康を保つポイントを解説!

またn-6系脂肪酸およびn-3系脂肪酸は必須脂肪酸であるため、重量での摂取目安量が設定されています

成人のn-6系脂肪酸およびn-3系脂肪酸の摂取目安量は以下のとおりです。

【1日当たりのn-6系脂肪酸の摂取目安量(g)】

年齢男性女性
18〜29歳118
30〜49歳108
50〜64歳108
65〜74歳98
75歳以上87

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

【1日当たりのn-3系脂肪酸の摂取目安量(g)】

年齢男性女性
18〜29歳2.01.6
30〜49歳2.01.6
50〜64歳2.21.9
65〜74歳2.22.0
75歳以上2.11.8

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

脂質全体の量だけでなく、種類にも注意して食事の内容を決めるよう心掛けましょう。

メモ
日本人のトランス脂肪酸の摂取量は少なく、飽和脂肪酸に比べ健康への影響が小さいことから国内では摂取目標量は設定されていませんが、WHOやアメリカをはじめ海外のいくつかの機関や国ではトランス脂肪酸から摂取するカロリーを総摂取カロリーの1%未満にとどめることが推奨しています[2]。また、後述する脂質異常症の重症化を予防する観点から、コレステロールの摂取は1日200mg未満にすることが望ましいとされています[2]。

[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-2.脂質の平均摂取量

「普段の食事だと、どれくらい脂質を摂っているんだろう?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

脂質は調理に使われる油やバター、マーガリンなどの「見える油」だけでなく、さまざまな食品に含まれています

そのため普段の食事でどれくらいの量を摂取しているのか、想像がつきにくいものですよね。

そこで日本人の平均的な脂質摂取量を確認してみましょう。

厚生労働省が行った「令和元年国民健康・栄養調査」の結果では、脂質の平均摂取量は20歳以上の男性で66.3gg、同じく女性で56.7gです[3]。

また総摂取カロリーに対する脂質から摂るカロリーの割合は20歳以上の男性で27.4%、同じく20歳以上の女性で29.2%となっています[3]。

脂質から摂るべきカロリーは総摂取カロリーの20〜30%だとされているので、平均的な食事であれば目標量を達成できているように思われますよね。

しかし、総エネルギー摂取量に占める脂質の割合が30%を超えている人は、20歳以上の男性で約35.0%、20歳以上の女性で約44.4%もいることが分かっています[4]。

また、この割合は年々増加しているとされています[4]。

戦後、日本では食の欧米化が進んだことで肉類や乳製品類の摂取量が増え、年々脂質の摂取量が増加していることが指摘されています。

油断すると脂質を摂り過ぎてしまう傾向にあるので、十分な注意が必要だといえるでしょう。

[3] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」

[4] 農林水産省「脂質のとりすぎに注意」

3.脂質の過剰摂取と摂取不足の影響

「脂質を摂り過ぎるとどんな影響があるのかな?」

「脂質の摂取量が不足しているとどうなるのか気になる……」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは脂質の過剰摂取と摂取不足の影響について紹介します。

3-1.脂質の過剰摂取による影響

脂質の過剰摂取は肥満や脂質異常症などの原因となります

肥満とは体重が多いだけでなく、体脂肪が過剰に蓄積された状態のことです。

摂り過ぎた脂質は体内で中性脂肪として蓄えられてしまいます。

また肥満は糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の原因にもなるため、美容だけでなく健康のためにも予防・改善が重要だといえるでしょう。

脂質異常症とは、血中の脂質が基準値から外れた状態のことです。

中性脂肪(トリグリセライド)が増え過ぎて起こる「高トリグリセライド血症」、いわゆる悪玉コレステロールが増え過ぎてしまう「高LDLコレステロール血症」、善玉コレステロールが少なくなってしまう「低HDLコレステロール血症」などがあります。

脂質異常症はいずれも動脈硬化を進行させる要因となります。

動脈硬化とは心臓から全身の器官に血液を送る「動脈」の壁が弾力性を失い、厚く固くなった状態のことで、「狭心症」や「心筋梗塞」「脳梗塞」などのさまざまな病気を引き起こします。

メモ
狭心症は心臓を取り巻く「冠動脈」という血管が動脈硬化などによって狭まり、血流の悪化が生じる病気です。血液は全身に酸素を供給するはたらきをしているため、冠動脈が狭まると心筋が酸欠に陥ります。また冠動脈が完全にふさがり、心筋が酸欠による壊死を起こした状態を心筋梗塞といいます。同様に脳の血管がふさがった場合は脳梗塞が生じます。

脂質異常症や動脈硬化には自覚症状がほとんどありませんが、放置していると命を脅かす危険な病気を招いてしまうのですね。

脂質異常症については以下の記事で詳しく解説しています。

脂質異常症とは?発症の原因や健康への影響、改善のポイントも解説!

また脂質は摂取量だけでなく種類によっても健康へ及ぼす影響が異なるため、脂質の種類にも注意が必要です。

飽和脂肪酸は、過剰に摂取すると血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増やすことが分かっています。

また、トランス脂肪酸も要注意です。

トランス脂肪酸は飽和脂肪酸よりもHDLコレステロール(善玉コレステロール)に対するLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の割合を大きく上昇させてしまうため、摂取を避けたい脂質の一つです。

研究によると、マーガリンやショートニングなどに含まれる工業由来のトランス脂肪酸を最も多く摂っている群は、最も摂取量が少ない群に対し冠動脈疾患を発症するリスクが1.3倍であることが分かっています[5]。

冠動脈疾患の発症リスクを高めるのは工業由来のトランス脂肪酸だけであるといわれているので、摂り過ぎないよう注意しましょう。

さらにコレステロールを摂り過ぎないことも重要です。

通常、体内で合成されるコレステロールの量は食事から摂取するコレステロールの量に応じて調整されていますが、食事からコレステロールを摂り過ぎると血中コレステロール濃度にも影響が出るといわれています。

コレステロールについては以下の記事でも詳しくご説明しています。

コレステロールとは?基準値や高い原因、対策を解説!

このように、脂質の摂り過ぎにはさまざまな健康上のリスクが存在するのですね。

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-2.脂質の摂取不足による影響

脂質は摂り過ぎばかりが懸念されている傾向にありますが、摂取量が不足するとエネルギー不足に陥ったり、脂溶性ビタミンの吸収に悪影響が出たりする可能性があります。

また多価不飽和脂肪酸であるn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸は必須脂肪酸であり、体内で合成することができません。

これらが不足すると皮膚炎などを引き起こす恐れがあります。

4.脂質を多く含む食品

「脂質はどんな食品に多く含まれているんだろう?」

適切な量の脂質を摂取するためにこのように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

脂質の過剰摂取を防ぐためにも食品に含まれる脂質を把握しておきたいものですよね。

ここからは脂質を多く含む食品を紹介します。

脂質を多く含む食品

食べ物に含まれる脂質については以下の記事でより詳細にご紹介しています。

脂質の少ない食べ物とは?脂質の摂取や抑える工夫

4-1.肉類

豚バラ肉

脂質含有量の比較的多い代表的な肉類をご紹介します。

【脂質を含む肉類の食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など脂質飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸カロリー
和牛リブロース脂身付き、生56.5g19.81g29.80g1.39g514kcal
鶏皮(もも)51.6g16.3g25.23g6.54g474kcal
和牛ばら肉脂身付き、生50.0g15.54g26.89g1.12g472kcal
和牛サーロイン脂身付き、生47.5g16.29g25.05g1.12g460kcal
和牛リブロース赤肉、生40.0g14.75g21.04g0.97g395kcal
豚ばらベーコン-39.1g14.81g18.0g3.57g400kcal
豚ばら肉脂身付き、生35.4g14.6g15.26g3.5g366kcal
牛ハラミ27.3g9.95g13.86g0.97g288kcal
牛タン31.8g11.19g15.98g1.25g318kcal
ウインナーソーセージ-30.6g27.99g10.98g13.42g319kcal
牛サーロイン赤肉、生25.8g9.14g13.29g0.62g294kcal
豚肩ロース脂身付き、生19.2g7.26g8.17g2.10g237kcal
鶏手羽先皮付き、生16.2g4.40g8.32g2.33g207kcal
鶏もも肉皮付き、生14.2g4.37g6.71g1.85g190kcal
鶏胸肉皮付き、生5.9g1.53g2.67g1.03g133kcal

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

肉の種類や部位によって脂質や脂肪酸の含有量が大きく異なることが分かりますね。

脂質の摂取量をできるだけ抑えたい場合は、赤身など脂肪の少ない肉を選んだり、調理時に脂身や皮などを取り除いたりすると良いでしょう。

4-2.魚介類

お寿司

続いて、脂質含有量の比較的多い魚介類をご紹介します。

【脂質を含む魚介類の食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など脂質飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸カロリー
あんこう肝41.9g9.29g14.15g11.88g401kcal
みなみまぐろトロ28.3g6.06g10.62g7.68g322kcal
くろまぐろトロ27.5g5.91g10.20g6.41g308kcal
さんま皮付き、生25.6g4.84g10.58g6.35g287kcal
うなぎ蒲焼き21.0g5.32g9.85g3.39g285kcal
ぎんだら18.6g4.5g9.87g1.59g210kcal
ぶり17.6g4.42g4.35g3.72g222kcal
まさば16.8g4.57g5.03g2.66g211kcal
ぎんざけ(養殖)12.8g2.30g4.87g3.74g188kcal

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

この表からも分かるように魚介類は肉類に比べて、飽和脂肪酸が少なく不飽和脂肪酸が多いという特徴があります

なかでもあじやさんまなど、青魚に含まれるn-3系脂肪酸の「DHA」や「EPA」はLDLコレステロールを下げるはたらきがあります。

ただし脂質である以上カロリーは高めなので、摂り過ぎにも注意してくださいね。

4-3.ナッツ類

アーモンド

ナッツ類はいずれも比較的脂質を多く含んでいます。

代表的なナッツの脂質含有量をご紹介しましょう。

【脂質を含むナッツ類の食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など脂質飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸カロリー
マカダミアナッツいり、味付け76.7g12.46g59.23g1.56g751kcal
ヘーゼルナッツフライ、味付け69.3g6.21g54.74g5.31g701kcal
くるみいり68.8g6.87g10.26g50.28g713kcal
ひまわり種フライ、味付け56.3g5.68g12.87g28.31g587kcal
ピスタチオいり、味付け56.1g6.15g30.92g16.42g617kcal
アーモンドいり、無塩54.1g4.13g35.09g12.65g608kcal
らっかせいいり49.6g9.00g24.54g14.83g613kcal
カシューナッツフライ、味付け47.6g9.97g27.74g8.08g591kcal

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

ナッツ類は脂質のなかでも特に不飽和脂肪酸を多く含んでいることが分かります。

不飽和脂肪酸には体内で合成できない必須脂肪酸も含まれるため、ナッツ類を積極的に摂取すると良いでしょう。

ナッツについては以下の記事で詳しく解説しています。

ナッツの種類と栄養素、その効果を徹底解説!食べると太るって本当?

4-4.乳製品類

バター

代表的な乳製品類に含まれる脂質の量を確認していきましょう。

【脂質を含む乳製品類の食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など脂質飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸カロリー
無塩バター-83.0g52.43g18.52g2.05g720kcal
有塩バター-81.0g50.45g17.97g2.14g700kcal
クリーム(乳脂肪)-43.0g26.28g9.89g1.37g404kcal
クリーム(乳脂肪・植物性脂肪)-42.1g18.32g18.74g1.17g388kcal
クリーム(植物性脂肪)-39.5g26.61g7.38g1.73g353kcal
チェダーチーズ-33.8g20.52g9.09g0.81g390kcal
エメンタール-33.6g18.99g8.12g0.87g398kcal
パルメザンチーズ-30.8g18.15g7.11g0.94g445kcal
プロセスチーズ-26.0g16.0g6.83g0.56g313kcal
普通牛乳-3.8g2.33g0.87g0.12g61kcal
ヨーグルト(全脂無糖)-3.0g1.83g0.71g0.10g56kcal

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

牛乳乳製品に含まれる脂質は消化吸収がされやすいといわれており、胃や腸に負担をかけずに体内に取り入れられます。

また牛乳に含まれるコレステロールは200mL当たり25gと少なく、毎日400〜600mLの牛乳を飲み続けても血中コレステロール濃度の上昇は見られなかったという研究結果があります[6]。

脂質を気にして牛乳を避ける必要はないといえるかもしれませんね。

[6] 一般社団法人Jミルク「牛乳の脂質」

4-5.油脂類

オイルと木のスプーン

油脂類に含まれる脂質は以下のとおりです。

【脂質を含む油脂類の食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名脂質飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸カロリー
えごま油100.0g7.64g16.94g70.60g897kcal
オリーブオイル100.0g13.29g74.04g7.24g894kcal
なたね油100.0g7.06g60.09g26.10g887kcal
ごま油100.0g15.04g37.59g41.19g890kcal
大豆油100.0g14.87g22.12g55.78g885kcal
あまに油100.0g8.09g15.91g71.13g897kcal
パーム油100.0g47.08g36.70g9.16g887kcal
ラード100.0g39.29g43.56g9.81g885kcal
ショートニング(家庭用)99.9g46.23g35.54g11.56g889kcal
マーガリン(家庭用、有塩)83.1g23.04g39.32g12.98g715kcal
有塩バター83.0g52.43g18.52g2.05g720kcal

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

油脂類といっても油の種類によって特徴が異なります。

ラードやバターには飽和脂肪酸、オリーブオイルには一価不飽和脂肪酸、ごま油にはn-6系脂肪酸、あまに油はn-3系脂肪酸がそれぞれ多く含まれています

調理の際に使う油に注意してみるのも良いかもしれませんね。

5.脂質の1日の摂取量についてのまとめ

脂質はたんぱく質や炭水化物と並ぶエネルギー産生栄養素の一つです。

厚生労働省は脂質から摂取するカロリーを1日の総摂取カロリーの20~30%に抑えるよう摂取目標量を設定しています[7]。

脂質の摂取量は年々増加しており、摂取目標量以上の脂質を摂取する人の割合も同じように増加傾向にあります。

効率的なエネルギー源といわれる脂質ですが、過剰に摂取すると肥満やさまざまな生活習慣病を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。

また脂質は摂取量だけでなく摂取する種類によってそれぞれ異なる影響を及ぼすため気を付ける必要があるでしょう。

動物性脂質に多く含まれている飽和脂肪酸や、工業的に生じたトランス脂肪酸、卵や内臓類に多く含まれるコレステロールなどは血中のLDLコレステロールを増やし、動脈硬化のリスクを高めるといわれています。

一方で脂質の摂取量が少ないとエネルギーが不足したり脂溶性ビタミンの吸収に支障が出たりといった問題が起こる可能性があります。

健康的な生活のために、総摂取カロリーや脂質の摂取量、種類に注意するようにしましょう。

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」

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