ホエイプロテインとは?特徴や効果、摂取タイミングなどについて解説

2022年07月21日

2024年11月11日

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「ホエイプロテインってどんなプロテイン?」

「どんな効果があるプロテインなんだろう……」

プロテインは知っていても、「ホエイプロテイン」がどのようなものなのかあまりよく分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

プロテインには種類があり、ホエイプロテインはそのうちの一つです。

牛乳由来のホエイプロテインは、水に溶けやすく吸収が早いのが特徴で、筋肉量を増やすなどの効果が期待できるといわれています。

この記事では、ホエイプロテインの効果やおすすめの摂取タイミング、摂取する際の注意点などについて解説します。

1.ホエイプロテインとは

容器にはいったプロテイン

ホエイプロテインは「プロテイン」の一種です。

「プロテイン(protein)」は英語で「たんぱく質」を表す言葉ですが、日本においてはたんぱく質を摂取するためのサプリメントを指す言葉として広く使われています。

たんぱく質とは
炭水化物(糖質)や脂質と並び、ヒトの体のエネルギー源となる栄養素の一種です。また筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などの体の組織を構成したり、ホルモンや酵素、抗体などの体の機能を調節する物質の材料となったりするはたらきもしています。 20種類の「アミノ酸」と呼ばれる物質によって構成されています[1]。

プロテインといえば筋肉をつけるために飲むもの、というイメージを抱いている方も多くいらっしゃるでしょう。

たんぱく質はまさに筋肉の材料となる物質なのですね。

一般的に販売されているプロテインには牛乳由来のものと大豆由来のものがあり、牛乳由来のものの一つがホエイプロテインです。

メモ
牛乳由来のたんぱく質は「乳たんぱく質」と総称されます。乳たんぱく質を原料としたプロテインにはホエイプロテインの他に「カゼインプロテイン」があります。

ホエイプロテインは牛乳から乳脂肪とカゼインを除去した半透明の液体「ホエイ(ホエー、乳清)」からつくられます。

ヨーグルトの上に透明な液体がたまっているのを見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

あれがホエイです。

ホエイプロテインはもともとホエイの中に溶け込んでいるたんぱく質であるため水にも溶けやすく、消化吸収が早いという特徴を持っています。

トレーニングのために迅速にたんぱく質を補給したいときにぴったりだといえますね。

またホエイプロテインはアミノ酸スコアが高いと考えられる点も魅力的です。

アミノ酸スコアとは
食品のたんぱく質に「必須アミノ酸」がヒトの体にとって望ましい量に対し、どれくらいの割合で含まれているかを表す数値です。100を上限とし、高いほど「良質なたんぱく質」であるとされます[2]。 なお、必須アミノ酸とは食品からの摂取が必要な9種類のアミノ酸のことです[1]。

ホエイプロテインの原料となる牛乳の「アミノ酸スコア」は100 です[3][4]。

アミノ酸スコアが高いたんぱく質は体内での利用効率が高いとされています。

ホエイプロテインは吸収が早く、利用効率の高いたんぱく質を手軽に摂取できるサプリメントだといえますね。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸 」

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「良質なたんぱく質 」

[3] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 」

[4] WHO「Protein and amino acid requirements in human nutrition : report of a joint FAO/WHO/UNU expert consultation 」

【関連情報】 「プロテインの基礎知識」についてもっと知りたい方はこちら

【関連情報】 「たんぱく質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介」についての記事はこちら

2.ホエイプロテインに期待できる効果

ホエイプロテインに期待できる効果

「ホエイプロテインにはどんな効果があるのかな?」

このようにホエイプロテインの効果について疑問に思っている方も多くいらっしゃることでしょう。

特にホエイプロテインを飲んで筋肉が増えるのか気になっているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

ホエイプロテインは筋肉をつけたり、疲労感や筋肉痛を軽減したりするのに有効であると考えられています。

ここでは、ホエイプロテインの効果を二つお伝えしましょう。

効果1 筋肉量の維持・増加

腕の筋肉を見せる男性

ホエイプロテインは筋肉量の維持や増加に有効だと考えられています。

ホエイプロテインでは利用効率の高いたんぱく質を手軽に摂取することができます。

たんぱく質は筋肉の材料となるため、筋肉量を増やしたいというときには積極的な摂取が必須です。

厚生労働省は男性の1日当たりのたんぱく質摂取推奨量を18〜64歳では65g、65歳以上では60gとしています[5]。

また18歳以上の女性の摂取推奨量は50gです[5]。

しかしこれは一般的な生活を送っている方を対象として設定された数値です。

一般的に、運動を行う習慣のある方や筋肉をつけたいと考えている方は体重1kg当たり2gのたんぱく質を摂取すべきであるといわれています[6]。

十分な量のたんぱく質を摂取できていないと筋肉のたんぱく質が分解されエネルギーとして消費されてしまうため、どれだけトレーニングを行っても筋肉が増えないどころか、減ってしまう恐れもあります。

筋肉を育てるためには十分なたんぱく質摂取が欠かせないのですね。

メモ
筋トレを行うと筋肉が大きくなるのは、「超回復」と呼ばれる体の性質が理由です。筋トレのような激しい運動を行うと筋肉を構成する筋線維の一部が傷つけられます。筋線維は回復の際に元よりも少し太くなる性質を持っており、これを超回復と呼びます。超回復を繰り返すことにより筋肉は次第に太くなり、筋力が向上するのです。

また、ホエイプロテインは「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」を豊富に含む点もメリットだといえるでしょう。

分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは
必須アミノ酸のなかでも、枝分かれした特徴的な化学構造を持つアミノ酸です。ロイシン・イソロイシン・バリンがBCAAに該当します。

BCAAは、運動時に筋肉のエネルギー源となることで筋たんぱく質の合成を促進 したり分解を抑制したりする作用を持つことで知られています。

BCAAを豊富に含むホエイプロテインを摂取することは、筋肉をつけることに役立つと考えられますね。

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版) 」

[6] 一般社団法人 日本プロテイン協会「誰でもわかるプロテインの基礎知識 」

効果2 疲労感や筋肉痛の軽減

疲労感や筋肉痛の軽減

ホエイプロテインに多く含まれているBCAAには、運動時の疲労感や筋肉痛を軽減させる効果が期待できるといわれています。

BCAAは運動時に筋肉のエネルギー源としてはたらきますが、不足してしまうと筋肉中のたんぱく質を分解することでエネルギーをつくり出そうとします。

この状態は筋損傷による筋肉痛や筋肉疲労につながるといわれています。

反対にBCAAを補給しておくことで筋肉痛や筋肉疲労を防ぐことができると考えられるのですね。

BCAAそのものやホエイプロテインを運動前や運動中、運動後などタイミング良く摂取することでエネルギー補給になるため、よりベストな状態でトレーニングが進められるかもしれませんよ。

3.ホエイプロテインの摂取におすすめのタイミング

ホエイプロテインの摂取におすすめのタイミング

「ホエイプロテインはいつ摂取するのが効果的なんだろう?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

プロテインは摂取するタイミングによって体内での利用効率が変わるものと考えられています。

ここではホエイプロテインを摂取する効果が特に高まると考えられるタイミングについてお伝えしましょう。

3-1.筋トレ前後

筋トレの効果を上げるためにホエイプロテインの摂取を考えている方は多くいらっしゃるでしょう。

筋肉量を増やしたいという方には筋トレ前から筋トレ直後にかけてのホエイプロテイン摂取がおすすめです。

筋繊維はもともと非常に細く、傷ついたり切れたりしやすい性質であるため軽い運動でも簡単に傷ついてしまいます。

運動によって傷つけられた筋肉はたんぱく質などによって補修され、このサイクルを繰り返すことによって筋繊維はだんだんと強く切れにくく、太くなっていくのです。

このとき体内でたんぱく質が不足しているとせっかく筋トレを行っても筋肉がうまく修復されず、筋肉量のアップは期待できなくなってしまいます

筋トレ後、体内でたんぱく質が必要とされているときに消化吸収の早いホエイプロテインを摂取すれば、体内で効率良く使われると考えられるでしょう。

特に運動後45分間は傷つけられた筋肉の修復が盛んに行われるといわれています[7]。

運動直後の栄養素補給についてはさまざまな実験が行われていますが、運動から2時間後にホエイプロテインを摂取した場合より、運動後45分以内にとうもろこしのような体内での利用率が低いたんぱく質を摂取した場合の方が体内でのたんぱく質合成が大きくなったという実験の結果もあります[7]。

運動後45分以内にホエイプロテインを摂取すればより高い効果が期待できますよね。

また筋肉の成長には、たんぱく質と同時に炭水化物を摂取することが不可欠だといわれています。

糖質高配合のプロテインサプリメントは、一般的なプロテインドリンクよりたんぱく質合成を促進する効果が高いことが実験の結果から分かっているのです。

メモ
炭水化物は体内に取り入れられエネルギー源になる糖質と、体内の消化酵素では消化することのできない食物繊維に分けられます。

運動の10分前に糖質とたんぱく質が入ったドリンクを摂取すると、運動開始時に筋肉が取り込む糖の量が増加してエネルギー源として利用されるため、持久力が高まるという研究結果もあります[7]。

また運動中も15分〜20分ごとに栄養を補給することで運動効果を高めたり、回復を早めるための基礎づくりができたりするともいわれています[7]。

吸収の早いホエイプロテインはトレーニングのお供にぴったりだと考えられますね。

[7] John Ivy, Robert Portman『Nutrient Timing: The Future of Sports Nutrition

3-2.食事時

食事から摂るたんぱく質が不足している場合には、食事と一緒にプロテインを摂取するのもおすすめです。

ただしホエイプロテインだけを食事の代わりに摂取しても効果があるとはいえません。

体内で糖質が不足していると、不足した分のエネルギーを補うために代わりにたんぱく質が消費されてしまいます

せっかくプロテインを摂取しても筋肉の材料にならず消化されてしまうのですね。

ホエイプロテインだけでなく、糖質も忘れずに摂取するようにしましょう。

ホエイプロテイン配合の甘さが添加された製品をデザート感覚で楽しむのも良いかもしれませんね。

【関連情報】 「目的別・プロテインの飲み方」についてもっと知りたい方はこちら

4.ホエイプロテインを摂取する際の注意点

筋肉づくりのためにホエイプロテインの摂取を検討している方もいらっしゃるかもしれませんね。

プロテインは「たんぱく質」のことであり、活動するためのエネルギーを作り出したり筋肉の材料となったりするなど体にとって不可欠な栄養素です。

たんぱく質を補い筋力アップを目指すためにホエイプロテインを選択する方が多いと思いますが、利用する上で気を付けなければいけない点などはあるのでしょうか。

ここでは、ホエイプロテインを摂取する際に注意すべき点について解説します。

4-1.摂り過ぎると太る可能性がある

プロテイン(たんぱく質)は、1g当たり約4kcalのエネルギーをつくり出します[8]。

そのため、あまりよく考えず通常の食事に加える形で摂っていると、カロリーオーバーとなり体重が増えてしまう可能性があります。

そうはいってもサプリメントとしてのプロテインはたんぱく質が豊富で、主にエネルギー源となる糖質や脂質が控えめであることを考えると、体重増加の原因はプロテインではない可能性もあるかもしれません。

食事から摂取するカロリーを考慮しつつホエイプロテインを摂取することで体重増加を防ぐことができると考えられますが、まずは間食やアルコールが増えていないかなど普段の食生活を振り返ってみることも大切です。

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4-2.おなかの調子を崩すことがある

おなかの調子を崩すことがある

ホエイプロテインの原料は乳清です。

乳清には「乳糖」が含まれているため、「乳糖不耐症」の方がホエイプロテインを摂取するとおなかの不快な症状が出現してしまうことがあります。

乳糖不耐症とは
牛乳に含まれる乳糖の分解に必要な酵素「ラクターゼ」の活性が低下したり分泌が不足したりすることにより、乳糖を消化吸収できず腹痛や下痢を起こしてしまう病気のことです。

牛乳でおなかを下してしまう方は、ホエイプロテインが摂取できないのかと残念に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし、ホエイプロテインにはいくつか種類があり、このような方にもおすすめできるものがあります。

それが「WPI製法」のホエイプロテインです。

WPI製法のホエイプロテイン(分離乳清たんぱく質)はたんぱく質以外の成分がほぼ取り除かれているため、たんぱく質含有量が高く乳糖もほとんど除去されています

メモ
ホエイプロテインにはWPI製法のほか「WPC製法(濃縮乳清たんぱく質)」「WPH製法(加水分解乳清たんぱく質)」があります。一般的なのはWPC製法のものですが乳糖が多く含まれています。WPI製法よりも精製度の高いWPH製法は、他のホエイプロテインよりもたんぱく質含有量が高く吸収速度が早いという特徴がありますが、価格が高い傾向にあるようです。

牛乳を飲むとおなかがゴロゴロするという方は、ホエイプロテインのなかでもWPI製法のものが適しているといえるのですね。

【関連情報】 「たんぱく質の1日の摂取量の目安」についてもっと知りたい方はこちら

5.ホエイプロテイン以外のプロテイン

プロテインにはいくつかの種類があります。

原料となる食品によってそれぞれ異なる特徴があるため、違いを知り目的に応じて使い分けるのがおすすめです。

ここでは、ホエイプロテイン以外のプロテインについて解説します。

5-1.カゼインプロテイン

カゼインプロテインはホエイプロテイン同様、牛乳由来のたんぱく質の一つです。

同じ牛乳由来のプロテインでもホエイプロテインとは異なり、水に溶けない性質があります。

体内に入ると胃酸によってヨーグルト状に固まり約7時間~8時間かけてゆっくりと吸収されるため*3 、腹持ちの良さが特徴です。

ダイエット中など、なるべく空腹を感じたくないときなどにおすすめであるといえますね。

5-2.ソイプロテイン

ソイプロテイン

大豆由来のプロテインがソイプロテインです。

ソイプロテインの吸収速度も約5~6時間[9]とゆっくりであるため、満腹感を持続させる効果が期待できます。

また、ソイプロテインには女性ホルモンに似たはたらきを持つ「大豆イソフラボン」が含まれています

大豆イソフラボンとは
抗酸化作用を持つポリフェノールの一種で、大豆に多く含まれている成分です。女性ホルモン「エストロゲン」と似た分子構造を持ち、髪や肌の美しさを保ったり月経周期を整えたりと女性にとって大切な役割を担っています。

ソイプロテインの摂取は、女性にとって良い影響をもたらしてくれることが期待できそうですね。

[9] 一般社団法人 日本プロテイン協会「誰でもわかるプロテインの基礎知識

【関連情報】 「たんぱく質を多く含む食べ物」についてもっと知りたい方はこちら

6.ホエイプロテインについてのまとめ

ホエイプロテインは牛乳由来のプロテインの一つです。

筋肉にとって良い効果をもたらすアミノ酸を含んでいるため筋トレを行う方には適した成分であるといえます。

しかし、摂り過ぎてしまうと体重増加につながる可能性も否定できません

また、牛乳由来の成分であるため牛乳でおなかを下してしまう方は、ホエイプロテインの種類に注目すると良いでしょう。

ホエイプロテインや他のプロテインの特徴を知り、利用目的に応じて効果的なプロテイン摂取を目指してみてくださいね。

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