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栄養とは?栄養素との違いや栄養素にまつわる基礎知識について解説

「栄養ってどんな意味なんだろう」

「栄養と栄養素は何が違うのかな?」

栄養という言葉は身近なものですが、その意味をよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また栄養素との違いについて気になっている方もいらっしゃるかもしれません。

栄養と栄養素は混同されることもありますが、異なる概念です。

栄養という語は生きるために必要な物質を摂取し、生命活動につなげる営みのことを指します。

一方、栄養素はこの営みを維持するために必要な物質のことを指します。

栄養素にはそれぞれに異なったはたらきや健康への影響があります。

そのため栄養や栄養素について知ることは日々の健康を維持するために役立つといえるでしょう。

この記事では栄養と栄養素の違いや栄養素にまつわる基礎知識について詳しく解説します。

1.栄養とは?栄養素との違いを解説

いただきますをする女性

栄養と栄養素は似ている言葉ですが、両者には明確な違いがあります。

ヒトなどの生物は呼吸や消化吸収、排せつ、運動、成長、繁殖などの活動を継続することで生命を維持しています。

これらの活動には常にエネルギーが必要です。

栄養とは摂取した食べ物をエネルギーとして利用し、生命活動につなげる営みのことをいいます。

またこの営みを維持するためのエネルギー源となる物質を栄養素と呼びます。

栄養素にはさまざまな種類があり、それぞれ異なったはたらきをします。

骨や臓器、肌などの体の組織を構成するのも栄養素です。

健康を維持するために栄養素について知り、全ての栄養素をバランス良く取り入れることが大切です。

次の章ではヒトの体に必要な栄養素の種類について解説します。

2.ヒトの体に必要な栄養素

「栄養素にはどんなものがあるの?」

このように何が栄養素に該当するのか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

栄養素ははたらきによって、エネルギーになるもの、体をつくるもの、体の調子を整えるものの3種類に分けられます

エネルギーになる栄養素には炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質があります。

また体をつくる栄養素にはたんぱく質、脂質、ミネラルがあります。

体の調子を整える栄養素に分類されるのはビタミンとミネラルです。

これらはいずれも体に必要な物質であるためバランス良く摂取することが重要です。

この章ではそれぞれのはたらきを持つ栄養素について解説します。

2-1.エネルギーになる栄養素

鏡の前でストレッチをする女性

エネルギーになる栄養素には、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質があります

これらを「エネルギー産生栄養素」といいます。

エネルギー産生栄養素については以下の記事で詳しく解説しています。

エネルギー産生栄養素とは?それぞれのはたらきや理想のバランス

私たちは安静にしていても、脳や臓器がはたらくため常にエネルギーを消費しています。

また体を動かすためにもエネルギーが必要です。

炭水化物や脂質、たんぱく質は生命維持に必要なエネルギーを生み出す栄養素です。

メモ
エネルギーの量はカロリーという単位で表します。1cal(カロリー)は非常に小さいため、通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられています。

また体重はエネルギー摂取量(摂取カロリー)とエネルギー消費量(消費カロリー)のバランスによって変動します。

体重の増加はエネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回ると起こるのです。

カロリーの基礎知識については以下の記事で詳しく解説しています。

カロリーとは?体重との関係や摂取カロリーの目安、栄養について解説

2-2.体をつくる栄養素

自分の髪の毛をひっぱる女性

体をつくる栄養素にはたんぱく質、脂質、ミネラルがあります

ミネラルとは
生体を構成する酸素、炭素、窒素、水素以外の元素の総称です。栄養素として体に必要なことが分かっているものは「必須ミネラル」と呼ばれ、16種類あります[1]。

たんぱく質は筋肉や臓器、肌、髪の毛などの材料となります。

脂質は細胞膜を構成し、ミネラルには骨や歯の材料となるものがあります。

特にたんぱく質は体のあらゆる組織を構成するため重要な栄養素といえるでしょう。

[1] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識

2-3.体の調子を整える栄養素

青空の下背伸びをする男女

体の調子を整える栄養素にはビタミンとミネラルがあります

ビタミンとは
ヒトの体の機能を正常に保つはたらきをする有機化合物の総称です。全部で13種類あり、4種類の脂溶性ビタミンと9種類の水溶性ビタミンに分けられます[2]。

ビタミンやミネラルは体温の調整や体内で必要な物質をつくるはたらき、神経の作用などに関わっています。

健康を維持するには、他の栄養素と同様にビタミンやミネラルも欠かせません

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン

3.必須栄養素の主なはたらき

体内でつくることができない、あるいは少ししかつくれないため食べ物から摂取する必要のある栄養素を「必須栄養素」といいます

必須栄養素には次のようなものがあります。

【必須栄養素の種類】

  • 炭水化物
  • たんぱく質
  • 脂質
  • ビタミン(13種類)
  • ミネラル(16種類)

これらは生きていく上で欠かせないためいずれも過不足なく摂取することが重要です。

この章ではそれぞれの必須栄養素の主なはたらきについて解説します。

3-1.炭水化物

枡にはいった生米と稲

炭水化物は体や脳を動かすための主要なエネルギー源です。

炭水化物1g当たりのエネルギーは4kcalで、このうちのほとんどが糖質に由来するものです[3]。

糖質が不足するとエネルギー不足のために集中力の減退や疲労感などが見られます。

一方でエネルギーとして使われず余ってしまった糖質は脂肪などに変えられ、体内に蓄えられます。

メモ
炭水化物はエネルギー源となる糖質とヒトの消化酵素では消化できないためほとんどエネルギー源にならない食物繊維に大別されます。

糖質は結びついている糖の数により単糖類、少糖類、多糖類に分けられます。

なかでも単糖類の一種であるブドウ糖は特別な場合を除き、脳や神経の唯一のエネルギー源となる重要な物質です。

このためブドウ糖が不足すると意識障害を起こす恐れがあります

炭水化物は米や小麦、とうもろこしなどの主食として食べられる穀類やいも類の他、砂糖などの甘味料、果実などに含まれています。

炭水化物のはたらきや適切な摂取量、摂取源となる食べ物や摂り方についてはそれぞれ以下の記事で解説しています。

608_炭水化物(未公開)

炭水化物を多く含んでいる食べ物は?摂取基準や健康的な食べ方も紹介

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-2.たんぱく質

大豆

たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、髪の毛など多くの組織を構成する重要な栄養素です。

体の水分を除いた残りの約50%がたんぱく質からできています。

たんぱく質は体内で消化されると「アミノ酸」となって吸収され、一部体内に貯蔵されます。

アミノ酸とは
たんぱく質を構成する20種類の有機化合物です[4]。一つでも欠けるとたんぱく質は合成できません。体内で合成できない必須アミノ酸と糖質や脂質などから合成できる非必須アミノ酸に分けられます。

ヒトの体には、エネルギー源として利用できる糖質が不足している場合、この蓄えたアミノ酸からたんぱく質を合成しエネルギーとして利用するはたらきが備わっています。

このためたんぱく質はエネルギー産生栄養素とされ、そのエネルギー量は1g当たり4kcalあります[5]。

この他にたんぱく質はホルモンや酵素、抗体など体の機能を調節する物質の成分としてもはたらきます

ホルモンはごく微量で全身または特定の臓器に作用し、体の機能を調整する物質です。

ホルモンやホルモンに似たはたらきをする物質は100種類以上存在することが分かっています[6]。

また酵素は消化吸収や代謝など、体内で起こるさまざまな化学反応に触媒として必須の物質です。

代謝とは
栄養素をエネルギーや体に必要な物質に変えるはたらきのことです。

抗体は免疫機能の一種で、病気の原因となる細菌やウイルスなどが体内に侵入した際、異物とみなして攻撃したり、体外に排除したりする役割を果たします。

このようにたんぱく質はさまざまな重要なはたらきをしているため、不足すると成長障害や免疫機能の低下を引き起こす可能性があります

なお、たんぱく質は肉や魚、卵、大豆製品などに含まれています。

たんぱく質のはたらきや適切な摂取量、摂取源となる食べ物についてはそれぞれ以下の記事で詳しく解説しています。

タンパク質とは?体内でのはたらきや食事摂取基準、豊富な食品を紹介

たんぱく質を豊富に含む食べ物は?良質なたんぱく質の摂取源を紹介

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

[6] 一般社団法人 日本内科学会「ホルモンについて

3-3.脂質

ハンバーガーとポテト

脂質にはエネルギー源として利用されるものや細胞膜やホルモンなどの材料としてはたらくものがあります

脂質は体内で水分に次いで多く含まれ、そのエネルギー量は1g当たり9kcalです[7]。

体内に存在する脂質の9割は中性脂肪で、体脂肪として蓄えられている他、血液中にも溶け込んでいます[8]。

中性脂肪は糖質の不足を補うためのエネルギー源としての作用や、ビタミンや「必須脂肪酸」の吸収にも重要なはたらきをしています

メモ
必須脂肪酸とは体内で合成できない「脂肪酸」のことです。脂肪酸は脂質を構成する主要成分で、分子の構造の違いから不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸は必須栄養素とされています。

また脂質の一種であるコレステロールはホルモンや細胞膜の材料となります。

脂質のはたらきや適切な摂取量、脂質の少ない食べ物や吸収を抑えるための方法についてはそれぞれ以下の記事で詳しく解説しています。

脂質とは?はたらきや種類、1日に摂取すべき量の計算方法を解説

脂質の多い食べ物と摂取方法とは?健康的に体重管理するための工夫!

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「中性脂肪/トリグリセリド

3-4.ビタミン

フルーツと3種類のスムージー

ビタミンは体内のさまざまな代謝に関わり、生命を維持するために欠かせない栄養素です。

ビタミンは性質により脂溶性と水溶性に分けられます。

まずは脂溶性ビタミンのはたらきから解説します。

脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類があります。

これらの主なはたらきは次のとおりです。

【脂溶性ビタミンの主なはたらきと含まれる食品】
ビタミン名 主なはたらき 含まれる食品
ビタミンA 目の機能や皮膚、粘膜を正常に維持する他、成長や細胞の分化にも関わる レバー、緑黄色野菜、魚介類など
ビタミンD カルシウムとリンの吸収をサポートし骨をつくる 卵黄、魚介類、乳製品、きのこ類など
ビタミンE 抗酸化作用があり、自らが酸化されることで活性酸素から体を守る 植物油、ナッツ類など
ビタミンK 止血に欠かせない他、骨の形成に必要 豆類、緑葉野菜、海藻類など

これらのビタミンは脂肪組織や肝臓に蓄えられるため、摂り過ぎによる過剰症には注意が必要です。

脂溶性ビタミンのはたらきや適切な摂取量については以下の記事で詳しく解説しています。

脂溶性ビタミンとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源の食品を紹介

次に水溶性ビタミンについて解説します。

水溶性ビタミンはビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンB12、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCの9種類です。

これらのはたらきは次のとおりです。

【水溶性ビタミンのはたらきと含まれる食品】
ビタミン名 主なはたらき 含まれる食品
ビタミンB1 糖質の代謝に関わる 内臓肉、玄米など
ビタミンB2 エネルギーの代謝に関わる他、成長を促したり肌や粘膜を保護したりする 内臓肉、乳製品、緑黄色野菜など
ナイアシン 体内のさまざまな酸化還元反応の補酵素となる 魚介類、肉類、海藻類など
ビタミンB6 たんぱく質の代謝に関わる 穀類、肉類など
ビタミンB12 アミノ酸や脂質の代謝に関わる 内臓肉、魚介類、乳製品など
パントテン酸 エネルギーの代謝に関わる他、コレステロールや免疫抗体の生成に関わる 内臓肉、卵黄、豆類など
葉酸 DNAやたんぱく質の合成、アミノ酸の代謝などを通じて細胞分裂に関わる 内臓肉、緑黄色野菜、豆類など
ビオチン 糖をつくる「糖新生」やエネルギー代謝に関わる他、抗炎症物質を生成しアレルギー症状を和らげるはたらきに関わる 内臓肉、豆類、穀類、卵黄など
ビタミンC コラーゲンの合成に関わる、ビタミンEと共に抗酸化物質から細胞を守る、消化管での鉄の吸収を高める 柑橘類、緑葉野菜など

水溶性ビタミンは摂り過ぎても尿として排せつされるため、過剰症の心配はほとんどありません

水溶性ビタミンのはたらきや適切な摂取量については以下の記事で詳しく解説しています。

水溶性ビタミンとは?9種類のビタミンのはたらきや食事摂取基準

3-5.ミネラル

小皿に盛った塩

ミネラルは体の組織の構成や生理機能の維持・調整に欠かせない微量栄養素です。

114種類あるミネラルのうち体に必要とされているものを「必須ミネラル」といい、現在では16種類が確認されています。

厚生労働省は必須ミネラルのうち13種類に食事摂取基準を設け、「多量ミネラル」と「微量ミネラル」に分類しています。

メモ
硫黄、塩素、コバルトの3種類のミネラルは食事摂取基準(厚生労働省の定める栄養素の摂取量の基準)の設定がないためこの記事では取り上げていません。

多量ミネラルとは1日の摂取量がおおむね100mg以上のものをいい、これに満たないものを微量ミネラルといいます。

13種類の必須ミネラルの分類とそれぞれの主なはたらきは次のとおりです。

【各ミネラルの主なはたらき】
※横にスクロールできます
分類 ミネラル名 主なはたらき 含まれる食品
多量 ミネラル ナトリウム 細胞外液の浸透圧や体内の酸性・アルカリ性のバランスを調整する他、消化液の材料となる 食塩および食塩を含む加工食品
カリウム 細胞内液の浸透圧や体内の酸性・アルカリ性のバランスを調整する、神経の興奮や筋肉の収縮に関わる イモ類、野菜類、果物類
カルシウム 骨や歯の材料となる、血液凝固や筋肉の収縮・興奮の抑制に関わる 乳製品、小魚、海藻類、大豆製品など
マグネシウム さまざまな代謝や骨の形成に必要となる、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温や血圧の調整に関わる 緑黄色野菜や海藻類など
リン 骨や歯の材料となる他、細胞の浸透圧や酸・アルカリ性のバランスの調整などに関わる さまざまな食品に含まれる
微量 ミネラル 酸素の運搬や酵素の成分としてはたらく 内臓肉や海藻類、緑黄色野菜など
亜鉛 DNAやたんぱく質、ホルモンの合成や免疫機能に関わる他、酵素の成分となったり、酵素の反応を促進したりする かき、肉類など
特定のたんぱく質と結合し、鉄の代謝や輸送、活性酸素の除去、神経伝達物質の代謝などに関わる ナッツ類や肉類など
マンガン 骨の形成や成長に関わる他、酵素の成分となる 野菜類や穀類など
ヨウ素 甲状腺ホルモンの成分となる 海藻類、貝類
セレン 酵素の成分となったり抗酸化作用に関わったりする 小麦や大豆など
クロム エネルギーの代謝に関わる さまざまな食品に含まれる
モリブデン 補酵素としてはたらく 乳製品、豆類、穀類など

これらのミネラルは多過ぎても少な過ぎても健康に悪影響を及ぼすためバランス良く取り入れることが大切です。

ミネラルのはたらきやミネラルを多く含む食べ物については以下の記事で詳しく解説しています。

ミネラルとは?体に必要な理由と豊富に含まれる食べ物を種類別に紹介

4.栄養についてのまとめ

栄養とは食べ物を摂取し、呼吸や消化吸収、排せつ、運動、成長、繁殖などの生命活動につなげる営みのことをいいます。

この生命活動を維持するための摂取源となる物質が栄養素です。

栄養素ははたらきにより、エネルギーになるもの、体をつくるもの、体の調子を整えるものに大きく分けることができます。

エネルギーとなる栄養素には炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質があり、これらをまとめてエネルギー産生栄養素と呼びます。

ヒトの筋肉や骨、臓器などの体をつくる栄養素にはたんぱく質、脂質、ミネラルがあります

特にたんぱく質は体のあらゆる組織を構成するため重要な栄養素です。

体の調子を整える栄養素にはビタミンとミネラルがあります

これらの栄養素はヒトが生きていくために食べ物から摂取する必要がある必須栄養素です。

それぞれに異なったはたらきを持つため、どの栄養素も健康を維持するために欠かせません

また摂取する栄養素が偏ると健康に悪影響を及ぼすため注意が必要です。

この記事を参考に、栄養素をバランス良く取り入れて健康的な食生活を送りましょう。