カロリーとは?体重との関係や摂取カロリーの目安、栄養について解説

2024年11月07日

2024年11月11日

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「カロリーって何のことなんだろう……」

「カロリーを摂り過ぎると体重が増えてしまうのかな?」

カロリーという言葉を知っていても、何を指すのか、体重とどう関係するのか詳しく知らないという方もいらっしゃいますよね。

カロリーはヒトが食事などから摂取したり、生命維持や運動などに消費したりするエネルギーの単位です。

この記事ではカロリーと体重の関係や、摂取カロリーと消費カロリーの計算方法を解説します。

またエネルギー源となる栄養素や主な食品のカロリーについても詳しくご紹介するので参考にしてくださいね。

1.カロリー(エネルギー)とは

体重計にのる女性

「カロリーとエネルギーって何が違うのかな?」

「カロリーと体重ってどんな関係にあるんだろう……」

カロリーという言葉を日常的に見聞きしたり使ったりしていても、正確に何を表しているか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。

カロリーはヒトのエネルギーに関する単位で、体重の増減とも密接に関係しています

この章ではカロリーとエネルギーの関係や、カロリーが体重に与える影響について詳しく解説します。

カロリーについて理解すると、体重の変化についてもよりよく知ることができますよ。

1-1.カロリーとエネルギーの関係

カロリーはヒトが食事などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの単位です。

摂取したエネルギーの量を「エネルギー摂取量」といい、一般的には「摂取カロリー」と呼ばれています。

一方、ヒトの体が消費するエネルギーの量は「エネルギー消費量」で、一般には「消費カロリー」と呼ばれます。

ヒトが食べ物から摂取するエネルギーの多くは、最終的に熱として体から放出されます。

このためエネルギーの摂取量や消費量は熱量として示されます。

カロリーは熱量を表す単位の一種です。

1calは1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量として定義されています[1]。

ただし1calは非常に小さいため、通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が用いられています

なお、ヒトのエネルギー源になる栄養素には炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類があり、まとめて「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。

カロリーはヒトの生命維持や身体活動に関わるエネルギーの基本単位なのですね。

[1] 独立行政法人国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター「循環・廃棄物のけんきゅう

1-2.カロリーと体重の関係

カロリーと体重には密接な関係があります。

摂取カロリーと消費カロリーが同程度であれば体重は変わりませんが、このバランスがどちらかに偏ると体重が増減します

摂取カロリーが消費カロリーよりも多い場合は体重が増加して肥満につながります。

逆に消費カロリーが摂取カロリーよりも多い場合は体重が減少して痩せにつながります。

つまり、食事から摂取するカロリーを制限して消費カロリーよりも少なくすれば減量が目指せるといえるのです。

メモ
長期にわたって減量を続けると、体重の減少に伴い摂取カロリーや消費カロリーが変化するため減量は一定のところで頭打ちになると考えられています。

摂取カロリーと消費カロリーを適切に調節することで、体重のコントロールが可能となるのですね。

2.摂取カロリーの目安と計算方法

おにぎりと味噌汁のシンプルな食事

「カロリーはどれくらい摂取すれば良いものなのかな?」

「減量するには摂取カロリーをどれくらい抑えれば良いか知りたい……」

毎日食事からどれくらいカロリーを摂取すれば良いのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

1日に必要なカロリーは体格や日々どれくらい体を動かしているかなどによって変わります

また現在の体重を維持したいのか、目標とする体重があるのかによっても変化します

このため、推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を知るにはまずご自身がどれくらい「身体活動」をしているのかを把握することが重要です。

身体活動とは
安静状態より多くのエネルギーを消費するすべての動作を指します。スポーツやトレーニングなどの意図的な運動と日常生活での労働、家事、通勤といった生活活動に大きく分けられます。

身体活動の強さは以下のとおり3段階の「身体活動レベル」で表されます。

【身体活動レベル別にみた活動内容】
身体活動レベル 日常生活の内容
低い(Ⅰ) 生活の大部分を座って過ごし、日常的にあまり動かない場合
普通(Ⅱ) 座って過ごすことが多いが仕事でも立ったり歩いたりすることがある場合、通勤や買い物、家事や軽いスポーツをする場合
高い(Ⅲ) 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、スポーツなどで活発に体を動かす習慣のある場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ご自身の身体活動レベルがどれに当てはまるかチェックしてみましょう。

注意!
厚生労働省は、肥満やそれに伴う生活習慣病の発症・重症化予防の観点から身体活動レベルⅠは望ましい状態ではないとし、身体活動量を増加させる必要があるとしています。

ここからは身体活動レベルを元に1日の推定必要カロリーの計算方法を詳しく解説するので、参考にしてくださいね。

2-1.標準的な体格の場合

厚生労働省によると、標準的な体格の方の推定必要カロリーは以下のとおりです。

【推定必要カロリー(kcal/日)】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
1~2歳
-
950
-
-
900
-
3~5歳
-
1,300
-
-
1,250
-
6~7歳
1,350
1,550
1,750
1,250
1,450
1,650
8~9歳
1,600
1,850
2,100
1,500
1,700
1,900
10~11歳
1,950
2,250
2,500
1,850
2,100
2,350
12~14歳
2,300
2,600
2,900
2,150
2,400
2,700
15~17歳
2,500
2,800
3,150
2,050
2,300
2,550
18~29歳
2,300
2,650
3,050
1,700
2,000
2,300
30~49歳
2,300
2,700
3,050
1,750
2,050
2,350
50~64歳
2,200
2,600
2,950
1,650
1,950
2,250
65~74歳
2,050
2,400
2,750
1,550
1,850
2,100
75歳以上
1,800
2,100
-
1,400
1,650
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また、妊娠中や授乳中の方は年代別の推定必要カロリーに以下のカロリーを追加する必要があります。

【妊婦・授乳婦における推定必要カロリーの付加量(kcal/日)】
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
妊婦(初期)
+50
+50
+50
妊婦(中期)
+250
+250
+250
妊婦(後期)
+450
+450
+450
授乳婦
+350
+350
+350

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

この際の標準的な体格は、以下の日本人の平均的な体重をもとにしています。

【日本人の平均的な体重(参照体重)(kg)】
年齢 男性 女性
1~2歳
11.5
11.0
3~5歳
16.5
16.1
6~7歳
22.2
21.9
8~9歳
28.0
27.4
10~11歳
35.6
36.3
12~14歳
49.0
47.5
15~17歳
59.7
51.9
18~29歳
64.5
50.3
30~49歳
68.1
53.0
50~64歳
68.0
53.8
65~74歳
65.0
52.1
75歳以上
59.6
48.8

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

標準的な体格に近い方は、こちらの推定必要カロリーをそのままご自身に必要な摂取カロリーと考えても良いでしょう。

ただし標準的な体格よりも大柄な方、小柄な方では、前掲のカロリーを摂取していると体重が落ちたり、反対に増えたりしてしまう恐れがあります

ご自身の体格に合ったより正確な推定必要カロリーを知りたいという方は、次の項をご覧ください。

2-2.体格に合ったカロリーを摂取したい場合

「自分の体格に合った摂取カロリーを知りたい……」

体格が標準から外れているという方や、ご自身に適した摂取カロリーを正確に把握したいという方もいらっしゃいますよね。

体格に合った推定必要カロリーを知りたい場合は、体重1kg当たりの推定必要カロリーを用いて計算してみましょう。

現在の体重に、以下の表から該当する性別・年齢・身体活動レベルに当てはまる体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせることで求められますよ。

【体重1kg当たりの推定必要カロリー(kcal)】
性別 男性 女性
身体活動 レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18〜29歳
35.5
41.5
47.4
33.2
38.7
44.2
30〜49歳
33.7
39.3
44.9
32.9
38.4
43.9
50〜64歳
32.7
38.2
43.6
31.1
36.2
41.4
65〜74歳
31.3
36.7
42.1
30.0
35.2
40.4
75歳以上
30.1
35.5
-
29.0
34.2
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

算出された値が、現在の体重を維持するのに必要な1日の推定必要カロリーです。

例えば身体活動レベルが普通(Ⅱ)に当たる30代女性で体重が45kgの場合、1日の推定必要カロリーは38.4(kcal)×45(kg)=1,728kcalとなります。

これを1日に摂取するカロリーの目安と考えると良いでしょう。

2-3.目標体重を目指したい場合

「もう少し痩せたいんだけど、摂取カロリーはどれくらいに抑えたら良いんだろう?」

「健康に良い体重ってどれくらいなのかな……」

現在の体重とご自身が理想と考える体重に差があるという方もいらっしゃいますよね。

理論上ご自身の目標とする体重のときに消費するカロリーを摂取すれば、体重は目標体重に近づきます 。

まずは目標体重を設定しましょう。

目標体重の設定に当たっては、BMIを参考にしてみましょう 。

BMIとは
肥満度を表すために用いられる国際的な体格指数です。[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出されます[2]。日本ではBMIが 18.5未満で「低体重(痩せ)」、18.5以上25未満で「普通体重」、25以上で「肥満」に分類されます [2]。

なおBMIが22のときの体重は「標準体重」と呼ばれ、統計上肥満と関連が深い糖尿病や高血圧、脂質異常症などの病気に最もかかりにくいことが分かっています [3]。

標準体重は[身長(m)の2乗]×22で求められます[3]。

どれくらいの体重を目標にすれば良いのか分からないという方は、ひとまず標準体重を目指してみると良いでしょう。

目標体重が決まったら、体重1kg当たりの推定必要カロリーと掛け合わせましょう。

【体重1kg当たりの推定必要カロリー(kcal)】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ) 低い(Ⅰ) 普通(Ⅱ) 高い(Ⅲ)
18~29歳
35.5
41.5
47.4
33.2
38.7
44.2
30~49歳
33.7
39.3
44.9
32.9
38.4
43.9
50~64歳
32.7
38.2
43.6
31.1
36.2
41.4
65~74歳
31.3
36.7
42.1
30.0
35.2
40.4
75歳以上
30.1
35.5
-
29.0
34.2
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

例えば目標体重が70kgで、身体活動レベルが普通(Ⅱ)に当たる60歳男性の場合、摂取カロリーの目安は38.2(kcal)×70(kg)=2,674kcalとなります。

特に肥満の方は健康を損ねるリスクもあるため、標準体重を目安に減量に取り組みましょう。

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康

3.消費カロリーの計算方法

河川敷でストレッチをする人

「毎日の消費カロリーを計算するにはどうすれば良いのかな?」

「日常生活や運動での消費カロリーがどのくらいなのか知りたい……」

ご自身の推定必要カロリーを把握したら、次は日々の消費カロリーも気になるのではないでしょうか。

消費カロリーは基礎代謝、食事誘発性熱産生(DIT)、身体活動の3種類に分けられます。

基礎代謝とは安静な状態で呼吸や心拍、体温維持など生命を保つために消費される必要最小限のエネルギーのことです。

また食事誘発性熱産生とは、食後に栄養素を分解する過程で生じるエネルギー消費のことです。

身体活動とは文字どおり体を動かすことを意味し、日常生活の動作と意図的な運動に大きく分けられます。

一般的には、総エネルギー消費量に対して基礎代謝が約60%、食事誘発性熱産生が約10%、身体活動が約30%を占めているといわれています[4]。

この章では基礎代謝と身体活動による消費カロリーの計算方法をご紹介します。

ただし消費カロリーは個人差が大きいといわれているので、あくまでおおまかな目安として参考にしてくださいね。

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝

3-1.基礎代謝量の計算方法

標準的な体格の方の基礎代謝量は以下の表のとおりです。

【参照体重における基礎代謝量】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
年齢 基礎代謝基準値 (kcal/kg 体重/日) 参照体重 (kg) 基礎代謝量 (kcal/日) 基礎代謝基準値 (kcal/kg 体重/日) 参照体重 (kg) 基礎代謝量 (kcal/日)
1~2歳
61.0
11.5
700
59.7
11.0
660
3~5歳
54.8
16.5
900
52.2
16.1
840
6~7歳
44.3
22.2
980
41.9
21.9
920
8~9歳
40.8
28.0
1,140
38.3
27.4
1,050
10~11歳
37.4
35.6
1,330
34.8
36.3
1,260
12~14歳
31.0
49.0
1,520
29.6
47.5
1,410
15~17歳
27.0
59.7
1,610
25.3
51.9
1,310
18~29歳
23.7
64.5
1,530
22.1
50.3
1,110
30~49歳
22.5
68.1
1,530
21.9
53.0
1,160
50~64歳
21.8
68.0
1,480
20.7
53.8
1,110
65~74歳
21.6
65.0
1,400
20.7
52.1
1,080
75歳以上
21.5
59.6
1,280
20.7
48.8
1,010

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

体重が参照体重に近い方は、そのままご自身の年代の基礎代謝量を参考にしてみてください。

また該当する年代の基礎代謝基準値とご自身の体重を掛け合わせても、おおまかな基礎代謝量を求められます。

ただし体重が参照体重からかけ離れている方や、BMIが痩せや肥満に該当する方は誤差が大きくなるため注意が必要です。

より詳細に基礎代謝量を知りたいという方は、以下の式から求めることができます。

【基礎代謝量の推定式】

  • 男性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.4235)×1,000÷4.186
  • 女性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1,000÷4.186

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

基礎代謝の推定式はいくつかありますが、上記の式は国立健康・栄養研究所によるもので、18~79歳の人において妥当性が確認されています[5]。

また肥満の方もBMIが30未満であれば問題なく測定可能です[5]。

身長180cm、体重75kgの25歳男性を例に考えてみましょう。

この方のBMIは23.15のため、上記の式から基礎代謝量を求められます。

上記の式に当てはめると(0.0481×75+0.0234×180-0.0138×25-0.4235)×1,000÷4.186となり、基礎代謝量は1,684kcal(小数第1位で四捨五入)です。

基礎代謝については以下の記事で詳しく解説しています。

基礎代謝を上げるには?運動や食事など日常生活のポイントを解説

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-2.身体活動による消費カロリーの計算方法

身体活動による消費カロリーは、身体活動の強度と継続時間、ご自身の体重から求められます

身体活動にはそれぞれ「メッツ」という強度が設定されており、身体活動量にはこれに継続時間(時)を掛け合わせた「メッツ・時」が用いられます。

まずは計測したい運動や生活活動のメッツを調べましょう。

身近な運動のメッツは以下の表のとおりです。

【主な運動のメッツ】
運動名 メッツ
ストレッチ
2.3
ボウリング
3.0
やや速いウォーキング(5.6km/時)
4.3
ゴルフ
4.8
かなり速いウォーキング(7.2km/時)
5.0
バドミントン
5.5
ジョギング
7.0
スキー
7.0
エアロビクスダンス
7.3
サイクリング(20km/時)
8.0
水泳(クロール、45.7m/分)
8.3
ランニング(8.0km/時)
8.3
ランニング(9.7km/時)
9.8

[10] 独立行政法人 国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』

また主な生活活動のメッツは以下の表のとおりです。

【主な生活活動のメッツ】
生活活動名 メッツ
テレビを見る
1.3
子どもの世話(幼児)
2.5
掃除(掃除機)
3.3
調理
3.3
散歩
3.5
草むしり
3.5
掃除(掃き掃除)
3.8
ガーデニング
3.8
部屋の片づけ
4.8
雪かき(人力)
6.0
農作業
7.8

[10] 独立行政法人 国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』

身体活動のメッツが分かったら、継続時間を掛けて身体活動量のメッツ・時を計算します。

この身体活動量とご自身の体重を以下の式に当てはめると、身体活動による消費カロリーが計算できます。

【身体活動による消費カロリーの計算式】

  • 消費カロリー(kcal)=[身体活動量(メッツ・時)]×[体重(kg)][6]

体重80kgの方が90分間かなり速いウォーキング(7.2km/時)をした場合を例に考えてみましょう。

かなり速いウォーキング(7.2km/時)のメッツは5.0のため、4.3×1.5で6.45メッツ・時となります。

この数値と体重を式に当てはめると6.45×80となり、消費カロリーは516kcalとなります。

国立研究開発法人 国立健康・栄養研究所が「身体活動のメッツ(METs)表」という資料を公開し、多くの運動や生活活動のメッツを紹介しているので参考にしてください。

身体活動のメッツ(METs)表

[6] 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023

4.カロリー源になる栄養素と理想的なバランス

食パンやフルーツなどの朝食と虫眼鏡

「エネルギー源になる栄養素はそれぞれどう違うんだろう」

「どの栄養素からカロリーを摂取しても良いのかな?」

1日の摂取カロリーを考えるに当たり、どの栄養素からどれくらいカロリーを摂取すれば良いのか気になりますよね。

エネルギー源となる栄養素は炭水化物(糖質)とたんぱく質、脂質で、健康のためにはこれらをバランス良く摂取することが重要です。

この章ではそれぞれの栄養素の性質と、摂取する上での理想的なバランスについて解説します。

4-1.炭水化物(糖質)

炭水化物はエネルギー産生栄養素の一種です。

炭水化物は消化・吸収されてエネルギー源になる糖質と、ほとんどエネルギーにならない食物繊維に大きく分けられます。

糖質は1g当たり4kcalのエネルギーを産生します[7]。

糖質はごはんやパン、麺類などの穀類、さつまいもやじゃがいもなどのいも類、バナナやぶどうなどの果物類、あめやせんべいなどの菓子類、砂糖や砂糖を材料に用いる飲食物などに多く含まれています。

糖質は重要なエネルギー源ですが、摂取し過ぎると脂肪として蓄えられて肥満の原因となります。

また糖尿病などの生活習慣病を招く恐れもあるため注意が必要です。

一方、食物繊維はヒトの消化酵素で消化できないためほとんどエネルギー源にはなりません

また炭水化物全体に占める食物繊維の割合もわずかであるため、炭水化物から摂取できるカロリーはほぼ糖質に由来するといえるでしょう。

食物繊維は便秘の予防といったおなかの調子を整える効果がよく知られていますが、それだけでなく消化管内の糖質や脂質、ナトリウム(塩分)を吸着して排出するはたらきもあります。

さらに糖質の吸収を緩やかにすることで血糖値の急上昇を抑制する効果も認められています。

このため食物繊維には肥満や高血糖、高血圧といった生活習慣病を予防・改善する効果が期待できるのです。

食物繊維が豊富な食品には、かぼちゃやごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、切り干し大根、いんげん豆、さつまいも、おから、納豆、しいたけ、ひじきなどがあります。

カロリー源になる糖質と健康の維持や改善に役立つ食物繊維は、いずれも重要な栄養素だといえるでしょう。

炭水化物については以下の記事で詳しく解説しています。

炭水化物を多く含んでいる食べ物は?摂取基準や健康的な食べ方も紹介

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4-2.脂質

脂質はエネルギー産生栄養素としてエネルギー源となる他、ホルモンや神経伝達物質といった生理活性物質や細胞膜の成分となります

メモ
生理活性物質は体の中で起こる現象に関わり、ごくわずかな量で影響を及ぼす物質です 。

脂質は糖質やたんぱく質よりもカロリーが高く、1g当たり9kcalのエネルギーを産生します[8]。

脂質は油や肉類、魚類、乳製品、ナッツ類などに多く含まれています 。

脂質は糖質と同様に摂り過ぎると体脂肪として蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因となるため注意してくださいね 。

脂質については以下の記事で詳しく解説しています。

脂質は1日にどれくらい摂取して良い?摂取目標量や過不足による影響

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4-3.たんぱく質

たんぱく質はエネルギー産生栄養素の一種としてカロリー源となる他、筋肉や臓器、肌や髪など体の組織の材料になります

また、ホルモンや酵素など体のさまざまな機能を調整する物質の成分にもなります。

酵素とは
消化や吸収、代謝など、生命を維持するためのさまざまな化学反応に欠かせないたんぱく質のことです。酵素のみではたらくものと、はたらくために「補酵素」と呼ばれるビタミンなどの他の物質を必要とするものがあります。

たんぱく質は1g当たり4kcalのエネルギーを産生します[9]。

たんぱく質は肉類や魚介類、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれている他、豆類などの植物性食品からも摂取できます。

たんぱく質の摂取量が不足すると体力や免疫機能の低下、成長障害などが起こる場合があります

このため、たんぱく質をしっかりと摂取するよう心掛けましょう。

たんぱく質については以下の記事で詳しく解説しています。

タンパク質の1日当たりの適切な摂取量とは?摂取源となる食品も紹介

[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4-4.エネルギー産生栄養素バランス

エネルギーは炭水化物、脂質、たんぱく質からバランス良く摂取するようにしましょう

厚生労働省は、1日の摂取カロリーに対し、各栄養素から摂取するカロリーのバランスの目標を設定しています。

このエネルギー産生栄養素バランスは、それぞれの栄養素の摂取不足の回避と生活習慣病の発症や重症化の予防を目的として定められたものです。

【エネルギー産生栄養素バランス(%)】
※横にスクロールできます
性別 男性 女性
栄養素 たんぱく質 脂質 炭水化物(糖質) たんぱく質 脂質 炭水化物(糖質)
1~2歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
3~5歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
6~7歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
8~9歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
10~11歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
12~14歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
15~17歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
18~29歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
30~49歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
50~64歳
14~20
20~30
50~65
14~20
20~30
50~65
65~74歳
15~20
20~30
50~65
15~20
20~30
50~65
75歳以上
15~20
20~30
50~65
15~20
20~30
50~65
妊婦(初期)
-
-
-
13~20
13~20
13~20
妊婦(中期)
-
-
-
13~20
13~20
13~20
妊婦(後期)
-
-
-
13~20
13~20
13~20
授乳婦
-
-
-
13~20
13~20
13~20

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ただしこのバランスは必要なカロリーを摂取することが前提のため、注意が必要です。

エネルギー産生栄養素の摂取バランスと、過不足ないカロリー摂取を両立させることが重要なのですね。

5.代表的な食品のカロリー

トースト、フルーツなどの朝食

「どの食べ物にどれくらいカロリーがあるんだろう……」

日々の食生活で口にする食べ物のカロリーがどれくらいか、気になりますよね。

この章では代表的な食品のカロリーを種別ごとにご紹介します。

毎日の献立の参考にしてくださいね。

5-1.主食

炊いたご飯

代表的な主食のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な主食の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
白ごはん
-
156
食パン
-
248
うどん
ゆで
95
スパゲティ
ゆで
150
中華麺
ゆで
133
そば
ゆで
130

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

主食のカロリーの多くは炭水化物に由来するものです。

5-2.肉

焼いた肉

代表的な肉のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な肉の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
豚ばら肉
生、脂身付き
366
牛ばら肉
生、脂身付き
338
鶏むね肉
生、皮付き
299
牛サーロイン肉
生、脂身付き
273
豚ロース肉
生、脂身付き
248
鶏もも肉
生、皮付き
190
牛ヒレ肉
123
豚ヒレ肉
118
鶏ささみ肉
98

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

肉類はたんぱく質の摂取源として重要な食品です。

牛肉や豚肉は脂身を、鶏肉は皮を取り除くことでカロリーを下げることができます

5-3.魚介類

お刺身

代表的な魚介類のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な魚介類の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
くろまぐろ(トロ)
308
ぶり
222
しろさけ
塩ざけ
183
くろまぐろ(赤身)
115
ブラックタイガー
77
するめいか
76
まだこ
70
ほたて貝
66
しじみ
54
あさり
29

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

魚類やえび、いか、たこなどは肉類と同様に重要なたんぱく質の摂取源となります

5-4.卵・乳製品

チーズ盛り合わせ

代表的な卵・乳製品のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な卵・乳製品の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
クリーム
-
404
鶏卵(卵黄)
336
プロセスチーズ
-
313
カマンベールチーズ
-
291
モッツァレラチーズ
-
269
うずら卵(全卵)
157
鶏卵(全卵)
142
ヨーグルトドリンク(加糖)
-
64
普通牛乳
-
61
ヨーグルト(全脂無糖)
-
56
鶏卵(卵白)
-
44
低脂肪加工乳
-
42

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

乳製品のなかにはたんぱく質や脂質を多く含むものがあり、特に脂質を多く含むものはカロリーが高い傾向にあります

5-5.野菜・いも

葉物野菜と根菜など

代表的な野菜・いものカロリーは以下のとおりです。

【代表的な野菜・いもの可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
さつまいも
126
かぼちゃ
78
じゃがいも
59
さといも
53
ブロッコリー
37
ねぎ
35
たまねぎ
33
にんじん
32
キャベツ
23
トマト
20
ピーマン
20
ほうれんそう
18
大根
15
もやし
15
きゅうり
13
白菜
13
レタス
11

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

野菜はカロリーが低い傾向にありますが、一部の根菜やいも類などは糖質を比較的多く含むためカロリーが若干高めです。

5-6.豆類・大豆製品

ねぎなどの薬味がのった冷奴

代表的な豆類・大豆製品のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な豆類・大豆製品の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
いり大豆(黄大豆)
-
429
油揚げ
377
あずき(つぶあん)
-
239
納豆
-
184
ひよこ豆
ゆで
149
いんげん豆
ゆで
127
大豆
水煮缶詰
124
おから
88
木綿豆腐
-
73
絹ごし豆腐
-
56

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

豆類や大豆製品は植物性食品のなかではたんぱく質が多く含まれています

5-7.きのこ

きのこ類

代表的なきのこのカロリーは以下のとおりです。

【代表的なきのこの可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
えのきたけ
34
エリンギ
31
ぶなしめじ
26
しいたけ
25
まいたけ
22
マッシュルーム
15
なめこ
14

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

きのこ類は総じてカロリーが低めな傾向にあります。

5-8.海藻

戻したわかめ

代表的な海藻のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な海藻の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
味付けのり
-
303
焼きのり
-
297
刻み昆布
-
119
乾燥わかめ
水戻し
20
ほしひじき
ゆで
11
もずく
-
4

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

のりや昆布などは一度に多く食べられないため、海藻類は一食当たりで考えるとカロリーはかなり低めです。

5-9.果物・ナッツ類

お皿に盛ったフルーツ

代表的な果物のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な果物の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
バナナ
93
63
ぶどう
58
パイナップル
54
キウイフルーツ
51
みかん
49
バレンシアオレンジ
42
なし
38

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

果物のカロリーのほとんどは炭水化物に由来するもので、たんぱく質や脂質はほとんど含まれていません。

代表的なナッツ類のカロリーは以下のとおりです。

【代表的なナッツ類の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
マカダミアナッツ(味付け)
いり
751
ヘーゼルナッツ(味付け)
フライ
701
ピスタチオ(味付け)
いり
617
らっかせい
いり
613
アーモンド(無塩)
いり
608
カシューナッツ(味付け)
フライ
591
甘ぐり
-
207

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ナッツ類の多くは脂質とたんぱく質を多く含んでいることからカロリーが高めです。

5-10.調理済み料理

お皿に盛ったからあげ

代表的な調理済み料理のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な調理済み料理の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
メンチカツ
-
273
カニクリームコロッケ
-
255
ポテトコロッケ
-
226
ぎょうざ
-
209
チャーハン
-
206
鶏から揚げ
-
204
ハンバーグステーキ
-
197
卵焼き
-
146
お好み焼き
-
136
えびグラタン
-
128
牛丼の具
-
122
ビーフカレー
-
119
親子丼の具
-
101
カップめん(しょうゆ味)
-
90
肉じゃが
-
78

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

市販の調理済食品を購入する際はカロリーをチェックすると良いでしょう。

5-11.お菓子類

ベリーのショートケーキ

代表的なお菓子類のカロリーは以下のとおりです。

【代表的なお菓子類の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
ミルクチョコレート
-
550
ポテトチップス
-
541
しょうゆせんべい
-
368
ドーナツ
-
367
ショートケーキ(いちご)
-
314
カステラ
-
313
ベイクドチーズケーキ
-
299
アップルパイ
-
294
シュークリーム
-
211
みたらしだんご
-
194
カスタードプリン
-
116

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

主に間食で食べることを考えると、かなり高カロリーな食品が多いといえるでしょう。

メモ
間食で摂取するカロリーは1日当たり200kcal程度が適量だといわれています[10]。

[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)

5-12.飲み物類

グラスに注がれたオレンジジュース

代表的な嗜好(しこう)飲料のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な嗜好飲料の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
りんごジュース
-
47
オレンジジュース
-
46
ぶどうジュース
-
46
コーラ
-
46
パイナップルジュース
-
45
コーヒー(ブラック)
-
4
緑茶
-
2
紅茶(ストレート)
-
1
ほうじ茶
-
0
ウーロン茶
-
0

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

砂糖を入れないコーヒーやお茶はカロリーが極めて低いことが特徴です。

また代表的な酒類のカロリーは以下のとおりです。

【代表的な酒類の可食部100g当たりのカロリー(kcal)】
食品名 加工状態など カロリー
ウイスキー
-
234
焼酎(甲類)
-
203
梅酒
-
155
焼酎(乙類)
-
144
日本酒(純米酒)
-
102
白ワイン
-
75
赤ワイン
-
68
レモン酎ハイ
-
51
ビール
-
39

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

アルコールは酵母が糖を発酵させることで生じる物質で、エネルギー産生栄養素とは別に1g当たり7.1kcalのエネルギーを生み出します[11]。

[11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールのエネルギー(カロリー)

6.カロリーについてのまとめ

カロリーはヒトが食事などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの単位です。

食事などから摂取するエネルギーの量を摂取カロリーと呼びます。

その元となるのは炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質という三つのエネルギー産生栄養素です。

またヒトが消費するエネルギーの量は消費カロリーと呼ばれ、基礎代謝、食事誘発性熱産生(DIT)、身体活動の3種類に分けられます。

カロリーと体重は密接に関係しており、摂取カロリーが消費カロリーよりも多いと体重が増加し、消費カロリーが摂取カロリーよりも多いと体重が減少します

1日に必要となる摂取カロリーは体格や日々の身体活動量に加え、体重を維持したいのか、目指す目標体重があるのかによっても変わります。

肥満の方は肥満と関連が深い生活習慣病に最もかかりにくい標準体重を目指すと良いでしょう。

一方、消費カロリーのうち、基礎代謝量は体重や身長、年齢などを用いた推定式で計算ができます。

また身体活動による消費カロリーはメッツという運動の強度と体重、実施時間を用いて求められます。

ただし消費カロリーには大きな個人差があるので参考程度にとどめておきましょう。

食品のカロリーはエネルギー産生栄養素がどれくらい含まれているかによって異なり、特に脂質の多いものは高い傾向にあります。

それぞれの食品のカロリーを把握し、過不足なく摂取すると良いでしょう。

この記事を適切なカロリーの摂取と消費のための参考にしてくださいね。

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