「水溶性ビタミンって何だろう?」
水溶性ビタミンという言葉を見聞きしたことはあっても、具体的にどのビタミンが該当するのか、それぞれのビタミンにどんなはたらきがあるのかといったことはよくご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
水溶性ビタミンはビタミンのうち、水に溶けやすく油に溶けにくい性質を持つものの総称です。
8種類から成るビタミンB群とビタミンCが該当します。
水溶性ビタミンはそれぞれに異なるはたらきを持ちますがいずれも体に欠かせないものです。
この記事では水溶性ビタミンの種類やはたらき、過不足による影響、食事摂取基準などを解説します。
1.水溶性ビタミンの定義と種類
「水溶性ビタミンにはどんなものがあるのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビタミンという言葉には比較的なじみがありますが、具体的にどんな種類があるのか、それぞれどんな特徴があるのかということについてはなかなか知る機会がないものですよね。
水溶性ビタミンについて説明するために、まずはビタミンについて簡単に解説しましょう。
ビタミンとはヒトの体の機能を正常に保つために必要な「有機化合物」の総称です。
ビタミンは全部で13種類あり[1]、それぞれが体内のさまざまな代謝に関わっています。
ビタミンは体内で合成できないか、合成できたとしても量が十分でないため、食事から摂取する必要があります。
いずれも不足すると体に不調を来す恐れがあるため要注意です。
ビタミンはその性質の違いから「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に分けられます。
水溶性ビタミンはビタミンのうち水に溶けやすく油に溶けにくいもののことです。
ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン)、ビタミンCの9種類が該当します[1]。
体内では血液などの体液に溶け込んでおり、摂り過ぎても体内には蓄積されず、尿として排せつされます。
このため水溶性ビタミンの過剰摂取による不調が起こる心配はあまりない一方で、毎日一定の量を摂取することが理想的だといわれています。
次の章からは、水溶性ビタミンのはたらきや摂取すべき基準となる量、摂取源について順にご説明しましょう。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
【関連情報】 「ビタミンとは?13種類のビタミンのはたらきと食事摂取基準を紹介」についての記事はこちら
2.水溶性ビタミンのはたらき
「水溶性ビタミンにはどんなはたらきがあるんだろう?」
9種類ある水溶性ビタミンが体内でどのように作用しているのか、知っておきたいものですよね。
一口に水溶性ビタミンといっても、はたらきはそれぞれに異なります。
ここでは水溶性ビタミンそれぞれのはたらきをご紹介しましょう。
種類 | 主なはたらき |
---|---|
ビタミンB1 | ・糖質からのエネルギー代謝に関わる ・皮膚や粘膜の健康維持に関わる |
ビタミンB2 | ・エネルギー代謝に関わる ・成長を促進する ・皮膚や粘膜を保護する |
ナイアシン | ・脂肪酸の合成、ステロイドホルモンの合成などに関わる ・「活性酸素」に対抗するはたらきに関わる ・皮膚や粘膜の健康維持に関わる |
ビタミンB6 | ・たんぱく質の代謝に関わる ・免疫機能の維持に関わる ・皮膚や粘膜の健康維持に関わる |
ビタミンB12 | ・アミノ酸や脂質の代謝に関わる ・赤血球の形成を助ける |
葉酸 | ・アミノ酸の代謝やたんぱく質の合成、DNAの合成などに関わる ・赤血球の形成を助ける |
パントテン酸 | ・エネルギーを生み出す過程や脂質の代謝に関わる ・皮膚や粘膜の健康を維持する |
ビオチン | ・糖や脂肪酸、アミノ酸の代謝に関わる ・皮膚や粘膜の健康維持を助ける |
ビタミンC | ・コラーゲンをつくる ・活性酸素を除去する |
2-1.ビタミンB1のはたらき
ビタミンB1は糖質の代謝に欠かせない水溶性ビタミンです。
ビタミンB1は糖質からエネルギーを生み出すはたらきに「補酵素」として関わっています。
糖質はエネルギー源として欠かせないものですが、それだけではエネルギー源として使うことはできず、ビタミンB1などの補酵素の助けが必要なのですね。
またビタミンB1は一部のアミノ酸の代謝にも補酵素として関与しています。
ビタミンB1は「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」とも呼ばれる「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3種類の必須アミノ酸の代謝に関わっています。
これらの必須アミノ酸は筋肉をつくる上で重要なはたらきをするといわれています。
またビタミンB1は皮膚や粘膜の健康維持にも関与しています。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸」
2-2.ビタミンB2のはたらき
ビタミンB2はエネルギーを生み出す上で重要なはたらきをする水溶性ビタミンです。
補酵素としてエネルギー代謝に関わっています。
また成長を促進したり、皮膚や粘膜を保護したりといった作用もあります。
2-3.ナイアシンのはたらき
ナイアシンは体内ではさまざまな代謝に補酵素として必要とされる水溶性ビタミンです。
エネルギーを生み出すはたらきや、脂質の構成要素である脂肪酸の合成、ステロイドホルモンの合成などに関与します。
またナイアシンはビタミンCやビタミンEを介した、「活性酸素」に対抗するはたらきにも関与しています。
この他、ナイアシンはDNAの修復や合成、細胞の分化においても作用します。
このようにさまざまなはたらきをするナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持にも関わっているといわれています。
なお、ナイアシンは植物性食品には「ニコチン酸」、動物性食品には「ニコチンアミド」として含まれています。
またナイアシンは必須アミノ酸のトリプトファンから合成することも可能です。
このためナイアシンの量はナイアシンにトリプトファンから合成されるナイアシンの量を足した「ナイアシン当量(NE)」で表されます。
2-4.ビタミンB6のはたらき
ビタミンB6はたんぱく質、脂質、炭水化物の代謝に補酵素として関わる水溶性ビタミンです。
特にたんぱく質の代謝においては重要なはたらきをしています。
免疫機能の維持にも重要だといわれているので、しっかり摂取しておきましょう。
またビタミンB6は神経伝達物質の一種である「生理活性アミン」の代謝に補酵素として関わったり、ホルモンの調節因子としてはたらいたりもしています。
皮膚や粘膜の健康維持を助けるともいわれていますよ。
2-5.ビタミンB12のはたらき
ビタミンB12は、体内ではアミノ酸や脂質の代謝の補酵素としてはたらきます。
また赤血球の形成を助けるはたらきもしています。
ビタミンB12は葉酸と共に赤血球の細胞骨格の維持に関わっているのです。
2-6.葉酸のはたらき
葉酸は体内でアミノ酸の代謝やたんぱく質の合成、DNAの合成などに関わっています。
細胞の増殖において重要なはたらきをする水溶性ビタミンです。
特に胎児の脳や脊髄などの元となる神経管形成に欠かせないため、妊娠を計画している方や妊娠中の方はしっかりと摂取することが推奨されています。
また葉酸にはビタミンB12と共に赤血球の形成を助けるはたらきもあります。
老若男女にとって重要な栄養素であることが分かりますね。
2-7.パントテン酸のはたらき
パントテン酸は補酵素の構成成分としてはたらく水溶性ビタミンです。
特にエネルギーを生み出す過程や脂質の代謝において重要なはたらきをしています。
またパントテン酸には皮膚や粘膜の健康を維持する作用もあります。
2-8.ビオチンのはたらき
ビオチンの主なはたらきは糖や脂肪酸、アミノ酸の代謝に関わる補酵素としてエネルギー産生のサポートをすることです。
ヒトの活動に必要なエネルギー源を栄養素からつくりだすのに欠かせない栄養素といえますね。
また、皮膚や粘膜の健康維持を助けるはたらきもあります。
その他、抗炎症物質を生成しアレルギー症状を和らげる作用があるといわれています。
2-9.ビタミンCのはたらき
ビタミンCは皮膚や腱(けん)、軟骨などを構成するたんぱく質の一種「コラーゲン」をつくるために必須の水溶性ビタミンです。
またビタミンCには抗酸化作用があることが知られています。
体内ではビタミンEと共に活性酸素を除去し、細胞を保護しています。
3.水溶性ビタミンの過不足による影響
「水溶性ビタミンを十分に摂れていないとどうなるんだろう?」
「水溶性ビタミンは摂り過ぎても良くないのかな?」
このように不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビタミンはいずれもヒトの体の機能を正常に保つため不可欠な物質です。
そのため不足するとさまざまな不調を招く恐れがあります。
また水溶性ビタミンは摂り過ぎても尿として排出されるため過剰摂取による不調が起こることはあまりありませんが、一部の水溶性ビタミンは過剰摂取すると体の害になる場合があります。
ここでは、水溶性ビタミンの過不足による影響をお伝えしましょう。
種類 | 不足による影響 | 過剰摂取による影響 |
---|---|---|
ビタミンB1 | 脚気、ウェルニッケ脳症 | 特になし |
ビタミンB2 | 成長障害、皮膚炎、口角炎、舌炎、咽頭炎など | 特になし |
ナイアシン | ペラグラ(皮膚炎や下痢、認知機能の低下など) | ニコチン酸の過剰摂取によるフラッシング
ニコチンアミドの過剰摂取による胃腸や肝臓の障害、消化性潰瘍の悪化 ※通常の食事ではなし |
ビタミンB6 | 湿疹、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、貧血、免疫機能の低下など | 神経の障害、骨の痛み、筋肉の弱化など ※通常の食事ではなし |
ビタミンB12 | 巨赤芽球性貧血、手足のしびれ、感覚異常、記憶障害、うつ病など | 特になし |
葉酸 | 巨赤芽球性貧血、動脈硬化のリスク増大など | 通常の食事ではなし |
パントテン酸 | 手足のしびれ、灼熱(しゃくねつ)感、頭痛、疲労、不眠、胃の不快感を伴う食欲不振など | 特になし |
ビオチン | 食欲不振、吐き気、うつ症状、舌炎、皮膚炎、筋肉痛、結膜炎、脱毛、けいれん、知覚過敏など | 特になし |
ビタミンC | 倦怠(けんたい)感や疲労感、気力低下、壊血病など | 通常の食事ではなし |
3-1.ビタミンB1の過不足による影響
ビタミンB1の不足は、糖質を主なエネルギー源としている脳や神経に影響を及ぼします。
特に精白米を常食している東洋人では、ビタミンB1が不足すると「脚気(かっけ)」が見られる場合があります。
脚気は国内では明治時代、精白米が普及したことで「国民病」と呼ばれるほど流行していましたが[3]、現在では医学が進歩しビタミンの研究が進んだことでほとんど見られなくなっています。
しかし食生活が偏っており長期的にビタミンB1を十分に摂取できていない場合には脚気になるリスクもあるため注意が必要です。
特に糖質の多い食品やアルコールを多量に摂取した際にはビタミンB1の需要が高まり、不足が起こりやすくなるといわれています。
またアルコールを多く飲む西洋人においてビタミンB1が不足した場合は、「ウェルニッケ脳症」が見られる場合があります。
ビタミンB1が不足すると重篤な病気を招くため、しっかりと摂取しておくことが重要なのですね。
なお、食事やサプリメントによってビタミンB1を摂取しても、健康に悪影響が及んだという報告はありません。
過剰摂取による不調の心配はないといえるでしょう。
[3] 農林水産省「脚気の発生」
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-2.ビタミンB2の過不足による影響
ビタミンB2が不足すると成長障害や皮膚炎、口角炎、舌炎、咽頭炎などが見られます。
ビタミンB2はエネルギー代謝に関わっているため、不足すると細胞が成長することができなくなってしまいます。
このため成長期の子どもがビタミンB2を十分に摂取しないと、成長が遅れたり、体重が増えなくなったりといった成長障害を起こす恐れがあるのです。
ビタミンB2不足は食事からの摂取量が不足した場合の他、代謝異常や肝臓の病気、糖尿病などの病気がある場合、特定の薬を服用している場合などに起こりやすいといわれています。
ただしビタミンB2が単独で不足することはまれで、他のビタミン不足と同時に起こることが知られています。
ビタミンはバランス良く摂っておくことが重要なのですね。
一方、ビタミンB2を多く摂取しても尿を通じて排せつされるため、過剰摂取による悪影響はあまり見られません。
ビタミンB2は黄色をしているため摂り過ぎると尿の色が濃くなることはありますが、健康に問題はないといえるでしょう。
3-3.ナイアシンの過不足による影響
ナイアシンが不足すると「ペラグラ」という病気になることが分かっています。
ペラグラでは皮膚や粘膜、消化管、中枢神経など幅広い場所に症状が現れ、皮膚炎や下痢、認知機能の低下などを引き起こします。
ペラグラは治療しないと死に至ることもある重篤な病気です。
日本ではまれですが、アルコール依存症患者においてたんぱく質や他のビタミンと共にナイアシンが不足しているケースが見られることがあります。
また水溶性ビタミンには珍しく、ナイアシンは過剰症が見られるビタミンです。
植物性食品に含まれるニコチン酸は摂り過ぎると顔が紅潮したり、むず痒くなったりする「フラッシング」と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。
一方、動物性食品に含まれるニコチンアミドを過剰摂取すると、胃腸や肝臓の障害、消化性潰瘍の悪化が見られることが分かっています。
ただし通常の食事をしていて過剰摂取による害が現れたという報告はありません。
大きな心配をする必要はないといえるでしょう。
3-4.ビタミンB6の過不足による影響
ビタミンB6の不足は湿疹や口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、貧血、免疫力の低下などのさまざまな症状を引き起こします。
また成人ではうつ状態や錯乱、脳波の異常、けいれんといった症状が現れる場合もあります。
ただしビタミンB6が単独で不足することはまれで、多くの場合は他のビタミン不足と同時に起こります。
なお、ビタミンB6の不足はビタミンB6が十分でない食生活を続けていた場合の他、降圧剤の「ヒドララジン」などビタミンB6を阻害する一部の薬の服用を続けていた場合にも起こります。
一方、ビタミンB6を多量に摂取し過ぎた場合、神経の障害や骨の痛みが起こったり、筋肉が弱ったりすることが分かっています。
また男性では精巣の萎縮や精子数の減少が見られます。
しかし通常の食事を摂取していて過剰摂取による健康被害が生じたという報告はないので、心配する必要はあまりないといえるでしょう。
3-5.ビタミンB12の過不足による影響
ビタミンB12が欠乏した場合、「巨赤芽球性貧血」という貧血が起こることが分かっています。
またこの他に、手足のしびれや感覚異常、記憶障害、うつ病といった症状が現れる場合もあります。
一方、ビタミンB12を過剰に摂取しても体内で吸収量が調節されるため、過剰摂取による影響が現れた例は確認されていません。
3-6.葉酸の過不足による影響
葉酸の不足は、ビタミンB12不足と同様に巨赤芽球性貧血の原因となります。
また葉酸が不足すると動脈硬化のリスクを高める「ホモシステイン」という物質の血中濃度が上昇することが分かっています。
さらに、葉酸はDNA合成や細胞の増殖に関わるため、妊婦の葉酸欠乏は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを高めるといわれています。
厚生労働省は神経管閉鎖障害を防ぐため、妊娠を計画している方や妊娠の可能性がある方、妊娠初期の方を対象にサプリメントなどから葉酸を1日当たり400μg摂取することを推奨しています[5]。
葉酸の不足による不調は食事からの摂取が十分でない場合の他、腸からの吸収が不十分な場合にも起こります。
一方、食事から葉酸を過剰摂取した場合の健康被害は認められていません。
ただしサプリメントなどで人工的に合成された葉酸は、過剰摂取すると神経症状を引き起こすことが分かっています。
サプリメントなどの摂り過ぎには注意しておきましょう。
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-7.パントテン酸の過不足による影響
パントテン酸が不足すると、手足のしびれや灼熱感、頭痛、疲労、不眠などの他、胃の不快感を伴う食欲不振が起こることが分かっています。
また成長が停止したり、副腎が傷つけられたりする場合もあります。
ただしパントテン酸はさまざまな食品に含まれているため、ヒトにおいて欠乏症が起こることはまれです。
また通常の食事をしている方においては過剰摂取による悪影響も確認されていません。
3-8.ビオチンの過不足による影響
ビオチンはさまざまな食品に含まれており、通常の食生活を送っている方では不足の心配はあまりありません。
ただし生の卵白を長期間にわたり多量に摂取した場合は、消化管でのビオチンの吸収が阻害され、ビオチン欠乏症になる場合があります。
また、抗けいれん薬を長期間内服している方や長期間透析を受けている方もビオチン欠乏が起こる場合があります。
ビオチンが不足すると食欲不振や吐き気、うつ症状、舌炎、皮膚炎、筋肉痛、結膜炎、脱毛、けいれん、知覚過敏などさまざまな症状が起こることが分かっています。
またビオチンの不足はリウマチ、シェーグレン症候群、クローン病といった免疫不全症や、糖尿病の発症に関与しているといわれています。
一方、ビオチンを過剰に摂取した場合は速やかに尿中に排せつされるため、通常の食事を摂っていて過剰摂取による不調が起こったという報告は確認されていません。
ただし妊娠中の哺乳動物に多量のビオチンを投与すると胎盤や卵巣の委縮が起こるという報告があるため、妊娠中に多量に摂取することは避けておきましょう。
3-9.ビタミンCの過不足による影響
ビタミンCが不足すると倦怠感や疲労感、気力低下といった症状が現れるといわれています。
また不足が深刻化なると、「壊血病」という病気を発症する恐れがあります。
壊血病はコラーゲンの合成ができなくなることにより血管がもろくなり、血が出やすくなる病気です。
皮膚の下や歯茎からの出血、貧血の他、疲労感やイライラ、筋肉の減少、呼吸困難、心臓の障害といった症状が現れ、顔色が悪くなることもあります。
ビタミンC不足は食生活に偏りがあり野菜や果物の摂取が少ない方の他、アルコール依存症や薬物依存症のある方に多く見られます。
また喫煙や受動喫煙を習慣的にしている方は非喫煙者よりもビタミンCの必要性が高まるといわれているため、ビタミンC不足のリスクが高いといえるでしょう。
一方、通常の食事をしていてビタミンCの過剰摂取による健康への害が生じたという報告は確認されていません。
ただしサプリメントによる過剰摂取では吐き気や下痢、腹痛が見られる場合があるため要注意です。
また腎臓の機能が低下していると尿路結石ができやすくなるといわれています。
4.水溶性ビタミンの食事摂取基準
「水溶性ビタミンをどれくらい摂っていたら健康を保てるんだろう?」
このように気になっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
厚生労働省は健康な人を対象に、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防を目的として、「食事摂取基準」と呼ばれる1日当たりの栄養素の摂取量の基準を設定しています。
ここでは水溶性ビタミンの食事摂取基準の一部をご紹介しましょう。
本記事では18歳以上の男女の食事摂取基準をご紹介しています。
未成年の方は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の「乳児・小児」の項、妊娠中・授乳中の方は「妊婦・授乳婦」の項をご覧ください。
4-1.ビタミンB1の推奨量
成人のビタミンB1の推奨量は以下の表のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18〜29歳 | 1.4mg | 1.1mg |
30〜49歳 | 1.4mg | 1.1mg |
50〜64歳 | 1.3mg | 1.1mg |
65〜74歳 | 1.3mg | 1.1mg |
75歳以上 | 1.2mg | 0.9mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
なおビタミンB1の20歳以上の平均摂取量は男性で1.03mg、女性で0.88mgです[6]。
推奨量を満たすビタミンB1を摂取できていない方が多いと思われるので意識して摂取しておきましょう。
[6] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-2.ビタミンB2の推奨量
成人のビタミンB2推奨量は以下の表のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18〜29歳 | 1.6mg | 1.2mg |
30〜49歳 | 1.6mg | 1.2mg |
50〜64歳 | 1.5mg | 1.2mg |
65〜74歳 | 1.5mg | 1.2mg |
75歳以上 | 1.3mg | 1.0mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
20歳以上のビタミンB2平均摂取量は男性で1.25mg、女性で1.13mgです[7]。
多くの世代で平均摂取量が推奨量を下回っているので意識的に摂取しましょう。
[7] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-3.ナイアシンの推奨量および耐容上限量
ナイアシンには耐容上限量が設定されています。
ナイアシンの過剰摂取による不調は動物性食品に含まれるニコチンアミドと植物性食品に含まれるニコチン酸で異なるため、耐容上限量はそれぞれに対し設定されています。
成人のナイアシンの推奨量および耐容上限量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |||
ニコチンアミド | ニコチン酸 | ニコチンアミド | ニコチン酸 | |||
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50〜64歳 | ||||||
65〜74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
20歳以上のナイアシン平均摂取量は男性で34.5mg、女性で28.6mgです[8]。
多くの方が十分摂取できている栄養素だといえるでしょう。
[8] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-4.ビタミンB6の推奨量
成人のビタミンB6の推奨量は以下の表のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 1.4mg | 1.1mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
20歳以上のビタミンB6の平均摂取量は男性で1.30mg、女性で1.12mgです[9]。
年代別のデータでは平均摂取量が推奨量を超えている層もありますが[9]、十分摂取するよう心掛けておきましょう。
[9] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-5.ビタミンB12の推奨量
ビタミンB12の推奨量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 2.4μg | 2.4μg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
20歳以上の男性の平均摂取量は7.3μg、同じく女性の平均摂取量は5.9μgです[10]。
一般的には十分摂取されているビタミンだといえますね。
[10] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-6.葉酸の推奨量および耐容上限量
葉酸には耐容上限量が設定されています。
葉酸の推奨量および耐容上限量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
18〜29歳 | ||||
30〜49歳 | ||||
50〜64歳 | ||||
65〜74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
葉酸の20歳以上の平均摂取量は男性で310μg、女性で295μgです[11]。
概ね十分に摂取されているビタミンだといえますが、妊娠を計画している方や妊娠中・授乳婦の方はさらに多くの葉酸を摂取する必要があります。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
葉酸とは?はたらきや食事摂取基準、多く含まれる食品などを紹介
[11] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-7.パントテン酸の目安量
パントテン酸には目安量が設定されています。
成人のパントテン酸の目安量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18〜29歳 | 5mg | 5mg |
30〜49歳 | 5mg | 5mg |
50〜64歳 | 6mg | 5mg |
65〜74歳 | 6mg | 5mg |
75歳以上 | 6mg | 5mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
20歳以上のパントテン酸平均摂取量は男性で6.05mg、女性で5.30mgです[12]。
若い世代では平均摂取量が目安量を下回っているケースも見られるので、しっかり摂取するよう心掛けましょう。
[12] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
4-8.ビオチンの目安量
ビオチンには目安量が設定されています。
成人のビオチン目安量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 50μg | 50μg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
なお厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」においてビオチンの平均摂取量は調査されていないため不明です。
4-9.ビタミンCの推奨量
ビタミンCの推奨量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
18歳以上 | 100mg | 100mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビタミンCの平均摂取量は20歳以上の男性で96mg、同じく女性で101mgです[13]。
特に若い世代では大きく推奨量を下回っている層が見られるので、積極的に摂取するよう心掛けましょう。
[13] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
5.水溶性ビタミンを含む食べ物
「水溶性ビタミンはどんな食べ物に含まれているんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
栄養バランスの取れた食事を摂りたいものですよね。
この章では、水溶性ビタミンの摂取源となる食品をご紹介しましょう。
種類 | 食品 |
---|---|
ビタミンB1 | 豚肉、豆類、ナッツ類など |
ビタミンB2 | レバー、ハツ、卵、アーモンドなど |
ナイアシン | 肉類、赤身魚、らっかせいなど |
ビタミンB6 | 赤身魚、レバー、にんにく、ナッツ類など |
ビタミンB12 | 二枚貝、レバー、のりなど |
葉酸 | レバー、卵、ブロッコリーなど |
パントテン酸 | レバー、ハツ、魚卵、納豆など |
ビオチン | レバー、卵、豆類、ナッツ類など |
ビタミンC | ピーマン、キウイフルーツ、レモンなど |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
5-1.ビタミンB1を含む食べ物
ビタミンB1は動物性食品では豚肉などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
豚ヒレ肉(赤肉) | ||
豚もも肉(赤肉) | ||
生ハム | ||
豚ロース肉(赤肉) | ||
豚肩肉(赤肉) | ||
うなぎ | ||
たらこ(すけとうだら) | ||
ロースハム | ||
豚ロース(脂身付き) | ||
イクラ(しろさけ) |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB1は植物性食品では豆類やナッツ類などに含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
黄大豆(米国産) | ||
カシューナッツ | ||
ごま | ||
あずき | ||
ピスタチオ | ||
玄米 | ||
そば(乾麺) | ||
発芽玄米 | ||
えだまめ | ||
そらまめ(未熟豆) |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
動物性食品からも植物性食品からも比較的摂りやすいビタミンであるといえるでしょう。
5-2.ビタミンB2を含む食べ物
ビタミンB2は内臓肉や乳製品、卵など動物性の食品に比較的多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
豚レバー | ||
牛レバー | ||
鶏レバー | ||
鶏ハツ | ||
豚ハツ | ||
牛ハツ | ||
うなぎ | ||
カマンベールチーズ | ||
鶏卵 | ||
牛ハラミ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また1食当たりの摂取量はやや少なくなりますが、植物性食品からもビタミンB2を摂取することは可能です。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
焼きのり | ||
アーモンド | ||
乾燥わかめ | ||
納豆 | ||
モロヘイヤ | ||
干しひじき | ||
マッシュルーム | ||
ヘーゼルナッツ | ||
ブロッコリー | ||
エリンギ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
植物性食品では焼きのりや納豆など身近な食材に含まれているので、日々の食卓に意識して取り入れると良いでしょう。
5-3.ナイアシンを含む食べ物
ナイアシンは動物性食品では肉類や赤身の魚などから摂取できます。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
たらこ(すけとうだら) | ||
びんながまぐろ | ||
かつお(春獲り) | ||
豚レバー | ||
かつお油漬けフレーク | ||
牛レバー | ||
鶏ささみ | ||
鶏むね肉 | ||
まさば | ||
パルメザンチーズ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また植物性食品ではきのこ類や豆類、ナッツ類などから摂取できます。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
らっかせい | ||
焼きのり | ||
黄大豆(米国産) | ||
玄米 | ||
アーモンド | ||
えのきたけ | ||
エリンギ | ||
ぶなしめじ | ||
油揚げ | ||
納豆 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ナイアシンは野菜にはあまり含まれていませんが、きのこ類や豆類などを取り入れることでしっかり摂取できると考えられますね。
5-4.ビタミンB6を含む食べ物
ビタミンB6は動物性食品ではレバーや赤身の魚などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
みなみまぐろ(赤身) | ||
びんながまぐろ | ||
牛レバー | ||
天然くろまぐろ(赤身) | ||
かつお(春獲り) | ||
鶏レバー | ||
鶏むね肉 | ||
しろさけ | ||
鶏ささみ | ||
まさば |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また1食当たりの摂取量は減ってしまいますが、植物性食品ではナッツ類などから摂取可能です。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
にんにく | ||
ピスタチオ | ||
くるみ | ||
らっかせい | ||
黄大豆(米国産) | ||
ししとう | ||
赤ピーマン(パプリカ) | ||
モロヘイヤ | ||
ブロッコリー | ||
納豆 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
バランスの取れた食事を心掛け、ビタミンB6をしっかり摂取しておきましょう。
5-5.ビタミンB12を含む食べ物
ビタミンB12は微生物によって合成され、植物性食品にはほとんど含まれません。
このため主には動物性食品から摂取され、なかでも二枚貝やレバーなどに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しじみ | ||
牛レバー | ||
イクラ(しろさけ) | ||
あさり | ||
鶏レバー | ||
あんこう肝 | ||
はまぐり | ||
豚レバー | ||
かき(養殖) | ||
たらこ(すけとうだら) | ||
さんま | ||
まいわし | ||
ほたるいか | ||
まさば | ||
牛ハツ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
植物性食品ではのりなどの海藻類から摂取できますが、1食当たりに摂取できる量は動物性食品よりもかなり少ないと考えられるでしょう。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
味付けのり | ||
焼きのり | ||
あおさ | ||
カットわかめ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
菜食主義者ではビタミンB12の不足が起こりやすいことが分かっています。
動物性食品からの摂取が難しい場合はサプリメントなどで補うことも検討しましょう。
5-6.葉酸を含む食べ物
葉酸はほうれんそうから発見されたビタミンですが、レバーなどの内臓肉や貝などの動物性食品からも摂取できます。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
鶏レバー | ||
牛レバー | ||
豚レバー | ||
鶏卵(全卵) | ||
カマンベールチーズ | ||
鶏ハツ(心臓) | ||
うに | ||
イクラ(しろさけ) | ||
あんこう肝 | ||
ほたて |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また植物性食品では、葉物野菜などに含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
焼きのり | ||
えだまめ | ||
モロヘイヤ | ||
ブロッコリー | ||
ほうれんそう | ||
アスパラガス | ||
ルッコラ | ||
納豆 | ||
あまぐり(中国ぐり) | ||
マンゴー |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
さまざまな食品をバランス良く食べ、葉酸をしっかりと摂取しておきましょう。
5-7.パントテン酸を含む食べ物
パントテン酸の名前は、「至るところに存在する酸」という意味のギリシャ語に由来しています。
その名のとおり、さまざまな食品に含まれているのが特徴です。
なかでも動物性食品では内臓肉や魚卵などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
鶏レバー | ||
豚レバー | ||
牛レバー | ||
鶏ハツ(心臓) | ||
たらこ(すけとうだら) | ||
豚ハツ(心臓) | ||
イクラ(しろさけ) | ||
牛ハツ(心臓) | ||
鶏ささみ | ||
鶏むね肉 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また植物性食品では特定の食品群に多く含まれているというより、まさにさまざまなものに含まれるといえるでしょう。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
納豆 | ||
らっかせい | ||
モロヘイヤ | ||
アボカド | ||
黄大豆(米国産) | ||
ブロッコリー | ||
えのきたけ | ||
カシューナッツ | ||
そば(乾麺) | ||
さつまいも |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
バランスの良い食生活を送っていれば、知らず知らずのうちにさまざまな食品からパントテン酸を摂取していることになるかもしれませんね。
5-8.ビオチンを含む食べ物
ビオチンは動物性食品ではレバー類や鶏卵、魚介類などに含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
鶏レバー | ||
豚レバー | ||
牛レバー | ||
鶏卵 | ||
鶏卵 | ||
まがれい | ||
あさり | ||
たらこ(すけとうだら) | ||
まいわし | ||
まかじき |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
また植物性食品では豆類やナッツ類などに含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
らっかせい | ||
ヘーゼルナッツ | ||
焼きのり | ||
黄大豆(米国産) | ||
まいたけ | ||
キヌア | ||
納豆 | ||
モロヘイヤ | ||
ブロッコリー | ||
えだまめ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
これらの食品を食卓に取り入れ、ビオチンを十分摂取しておきましょう。
5-9.ビタミンCを含む食べ物
ビタミンCはレバー類や豚の加工食品、たらこなどの他は、動物性食品に含まれていることはほとんどありません。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
からしめんたいこ | ||
豚ばらベーコン | ||
豚ショルダーハム | ||
焼きちくわ | ||
ウインナーソーセージ | ||
牛レバー | ||
豚ロースハム | ||
鶏レバー | ||
豚レバー | ||
たらこ(すけとうだら) |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
一方、植物性食品では野菜や果物に豊富に含まれています。
ビタミンCを多く含む食品として知られるレモンの他に、ピーマンやキウイフルーツ、ブロッコリーなどからビタミンCを摂取できます。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
焼きのり | ||
赤ピーマン(パプリカ) | ||
黄ピーマン(パプリカ) | ||
ブロッコリー | ||
キウイフルーツ(黄肉種) | ||
レモン | ||
カリフラワー | ||
青ピーマン | ||
キウイフルーツ(緑肉種) | ||
甘がき |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
野菜や果物などの植物性食品からビタミンCをしっかりと摂取することを心掛けましょう。
6.水溶性ビタミンについてのまとめ
水溶性ビタミンはその名のとおり水に溶けるビタミンの総称です。
ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類のビタミンB群と、ビタミンCが該当します。
水溶性ビタミンのはたらきはそれぞれに異なりますが、ビタミンB群の多くは補酵素としてエネルギー産生栄養素などの代謝に関わっています。
また血をつくるはたらきや、皮膚や粘膜の健康維持に関わるものもあります。
ビタミンCはコラーゲンの合成や活性酸素の除去において重要なはたらきを果たします。
このように水溶性ビタミンはそれぞれに体の機能を正常に保つ上で欠かせません。
不足するとビタミンによって異なる欠乏症を招き、ときには命に関わる重篤な症状を引き起こしてしまいます。
その一方で水溶性ビタミンの多くは摂り過ぎても尿から排せつされ、不調を招くことはほとんどありません。
ただしサプリメントなどから過剰摂取すると症状が現れるビタミンもあるので、適切な摂取を心掛けましょう。
ビタミンB群は動物性食品に比較的多く含まれています。
特にレバーはビタミンB群を豊富に含む食品だといえるでしょう。
またビタミンB群は豆類やナッツ類などからも摂取できます。
一方ビタミンCは動物性食品にはほとんど含まれず、野菜や果物などが主な摂取源となります。
水溶性ビタミンはいずれも体に不可欠なので、バランスの取れた食事を心掛け、体に必要な栄養素を十分摂取しましょう。